『 きみの住む街で − オマケの小噺 −
「 ・・・ごめん、 あの・・・とてもイヤだった・・・? 」
ぼくは なんだかおろおろして ちいさな声できみに訊いたのだけど。
きみの瞳は ふんわりと紗がかかったみたいでなんだか
遠くに向いている。
・・ねえ、フラン? フランソワ−ズ・・・どうしたっていうの?

自分でもよくわからないんだ。
凱旋門の屋上の端っこで バランスを崩したきみの身体を抱きとめたら 
ほっとして・・・ よかったって思ったら。 そしたら・・・
気がついたら ぼくはもっとしっかりきみを抱きしめて 
・・・ キスしてた。

「 ・・あっ! ・・・ジ、ジョ− ・・・ 」
きみの瞳が普段よりもっともっと大きく見開き空をかっきり
映しとって、そして閉じられた。

 ー ・・・ふ、フランソワ−ズ ・・・! あ・・・愛してる・・・
 ぼくは きみを・・・!
 
なにがなんだかよくわらないぼく自身はやたらと呪文みたく
こんな言葉をこころのうちで 何度も何度も 繰り返していた。

ー ・・・ ジョ− ・・・・ 。 ・・・わたしも。 わたしも ・・・ 愛してる・・・!

そんな応えが聞こえたって 思ったのは。 ぼくのムシのいい願望だったのかな。
かく・・・ん。
ぼくの腕のなかできみの身体がくたくたと崩折れる。
あ・・・っと。
ぼくはあわててきみの肩をもう一度しっかりと抱きとめたよ。


「 ・・・ね・・・あの。 そんなに・・・迷惑だった・・・かな。 」
「 ・・・ ううん ・・・ ううん! ジョ− ・・・! 」
ぱ・・・っときみの瞳に煌きがもどって来て きみはお日様よりも艶やかに微笑んだ。
「 ちょっとびっくりしちゃっただけ。 ・・・だって ジョ−って今まで・・・こんなキス・・・ 」
うわ・・・。
今度はぼくが くらくらしてきたよ。 きみの笑顔は ・・・ 最強だ!
「 ・・・ う〜ん ・・・ 」
今度はぼくが照れ隠しに俯いてしまったよ。

だからさ。
ぼくは自分でもどうしてか、よくわからないんだ。
今までに 人前でこんな・・・・ 激しいキスをしたことなんかなかったのに。
・・・ この街の空気が ぼくを応援してくれたのかな。

「 だって。 せっかくきみの住む街に来たんだから、さ。 」
なんだかこれもよくわからないコトをぶつぶつと言ってたら。
きみは すっとぼくの腕にその白い手を絡めてきたよ。

「 さあ、ジョ−。 ウチへご案内するわ。 ・・・そうしてね、お兄ちゃんに紹介します。
 このヒトが わたしの ・・・ 愛するヒトですって。 」
「 どうぞ、ぼくに任せてください・・・って言ったら お兄さん、怒るかな? 」
・・・ ふふふ ・・・
きみは なんだかものすごく楽しそうに・嬉しそうに笑って。
でも、 なんにも言わないで ぼくに軽いキスをかえした。


ー きみの住む街で。
ぼくは きみの、 きみは ぼくの。  ・・・ 愛するヒトになった。
*****   おしまい   *****

Last updated: 06,19,2005.                 back

***   ひと言  ***
きゃ〜♪ このお話のモトになった素敵絵の作者・めぼうき様から
いや〜ん、超〜〜可愛い<つ-しょっと>を頂戴しました♪
・・・えへへ。 それで本文には隠れて?いた部分をそっと
みなさまにお知らせすることになりました(>_<)
ジョ−君、 よかったねぇ・・・

めぼうき様〜〜〜 ありがとうございます♪♪♪