『 選んだのは ― (1) ― 』

 

 

 

 

 

 

   キ ィ −−−−−−

 

ちょっとばかり軋みつつ アイアン・レースの門扉が開いた。

門 といっても 中学生なら軽く跳び越えられるほどの高さで

これは全くの装飾用 ・・・ に見える。

 

しかし。 その実、前後左右はおろか空中にまで侵入防止のバリアが

張ってある鉄壁の 防御壁 なのである。

この邸の住人とその関連人物 そして 住人が許可したものしか

この低い瀟洒な門を 通り抜けることはできないのだ。

 

その門を 島村ジョーはなんの意識もせず 楽々と そして

ぼく当たり前に抜けてゆく。

 

   タタタタタ ・・・・

 

玄関までの小路は両側になんとな〜〜く雑草が生えているが

そんなユルい雰囲気が 彼は気に入っている。

 

「 ふ〜んふんふ〜〜ん ♪ 」

 

どうやらめっちゃご機嫌ちゃんである。

両手に買い物袋 背中にはちっこいリュック、という

当世 どこにでもいるワカモノ風 であるが

 

   彼は とにかくめちゃくちゃに機嫌がいい。

 

「 ふんふんふ〜〜ん♪  ああ いいなあ〜〜

 この さ。 ウチに帰るまでの道って〜 最高だよなあ 

 

ごく普通の いや少しばかり古びた雰囲気の <ウチ> への

小路が そんなに楽しいのか ―  誰もが不思議になる。

 ― しかし。

 

「 えっへっへ ・・・ ぼく、ウチが好きだな。

 そうだなあ イチバン好きなのは

 ただいま〜〜 て帰ってきて玄関のドアを開けたときかな 

彼はよくそんなことを言う。

「 玄関のドアを??  どうして 」

「 え  だって・・・ ここ ぼくのウチなんだ〜〜って。

 ぼくを待っててくれるヒトがいるんだ〜〜って思うと

 なんかめっちゃ はっぴ〜〜 」

「 ・・・  へ え ・・・? 」

ひとつ屋根の下に暮らす 金髪美女は怪訝な顔をしている。

 

  まあ ともかく。 帰宅し 玄関のドアを開け ― 

 

どきどき。  人工心臓がヒート・アップ!

ジョーは 口をぱくぱくさせてからその一言を絞りだす。

 

「 ・・・えっと。  ただいまあ〜〜 」

 

「 ジョー?  おかえりなさい〜〜 

「 おお お帰り ジョーや 」

奥から聞こえてくる声・・・ 

そして ふわ〜〜〜〜ん  と漂ってくる香

 

    へへへ ・・・ おかえりって いいなあ〜

     ― ふ〜〜〜ん ・・・

    えへ これがウチの匂いだなあ〜〜

 

彼はもうにっこにこ ・・・ 零れそうな笑顔で靴を脱ぐ。

揃えてそっと端に寄せる。

 

    ふふふ〜〜ん♪

    じょー なんて書いてあるゲタ箱に入れたりしなくていいんだぜ?

    ちゃんと片さないとジャマです、なんて言われないんだせ?

 

    だって ココはぼくのウチの玄関 なんだもん。

 

    あ 花だあ〜   へえ 玄関にキレイだなあ

    ・・・ あは 可愛い靴〜〜 

    へえ ・・・フランの足ってこんなにちっさいんだ?

    ・・・ なんかオモチャみたい ・・・

 

花瓶に挿してある花に そ・・っと触ってみたり

やはり隅に置いてあるパンプスを しげしげと眺めたり 

彼は ゆっくりゆっくり玄関に上がる。

 

    ふふふふ〜〜ん ・・・

    ・・・ あ  なんかいい匂い〜〜〜

 

    これって なんか焼いてる??

    そうだよね〜〜 この前もさ

    フランのクッキー ってば 激ウマだったじゃん〜

 

    あ! 今日のオヤツ かな?

