『 ああ 五月 ― (2) ― 』
どった どった どった ・・・
少年はひどく無表情に、両手に袋いっぱいな荷物をぶら下げて歩いている。
履き古したスニーカー、 カカトをつぶしているのでますます履きづらい。
「 ふん ・・・ 」
ふう〜〜〜 大きくため息を吐き 彼は両手の荷物をどさり、と道端に置いた。
いや 放り投げた に近い。
「 おっもて〜〜〜〜〜 なんだって今日はこんなに重いんだあ?? 」
彼は ちらっと袋の中身を覗いた。
「 ・・・ いつもと同じ買い物だったはずだぜ ・・・
あ。 おたんじょうびかい ・・・ けっ ! 」
あからさまに表情を歪め 道端にわざわざツバを吐く。
「 オレには関係ね〜や ふん さっさともって帰らないと
台所のババアがウルサイからな ふん 」
悪態を吐いたのも束の間、 全くの無表情になり彼は再び歩き始めた。
ふん。 いいつけられた用事を済ますだけ さ。
怒るでもなく 悔しさをにじませるでもなく。 もちろん 嬉しいはずもなく
彼は淡々と歩いていった。
お誕生会 ― 彼が暮らす施設で その月に < 生まれた > 子たちを
まとめて お祝いするオヤツ会だ。
ただ ただ特別なオヤツ食べたさに コドモたちはだまって席に座る。
「 さあ〜 皆さん? ○月生まれのお友達におめでとう をいいましょう。 」
神父さまはにこにこ・・・ コドモたちに語りかける。
長いテ―ブルの上座にあたる場所に 神妙な顔が数個、並ぶ。
< 今月生まれ > の コドモたちだ。
「 おたんじょ〜び おめでとう 」
ちっともめでたくもうれしくもなんともない声が響く。
上座の子たちも 硬い表情を崩さない。
「 はい よく言えました。 じゃあ お祝いに皆でケーキを頂きましょう 」
ざわ・・・っ! 不意に部屋に生気がみなぎった。
全員が欲望でぎらつく視線を ドアの向けた。
ケーキだっ !!!!
「 それでは 神さまに感謝して。 当番さん 食前の祈りをお願いします 」
「 はいっ ! 」
さっと立ち上がった少年は 超〜〜〜〜〜〜 超早口で でもちゃんと! 祈りを唱え
いっただっきます〜〜〜〜〜〜〜
即行全員が声を合わせ ― あとは フォークが皿に当たる音と咀嚼の音だけ となった。
「 おやおや ・・・ 皆さん ゆっくり味わって。 ま オイシイならいいでしょう 」
神父様は苦笑いしつつ 温くなった紅茶のカップを傾けていたが ・・・
「 ? おや ジョー。 君はケーキはキライでしたか? 」
所謂 < お誕生日席 > に座っていた少年は 皿の上のケーキに手をつけていない。
「 え ・・・ まあ ね
」
「 そうだったんですか。 でも今月は君の誕生日の月ですからね
一口くらいは食べてみたらどうかな。 あとは希望者に 」
「 そりゃ揉め事のモトでしょ。 」
やっちゃらんね〜〜 な顔で 茶髪の少年はほんの二口三口でケーキを呑みこんでしまった。
「 ・・・ ジョー。 五月は君の誕生月 」
「 わかってる って。 ゴチソウサマでした。」
一応姿勢を正し ちょいと手を合わせると 彼はすっと席を離れていった。
「 ジョー、 みんなまだ食べているのよ。 」
「 仕方ありません ま 今日、彼は <主役> ですから 」
寮母さんが彼を咎めたが 神父様は諦め顔でとりなしてくれた。
そんな雰囲気を背中で十分に感じつつ ― 茶髪に少年は食堂から飛び出した。
ふん。 五月生まれ・・・って ホントかどうかわからね〜し・・・
「 ジョー。 君は五月の十六日に生まれたのですよ。
この日を大切にしなければいけません。 おめでとう。 」
神父さまは毎年優しく説いてくれたけど ― 彼はおめでたくもなんともなかった。
おかあさん ・・・ ! いつ おむかえにきてくれるの ・・・
気がつけば 彼はいつでも < 待って > いた。
― なにを? 誰を?
