『 白鳥達の湖 ― (1) ― 』
ぽっちゃん ・・・ 湖の真ん中あたりで 魚が跳ねた。
その姿はすぐに水中に戻ってしまったけれど水しぶきがきらきらと日の光を湖の上に散らばせた。
水面にはいくつもの黄金の輪が連なり ゆらゆらとゆれている。
「 あら ・・・ 綺麗ねえ ・・・ こんなところにこんなに素敵な湖があるなんて
全然しらなかったわ〜〜 」
金よりも輝く髪を豊に束ね、少年の服装をした少女が 馬上からうっとりと眺めている。
ここは国境まで広がる森の中 ・・・ 広いひろいこの森は 黒の森 と呼ばれていた。
普段からじめじめとし、昼なお小暗い場所なので 訪れる人はほとんどいない。
旅人も遠回りとはわかっていても この森を迂回して隣国へ抜けてゆく。
「 小さな頃には 森の奥には魔女がいる とか 悪魔がでてきて食べられちゃう とか
脅かされていたけど ・・・ そんなモノ、な〜んにもいないじゃない? 」
少女はひらり、馬から降りた。
「 ちょっと待ってて? ほら・・・ ここの草はおいしそうよ?
あ そうね、遠乗りに付き合ってくれたお礼に ・・・ ほら どうぞ。 」
彼女は愛馬の鼻先に掌を差し出した。 角砂糖が二つ乗っかっている。
ぶるるる〜〜〜♪ 黒毛の駿馬は鼻づらを押し付け大喜びだ。
「 うふふ ・・・ 美味しい? じゃ ・・ ちょっとここにいてね〜
わたし、湖をもっとよくみたいの。 」
少女はぽんぽん・・と馬の鬣を軽くなでると 汀ちかくまで降りていった。
ここは地域でも天下に勇名をとどろかせた名君・ギルモア王が治める王国 ・・・
豊饒な国土と豊かな自然に恵まれ 人々は平和にそして穏やかに暮らしていた。
中世の習いで 侵略やら戦乱のとばっちりは付き物だったが 怜悧な国王に率いられた
勇猛果敢な騎士たちによって王国の平和はしっかりと守られている。
国王は数年まえに美貌で聡明で慈愛に満ちた妃を亡くしていた。
側近を始め 国民たちもこぞって後添えを薦めるのだが 国王は首を横に振る。
ワシの妻は長年苦楽を共にしてきた妃だけじゃ。
それが国王の口癖だった。
そんな平和な王国で 国王から庶民の末に至るまでの唯一の < 心配事 > が
姫君の婿選び なのである。
国王夫妻の一人娘の姫君は めでたく成年の儀を迎えることとなり ― 皆の関心は彼女の婚姻に
集中し 心待ちにしている ・・・ ただ一人、当の本人を除いて。
コンコン コンコン コンコン! コンコンコン !!!!
ノックの音がますます大きくなり ― ついにドアの前の人物は声を張り上げた。
「 姫様? フランソワーズ姫様?! お召替えはお済みになりましたか? 」
・・・・・ 部屋の中からは物音ひとつ、聞こえない。
「 姫様〜〜〜 ばあやでございます。 失礼しますですよ? ここを開けますよ? 」
・・・・・ 返事はおろか 足音も衣擦れの音も しない。
「 姫様? 」
乳母の君は ふくよかな身体をぴた!っと寄せ耳をぴたりとドアに付けた。
「 ・・・ うん〜〜〜 ・・・ 鳥の囀りと 風の音 ・・・ ということは!
あの〜〜お転婆姫〜〜〜 また脱走なすったのですか〜〜 開けますですよ ! 」
バン。 ― どん っ ごろごろ 〜〜〜 どたん!