 

「 ただいまあ〜〜 デス 」

元気よくリビングのドアを ― いつもすこ〜〜し開いているけど

 ― 開けるのだ。

 

「 お帰り ジョー 」

ソファの向うから もう一度彼を迎える声が聞こえてくる。

「 ずいぶんと温かくなったなあ 

「 そうですね〜  この辺は温暖だし〜 」

「 ほうほう ・・・ 春もはやい ということだな 」

「 はい。 桜もね 県の開花予想日よか早いです 」

「 なるほどなあ〜 」

博士は 新聞を置き 庭を眺めている。

「 ウチの庭も 花壇なんぞ作ろうかと思うのだよ。 

 できれば花の咲く樹も植えたいなあ  

「 あ いいですね〜〜  今度 地元の植木屋さんに

 相談しませんか?  」

「 お いいねえ。 一緒に行こうか 

「 はい! 」

 

   パタパタパタ ・・・・ スリッパの音と一緒に

 

「 お帰りなさ〜〜い ジョー。 

 ねえ たった今、 オーツ・ビスケットが焼き上がったとこ! 」

金髪美人が にこにこ現れた。

「 わあお〜〜〜 ラッキー〜〜〜

 すんごくいい匂いするから もしかして〜〜 って思ってた! 」

「 うふふ・・・ この前、焼いたとき、これ好きって言ってくれたから。

 また焼いたの。 今日のはレーズン入り。 」

「 わっほ〜〜い♪ 」

「 味見・・・ する? 」

「 する!!! 」

「 じゃ 手 洗ってウガイして。 キッチンに来てね 

「 りょ〜〜うかい! 」

「 待ってるわね 

「 うん!   ・・・? 」

 

   ふわん 〜〜〜  彼女の髪から なにかいい香が漂った。

 

     あ ・・・?  くんくん・・・?

     ・・・ なんか いいにおい〜〜〜

 

     あ〜 ビスケットの焼けた匂いかなあ〜

     それとも カフェ・オ・レ ??

 

     へええ〜〜 フランってお菓子みたく

     いい匂いだあ〜〜

 

「 ふんふんふ〜〜〜〜ん♪ 

もうもう彼はご機嫌ちゃんの極致で バス・ルームに

すきっぷして行った。  

 

     ああ   いいなあ〜〜  ここが ぼくのウチ!

     ねえ 知ってる?

     ウチはねえ〜  玄関開けるとさ〜

 

     ほわ〜〜〜ん ・・・ッて ウチの匂い がするんだぜ?

     どんな匂いかって?

 

     う〜〜ん なんつったらいいのかなあ ・・・

     部屋用の芳香剤とか脱臭剤とかとは全然違うんだ。

 

     食べ物の匂い もあるけど それだけじゃない

     え? 化粧品?  ちがうな。

     そもそもフランは化粧なんかしてないし・・・

 

     なんだろ?

     ああ でも すっげ いい匂いだあ〜〜

 

くんくんくん ― 彼は仔犬みたいに鼻を鳴らし ご機嫌ちゃんの日々である。

 

その < 好い香り > といえば ―  

化粧云々ではなく でもやっぱり 彼女 なのだ。

 ― あれは < 家族 > として暮らし始めたころのこと。

 

「 お帰りなさい ジョー 」

玄関を入ったら ちょうどフランソワーズも外から戻ったところだった。

「 ただいまあ〜  あ 洗濯モノ? 

「 そうよ  今日はいいお天気だったからパリっと

 いい感じに乾いたわ 」

「 ふうん?  あ それ ぼくが持つよ 」

「 あら ありがと 」

彼女から 抱えていた山ほどの洗濯モノを受け取ったのだが ―

 

  ふわん。  ・・・ いい匂いがジョーを取り巻いた。

 

     ? あ れ  なんだ?