幼児の間は 確実に < おかあさん > を待っていた。
そして 歳を重ねるに従って次第にその対象はボヤけてきて ―
いつしか彼は知ることになる。
オレは 捨てられた。 オレの母親は もうこの世にはいない。
現実を認識してからも 彼はいつでも待っていた。
なにを? 誰 ・・・ を ?
オレは なにを待っているのか?
わからない ― けど。 なにかを 待っているんだ
オレ自身にもわからない ・・・
オレは 一度も誰からも必要とされたことが ない・・・
なんのために オレは 生まれてきたんだ !!
過ぎてゆく < 同じ日々 > をやり過ごし 醒めた目で人生をながめ
彼、 島村ジョー は ただ淡々と日々を送った。
物ごころついた時からずっと施設で養育されてきた。
最低限の 衣食住 は保証されていた ― 十分すぎることはなかったが
餓えに苦しみ 寝床を探し彷徨うことはなかった。
でも ― 彼はなんの目標も 希望すら 持てず、彼はただ生きていた。
愛され 必要とされている、という自覚は 全くなかった。
そんな中で 誕生日 が、なんの意味ももっていなかったのは当然かもしれない。
― そんな日々の果てに 彼の人生は 突然 終わった。
再び 目覚めた時 ― シマムラ ジョー は 別の存在、009 になっていた。
「 ・・・ すげ〜〜〜 ・・・ 」
何が何だか混乱の極みの中で 彼はず〜〜っと心の中で そして 口の中で
叫んでいた。
そう 彼は 009 の自分自身の能力に驚嘆し それを駆使することに
夢中になっていた。
次は ? アレだな ようし・・!
ふん 今のオレは百発百中なんだ みてろっ
おっとぉ〜〜 そんなへろへろ弾は当たらねぇよ〜
こっちから お見舞いするぜっ
バイクすら乗ったことのない自分が なんと戦闘機まで乗りこなせるのだ。
ひえ〜〜〜 すげ〜〜〜〜
オレのアタマの中 ・・・ どうなってるんだあ〜〜
お〜〜し ゆくぜっ!
「 ・・・ え ・・・ ? 」
飛行艇の隅っこで 009 は耳を疑った。
激しい、文字通り必死の攻防の後 ― ゼロゼロ・ナンバー・サイボーグ達は辛うじて
当面の追手を降り切った。
「 追ってこないわ。 」
ずっとレーダー役をやっていた女性がほっと声を落とした。
「 油断させているのじゃないか 」
「 へっ 騙し討ちはヤツらのテだからな〜〜〜 」
「 ちゃんと確認しているわ。 最後の機を撃墜してか20分、敵影50キロ四方に
ナシ。 」
「 うん ・・・ この機のレーダーにも反応はないな。 003よりは
性能が劣るけど 」
コクピットでレーダーに張り付いていた黒人の青年もほっとした様子だ。
「 ・・・ どうやら 振り切ったか 」
「 へっ ・・・ 」
「 むう ・・・ 」
仲間たちは それぞれ一様に放心した様子だ。
「 ほな ・・・ ちょいとお腹に入れるもの、作りまっさ〜〜 」
「 お〜〜 いいな。 吾輩はお茶を淹れるか 」
短躯のドジョウ髭と スキンヘッドが ふらり、と席をたつ。
「 ・・・ あ 手伝いましょうか 」
ジョーは 隅っこから声を上げたちあがろうとした。
「 あ? ああ ええよ ええよ〜〜 あんさん、疲れとるやろ 」
「 左様 左様 初陣の若武者だからなあ まあ ここは休んでおけ 」
年配者にみえる二人が ねぎらってくれる。
「 そ そんなことは ・・・ 」
「 へ・・・。 やっと やっと! 檻から逃げ出せたんだ!