重いはずの樫の木のドアは軽々と開き ― 乳母の君は部屋の中に転がり込んだ。
「 あれぇ〜〜〜〜 ・・・・ った〜〜〜〜 ・・・ 」
ころん、と一回転してそれでもなんとか 起き上がり、彼女は部屋中を見回した。
こじんまりとした、でも気持ちのよい居室だ。
床には細密な模様を織り出した絨毯が敷き詰められている。
これは南の国からやってきた豪商からの贈り物。
壁にもさまざまな花やら木の実、果実を縫い取ったタペストリーが掛かっている。
天蓋の付いた広い寝台には幾重にも雲を思わせる薄い薄い紗のカーテンが垂れていた。
「 失礼いたしますよ ・・・ まさか 御休みとは思えませんが ・・・ 」
乳母の君は、それでも軽く一礼してから紗のカーテンをそっと持ち上げた。
ふかふかの羽根布団に大きな枕、シルクのシーツ、そして手織りレースのカバーがついた上掛け・・・
どれもきちんと整頓されているが ― そこにも人影は ない。
「 ― ということは ・・・! 」
とととと ・・・ 乳母の君はちょこちょこと部屋の奥に駆けてゆき、豪華なカーテンを
ぱっと払った。
「 !? ああ〜〜〜〜 やっぱり!!! 姫さまぁ〜〜〜〜〜
ああ ああ ばあやがいけませんでした ・・・ ラプンツェルのお話なんぞを
お聞かせするのじゃなかった ・・・ ああ〜〜〜 」
乳母の君はぺたん、と窓際の床に座り込んでしまった。
そう ― 城の窓からは カーテンを裂いて作った <ヒモ> が長々と
ずっと下の中庭へと垂れていたのだった。
「 申し訳ございません〜〜〜 陛下〜〜〜 」
乳母の君は平身低頭 ・・・ 床に這いつくばりそうになって詫びている。
先ほどの部屋とはくらべものにならない広さと重厚さを備えた部屋には いい香の煙がゆったりと流れている。
ここは国王の完全なプライベート・ルームなので 家族以外は入ることは許されていない。
乳母の君は部屋の外で控えていたのだが 国王自らが彼女を招き入れたのだった。
「 このばあやめの失態でございます〜 ほんのちょっと 御召し替えを取りに行きました間に
姫様に見事に出し抜かれ あ いえ いえ 失礼いたしました!
あのう〜〜〜 そのう 〜〜〜 」
「 ははは よいよい ・・・ 本当にあれはじゃじゃ馬娘だからのう 」
毛皮をかけた豪華な肘掛け椅子で 国王はおおらかに破顔した。
「 いえ いえ・・・ これもこのばあやめのお躾がいたりませんで ・・・ まことに〜 」
乳母の君は もう額を床にくっつけてしまっている。
「 畏れ多くも陛下のお居間に足を踏み入れる光栄に浴しまして まことに〜〜 」
「 よいよい そなたは姫が生まれた時からずっと育ててくれたいわば家族と同じ・・・
ことにあれの母が亡くなってからは 姫の一番の相談相手ではないか。 」
「 ありがとうございます 〜〜〜 」
「 それで ― あれは どこに脱走したのかな。 村の祭にでも行ったのか。」
「 それが ・・・ あのう〜〜 遠乗りで ・・・ 」
「 ほう〜〜〜 あれは子供の頃から乗馬が好きじゃったが 遠乗りに行けるようになったのか。」
「 ・・・ と申しますか ・・ 姫様の馬に追いつくのは近衛の士官でも難しいとか・・・
真っ黒な馬でまるで魔物の様に〜 いえいえ! 失礼いたしました! あのその〜〜 」
乳母の君はもうしどろもどろ ・・・ 反対に国王はついに腹を抱えて笑いだした。
「 はっはっは ・・・ いやいや そんなに恐縮せんでもよいよ。
アレの母も乗馬 ( うま ) が得意じゃったから ・・・ 血筋じゃろうな。
まあ それならばおっつけ無事に帰ってくるじゃろうよ。 」
「 はあ ・・・ ですが ですがお嫁入り前の姫様に〜〜 」
「 わっはっは その心配はまずあるまい。 剣の試合も弓矢の競技も兵士たちに引けを
とらん腕前じゃ。 それより あのじゃじゃ馬の貰い手があるかどうか ・・・
そちらの方が心配じゃよ。 」
「 はあ 〜〜〜 あの もうすぐ姫様の成人のお祝いでございますよね。