     なんか ・・・ いい気分だよ

 

「 ・・・あ〜 あの いい匂い ? 」

思わず口をついて出てしまった・・・

 

     あ  やば・・・!

 

「 え?  ああ 柔軟剤の香じゃない? 」

「 柔軟剤? ・・・ なんか特別なの、使ってるの 」

「 ううん。 普通のよ、スーパーで売ってたヤツ。」

「 そうだよねえ・・・ でも なんかもっと好い匂いがするよ 」

「 ?  あ 洗剤の匂いかしら。 

 それとも ― お日様の匂い かもね。 ほらあ 

フランソワーズは 彼女自身も洗濯モノに顔を近づけた。

「 ・・ ふ〜〜ん  晴れた日の香がするわ 」

「 ・・・ あ あ  そ そう ・・・? 」

ぐっと近づいた金色のアタマから 彼は最高の香を感じていた。

 

     この 匂い ・・・ ああ いい匂い〜〜

 

「 ふふう  ジョーって案外繊細なのね? 

 ええ わたしもお日様の匂いって 大好きよ 」

「 ・・・ え あ  う うん ・・・ 

 そ そうだね  ぼくも ―  大好きさ! 」

ジョーは慌てて うんうん・・・と大きく頷いた。

「 ・・・ あ  あの。 これ・・・ ぼく畳むから 」

「 まあ ありがとう! お茶 淹れるわ。

 リンゴのコンポートがあるの、オヤツにしましょ 」

「 うん!  ・・・ ああ 好い匂いだなあ ・・・ 」

「 え なあに 

「 !  あ  あの  いい天気 だね 」

「 ?? 可笑しなジョーねえ〜〜 」

彼女は くすくす笑って先に行ってしまった。 

 

     ひゃあ ・・・  ヤバ〜〜〜

     ― ああ でも ・・・

 

     フランって  いい匂い・・・!

 

 ♪ おか〜さん な〜〜に おか〜さんっていいにおい ♪

 

彼は こっそり・ひっそり ― あの歌を歌ってた。

 

     えへへ ・・・ お洗濯〜の匂い でも

     たまご焼き〜の匂い でもないんだ〜

 

     フラン、きみがいい匂いなんだ♪

 

ジョーは 彼だけが見つけた最高の < ヒミツ > を

そう〜〜っと 心の中に仕舞い、楽しんでいた。

 

 

 さて ― 

 

三人の暮らしが 軌道に乗り始めれば それぞれが < 自分の生活 > を

模索し始めた。

 

ギルモア博士は コズミ博士を通じ医療用の精密機器の開発に

熱中している。  牽いてはサイボーグ達のメンテナンスにも

応用可能な研究なのだ。

フランソワーズは かねてからの念願だった バレエの世界 へ

再び足を踏み入れ ― バレエ・カンパニーの研究生となっている。

ジョー自身は バイトをしつつ勉強に没頭。

大検を取り 大学の二部に通うことを目標にしたのだ。

資金のことは心配するな、と博士は再三言ってくれたけれど

彼はどうしても 自分のチカラで第一歩を踏み出したかった。

 

