『 リーダーの条件 ― (1) ― 』
ゴ −−−−−− ゴ −−−−−−
軽快なエンジン音が低く聞こえている。
コクピット内は 高揚した雰囲気が満ち溢れている。
「 ― あと5分で 到着 」
メイン・パイロット席から 009が告げた。
「 目的地の経度 緯度 を送るわ。 変化ナシ 」
003の声と共に 全員の脳裏に情報が流れてきた。
博士は手元のタブレットで確認している。
「 ほんじゃ〜 」
がたん。 赤毛がサブ・パイロット席を蹴って立った。
― と 同時に
「 002 先行だ。 」
「 お〜らい 4〜〜〜 」
002はコクピットを大股で横切ると ワン・ツー のタイミングで
ハッチから空に飛び出した。
「 003 追跡を 」
「 軌道 送信。 」
ほぼ同時に 002の軌道が脳裏に入ってくる。
「 ふむ? この数値じゃと地表には広範囲な水面があるな。
― いや 地表自体 アヤシイ ・・・
敵さんのアジトは その中かもしれん。 」
博士がタブレットと地形図をながめつつ発言する。
「 じゃ 行ってくるね。 実地探査さ。 」
008が立ち上がると
「 お〜〜っと。 吾輩が送り届けるぞ 」
「 さんきゅ。 」
大鷲に変じた007は 008を乗せ 軽く飛びたった。
「 ドルフィン 着陸だ 」
「 了解 」
009は 滑らかに操縦し機体は着陸体勢に入る。
「 では 地上戦だ。 」
「 あ。 」
「 うん 008から 」
「 やはりカモフラージュだったか。 」
「 ほっほ〜〜〜 任せてちょ。 あん張りボテ、
ワテの炎で焼き払ってやるワ 」
「 そうね あの地表は ― 完全にフェイクだわ。 見えたわ! 」
「 作りモノなら 遠慮のうやりまっせ〜〜 ほっほっほ〜〜 」
「 上陸部隊 009 頼むぞ 」
「 了解。 行こう 皆 」
「 むう 博士 頼む 」
005は 001を博士に渡した。
「 4 どうする? 」
「 俺は 状況をみる。 なにかあったら 」
「 ふふふ なにもないわ ほら 行くわよ 009! 」
「 あ もう〜〜〜 」
どやどやと しかし素早く彼らは上陸作戦を開始した。
シュ −−−−− ドルフィン号も静かに着陸。
「 ふ ・・・ ん やはりこの地表はフェイクじゃな 」
「 では 水中使用に 」
「 頼む。 イワンは起きないのう 」
博士は側のクーファンを覗きこむ。
「 ふふん 大した敵じゃないってことです。 」
「 そうようだな。 ― 君も参加したいのじゃないか 」
「 いや 俺は 」
「 ドルフィンはバリアを強化してある。 ここはワシとイワンだけで
十分じゃ。 」
「 それならば 」
軽く手を上げると 004は足音もなくコクピットを出ていった。
ザザザ −−−− ゴ〜〜〜〜 ド −−−−− ン !