オレはちょいと休むぜ! 」
操縦席いいた赤毛ののっぽは安全ベルトをぽい、と外し立ち上がった。
「 ・・・ ふん ・・・ 軛から逃れた な。 当面は。
俺も休む 」
コンソール盤の前に立ち指令を飛ばしていた銀髪のオトコも 後ろ席にどさり、と身を投げた。
「 003 君も休めよ。 しばらくは僕が索敵レーダーを睨んでいるから さ 」
「 あら 平気よ 」
「 いいってば。 休めよ。 ― しばし自由の時間を味わって さ 」
「 ・・・ メルシ ・・・ 008 」
金髪の女性は投げキスをすると コクピットを出ていった。
「 ・・・ あ あの・・・ 長年のって? 」
ジョーは レーダー席までにじり寄り黒人の青年にそっと尋ねた。
「 ん? ああ ・・・ 彼らはかれこれ40年以上 捕らわれていたのさ 」
「 よ 四十年 ??? 」
「 ま〜 僕らだって数年はあの島に捕まっていたけど。 」
「 ・・・ え ・・・ ? 」
ジョーは耳を疑った。
オレは ・・・ つい昨日まで あの施設で暮らしていた はず・・・
海の側で気を失って ・・・・ まだそんなに時間は経っていないはずだぞ
「 009。 きみの改造には一週間 かかっている。 」
後ろにいた老人が声を掛けてきた。
「 一週間だって??? 」
「 そうじゃ。 しかし 諸君らは今 ― 解放された 」
「 ふん。 だといいがな 」
リクライニングシートにしていた銀髪が横を向いたまま呟く。
「 ・・・ むう ・・・ 今は希望をもとう 」
寡黙な巨人が ぼそり、と言った。
その一言で コクピットの空気が ふ・・・っと和らいだ。
「 そういうこと さ。 なあ 君 009。
君が僕達の方に参加してくれて助かったよ〜〜〜 ホントにさ 」
「 え ・・・ そ そう ですか 」
「 ああ。 僕ら 君の改造を待って行動を起こしたんだけど。
やっぱ君の参加が 僕らの生死を分けたな。 」
「 せ 生死 ?? 」
「 負け じゃんすまないんだ。 負けは すなわち 死 」
「 ・・・ もう やめろ。 しばし静かに過ごそう 」
「 ウン・・・ 」
勿論 彼らはずっと普通の声音で話していたのだが ― コクピットの中はしん・・・
と静まりかえった。
ゴ −−−−− 自動操縦のエンジン音だけが低く聞こえている。
その中で 隅の壁際で ジョーはますます身体を固くしていた。
・・・ 皆は 生きるか 死ぬか の闘いだったのか
オレ いや ぼく は。
闘いを ― 楽しんで いた ・・・!
なにもわかならい状態で ともかく目の前のモノを排除すべく闘ってきた。
彼だって必死だった。 しかし。
ぼく だけ・・・が 戦うことを、
― この身体を 楽しんでいた ・・・ !
< 仲間 > 達がどんな経緯でここにいるのか、 サイボーグ という
境遇に落ちたのか 今のジョーにわかるわけはない。
しかし ともかく彼らは文字通り必死で、生き抜くために闘っていたのだ。
・・・ ぼく は ・・・
ジョーは唇を噛み コクピットの隅に蹲っていた。
カチャ カチャ カチャ ・・
「 ほいほい〜〜 用意 でけたで〜〜 」
陽気な声とともになにか温かい空気が コクピットに入ってきた。
「 うお? うまそ〜〜〜 」
「 やあ いいなあ 温かい飲み物なんて久しぶりだね 」
「 ・・・ いい香りだ 」
し・・・んとしていたコクピット内は 俄に活気づいてきた。
ジョーは ずっと壁際に身を押し付け身をかたくしていた。
とん。 ジョーの肩に誰かの手が置かれた。
「 ? 」
「 大丈夫? 疲れているの? 」
「 え ・・・ 」
「 初めてですものね ・・ ショックだった? 」
「 ・・・ い いや ・・・ 」
「 ねえ 006が温かいお茶を用意してくれたの。 飲みましょうよ 」
「 ・・・ オレ・・・あ いや ぼくももらっていいのですか 」
「 あら 当たり前よ。 009 あなたもわたし達の仲間なんですもの 」
「 なかま ・・・ 」
「 そうよ。 あなたが来るのを皆待っていたの。
009の改造が終わって 仲間になってもらって ― 脱出するんだ って。
そのことを それだけを夢見て 生きてきたの。 」
「 ・・・ そ そんな ・・・ 」
「 ねえ お茶よ? わああ〜 カフェ・オ・レ もあるの?