「 う〜ん ・・・ やっぱ これは〜 」

ジョーはあれこれ試行錯誤して 自分自身の目標について 博士に相談した。

はにかみつつ進学したいと話した。

「 おう それはいい!  うむ、なにもこの国の学校だけではないぞ

 海外留学も ・・・ 」

「 え! あ 〜〜 それは ちょっと無理っぽいです〜〜

 ぼくの学力だと〜〜 」

「 ふむ?  それで なにを専攻したいのかね? 」

学ぶことには全面的に協力する、と博士は重ねて言う。

「 あ〜〜  まだはっきり決めてなくて。

 とにかくまずは大検とって 入試にチャレンジします 」

「 そうか そうか 頑張れよ。

 理数系ならチカラになれると思うぞ。

 文系は ・・・ この国の受験体勢がよくわからんので

 まあ 英語なら 

「 あら ジョー。 語学は ・・・ 使えば簡単でしょ 」

フランソワーズは つんつん・・と彼女自身のアタマを

突いてみせた。

「 あ ・・・ うん ・・・ 実力でゆくよ。 

ってさ〜 ぼく 全然勉強してこなかったから これから大変なんだ 」

「 え〜と なんでしたっけ・・・ あ がくしゅうじゅく。 行く? 」

「 ・・・ 大学受験だと 予備校 って言うんだ、ふつ〜 」

「 そうなの? school なのね 

「 うん。 いっぱいあるからさ 地元に近いトコに通うよ 

「 そう! 頑張って! 夜食とか応援するから 

「 ん! ありがとう〜〜 」

「 ジョー。 頑張れよ 」

「 はい! 」

 

彼は ヨコハマにある < 基礎から > をウリにしている予備校に

通い始めた。

 

     ・・・ だは・・・ 

     マジ 本気になんないと〜〜 !

 

ジョーは 人生の真剣勝負 に挑むことにした。 

 

 

昼は それぞればらばらに過ごす。

しかし 晩ご飯はなるたけ皆が顔を揃え一緒に食卓を囲んだ。

その日 あったことなどお喋りし 笑いあった。

 

食後も 夜のひととき 三人はリビングで過ごす。

博士は書物をタブレットを持ち込み ジョーも問題集を

抱えてきたけれど ― やっぱりお喋りに興じてしまう。

 

フランソワーズも よく喋り笑い ・・・ 楽しそうだが

彼女はいつも 糸針を用意し針仕事をすることが多い。

最初は 家族の衣類を繕う。

「 ・・・ ん〜〜  ほら できた。

 ジョー〜〜〜  シャツ、破かないでね〜〜〜 」

「 ごめん・・・ ありがとう〜〜 嬉しいな 」

「 博士!  ほら 白衣。 一応 直しましたけど

 こんなにボロボロになるまで着ないでくださいな 

「 ・・・ すま〜ん 」

博士は それでも愛用の白衣を受け取り 嬉しそうだ。

 

「 え〜と それじゃ ・・・ 」

 

  ガサリ。  彼女は大きな籠を足元から取り上げた。

 

「 がんばってリボン、付けとかないと〜〜 」

「 ?? 」

ピンク色の艶々した物体を取り上げ 同じ色のリボンの端を

縫い付け始めた。

「 ・・・?? 」

ジョーは 目をまん丸にしてじ〜〜っと見ている。

「 あ  なあに? 」

視線を感じ 彼女が顔を上げた。

「 あ あの! ・・・ それって ・・・ あのう 靴? 」

「 え ・・・ ええ そうよ  見る? 」

「 うん!  あ  いいの? 」

「 ど〜ぞ 」

 

ぽん、と手渡されたのは 艶々した布で覆われた靴・・と

思われる物体だった。

でも ― それはジョーの認識している 靴 とは随分と違っている。

 

「 ありがと ・・・ うわ  これ 布製? 」

「 そうよ。   トウ・シューズ。  底のとこは革だけどね 」

「 ふうん ・・・ え 先っぽ かんかちだけど ・・・

 ここは 革? 」

「 ううん。 布。 トクベツな糊で固めてあるのよ 」

「 ひえ〜〜 かった〜〜〜 」

「 ね?  ほら 」

フランソワーズは 片方をとりあげ爪先部分で床を叩いてみせた。

 

    かん かん かん   乾いた音がする。

 

