『 霧と薔薇と ― (1) ― 』
ヒュウ −−−−−− ・・・・・
冷たい風に乗って細かい雪が飛んできた。
「 ・・・ うう ・・ 寒い ・・・・ 」
003は マフラーを引き上げ頬を覆ってみた。
「 ・・・ぅ〜〜 あんまり温かくはならないわねえ ・・・
ああ こんな時 生身に近いってソンだわあ 〜〜 」
≪ 003? 位置を知らせてくれ ≫
雪になったのと同時に 009 から脳波通信が飛び込んできた。
「 あ〜〜 はいはい ちゃんと無事ですよ〜〜 」
≪ 〜〜〜〜 ≫
彼女は ぶつぶつ言いつつ現在位置を発進した。
「 も〜〜〜 たまには 単独行動 させてよ?
ふん わたしを誰だと思ってるのよ??
探索型専門のサイボーグ003 なのよ? 見損なわないでほしいわ 」
・・・ でも。 ここ なんか妙ね?
003は雪混じりの風の中で 慎重に周囲をサーチし始めた。
大掛かりなミッションではなかった。
グレートから情報が入った。
イギリス在住で 生体工学の天才学者とよばれる人物が
行方不明 − というのだ。
「 え・・・ で その学者は なにか秘密の研究とかしていたのかい?
」
「 するどいな 009。 」
電話の向うで グレートがにやり、と笑うのが見える気がした。
「 その御仁は ちょいとルール違反に問われる研究をしていたのさ。
まあ ひらたく言えば、 ソレが後暗い方面に渡るとマズイ、と
いうわけさ。 」
「 ふ〜〜ん で 迷子探し かい 」
「 当たり。 スコットランドとの国境近くまでこれるか 」
「 ?? ロンドンじゃないのかい 」
「 うむ。 辺鄙な寒村に その学者殿は研究所を構えていた。
代々その辺りの地主の家系で 変わりモノが多い・・・
で 周囲の村民たちも たいして気に止めてなかったのだと。 」
「 寒村で 無関心 か。 恰好の隠れ家だねえ 」
「 左様。 ともかく彼を見つけて保護する。 それだけなのだが
マドモアゼル のご出馬を願たい。 」
「 < 探しモノ > には 003 が必須だものね 」
「 というか 独壇場であるな。 」
「 あ〜 確かに。 うん 聞いてみる。
公演日程とか 近々には聞いてないから・・ 多分 おっけ〜 だよ 」
「 ご本人の意志を尊重、だ。 」
「 了解。 そっちは? 」
「 ああ 欧州組で決着つける予定だ。 004を呼んだ。 」
「 わかった。 ドルフィンは使わないね、< 普通に > 参加する 」
「 待ってるぞ。 マドモアゼルにお詫びを。 」
「 どんぱち じゃないから 嫌がらないと思うけどね。 じゃ 」
「 おう 後程。 」
カチャ。 ジョーは静かにリビングの電話を切った。
「 グレートから? 」
「 ?! おわ・・・? びっくりしたあ〜〜
フラン お帰り〜〜〜 」
振り返れば フランソワ―ズが立っていた。
レッスンから帰ってきた所なのだ、大きなバッグを抱えたままだ。
「 ただいま。 ・・・ それで イギリスなの? 」
「 え あ ・・・ うん まあそんなとこ ・・・
あの いいかな 」
「 なにが。 」
「 いや そのう〜〜 ミッションなんだけど。 きみには
是非参加してほしい。 あ でも スケジュール、入っているなら無理には
」
「 勿論行くわ? なにを言ってるのよ、ジョー?
