『　　海の詩　（　うた　）　―　（７）　―　　』

　　　・・・・　　・・・・・

人々は　皆　なぜだか身体を固くし、じっと見つめている。

　　―　　そう　・・・　真ん中で踊るカップルを。

優雅な音楽が流れ　王宮の広間はたくさんの輝くシャンデリアに照らされて華麗な雰囲気だ。

着飾った王族　貴族たちが集い、特に今夜は若い姫君たちが多いので

最初から華やいだ舞踏会だった。

クリスタルのグラスには　ワインやらシャンパンが溢れ　人々は笑いさざめき陽気に

おしゃべりをし　・・・　その集いを楽しんでいた。

　　　ねえ　本当にどの姫君かしら。

　　　ジョー様のお好みは　いかがかな。

　　　・・・ほら　あの金髪の姫君、カワイイわね

　　　お。　赤毛の美姫だなあ〜〜

ついさっきまでのジョー王子と花嫁候補の姫たちとの踊りを　客人たちも温かい眼差しで

―　まあ　多分に好奇心満々で　眺めていたのだ　　が。

　今　　広間の雰囲気はガラリ、と変わってしまった。

微笑やら楽し気な囁き、好奇心の楽しい眼差しは　消え去った。

空気がぴん・・・っと張りつめ　自然に身震いしてしまうほど冷えていた。

先ほどと変わらないのは　　音楽と広間の真ん中で踊る姿　だけだ。

当の二人、いや　特にジョー王子は踊りの相手しか見えていない・・・らしい。

「　王子さま　　本日は遅参いたしまして申し訳ございません　」

アメジストの瞳が　じ〜〜〜っと王子の顔をみつめる。

「　あ　・・・　い　いや　・・・　　きっときてくださる、と信じて居ました。

　あの　　海の姫君　ですよね　・・？　」

「　さあ　どうかしら　・・・　 」

魅惑の眼差しがふわ〜〜ん・・・とジョーを包みこむ。

　　　〜〜〜〜！！　　あの姫君だ　うん　マチガイないよ〜〜

　　　フランソワーズ姫　だあ〜〜〜

「　姫君　・・・　ダンスが終わったらお願いしたいことがあります。　 」

「　まあ〜〜　なんでしょう〜〜　 」

「　お約束したことです、ぼくは貴女を父に紹介します　」

「　うふふ・・・　 なんておっしゃって？　」

「　もちろん！　ぼくの　」

「　ああらあ〜〜　その先は国王陛下の前でおっしゃってぇ〜〜〜　 」

「　はい！　」

ジョーはもうこの紫姫の顔しか目に入らない。

確かに美しい姫君なのだが　ジョーの愛しい　＜　海の姫君　＞　とは似ても似つかないはず・・　

しかし　彼は目くらましの術に罹っているのだ。

　　　なんてキレイなんだああ〜〜〜　・・・　ふうう・・・

そんなカップルを周囲の人々は　妙にしーーーん　・・・として眺めている。

「　ぐふふふ　ぐふふふ〜〜〜　　さあ〜〜〜王子よ〜〜〜

　その姫の手を取って　永遠の愛を誓うがいい〜〜　国王と貴族たちに紹介するのだ〜　」

黒公爵は　客用の豪華な椅子に収まり不敵な笑みを浮かべている。

　―　その時　大広間の窓辺には　・・・

「　！　　ジョーさま〜〜〜　そのヒトはわたしではありません〜〜〜　」

　どん　どん　どん・・・！

「　〜〜〜　もう〜〜〜　！　　あれは　魔法で作られた人形　（　ひとがた　）　よ！　

　ジョーさま〜〜　目を覚ませて！　」

白いドレス姿が必死でしがみついている。しかしどんなに叩いても窓はビクともしないのだ。

「　〜〜〜　どうして開かないの？？　　どうして気が付いてくれないの？？　」

実は　黒公爵の巻いた魔法の粉で広間全体が封印されているのだが・・・

「　お願い〜〜〜　　ジョーさま〜〜　気がついて〜〜　

　そうだわ！　この窓のガラスを破れば　・・・　誰かが気がつくはず　 」

よ〜〜し　・・・　彼女は手をドレスで包むと降り上げ　―　

その時　黒公爵が顔を窓へ向けた。

「　む？　　邪魔するなあ〜〜〜　　散ってしまえぇ〜〜〜　」

　　　ビ。　　―　黒公爵の指先から禍々しい光が飛んだ！

不思議なことにジョーは勿論、広間に集う人々は一人としてその光に気がつかない。

一条の光線は　真っ直ぐに窓の外の姿めがけ　・・

　　　　「　！　　姫さまっ　　あぶないよ〜〜う　！！　」

「　え？？　　」

　どんっ　！　　突如　小さな亀がフランソワーズの前に飛んできた。

　