作りモノの地表は至るところが破壊され ― 本来の姿を
露呈し始めている。
≪ やはり基地か ≫
脳波通信を全開にしてつぶやくと 四方八方からデータだの状況だの
仲間たちの 声 が飛んできた。
皆 奮戦している。
≪ よし。 俺が囮で中央突破する。 そのスキに ≫
004は全員に 作戦を飛ばした。
お〜らい 任せろ 了解。 やったるワ 最善を。
短い返信をうけつつ 004は中央部に向かって駆けだした。
ババババ 〜〜〜 ひゅん ひゅん ひゅん〜〜
すぐに敵弾が降ってきた が
バリバリバリバリ −−−−− ダダダダダダ −−−
彼の防護服スレスレに 後ろから援護射撃が始まった。
「 ふ 003 だな お 008も 」
003は射撃の名手だ。 ヒットの確率は仲間でダントツ。
スレスレに飛ぶ雨のような弾丸は 最高のバリヤーなのだ。
「 こんなこと できるのは彼女だけだな 」
004がどんな動きをしても 援護射撃は的確についてくる。
彼は 悠々と囮として 中央突破していった。
003は彼女自身の身体のクセを熟知していた。
それゆえ レーザー銃であれ自分自身の一部として使える。
008は その冷静で緻密な性格ゆえに 精度が高い。
ただ 速度は 003には敵わない。
003は 一見無造作に、しかし超高速で撃つのだ。 顔色ひとつ 変えず。
彼女の援護射撃はいつでも完璧なのだ。
ゴゴゴ −−−−− ドドド 〜〜〜〜
≪ 全員ドルフィンに引き上げだ ! ≫
004は 敵のアジトの崩壊を見極め 悠々と戦場を後にした。
ただいま〜〜〜 腹へったあ〜〜 到着。 完了。
仲間たちも次々に帰投してゆく。
「 アイヤ〜〜〜 皆はん ようお帰り。
ほんならすぐに ご飯 やでぇ〜〜〜 」
006はすでに料理人にもどり ドルフィン号の簡易厨房に駆けていった。
「 全員 帰還したか 」
最後に004が悠然と戻ってきた。
「 うん。 完了だよ 」
009が 笑みを浮かべつつパイロット席についた。
「 博士 よろしいですか 」
「 ああ 皆 ご苦労さん。 今回のミッションは完了じゃ 」
「 それなら ― 帰ろう! 」
009の声が弾んでいる。
「 ああ。 帰ろう。 」
ドルフィン号は 滑らかに発進するとぐん、とスピード上げ
すぐに 空の青に紛れていった。
― 総力戦は 彼らに迅速な勝利をもたらした。
当然のことだが 全員無傷で帰路についた。
ゴ −−−−−−−−−
004は コンソールを横にドルフィン号の心地よい微動に身を任せ 瞑目している。
ふ ん ・・・
彼は こそっと安堵の吐息をもらす。
誰にも悟られてはいない、と思っていたのだが・・・
「 004。 ますます磨きがかかったのう 」
「 博士 ・・・ 」
「 全員の能力と性格、 よく把握しておるな 」
「 まあ まあ です。 」
「 いやいや・・・ 君の経験とデータはとても貴重じゃ。 」
「 俺は はやく若いヤツらにバトン・タッチしたいですよ 」
「 うむ〜 それはまだ 無理じゃろうなあ 」
「 ちょいと 009辺りを鍛えておきますよ 」
「 う〜〜む 彼は最新型じゃが経験値は まだまだじゃから。」
「 修業してもらいます ・・・ うん? 」
004が ふと・・・ 視線をずらせば
ドルフィンを自動操縦に切り替え、席を離れた009を 003が呼び止めていた。
「 ・・・ ? 」
コクピットの片隅で 一見、気楽な立ち話をしている ― 風なのだが。
「 ちょっと 009。 いいかしら 」
「 ? なんだい 003 」
「 あのね。 あなた ― 射撃 酷すぎるわ 」
「 え・・・ あ そ そう ・・・? 」
「 そうよ。 ただの一回も 一発で命中、破壊してないじゃない 」
「 あ ・・・ そう かな ・・・ でも 次ので破壊したから 」
「 それって。 重大なロスだと思わない? 」
「 ロス? ・・・ あ〜 弾丸 とか もったいないかな
」
「 そうじゃなくて。 時間のロス、そして 命の危機だわ 」
「 え ・・・ なんで 」
「 ! いい? 一発命中で敵を斃していれば 次の一発で別の敵を
狙えるでしょう?? それにまごまごしている間に報復を喰らう
可能性だってアップするのよ 」
「 ・・・ あ う うん ・・・
ぼく ・・・ そのう〜〜〜 銃とか 弄ったこと なくて・・・