求婚相手の殿方も大勢ご訪問くださいます。 」
「 うむ ・・・ はたして アレが素直に婿を選ぶかのう ・・・
まずはちゃんとドレスを着せて舞踏会につれて来ておくれ。 頼むよ。 」
「 陛下の仰せとあれば ・・・ と申したいのですが 〜〜〜
これは ばあやめにでも大変難しいと ・・・ 」
「 そうか ・・・ 」
「 姫様は他国のどの姫君方にも負けない御器量と明晰なご頭脳、そして明るくて
闊達なご性格ですから きっと 」
「 その < 闊達さ > がのう・・・ 度が過ぎるというか・・・
どんなに美しい姫でも お転婆はゴメンだ、と言われてしまうことが多いのじゃ。
しかし ワシもいつまでも元気ではないからなあ 」
「 陛下。 とんでもないことを仰せにならないでくださいまし〜〜 」
「 いやいや 不死身の人間はおらんよ。 世継ぎの問題ははっきりしておかんと
国の根本にかかわる問題じゃからな。 」
「 はあ ・・・ お畏れながら ・・・ 兄君さまは ・・・ 」
「 乳母や・・・ お前だから言うが。 あれが健在であったら、と願わん日はないよ。
亡き妃もなあ 最後の最後まで息子の無事を信じておったのだよ。」
「 まああ ・・・ 王妃様も? 」
「 うむ ・・・ しかしあれが浚われてからもうかれこれ10年 ・・・
そろそろ諦めよ、というかもしれんなあ。 」
日頃の威厳のある態度とは打って変わって、国王は一人の老いた親としての姿を見せていた。
ふうう ・・・ 深い 深いため息がその憂慮の度合いを物語る。
「 陛下! きっと。 きっと王太子様はご無事でいらっしゃいます。 」
「 そう 願いたいが ・・・ 近隣諸国でも行き方知れずの王子が何人かおるそうだ。 」
「 まあ〜〜〜 御労しいことでございます。 」
「 うむ ・・・ 警護隊には見回りの強化を申付けてあるのだがな ・・・
ま 乳母や、とにかくあのじゃじゃ馬を ― 成人の宴 には 淑やかな姫 にして
つれて出てきておくれ。 」
「 はい 陛下。 この乳母めの命に替えましても・・・ 」
乳母の君は一層ふかく お辞儀をしたが ―
うわ〜〜〜〜 こりゃ えらいこっちゃ〜〜〜
駱駝に針の目ェ 潜れ、言うのんと同じやで ・・・
どないしたらええのやろ〜〜〜
さすがの百戦錬磨の乳母殿でも アタマを抱えてしまったのだった。
ぎゃあ〜〜〜 ぎゃあ〜〜〜
風にのって 異様な鳴き声が聞こえてきた。
「 ? なに・・・ カラス? いいえ 違うわ。 この森の奥に棲むっていう魔物かしら。」
姫君は汀から少し離れ 樹木の陰に身を潜め、油断なく周囲を見回した。
「 う〜〜〜ん? 鳥の姿は見えないわね。 ああ! 弓矢をもってくるのだったわ! 」
ぎゃあ〜 ぎゃあ〜〜 バサ バサ バサ〜〜〜〜
再び怪しい鳴き声とともに今度は羽音まで響いてきた。
「 鳥 ・・・ 大梟だわ! すごく・・・ 大きいわ。 あ? なにかを ・・・ 足で
掴んでいるわね、 獲物かしら・・・ 」
姫君はじっと空を睨んだ。
― 遠目姫 ・・・ 彼女は幼少の頃からそんなあだ名も持っていた。
遥か彼方のものを見通せる素晴らしい目をもっていたのだ。 勿論足元の些少なものも
よく発見する。
・・・ 姫の目は頼りになるな。 兄の王太子君はそんなコトを言ってよく狩りの
お供に彼女を連れだしたりしたものだった。
「 ? 獲物だわ! 鳥・・・ 小さいから雛みたいね。 惨いことをする・・・ 」
彼女は眉を顰め 怪鳥を見つめる。
数歩先に 四方に枝を広げる大木がありどうやらそこが大梟の巣らしかった。
「 ・・・ 野生の掟かもしれないけど。 弱いモノを殺すってイヤだわ・・・
可哀想に・・・ どこで捕まってしまったのかしらね。 ・・・? あら? 」
くぅ ・・・・ く ・・・ 弱弱しい声が彼女の耳に届いた。
敏耳、彼女はそんなあだ名ももっていて、小さな音も聞き逃すことがない。
「 もしかして・・・ 生きてるの? あ あれは白鳥の雛だわ!