そういう妙な遠慮の仕方って わたしにシツレイだと思います。 」
「 ・・・ ごめん。 」
ジョーはぺこり、とアタマを下げた。
「 説明しますから ・・・ ともかくバッグ置いてさ・・・
座ろうよ。 あ お茶、淹れるよ 」
「 ありがとう。 ちょっとバッグを置いて着替えてくるわ。
急ぎなの? ・・・ そのミッション。 」
「 あんまりのんびりはできない、かな。 」
「 了解。 」
彼女は 小走りに二階へ上がり、 彼は手早くお茶の用意をした。
― そして 彼らは
翌日には 現地 ― イングランドの北方へと旅立っていた。
ヒュウ ・・・・・ ・・・・
「 この季節に吹雪 って ある? ああ ノイズが多いなあ 」
003は 視覚が真っ白になりつつある中で 集中していた。
ふわ り −−−
不意に 目のまえに なにか軽い切片が舞い降りてきた。
「 ??? 雪のカタマリ・・・ではないわね ・・・ 」
手を延ばせば それはふわ ふわ 〜〜 と 逃げてゆく。
「 あ・・・ まって ・・・ 」
彼女は そのまま二歩 三歩 ・・・・ それ を追いだした。
「 ・・・ あ ・・・あ あら・・・? 」
足元の感触が変わった。 かちかちの大地から少しだけ柔らかい土壌になった。
え ・・? う そ ・・・ え??
目を、 003の眼 ではなく フランソワーズの瞳 を凝らせば
凍てつく白い風 は いつの間にかぼんやりとした霧のカーテンになっていた。
「 え ・・・? 天候が急変したの? そんな情報、ないわ。
あ ・・・ 少し気温が上がってきたわ ・・・
え? ここ ― どこなの?
じりじりと進んでゆくと 濃い霧の中から密な木立が浮き上がってくる。
葉のカタチに 見覚えがあった。
「 ・・・ こ れ・・・ 薔薇? え まさか ・・・
こんな寒い地域に薔薇が しかもこんなに密生してる なんて ・・・
いた・・・っ え これ トゲだわ 」
そっと触れた指先には 小さな痛みがあった。
でも どこか丸い痛み・・・ 植物の自然の営みが与えた優しい痛みだ。
「 うそ ・・ ホンモノの 薔薇 だわ ・・・ !
ここ ・・・ 薔薇の茂み? いえ 薔薇が垣根になっているんだわ
・・・ この地域に こんなに薔薇があるなんて ・・・ 」
季節は 早い冬、そして スコットランドに近い地域 となれば
とても信じられない光景だ。
「 ・・・ 吹雪き ・・・ 止んだわ ・・・
この霧は ひんやりしているけど 凍える寒さじゃないのね
・・・ あ? 家・・・? 影が見える・・・ 」
003は 辺りを警戒しつつ ゆっくりと進んでゆく。
やがて 霧の中から点在する民家がゆっくりと浮き上がってきた。
大きな農家だろうか ・・・ 母屋の脇には広い納屋やら
どうやら家畜小屋らしきものも 見えてきた。
「 ふうん ・・・? この付近には農地が広がっているのかしら。
鶏の声が聞こえる ・・・ まあ それにしてもどこもかしこも
薔薇の垣根だらけねぇ・・・ 」
民家の影が増えてきて 家畜の気配は十分に感じられるのだが ―
人影が 見えない。
家々は けっして荒廃したり 廃墟になったりはしていないけれど
動く人影が ないのだ。
「 ・・・ 不思議な村 ・・・・ あら?
」
うふふふ ・・・兄さま
私 ここよ ・・・ !
「 え?? 」
ごく小さな 呟きが 003の耳に入ってきた。
同時に ―
ガサガサ ・・・ ゴソ ・・・ 茂みが揺れた。
「 ! お。 さっきの鹿だ・・・! 」
青年の声も聞こえてきた。
― カチャ。 金属の音がした。
! あの人! 猟銃を! だめっ!!!
今 飛び出してくるのは ― 鹿 じゃないっ !!
ガサ ・・・! バンッ ・・・ !