そのぉ ・・・ このぎょ〜かいに入るまで ・・・ 」
「 は?? わたしだって同じだわ 皆 同じよ。
そんな甘っちょろいことを言ってられたら 迷惑だわ 」
「 あ ごめんなさい ・・・ 余計な仕事、増やしちゃったね 」
「 も〜〜〜 そうじゃなくて。 一人がもたもたしていたら
全員の破滅にだって繋がりかねないってこと! 」
「 ・・・ あ ・・・ 」
「 あのね! わたし達 命がけ なのよっ
負けたら ― 殺されるの。
このこと よ〜〜〜く覚えておくことね。 」
「 ・・・ はい。 」
二人はごく低い声で淡々と話していたから その内容に
気づいたのは 004 だけだったかもしれない。
ふふん ・・・ 言ったな 003。
ま 009 にもクスリになっただろう
彼は素知らぬ顔をしていた。
さ 帰ろう。 帰って 暮らすんだ
サイボーグ達はドルフィン号で 無事に帰還した。
シュ ・・・ トン バサ・・・ シュ・・・
ゴールを通ったボールはリズミカルに動き 投げ手のもとに戻ってくる。
シュ ・・・ トン バサ。 シュ ・・・
投げ手は いつまでも同じ動作を繰り返している。
動作は正確だが 視線はちょいとあらぬ方向を向いていた。
「 ・・・ あらら なにか悩みでもあるのかしらねぇ
ウチのお嬢さんは ・・・ 」
キッチンで玉ねぎを剥きつつ フランソワーズはつぶやく。
もうかれこれ30分以上 < あの音 > は 続いているのだ。
「 ちょいと聞いてみなくちゃ ね ・・・ 」
包丁を置き 手を洗うと 彼女は裏口を開けた。
西日が ぶわ〜〜〜っと照らしてくる。
「 うわ・・ あつ〜〜い ・・・ 日焼けしちゃうわ・・・
えっと お〜い すぴかさ〜〜〜ん 晩ご飯の準備手伝って 」
「 ・・・ なに〜〜 」
ちょっとばかり機嫌のよくない声だ。
「 あのね〜〜 温室からサラダ菜とプチ・トマト 採ってきて。 」
「 わ〜〜かった〜〜〜 」
ぼん ぼんぼん ・・・・ ドリブルの音が聞こえ やがて消えた。
「 ・・・ これでいい? 」
やがて勝手口から 金色頭が姿を見せた。最近色が濃くなってきた・・・風にみえる。
仏頂面が ずい、とカゴを差し出す。
「 え〜〜と? あら〜〜 ずいぶんいい葉っぱになったわね〜〜
美味しそう〜〜 プチ・トマトもたべごろね ありがとう すぴか。 」
「 ・・・ あ〜〜あ ・・・ 」
「 なに どうしたのよ? 」
「 え べ〜つに〜〜〜 」
「 べつに って顔じゃないけど? 」
「 ・・・ う ん ・・・ 」
「 話したくない? 」
「 ・・・ う ううん ・・・ あの さ。 」
「 はい? 」
「 ど〜やったら新人戦 勝てるかな〜〜〜 って ・・・ 」
「 新人戦? ・・・ ああ 部活ね 」
「 ウン。 アタシ いちお〜〜 二年チームのキャプテンだしさ〜〜 」
「 来年は 部の、でしょ 」
「 ・・・ ん ・・・ あ〜〜〜 でも さ〜〜〜 う〜〜ん
ねえ ねえ おか〜さん 部活 やってた? 」
「 お母さんの学校には 部活はなかったわ。 そのかわり バレエ に
夢中だったもの
」
「 そ だよね〜〜〜 おと〜さん 部活 やってたかなあ・・・ 」
「 すぴか あのね。 明日、アルベルト伯父さん くるの。 」
「 え??? うっわ〜〜〜〜〜〜〜♪♪ さいこ〜〜〜〜 」
「 ふふふ ・・・ ね アルベルトに相談してみたら? 」
「 そ だね〜〜 うわ〜〜〜い わいわい〜〜〜
あ ! そしたら 明日はジャガイモ攻撃 だね 」
「 そうね。 すばるが張り切って皮を剥いてくれるわ きっと 」
「 アタシも手伝うって! 地下に貯蔵してあるリンゴ だそうよ 」
「 そうね じゃ お手伝い お願いします 」
「 うん♪ わ〜〜い〜〜 」
すぴかは 上機嫌で勝手口から戻ってきた。
小学生の頃から 毎年リレーの選手で 抜群の走力を誇っていたすぴか。
( さすが ぼくの娘〜〜 と ジョーは鼻の下をびろ〜〜んと伸ばしていた )
中学では 部活は陸上部にでも入るのかな〜〜 と 両親は思っていたのだが・・・
小六の秋 たまたま遊びに来た ジェットおじさん に
バスケの手ほどきをうけ ― 夢中になった。
中学では まっすぐにバスケ部の一員となり練習にはげみ・・・
アタシ。 四番 めざす !