　　ビッ　・・・！　　ぱし〜〜〜ん　・・・っ！！

「　う　ぐぅ〜〜〜　・・・　」

小さな亀の身体が　跳ね飛んだ。

「　！？　　きゃあ〜〜　か　カメキチ〜〜〜〜　」

フランソワーズは慌てて　自分の前にごとん、と飛ばされてきたカメキチを抱き上げた。

「　カメキチ！！　　し　しっかりして〜〜　　 」

「　ひ　・・・　姫さま　・・・　ごぶじ　です　か　・・　」

「　ええ　ええ　カメキチが来てくれたから〜〜　　」

「　よ　　よかっ　　た　・・・　僕　やっと　・・・　姫様の役のたて　ました　・・　

　姫様の一大事だ　・・って思った　ら　　僕　・・・　ここまで　飛んで　きまし　た　 」

「　ああ　しゃべらないで！　　これからすぐに海の宮に戻って手当てしなくちゃ！　」

「　だ　だめ　だよぉ〜〜　姫さま　は　　ぶ　　ぶとうかい　に・・・　 」

「　？　・・・　カメキチ？　　カメキチ　・・・　返事して　？　」

彼女の手の中で　チビの亀はくったりと動かなくなってしまった。

「　う　…そ　・・・？　カメキチ　　カメキチ〜〜〜〜　」

「　・・・・　」

わあ〜〜〜〜〜　・・・・　小さな亀を抱えて彼女は声を上げて泣いた。

「　ご　ごめんなさい　・・・　カメキチ〜〜　 わたしのワガママから …

わたし は生きている資格なんかないわね。　ええ　カメキチの敵討ちだわ！

　え〜〜〜〜い　っ　・・・！！！　」

涙にぬれた顔で　姫君は宮殿の窓に蹴りをいれた。　しっかりとカメキチを抱いたまま・・・

　―　　すると　　さっきまでビクともしなかった窓が　・・・

　　キ　キキキ　キキィ　〜〜〜〜　　軋みつつ開いた。

「　開いたわ！！　　きっとカメキチのお蔭ね！　」

するり、と彼女は宮殿の中に入った。

「　ふう　・・・　あ　舞踏会　・・・　え？？　」

大広間の中心では　国王はもとより臣下やら客人たちを前に　紫姫の手をとり

ジョー王子が誓いをたてようとしていた。

　　　　　え！？！　　　ジョー〜〜〜　しっかりしてよっ　！

　　　　　その女は　―　黒い魔女の造った女　よ〜〜

「　ジョーさま　〜〜〜〜〜　」

不思議なことに彼女がどなろうが、　窓をけ破ろうが誰も気いていない。

「　ん〜〜〜　もう〜〜〜　　あ！　アレを使えば！　 」

彼女は天井から下がるクリスタルのシャンデリアを見つめた。

「　ここから　そうだわ！　ドレスの裾を裂いて　・・・　 」

ビリ　ビリビリビリ　〜〜〜　　すでに短くなっていたドレスの裾はますます・・・・

姫君の魅惑の白い脚の膝上を辛うじて隠す程度になったが　彼女は気にかけていない。

「　・・・っと。　よ〜し・・・　これを結びつけて　・・・っと　」

　　え〜〜い　っ　！　　　カシャ　〜〜〜　ン　・・・ッ　！

姫君はシャンデリアに結び付けた布につかまって見事に広間中央にダイビングした！

　　　？！　わっ　なんだ　なんだ〜〜〜

　　　　きゃあ　〜〜〜　　上から　誰か降ってきたわぁ〜〜

広間は騒然となった。

「　！？　な　なんだ　何事だあ〜〜　近衛兵、陛下と王子殿下をお護りせよ〜〜　」

うろたえる客人たちの中で　老練な侍従長はさすがに的確な指示をくだす。

「　ジョー王子さま！　こちらへ　っ　」

「　うわ？？　　　・・・・　あ　？　」

「　きゃあ〜〜〜　ジョーさまあ〜〜　こわいぃ〜〜〜　 」

紫姫は　派手〜〜に悲鳴をあげて、これまた派手〜〜〜にジョーにしがみついた。

　　　　すたっ　！　　ジョーの前に　白い短いドレスの人物が降りたった。

　ぱあ　〜〜〜〜　・・・　突然　広間全体が明るくなった。