茂みから飛び出してきた少女 猟銃を持ったまま凍り付いている青年
倒れこむ少女 驚愕の青年 ・・・ 銃口からは 薄い煙が上がってゆく
全てがスローモーションのごとくに見える中に 003は跳びこんだ。
「 ! だめっ !! 危ない ・・・ ! 」
ズサ。 彼女の腕の中に少女は倒れ込んだ。
「 あなた・・・ しっかりして! 」
「 ・・・・ 」
少女は ― なぜか古風な衣装だったが ― ぴくり、とも動かない。
「 ・・・ あ ・・・ し 鹿かと ・・・
そんなまさか ・・・ ヒトがでてくるとは ・・・ 」
「 だからよく確かめないで 撃った、というの? 」
「 ・・ そ それは ・・・ 」
「 ちょっと! ぼんやりしてないで! ハンカチを貸して。 止血するわ。
だれか この地域のヒトを呼んで! 」
「 あ ・・・ああ でも ここいら辺は不案内で ・・・ 」
「 家があるわ! その先に。 誰か呼んで! はやくっ ! 」
003に叱咤され 青年はようやく動きだした。
「 わ わかった ・・・ お〜〜い だれか 」
彼が 民家の方に走りだした時 ―
ガサ。 薔薇の垣根の向うから 人影が現れた。
「 その必要はない。 僕が館に連れてゆく。 」
出てきたのは 少年だった。
フランソワーズの背に届かない ― 細いがしなやかな身体の少年だ。
やはり 古風な、しかし一目で上等とわかる服をまとっている。
「 ! アナタは この地域の方? 」
「 そうです。 この子は ― 僕の妹。 お前、逃げるなよっ 」
少年は 青年を睨み据える。
「 も もちろんです 」
青年は がくがくしつつもしっかりと少年を見返している。
「 ・・・・・ 」
少年は フランソワ―ズから少女を抱きとると もう一度真正面から
青年を見据えた。
「 ・・・ そ その ・・・ 急に ・・・ その子が ・・・ 」
淡い青の瞳が 青年に突き刺さる。
「 許さない。 ・・・ あなたは? 」
不意に少年は 003に向き直った。
「 え あ わたしは ・・・ 」
「 あなたもハンターですか。 その服装・・ 」
「 いいえ。 わたしは・・・ ある人を探していて 迷ってしまったみたい 」
「 あなたも怪我をしていますね。
どうぞ。館にいらしてください。 お前も来るんだ 」
「 ・・・ え? あ ・・・ 」
気がつけば 防護服の袖口から 細く血液が流れていた。
「 大丈夫ですわ。 大した怪我ではありません。
わたしよりも 妹さんを ・・・ 近くに医療機関は? 」
「 舘に 医術の心得がある人を呼ぶ。 あとは ― 妹が
耐えてゆけるかどうか にかかっている。 さあ 来い。 」
少年は 妹を抱きかかえたまま ずんずん進んで行った。
・・・ 霧は まだ晴れない ・・・
「 どうぞ こちらへ 」
老女は低くつぶやくと フランソワーズと青年を一部屋に案内した。
「 ・・・・・ 」
「 ・・・・・ 」
堅牢な屋敷の中 客間とおぼしきその部屋は、なおさら古風な設えだった。
レースのカーテンが引かれた窓の外は すでに薄暗く
テーブルの上のランプには 火が燈っている。
「 ・・・ あの。 ここはどこなのですか?
わたしは ― ある人物の行方を捜索していて 道に迷ってしまったのですが 」
フランソワーズは 静かに語りかけた。
「 え? ・・・ さあ・・・
僕も よくわからないのです。 友人の別荘に招待されていて・・
狩をしに 野原に出たのですが ・・・ 」
「 スコットランド付近ですか 」
「 ?? 北イングランド の 荒野です。 しかし 」
「 しかし? 」
「 ええ ・・・ こんな村があるとは 聞いてませんでした。
薔薇とさんざしの垣根で しっかり護られているようだ ・・・ 」
「 薔薇と山査子 ― あの つかぬことを伺いますが
今日は何日ですか? 」
「 は? ・・・ ・・・ ですが? 」
青年は ちょっと妙な顔をしたが すぐに年月日を言った。
「 ・・・ そ う ですか ・・・ 」
!? ・・・ タイム・スリップ ・・・?
場所 も 時間 も ・・・ 跳んだっこと?
なぜ わたし ここにいるの?