裏庭に お父さんに頼んでバスケのゴールを設置してもらい
ひたすら < 四番 > ( キャプテン ) を目指した。
そして 二年生の夏 ― 念願かなって 新人チームのキャプテンに選出された。
が。 さ〜〜 そこからすぴかの悩みが始まった。
どうやれば 強いチームに なれるの??
アタシの 役割 って なに
先輩を見、仲間達を見、悶々と悩む日々 ・・・なのである。
日々の練習は欠かさず熱中しているが ― そろそろ新人戦が射程距離に入ってきた。
練習量を増やせばいいってもんじゃない。
すぴかは その事にちゃんと気づいているのだが。
じゃあ どうすれば いいの??
島村さんちのすぴかさん は 悩みの真っ最中なのだ。
その日の夜 ― いつもの事だが ジョーの帰宅は遅い。
遅い晩御飯を美味しく頂き ほっこり・・・ お茶を飲んでいると。
「 ねえ すぴかのお父さん ? 」
「 あは? なんですか すばるのお母さん 」
「 はい。 あのですね すぴかのお父さんは部活、やってた? 」
「 ああ? ・・・まあ ね 中学時代は義務の部活だけ。
高校は < 帰宅部 > でした。 」
「 ?? きたくぶ ?? 」
「 そ。 授業終わったら なにもしないで帰る生徒たちのことさ。 」
「 ふうん ・・・ スポーツ きらい? 」
「 いや キライじゃなかったけど ・・・
バイトしたり 施設の手伝いとかあったから ・・・ 」
「 ・・・ そうだったわね。 ごめんなさい 」
「 なんで謝る? 事実なんだもの、 それだけだよ 」
「 ・・・ うん ・・・ 」
「 それよりも すぴかは ― お悩み中 かい 」
「 え〜〜〜 なんでわかるの?? 」
「 だってアイツ・・・ がんがん練習して念願の 4番 になれて
超〜〜〜〜 はっぴ〜〜 な はずなのに 」
「 なのに? 」
「 なんか仏頂面じゃんか 」
「 そうなのよね〜〜 それでね おと〜さん 部活やってたかなあ〜 って 」
「 残念ながらそのご相談には応じかねます、ご了承ください 」
「 だわねえ ・・・ やっぱりアルベルトに頼むわ 」
「 え?? なんで??? 彼は音楽学校出身だから
部活なんかやってないだろう?? 」
「 ええ でもね。 チームを引っ張ってゆく ってことについては
最高の経験者じゃない? 」
「 ですな。 我らが冷静・沈着な司令塔 」
「 です。 」
「 彼に期待しましょう。 って明日の午後だろ、着くのは
」
「 そのはずよ。 久し振りでピアノ、聞きたいわ 」
「 そうだねえ ・・・ あの頃は 彼がピアニストを目指していた・・
なんて思ってもみなかったけど 」
「 そう? よく ね。 彼、無意識だと思うけどコンソール盤の上で
運指の練習をしていたわ 」
「 へ え・・・・ さすが 003〜〜 よく見てる 」
「 よく 見て うつ。 は 基本中の基本 」
「 あ は そう言われてよ〜〜〜く怒られました 」
「 はい よく怒りました 」
ふ ・・・ は ・・・
二人は少しばかり ほろ苦い笑みを交わす。
「 ― 明日は ジャガイモ祭 だね 」
「 そうよ。 すばるが張り切って皮むきするわ
」
「 だ ね ・・・ 」
翌日の昼過ぎ ― 銀髪のアルベルト伯父さん は 飄々と現れた。
「「 わ〜〜〜 いらっしゃ〜〜〜い 」 」
双子たちの大歓迎を受け 伯父さんは珍しく相好を崩す。
「 おう 二人ともまた背が伸びたな 」
「 うん! アタシ バスケで新人戦のキャプテンになった! 」
「 僕 弓道部なんだ 二年になってやっとホンちゃんの、引いてるよ 」
「 そうか。 課外活動にも頑張っているのか 」
「 かがいかつどう? ・・・・ あ〜〜 部活のことかあ うん!