何年ぶりかしら ・・・ ほら 飲みましょ 」
きゅ。 細い腕が彼の腕を引く。
「 あ ・・ ぼく 大丈夫です。 」
ジョーは のっそり立ち上がると彼女の後からゆっくりコクピットの中央に
歩いていった。 きつく唇を噛みつつ。
ぼ ぼく ・・・ は ! なんてヤツなんだ !
― 数か月後 あれこれあったけれど 断崖に建てた洋館に彼らは落ち着いた。
だが < 仲間たち > の多数は 世界各国に散ってゆき
館に残ったのは 老人と赤ん坊、そして行き場のないジョーと あの オンナノコ。
へえ ・・・ カノジョ、自分の国に帰らないのか ・・・
ジョーは少しばかりぎこちない思いで 静かな日々を過ごしていた。
「 ふうん ・・・ すごい眺めだなあ〜〜 」
テラスへの窓を開け放し ジョーは周囲の光景に感歎の声をあげた。
「 なあに なにが見えるの? 」
後ろに軽い足音が聞こえ 彼女が隣に来た。
うわ ・・・ へへへ ・・・ いい匂い〜〜〜
なんか いいなあ〜〜 ふわっと♪
「 なにかステキなものが見えるの? サクラは散ってしまったけど ・・・ 」
「 え あ ・・・ その トクベツなモノはないけど・・・
なんかその〜〜〜 海がば〜〜〜っと広がってて気分いいなあ〜〜って 」
「 ああ そう ・・・ わたしも海の側で暮らすのは初めてだわ。 」
「 ふうん・・・ あ あの島では 」
「 ! あそこでの事は言わないで! 二度とわたしの前で口にしないでっ 」
今の今まで静かに話していた彼女が とつぜん激しい口調で
ジョーのコトバを遮った。
「 ・・・ え あ ご ごめん ・・・ 」
「 あ わたしこそ ごめんなさい。 でもね これだけは! 覚えておいて。
あそこのハナシは わたしの前ではしないで。 お願い。 」
「 ごめん ・・・ 」
「 アナタの責任じゃないのはわかっているわ。 でも ・・・
どうしても どうしても ・・・ これだけは譲れないわ。 」
「 ウン、 気がつかなくてゴメン 」
「 ね 話題かえましょ。 この国に五月も素敵ねえ〜〜〜
温かくて 空気は澄んでて ・・・ いろんなお花が咲いてて ・・・
緑もとっても素敵だわ。 」
「 ああ まあ そうだねえ 」
「 ね 五月っていいわよねえ? わたし、 小さな頃、 五月になると
家族と公園に行ったりしてたわ。 ふふふ ランチをもっていったりしてね 」
「 ふうん ・・・ 」
「 あ それにねえ わたしの育った街では 五月の最初の日に大切なヒトに
ミュゲの花を ― あ すずらん っていうのよね、 日本語では ・・
その花を送りあうの。 二ホンにはそういう習慣 あるの? 」
「 さ あ ・・・ 」
「 オトコノコは興味ないのかしら 」
「 え ・・・ そうでもない けど・・・
ぼく 家族っていないから 」
「 え・・・? 」
「 あの ぼく 孤児で さ。 施設で育ったんだ ずっと・・・ 」
「 ずっと ・・・? 」
「 ああ 母親の顔も覚えてない。 捨てられてたらしいよ 」
「 ・・・ そ そんな ・・・ 」
「 ぼくは ― ずっとどうでもいい存在だったんだ。
なんの希望も目的もなくて ただ日々を送ってた・・・
自分はいらない命なんだ って思ってた。 」
「 いらない命・・・?! 」
「 うん。 望まれて生まれてきたかどうか ・・・ わからないし 」
「 そ そんな ・・・ 」
「 あ は・・・ そんな風に育ったからさ ぼく ・・・ この身体にされて
そりゃ最初はびっくりしたけど ― 嬉しかったんだ。 」
「 ! う 嬉しい ですって??? 」
また 彼女の声のトーンが跳ねあがる。
「 うん。 ぼくは 初めて・・・ 生まれて初めて 必要とされた。
009を待っていた って。 きみたちが言ってくれた
初めて こんなぼくでも いらない命 じゃないんだって思えて 」
「 ・・・ 009 ・・・ 」
「 そして 敵を撃退する、 闘うって ― 初めて目標ができた。 」