フランソワーズは 衝撃のあまり、きゅっと唇を噛んでしまった。
・・・ そっか ・・・
だから あの少女も その兄という少年も
・・・ この青年も 古風な服装なのね
「 あの ・・・どうかしました? 気分わるいですか 」
「 ・・・え? い いえ ・・・ なんでもないです。
・・・ ここは 本当に静かな場所ね 」
「 え ええ・・・ しかし こんな村があるなんて・・・
友人は一言も言ってませんでした。 」
「 どちらからいらっしゃったのですか? ・・・ ロンドン? 」
「 ええ。 冬の気晴らしに、と狩猟もかねて。
あのう お嬢さん。 失礼ですがあなたは・・・? 」
「 え? ああ わたしは ― フランスから来ました。
ある人を、科学者なのですが 行方を探しています。 」
「 その方は ・・・ あなたの身内の方なのですか? 」
「 いいえ。 これはわたしの仕事です。 」
「 探偵社の方? ・・・ 女性が 」
「 いえ ・・・ ある団体の依頼で彼を保護したいのです。 」
「 そうですか。 あの ・・・ 変わった服装ですね 」
青年は 控えめに言ったが ― そりゃそうだろう。
防護服は < 世間一般 > にはめちゃくちゃに目立つ。
そして 古い時代ならなおさら奇異に映るだろう。
「 ええ ・・・ 寒冷地にゆくので 防寒服です。 」
「 ああ スキーウェアみたいなものですか。 」
「 はい。 ・・・ 静かですね 」
「 ええ この屋敷の中も 静まり返っている。
ヒトが住んでいるとは思えない
」
「 そうね ・・・ あ ・・・ 誰か くるわ。 」
「 え?? なにか音がしましたか? 」
「 ・・・・ 」
コッ コッ ― ほどなくして低いノックが聞こえた。
「 失礼します。 嬢様は持ち直されました。 」
す・・っと 灰色の服の老女が 現れた。
「 え ?? 本当ですか さっき傷を受けたのに 」
「 先ほど 医術に長けた方が来てくださいました。
お嬢さん、 別のお部屋にご案内します。 殿方はどうぞ
こちらでお待ちください。 」
老女は フランソワーズの方を向き軽く会釈をした。
「 ・・・・ 」
フランソワーズは黙って立ち上がり、 青年にちらり、と視線を送ってから
老女の後に従った。
・・・・ ・・・ ・・・・
絨毯を敷き詰めた廊下を 歩いてゆく。
・・・ 不思議なお家ね ・・・
確かに 気配はするけれど ・・・ 人影がないわ。
< 見えない > し < 聞こえない >。
むしろ肌で感じる雰囲気が ・・・ こわい。
廊下を曲がるとき 年配の紳士が前方を横切るのが見えた。
彼は ちらり、とこちらに視線を向けた ― 気がした ・・・
この館のヒト ・・・?
「 こちらのお部屋をお使いください。 」
老女はドアの前で立ち止まると しずかに重い扉を開いた。
婦人用の客室らしい。
「 ・・・ 素敵なお部屋ですね 」
「 ・・・ お召し替えを。 後ほどお食事にご案内します。 」
「 あ ありがとう。 あの ここは 」
「 失礼します。 」
老女は 静かに下がっていった。
ふう ・・・ 教えてはくれない か ・・・
ベッドの上には 衣装箱が置いてある。
「 うわ ・・・ アンティーク・ドレス 〜〜〜
きゃ♪ 舞台の貴族の衣装みたい〜〜 すてき♪ 」
深紅色のベルベットを基調にしたドレスを広げ 歓声をあげた。
「 うふふ さっそく着替えちゃう〜〜 そうだわ、髪も結って 」
ベッドの傍らには 彫刻を施した豪華なドレッサーがある。
彼女は 大きな鏡に向かい、身支度を整え始めた。
「 う〜ん アクセサリーが欲しいわあ・・・ ま 仕方ないけど。
ふふ・・・ 銀のクロス、してきてよかったわ。
・・・ あら? ・・・ やだ 落としちゃったかしら 」
ポウ ・・・
テーブルの上ではランプがほの暗い灯を投げかけていた。
「 どうぞ ― 」
後ほど、フランソワーズが案内された食堂は
シャンデリアの下がる壮大な部屋だった。
しかし ― テーブルに着いているのは 男性が二人だけ。
あの青年と 年配の落ちついた紳士 が ぽつねんと座っていた。
「 ただいま軽食をお持ちします 」