ね〜〜 すばる? 」
「 うん。 裏庭にね バスケのゴールと 弓の的、作ってもらったんだ 」
「 ほう そりゃよかったなあ ま ここは庭だけは広いからな 」
「 あ 晩御飯ね 僕 メイン料理 作るから!
じゃがいも〜〜〜 ごろごろだよ〜 楽しみにしててね 伯父さん! 」
すばるはもう 大ニコニコだ。
「 ほう? すばるの料理か。 ― 指の先ッちょは食わんぞ 」
「 そ〜〜んなこと、するかっての。 」
「 すばる〜〜〜 じゃがいも! 剥いてる途中でしょっ 」
キッチンからお母さんの声が聞こえる。
「 あ は ・・・ じゃ ちょっとやっつけてくるから ・・・
いま やるってば 〜〜〜 」
すばるは ばたばたキッチンに駆けて行った。
「 ねえ。 アルベルト伯父さん 聞いても いい 」
すぴかはしばらくじ〜〜っと伯父さんを顔を見ていたが おもむろに口を開いた。
「 なんだ。 」
「 あの さ。 チームで、 あ バスケのだけど・・・
チームでさ キャプテンの役目って どうしたら いい? 」
「 ― どうしたら ・・・って 勝つ方法を知りたいのか 」
「 う〜 ん? まあ 結局はそ〜かな〜〜
けど アタシが知りたいのはぁ チームをまとめ方 ってことかな 」
「 チームの? 」
「 そ。 ベンチ入りもいれて ・・・ 」
「 ふん ・・・? 」
アルベルトは この元気な姪っ子の顔を見つめてから
コーヒーを 飲み乾した。
カチャリ。 彼はカップをソーサーに戻す。
「 チームにはいろいろな能力をもった仲間がいるだろ 」
「 能力??? 」
「 そうだ。 足の速いやつ シュート抜群のヤツ ドリブル最高のヤツ
カット・インは任せろ とか いつも冷静周りがみられる とかも 」
「 あ〜〜〜 うん いる! そういうの、みんな いるよ! 」
「 そいつらで 試合を運びいかにして相手に勝つか、 を マネージメントするのが
司令塔、つまり キャプテンであるお前の役割さ 」
「 ・・・・・ 」
「 メンバーの能力をいかにして一番効果的に発揮させるかってことだ。 」
「 アタシは個人としては 何をしたらいいの 」
「 そうさな フリースローを 百発百中にしておけ。
いざって時の最高の武器だろ 」
「 あは そだね〜〜 ふ〜〜ん・・・・
ねえ アルベルトおじさんも バスケやってたの? 」
「 いや 」
「 すっご詳しいだもん 」
「 まあな 似たようなことをしてたから 」
「 ?? 」
「 どんな仕事だってチームでやる時は 同じことさ 」
「 同じ? ・・・ あ〜 さっきのおじさんが言ったこと? 」
「 そうだ。 仲間の能力をいかに効果的に発揮させるか だ。 」
「 う〜〜〜む〜〜 」
すぴかは ものすごく真剣な顔で唸った。
「 今までの試合の記録を見返すのも必要だな。
あと・・・ 今はいろいろな動画があるだろう? 強いチームの試合とか
できるだけ見る。 そして 参考にするんだ 」
「 うん 」
「 真似するんじゃないぞ。 参考に するんだ。
自分たちなら どう戦う・・・ いや ゲームをするか。