しれに気づいた人は　ほとんどいなかったけれど　・・・

「　！！　」

ジョーは　しっかりと目を見開くと白いドレスの女性　（　ひと　）　を凝視する。

「　きゃあ　きゃあ〜〜〜　きゃあ〜〜　」

紫姫は　大騒ぎをしてみせている。

「　あ　・・・　すいません、　ちょっと　・・・　」

ジョーは彼女を　ちょいと横に押しのけると、　上から降りてきた人の前に歩みよる。

　　 「　・・・　海の　姫君　・・・！　ですね　」

　　 「　　はい！　　ジョーさま　」

セピアの瞳と碧い瞳がしっかりと見つめ合う。

「　ジョー様　・・・　大変失礼な来場をしまして失礼いたしました。　 」

「　あ　　いいえ。　　姫君のお蔭で　ほら　・・・　霧が晴れました。　」

「　よかった・・・！　」

　　　うぬぅ〜〜〜〜〜　なにをイチャイチャしておる〜〜〜〜

　　　よくもこの黒魔法使いの術を破ったなあ〜〜〜

肘掛椅子に泰然としていた・はずの　黒公爵が　突然もわ〜〜〜っと立ち上がった。

「　！　な　なんだって？？　　黒い魔法使い だって？　 」

「　そうです！　今　わたしの友達のカメキチが黒い魔法使いに　・・・　」

「　え？？　カメキチって・・・・　あの小さな亀さんのことですか？　

　ほら　…この前　皆の先頭に立っていた？　」

「　そうです。　わたしの大切な友達なのに〜〜〜　」

彼女は大切に抱いてきた小さい亀をみせた。

「　わたし　いつだってカメキチと一緒ですわ。　たとえ　・・・　し　死んでしまっても・・・　 」

じわ〜〜・・・・　碧い瞳に水晶のなみだが盛り上がってきた。

「　うむ〜〜　　よくもぼくの友人を〜〜　」

ジョーは姫君を後ろに庇うと　魔法使いを正面から見据えた。

「　そうか　わかったぞ！　今宵　お前はぼくらを騙しに来たんだな！　」

　　ズサ・・・っ　　黒公爵は顔に手をもってゆくと、ベリリ・・と剥がした。

「　！？　　」

広間の全員が　思わず息を呑み身体を固くしていると・・

＜　黒公爵　＞　の顔の下からは　黒い髑髏の仮面が現れた。

　　　おお　・・・　　きゃあ　・・・

抑えた悲鳴があちこちから聞こえ　居並ぶ殿方はさっと貴婦人たちを庇った。

「　ぐふふふふ〜〜〜　お前の剣などに負ける吾輩ではないわ〜〜〜　 」

ざざざ〜〜〜〜　　髑髏男は　さっと黒いマントを翻した。

「　ジョー王子！　お前は　この紫姫に永遠の愛を誓った！

　ぐふふふふ〜〜〜〜〜　これはわが黒い魔法で作り上げた人形　（　ひとがた　）！

　お前とお前の継ぐ王国は　我らが黒い悪魔の国に飲みこまれるのだあ〜〜　」

「　く　・・・・　！　」

「　そんなこと　許さないわっ　！　 」

　　　すた。　　王子と悪魔の間に白いドレス姿が　立ちふさがった。

裂けた裾からは　たおやかな美しい脚がしっかりと地を踏みしめる。

「　ぬあんだあ〜〜〜？？？　　お前は　―　海の姫？　」

「　姫君！　 」

「　ジョーさま。　わたしの配慮のなさのために大切な友人を失ってしまいました。

　その上　ジョーさまにもご迷惑をおかけしては　申し訳もたちませんわ。　」

「　そんなこと　ないよ！　」

「　いいえ。　もとはといえばわたしのワガママから発したこと・・・

　わたしはこの命を武器に闘います！　　さあ　黒い悪魔　覚悟しなさいっ　！　 」

失礼・・・と　姫君はジョーの下げている剣をさっと抜き取った。

「　あ　？　だ　ダメだよっ　 」

「　大丈夫。　　この剣とわたしの命で　悪魔を破滅させるわっ　

　どうぞ邪魔しないでください。　」

「　―　ダメだ。　」

飛び出そうとする姫君の手を　ジョーはしっかりと抑えている。