「 へ え・・・ 」

「 ふふふ〜  これはもうかなり履いてるけど 

 新品の靴で殴られたら ・・・ 死んじゃうかもね〜〜 」

「 ! ・・・ 凶器じゃんか 」

「 そうねえ 」

「 ・・・ それ 履くわけ?  足 痛い・・・よね 」

「 痛いわよ〜〜〜  専用のパッド 入れるけど

 新品の時は も〜〜 汗 でちゃう 」

「 ・・・ 汗 だけ? 」

「 涙も血もね〜  ほら 指とか剥けちゃったりするから。

 チビの頃は 爪 はがれたりもしたし 」

「 爪!?  ・・・ ひええ〜〜〜 鳥肌もんだあ〜

 ぼく 末端が痛いのって 超〜〜〜苦手〜〜 」

とてもサイボーグ戦士のセリフとは思えないが

ジョーは 本気で震えあがっている。

「 あはは・・・ そうねえ  家具に足の小指 ぶつけて

 悶絶してるものねえ  ジョーってば 」

「 だってさ〜〜〜 超〜〜〜〜 痛くない? 」

「 痛いけどね  もう慣れちゃったかなあ 」

「 慣れる???  慣れるもんなの? 」

「 まあね  もう爪を剥がすことはないけど

 やっぱり新品をおろすときは痛いかな〜  」

「 へ え ・・・ すっげ〜〜〜 なあ〜〜 

「 そう?  でもね  踊れるって 素敵よぉ〜〜〜 」

フランソワーズは さささっとポアントを履くと

 

  くるくるくるり。   軽く回転してみせた。

 

「 すっげ ・・・ あ その靴 やっぱ秘密 あり? 」

「 え〜〜 なんにも入ってないわよぉ〜〜

 さっき見たでしょう ? 」

「 う・・ん ・・・  フラン ・・・ 博士に

 ナイショで改造してもらった・・・? 」

「 いい〜え。  踊りたい子 踊ってゆきたいコはねえ

 チビのころからの訓練で 踊れるようになるのよ  」

「 ふ う ・・・ん ・・・

 あの カンカチの靴で ねえ ・・・ 」

「 ふふふ  ・・・  痛くてもなんでも

 わたし やっぱり踊のが 好き♪ 」

「 ・・・・すっげえ なあ〜〜〜 」

「 それにねえ 確かに痛いけど 踊っている間は

 忘れてしまうのよ。  本当に不思議なんだけど 

「 へ え ・・・ 」

「 レッスンの時とか 痛いなあ〜 って思ってても

 夢中で踊ってて・・・ 終わってから靴、脱いだら 血だらけ・・・

 なんてことも あるわ 」

「 ひえ〜〜〜 ・・・ な なんか寒くなってきた・・・

 ぼく 末端が痛いのって全然ダメなんだ 想像しただけで 

 なんかこう ・・・ ぞくぞくしてきた 」

「 慣れちゃったってこともあるけど ・・・

 そうねえ ポアントも随分進化したなぁって思うわ 」

「 進化??? 」

「 うん。  あ〜 スニーカーだってどんどんこう・・・

 機能アップしてゆくでしょう?  厚底とか 

「 ああ まあねえ   履き心地は改善されてくよ 」

「 でしょ?  ・・・ 昔よか随分 よくなったな と思うわ。 」

「 へえ〜〜 」

「 皆 それぞれ工夫してちょっとづつ自分が踊り易いように

 加工するけどね。 少しでも長持ちするように って 

「 ながもち・・・」

「 そ。  パ・ド・ドウ一回踊って つぶしたこともあるし。

 あ いいなあ〜  って時は本当に短いわ 」

「 ああ 布製だからか ・・・ ふうん ・・・ 」

「 チビのころ この靴に憧れたっていうカンジかな。

 はやく トウシューズが履きたい 先輩のお姉さんたちみたいに

 くるくる回って踊りたいって憧れてたわ 」

「 ふ〜うん ・・・ 」

「 だから わたし。  踊れる限り踊りたいの。 

 今 ― 本当に幸せだわ 」

「 そっか ・・・ よかったねえ 」

「 うふふ ・・・ ありがと ジョー。 

 わたし 頑張るわ。  自分で選んだんだもの 」

「 ・・・・ 」

 

       フランって。

       やっぱ ホント 強いんだ?