メイドを思しき女性は 素早く下がっていった。
「 あ ・・・ よくお似合いですね 」
先ほどの青年は ぱっと顔を輝かせ椅子から立ち上がった。
「 ・・・ ありがとうございます。 」
「 さあ どうぞ。 あ こちらは ミスター・ブラウン ・・・
この村で医療関係の仕事をしていらっしゃるとか 」
「 はじめまして マドモアゼル? フランスの方、と伺いました 」
年配の紳士は 静かに挨拶をした。
「 初めまして。 フランソワーズといいます ・・・
ある方を探していて ・・・ こちらに迷い込んだようですわ。 」
「 ほう ・・・? 」
紳士は片方の眉を上げたが それきり口を閉じてしまった。
「 僕の その・・・ 不始末の結果について伺いました。
幸い 酷い傷ではなかったようです。 」
「 まあ よかったこと ・・・
あの少年と少女 ― ご兄妹かしら、 こちらのお屋敷の方ですか 」
「 そうなのだそうです ・・・
ここはとある男爵様の別荘だそうで・・・ ああ 僕は
とんでもないことをしてしまった ・・・ 」
「 そうね。 今後は ― どうぞ注意なさって ・・・ 」
「 胆に銘じて。 」
「 そう願いたいね。 そして 彼女が回復したら
早々にこの村から立ち去り ― 忘れることだ。 」
「 ― あなたは ここの住人なのですか 」
「 そうです。 お嬢さん。
今夜は 男爵に請われたのでこの邸に泊まります。 」
「 ここは ― なんという村ですか? わたしは スコットランドとの
国境近くで活動していたのですが 」
「 ここは ・・・ 人々が穏やかに ひっそりと暮らしているところです。
薔薇と山査子の垣根に護られて ね ・・・ 」
カチャ ― 静かにドアが開いた。
「 軽食をどうぞ。 」
足音をたてずに給仕と思しき少年が 客人たちに食事を運んできた。
赤ワインとパン。 豆のスープ。 そして 素晴らしくいい香のするお茶。
給仕の少年は素早く配りおえると いつの間にか消えていた。
「 いただこうか 諸君 」
「 そうですね。 あ 申し遅れましたが 僕はスミスといいます。 」
「 はい。 」
三人は 静かに食事を取り始めた。
・・・ しかし 会話は弾まず、食べ終わると皆 早々に部屋に引き取った。
「 お休みなさい 」
「 また 明日 ・・・ 」
「 ・・・003 か? 」
青年が先に出ていった後で 紳士が低く呟いた。
「 ・・・ え?? 」
「 お休み 」
彼は そのまますたすたと廊下を曲がって行った。
?? な に ・・・?
なぜ ??
あの人は ・・・?
フランソワーズは しばし立ち尽くしていたが ―
誰もいない廊下は 深々と冷え込んできて慌てて部屋に戻って行った。
「 ふぁ ・・・ な んか 眠い ・・・
連絡もできないで ・・・ 皆 心配しているでしょうね 」
フランソワーズは ドレスを脱ぎ捨てるとベッドに倒れこんだ。
「 ・・・ 眠い ・・・ ああ もう だめ ・・・ 」
そのまま 彼女は穏やかな寝息をたて始めた。
「 003が ― 消えた ! 」
009が 声を上げた。
「 なんだと? 」
「 ダイレクトの脳波通信を送ったか? 」
至近距離で探索していた007 と 004 からすぐに返信が来た。
「 うん。 ― だけど 返信しないし反応すら 感知できないんだ 」
「 雪で届きにくいのじゃないかな 」
「 それはありえんな。 」
「 では ・・・ マドモアゼルは 」
「 この時空からは 消えた ということだ。 」
消えた ・・・? ウソだろ そんな ・・・
フランソワ―ズ −−−−− !!!!!!
ジョーの最大レベルでの通信が 虚しく灰色の空に消えていった ・・・
Last updated : 08,13,2019.
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************* 途中ですが
かの! 大名作少女漫画 に 93 が参加します♪
な〜んかフランちゃん中心の話になりますが・・・
少女漫画の極致 みたいにしたいなあ (*´▽`*)
続きます〜〜〜〜〜