「　ジョーさま！　　手を　・・・　離して〜〜　 」

「　 はなさない。 ぼくは。 きみに生きていてほしいんだ。

ぼくは どんなにぼろぼろになろうとも きみ と この王国を護るために 生き抜いて闘うよ！」

「　え　・・？　　」

「　だから　命を掛ける　なんてダメだ！　」

「　・・・　ジョーさま　・・・　 」

「　ぐう〜〜〜〜　二人してぬあ〜〜にをいちゃいちゃしておるのだあ〜〜〜

　覚悟せよ〜〜〜　この世は黒い悪魔が支配するのだあ〜〜　」

「　む。　お前こそ　覚悟しろ　ぶらっくご〜すと・・・いや　黒い悪魔め！　」

ジョーは　姫君から剣を受け取ると　黒い悪魔を真正面から睨んだ。

「　さあ　しっかりぼくの後ろに隠れているんだ！　」

「　ジョーさま　・・・　ステキ・・・！　　わたしも闘いますっ　」

「　ぐぅ〜〜〜〜〜〜　　気にくわん　許せん　ケッタクソわる〜〜　！！！

　望み通り　二人一緒に片づけてやるぅ〜〜〜　」

黒い悪魔は　ぽっぽと怒り心頭・・・のようだ。

「　許さないのはわたしのほうよ！　　わ　わたしの大切なトモダチの命を奪って！　 」　

　　　ぽと　　ぽと　　　ぽとん。　　ころ　ころん　・・・

姫君の涙が　ほとほととこぼれ落ち、やがて白やピンクの真珠となって小さな亀の

亡きがらに注がれ始めた　―　　その時。　

　　　　　　　　　どんどんどろろ〜 どん どろろ〜 〜〜〜

城の大広間は　白い煙がしゅるしゅる〜〜〜と湧き上がってきた。

煙の中から　いろいろな声が聞こえる。

「　！　な　なんだ？？　」

「　陛下〜〜　ご無事ですか！　」

「　大事ないぞ、侍従長。　この煙は　・・・　ふむ、なぜか潮の香りがするなあ　」

「　はあ　・・・　そういえば　・・・　」

「　姫君〜〜〜　？　」

「　はい　ジョーさあ　わたしはここに　　」

白い手が　きゅっとジョーの大きな手を握った。

「　ああ　よかった　・・・　なんだろう、イヤな雰囲気ではないんだけど　」

　　　　もわ〜〜〜〜〜　・・・・　　白い煙はどんどん濃厚になり　やがてその中から

　　「　 目覚めよ カメキチ　〜〜〜　 いや 　イワン 　」

厳かな声が響いてきた。

　　　　　ぴく　　ぴくぴく　・・・　　

姫君の腕の中で　子亀が動き出した。

「　か　カメキチ　・・・？　 」

　　　　　―　　・・・　海の大王陛下。　　目覚めました。

子亀は　むっくり起き上がると白い雲に向かって頭をさげた。

「　か　カメキチ〜〜〜　」

「　いや。　そのものの本当の名は　イワンじゃ。　」

「　あ！　お父様！！　　」

「　え　？　　お父様・・・って　姫君の父上ですか？　」

「　そうです。　お父様あ〜〜　」

「　・・・　姫、無事でなにより　」

白い煙は雲となりぷかり、と広間に浮かんだ。　その上には　白髭を蓄え大きな鼻の老人が

座っていた。

「　お父様　・・・　 」

「　そのカメキチは 特別な能力を持って生まれたのじゃ。

心配した母は その力をイワンの名で封じ 一大事の時に覚醒するよう 魔法をかけてくれ、

とワシに懇願したのじゃ。 　」

「　ええ？？？　そうだったの？？　　」

「　姫さま〜〜　ご無事でよかったです〜〜　」

小さな亀は　大喜びでひらひら姫君にまとわりついている。

「　カメキチ〜〜〜♪　　生き返ったのね〜〜〜　ねえ　ジョーさま　カメキチが　 」

「　うん　よかったなあ〜　　君、お母さんにヨロシクね　」

「　ありがとう、ジョー王子さま。　　」

　　　どけどけ〜〜〜　！　　黒い悪魔がずかずか中央に出てきた。

