『  御神籤  』

 

ねえねえ、ジョ−。 あれは なあに?

 

お宮の参道に入ってからきみは そう矢継ぎ早に問いかける。

そうだよね、

初めて見て 初めて聞く コトばっかりだものね。

 

 

この地に住み始めて初めてのお正月

博士とイワンと。 きみとぼくと。 

4人で静かに過ごすはずだったんだけど。

大晦日も昼過ぎに訪ねてきたコズミ博士が

にこにこ顔できみを<拉致>して行った。

「 夕方には送ってくるでの。 二人で二年参りにでも行くといい。 」

「 はあ・・? 」

 

それで。 

そわそわ 残りの大掃除も上の空でさ。 僕はいらいらと時計とにらめっこ。

 − まだ 4時だ・・・。 でも、もう<夕方>だよ!

 

「 ・・・ただいま・・・ 」

「 おかえり! ・・・・・わあ・・・!」

待ちわびていた声に 玄関に飛んでいった僕の目の前には。

 

「 ・・・おかしくない?・・・」

 

やさしい鴇色( ときいろ )を基調にした振袖をまとったきみがいた。

 

 

今日ばかりは二年参りの人々で賑わう近所の神社で

亜麻色の髪を紅色の手絡できっちり結い上げたきみは

注目のマトだってわかってる?

 − わかってない、よね。

見るもの・聞くもの みんな目新しくて。

きみ自身の方がいつもと違う回りの情景に夢中だもの。

 

ねえねえ、ジョ−。 あれは なあに?

 

そんなきみと 並んで歩くのって。

なんだか 背中がむずむずして でも とってもうれしくて

参道がもっと長ければいいのになってちょっと残念だったよ。

 

二人とも 僕も、回りの人の見よう見真似で とにかくお参りをすませて、さ。

「 あ、ちょっと待って? マスコットを買ってくるから・・ 」

 −マスコット・・?

裾捌きに苦心するきみを ちょっと心配して待ってたんだ。

 

「 おまたせ・・・。 ほら、見て? オフダ と ハマヤ と オミクジ。 

素敵でしょう? コズミ博士にも頼まれたのよ。 」

「 へえ・・・。 あ、御神籤はなんだった? 読めた? 」

「 ? 読むってなにを? 御守りのマスコットじゃないの? 」

 

怪訝な面持ちのきみの手から 御神籤を受け取って。 そっと 開いて。

 − ああ、よかった・・・!

 

「 コレは一種のFortune Telling さ。 ほら・・・。 きみの今年の運勢はね・・・ 」

 

「 ・・・・ !  大吉、でした♪  ありがとう、ジョ−。 」

 

 −大吉は。

  僕の運勢なのかもしれない・・・・

 

抱きついてきたきみに 新年一番初めのキスをもらった僕は ひそかに そう、思った。

 

***** おしまい *****

 Last updated: 01,04,2004.       index

 

*****  後書き by ばちるど *****

 

わ〜い♪ Troikaさんの フランソワ−ズだあ〜♪♪ 欣喜雀躍〜(^^)v

お年賀状のお返しに素敵なイラストを頂きました!

うふふふ・・・ かわい〜な〜 お着物のフランちゃん♪

Trokiaさん、ありがとうございま〜す \(^o^)

 

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