それを組み立て指揮するのが キャプテンの、お前の役目だ 」
「 う〜〜〜〜 ・・・ アタシにできる かな ・・・ 」
「 できるさ。 よ〜〜く仲間のチカラを知って 性格を知って 」
「 う〜〜・・・ なんかさ チェスとか将棋みたいだね 」
「 同じだよ。 お前ならできる。 コーチやチーム・メイトも
島村ならできる、と思うから キャプテンに選んだんだろ 」
「 ・・・ そっかな 〜〜 」
「 そうさ。 すぴかはその力がある、と信じてる。 」
「 ・・・ ありがと! アルベルト伯父さん。 」
「 がんばれ。 いい報告を待っているぞ。 」
伯父さんは くしゃり、とすぴかの金髪を撫でてくれた。
「 え へへ ・・・ あは おと〜さんみたい〜〜〜 」
「 ― ありがとう すぴか。 」
「 ??? え なに?? 」
「 いや。 お〜っとそれじゃ ― 夕食まで バスケ するか? 」
伯父さんは くい、と指で裏庭を指した。
「 あ〜〜 やる やる〜〜〜 ふっふっふ〜〜 アタシ 負けないよ? 」
「 お〜っと。 俺も本気でやるぞ 」
「 わあ〜〜〜い あ お父さんのスニーカー 借りればいいよ 」
「 そうさな ・・・ ( 壊さんようにせにゃ ) 」
二人は 嬉々として裏庭に出ていった。
「 ご〜〜は〜〜んよ〜〜〜〜 !!!
もう ・・・ 何回呼ばせるのぉ〜〜〜 」
勝手口から キンキン声が響く。
ボンボン ボン ・・・ ! シュ ・・・ ボン。
裏庭で やっとボールの音が止まった。
「 あ ・・・? おか〜さん 」
「 お ありゃ〜〜 かなりカリカリ来てるな 」
「 あは 戻ろうか アルベルト伯父さん 」
「 その方が賢明だな。 ・・・下手すると晩メシ 抜かれる 」
「 やだ〜〜〜 それだけは やだ 」
「 俺もだ。 さあ 戻ろう 」
「 うん。 ― アルベルト伯父さん すっご〜〜いね〜〜 」
「 は? 俺はバスケは素人さ。 」
「 すぴかっ!!! めしっ!!! 」
ずん ずん ずん。 すばるが怒りに燃えた? 形相でやってきた。
「 あっちゃ〜〜〜 マズいよ〜〜〜
アイツ 本チャンで怒るとさ〜〜 めっちゃムズいんだあ 」
「 なんだ それ? ま 走れ 」
「 うん 」
伯父と姪は 足を速めた。
その夜 ―
ジョーは なんとか晩御飯の時間に < 滑り込み帰宅 >、
博士とアルベルト そして 家族四人で 賑やかに食卓を囲んだ。
そして ・・・・
「 あの さ ・・・ アルベルト伯父さん。 僕 ・・・ 」
アルベルトが ソファでのんびり新聞を広げていると
彼の甥っ子が つんつん・・・とシャツの裾を引っ張った。
おやおや ・・・ また悩み相談 か?
Last updated : 08,07,2018.
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********** 途中ですが
え〜〜 今は違うのかもしれませんが
ワタクシが学生時代、 バスケのキャプテンは
四番 だったのですよ〜〜〜 続きます☆