 

       すっげ〜な〜〜 ・・・

       負けらんない ヨ!

 

   ほわん ・・・   なにかいい香が漂う。

 

「 あ ・・・? 」

「 ? なあに 」

「 ・・・ あ ううん なんでも ・・・

 ってか フラン〜 頑張れよ〜  応援するよ!  」

「 ありがと ジョー。  ジョーも勉強 頑張って 」

「 うん。  ありがと フラン。   おわ !? 」

ふぁさ ・・・ 金色の髪がゆれて ジョーのほっぺに

小さなキスが落ちてきた。

 

       !  わっはは〜〜〜ん♪

 

       あ  好い匂い〜〜〜

       うん、フランは いい匂いがするんだ。 

       お化粧とか香水じゃなくて。

 

       これって フラン自身の香り なんだなあ

 

       へへへ〜〜

       < ウチの匂い > の一部なんだ♪

 

 

最近 ジョーはますます < ウチ > が好きになってきている。

「 ふんふんふ〜〜ん♪  

 フランだけじゃないんだぜ?  博士だってさ〜 」

この邸で暮らすようになって気付いた もう一つの香り 

 

   それは ― 仄かにただようちょっと鮮烈な青っぽい香。

 

「 はじめはさ なにか果物かな〜〜 って思ってたんだけど

 ・・・ あれは博士のコロンだったんだ〜 」

少し古い欧州人の博士は かなりオシャレ。

ハンカチに ある有名なコロンをたっぷり吸わせ 首筋を拭ったりしている。

所謂甘ったるい香ではなく すっきり爽やかだ。

 

「 いいな〜〜  ・・・ 真似しよっと 」

ジョーも その4711というコロンを何気な〜く使い始めた。

 

・・・ いろいろ真似したいもんな〜 」

それとなく博士を眺めていると 最近はなにやら熱心に

取り組んでいる。

 

     なんだろ?

     ・・・ ぼくらの改造??

     まさか ね ・・・

 

「 あのう〜〜 」

ある夜、 彼は遠慮がちに聞いてみた。

「 ・・ うん? なにかね 」

「 あのう  最近 ― すご〜く熱中してませんか 」

「 うん?  ああ 医療用の補助機器をな 作ろうと・・・ 」

「 ?? 補聴器とかですか?? 」

「 それも ある。 まあ 義手 義足 の類かな 」

「 へえ  あ サイボーグ技術で・・・ ? 」

「 まあ それもあるが ・・・ 問題が大きくてなあ 

 なかなかクリアできんのだよ 」

「 え。 博士がクリアできないって ?? 」

「 ははは  問題はいつも山ほどある。

 開発中の義手や義足は ― 使い手との問題が複雑でな 」

「 ?? 使うヒトの?? 」

「 そうじゃよ。 

 人工のモノと生身のニンゲンの神経系との合体だから なあ ・・・ 

 ムズカシイのだ。 」

「 あ  そうか〜  ぼくらは全部  そのう人工物だから 」

ジョーは 何気なく言ったが 博士は顔を曇らせた。

「 ・・・ すまん ・・・ 」

「 あ そんなあ 謝ったりしないでくださいよ 」

「 しかし 」

「 ぼくらのケースを 十分に参考にして―

 新しい可能性を 見つけてください 」

「 ジョー。   ・・・ ありがとうよ ・・・ 」

 

    ぱっちん♪  ジョーはかなり不器用にウィンクをしてみせた。

 

      えっへっへ〜〜〜

      ぼく  ウチの匂い が好きだなあ〜〜

 

 

Last updated : 05,25,2021.            index       /      next

 

 

********  途中ですが

なんてこともない・彼らの日常のスケッチ ・・・ かな☆

でも そんな平凡な日々こそが イチバン ですよね♪

このジョーは 原作 か 平ジョー でしょう・・・・

まあ のんびり話 もうちょっと続きます〜〜〜