「 ・・・・ 」
「 ぼくは ― ごめん、 でも ホント楽しかったんだ 嬉しかったんだ
目の前の目標をクリアすることで 誰かの役にたつ、 誰かに必要とされてるって
ぼくは ・・・ わくわくして闘っていたんだ。 」
「 ・・・ ジョー ・・・ 」
「 ごめん。 きみは ・・・ 皆は命をかけて闘ってたいんだよね。
ずっとずっと待っていたあの島からの脱出のための闘いだったんだよね ・・・ 」
「 ・・・・ 」
「 ごめん。 二度と話すなって言われてたのに ・・・
ホント 気が利かないよね ぼく って ・・・ 最低なヤツだ 」
「 き ・・・ 気にしないで・・・ アナタのせいじゃないわ。
わたしこそ ごめんなさい ・・・ 家族のハナシばかりして・・・ 」
彼女の声が 低くなりほとんど囁き声にちかくなった。
「 気にしてないよ。 それこそ きみのせいじゃないし ・・・ 」
「 あ あのね わたし フランソワーズ っていうの。 そう 呼んで 」
「 ふらんそわ〜ず? ・・・ やさしい音の名前だね 」
「 そ そう ??? 」
「 いいね きみは本当に幸せに育ったんだね 」
「 ・・・ ね ジョー。 いらない命 なんてないの。
この世にある命、すべての命は みんな大切で必要な命よ 」
「 え・・・ 」
「 ジョー あなたが生まれてきてくれて ・・・ わたし とっても嬉しいわ。」
「 え えへ ・・・ そ そう なんだ? 」
「 そう よ! 」
ふぁさ 〜〜〜 ・・・ テラスから一陣の薫風が通りぬけてゆく。
「 ああ 気持ちいい風だなあ 〜〜 」
「 五月ね。 わたしの好きな季節よ。 」
「 うん・・・ あ は ・・・ 実はさ ぼく 五月生まれなんだ 」
「 え〜〜〜 そうなの?? 」
「 ウン。 誕生日 なんてホントかどうかわかならいし
いい思い出なんかないけど 」
「 だ だめよ ジョー。 お誕生日 なのよ?
ね 五月って ― 一年中でいちばん素敵な季節じゃない?
わたし ホントは大好きなの! 」
「 ・・・ イヤな思い出があるって言ってたじゃないか 」
「 ごめんなさい ・・・ 思い出したくなかったの。
だって ・・・ あんまりステキな思い出だから ・・・ 涙が ・・・ 」
「 ・・・ きみは 幸せだったんだね 」
「 ・・・ うん ・・・・ 」
「 すごく すごく 羨ましいよ。 ホントに ・・・ 」
「 ジョー。 あなたは これからシアワセになるの。 」
「 そ ・・・ それは 」
「 幸せになるの! だって 愛されて生まれてきたのよ!
必要な命なの。 だから 幸せになるの! わたしと い 一緒に! 」
「 え
」
「 あの ・・・ いや かしら? 」
「 !!!! 」
ジョーが ぶんぶん首を横に振る。
「 ジョー。 あなたが生まれてきてくれて とってもとっても嬉しいわ 」
「 ほ ほんと ・・・ 」
「 ええ。 お誕生日 おめでとう ジョー。 」
ちゅ。 温かい唇が 彼の頬を掠めていった。
ぅ うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜 !!
「 あ あり が とう 〜〜〜〜〜 !!! 」
ジョーは 生まれて初めて 誕生日を心から嬉しいと思った。
********************************* Fin.
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Last updated : 05,16,2017.
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*********** ひと言 ***********
ジョー君 生まれてきてくれて ありがとう〜〜〜〜 ♪
原作から コゼロまで どのジョー君も大好きです (>_<)
おばあさんになっても ずっとずっとファンでいるよぉ〜〜 (#^^#)