「　え〜〜〜〜い　もう〜〜こうなったら皆　まとめて〜〜　始末してくれるわあ〜〜　」

先ほどから出番のなかった黒い悪魔はもうカリカリ〜〜〜　黒い煙を吐いている。　

「　ふうん？　ああ　忘れてたなあ〜　」

カメキチ、いや　イワン　はチラリと黒い悪魔を見た。

「　ぬ　ぬ　ぬあんだとぉ〜〜〜　」

「　これ以上　コトを起こすと。　海の王国は完全にお前の息の根を止める。

　姫君の兄上たちが海から攻めてくる。　 」

「　な　　なに　・・？　」

「　ハッタリなんかじゃないからね。　さあ　失せろ！　

　お前に相応しのは海の底の底　・・・　光も届かず、水も動かない暗闇だ！　 」

「　うぬぅ〜〜〜〜〜〜　クソぉ〜〜〜〜　おぼえてろよぉ〜〜〜〜　」

　　―　ザ　・・・　！　黒い悪魔は捨て台詞を吐くとマントを翻し宙に浮いた。

そして　破れた窓から逃げようとその間際　・・・

「　〜〜〜クソ〜〜〜　くれでも喰らうのだぁ　〜〜〜〜　 」

　　　ビッ　・・・・！　　　指先から光線を発した。

「　あ　あぶない〜〜〜　！　 」

「　？！　　ジョーさま〜〜　　　きゃあ〜〜　」

恋人たち　を　黒い髑髏オトコの雷が貫いた時　―　　光が辺りに満ちた。

　　　　　　　　ボクが　　皆を護るよ　　〜〜〜　！！　　

「　カメキチ、　いや　イワン！　」

「　さあ傷ついた人はこの光の中に入るんだ　 」

「　おお　イワン。　頼むぞ。　」

「　はい　海の大王陛下。　お任せください。　」

「　うむ　・・・　地上の王国のみなさん。　あの姫は　幼いころ難破した船から

　我らが海の王国に落ちてきた娘・・・　　」

白い雲の上から　海の国王がゆっくりと話しだした。

「　おお　・・・　なんと　・・・！　」

「　わが王国には姫がおらず 亡妃に似た金の髪の女の子を 養女にし大切に育てたのじゃ。」

　おお　〜〜〜〜　　それは　・・・

広間の人々はどよめいた。

「　そ　それは　ほ　本当ですか　！？　 」

人々の中から　背の高い金髪の青年が飛び出してきた。

「　あ　ジャンさん　！　」

「　ジョー王子、　たった今　こちらに着いたのだが　・・・　今の話は本当か？　」

「　本当じゃ。　そなたは　・・・　姫の縁者かな　」

「　そうです、ただ一人の兄です。　・・・・　」

「　う〜〜んと　・・・　あ　もう大丈夫だよ〜〜　ほら　姫さまも王子さんも

　元気になったよ〜〜　」

カメキチ、いや　イワンの声に導かれ光の中から二人がゆっくり現れた。

「　・・・　お前は　・・・　フランソワーズ！　　い　生きていたんだな　・・・！　」

ジャンは　震える手を姫君に差し延べた。

　　―　　そして？　　ええ　そうして　これはおとぎ話ですから♪

　ジョー王子とフランソワーズ姫はめでたく華燭の典を上げ　

　　　　　　　　　　　そうして 二人は 末長く幸せにくらしました …

海の姫君は地上の王国に住まうことになりました。　 でも 満月の夜は 海の都に里帰り。

彼女が戻ってきたのはすぐにわかります、なぜって 潮騒の間に間に 金の歌声が流れてくるのですから。　

え？　紫姫ですか？　・・・　あっと言う間に崩れさり塵となって飛び散ったのでした。

******************************　　　　Fin. ****************************

Last updated : 12,01,2015. back / index

**********　　ひと言　　***********

やっと終わりました　・・・　はあ　・・・

ま　めるへんってことで〜〜　<m(__)m>