・・・ ようし ・・・ ここの石を投げればなんとかなるかも・・・ 」
彼女は足元に散らばる石を幾つか拾い集めた。
その一つを握り、じっと身を潜めチャンスを待つ。
バサ バサ 〜〜〜 ・・・・ 大梟は巣に戻り明らかに油断していた。
・・・ 行くわ! ひゅん ひゅん ひゅん !!!!
石礫が空を切って飛んでゆき ― 見事にヒットする。
ぐぎゃあ! ぐぐぐ〜〜〜 ぐぎゃあ〜〜〜!!!
「 ふふん ・・・ あんなに大きなマトですもの、外すわけないでしょ。
― ほら もう一発〜〜〜〜 !! 」
ひゅん ! ・・・ ばさばさ ばさ〜〜〜〜
最後の一発を真正面から腹に喰らい、大梟は逃げだした。
うっ ・・・! バカなぁ〜〜〜〜〜〜〜 ・・・ !!!
慌てていたのか、大梟はしっかり掴んでいたはずの獲物を 取り落としていった。
「 やったわ〜〜〜 ・・・ あ あの雛が ・・・ 動いてる!
やっぱり生きているんだわ! ようし〜〜〜 ! 」
姫は油断なく周囲を見回してから 大木の真下に駆け寄った。
「 登ってもいいけど ・・・ またあの大梟が戻ってきたら危険よね。
あそこが巣ね! ここからなんとか崩せないかしら・・・ 」
もう一度 小石を握りじっと梢を見上げる。
― イマ 降リテユクカラ。
「 ??? な なに??? 」 突然 頭の中に <声> が響いた。
「 だ だれ??? なんなの?? どこから聞こえてくるの? 」
ココダヨ ・・ 僕ダヨ。 今 落チルカラ 受ケ止メテ。
「 え? ・・・ い いいわ〜〜 ?? あ っ 」
バサ −−−−・・・ 彼女の頭上から 白鳥の雛が落ちてきた。
「 わ! ・・・・っと〜〜〜 ああ このコだったのね〜〜 」
助ケテクレテ アリガトウ。
「 ! アナタ なの? この不思議な < 声 > ・・・? 」
姫は手の中の雛鳥をしげしげと見つめた。
ソウダヨ。 僕ノ名ハ いわん。 ヨロシク ふらんそわーず姫。
「 え?? わ わたしの名前、知っているの? 」
ウン。 コノ王国ノ跡取リ姫デ じゃじゃ馬娘ダッテコトモ知ッテイルヨ。
「 まあ ・・・ でもその通りよ。 ふふふ 可笑しな雛さん、いえ イワンちゃんね。
「 もう大丈夫よ ・・・ あら 怪我してるの? いいわ 城に連れて帰って
馬丁の親方に頼むわ。 彼は動物の怪我に詳しいのよ。 」
アリガトウ ・・・
「 じゃあ 急いで戻らなくちゃ! ちょっと我慢していてね。 」
姫は傷ついた雛をチュニックの胸に押し込むと 愛馬が待つ場所へと駆けだした。
ザワザワザワ ・・・・ バキ バキ 〜〜〜
小暗い森の奥のそのまた奥、それでなくても大木が生い茂る中に一際太い樟の樹があった。
四方八方に枝を広げ葉を繁らせ 根本付近では昼でも薄暗い。
その大木は大きな岩と抱えており 岩には深い洞窟が穿かれていて ― そこが大梟の本当の巣だった。
バサ バサ 〜〜〜 ・・・ 大梟は洞窟に入り込むと翼を収め 地に降りた。
― 途端におどろおどろしい鳥の姿は消え 黒装束のオトコが現れた。
顔の半分は不気味な黒マスクで隠されている。
「 くそ〜〜〜〜〜 油断した〜〜〜 ! 折角捕まえてきた白鳥の雛を〜〜〜
あんの悪ガキに横取りされてしまった 〜〜〜 うむ〜〜〜 不覚 不覚〜〜 」
オトコは どさ・・と羽根布団に身を沈めた。
ただの荒れた洞窟ではない。 壁にも床にも獣の毛皮が敷かれ 絹にくるまれた羽根布団が
あちこちに置いていある。
「 ふん! いったいどこの悪ガキだ?? 今度見つけたらとっちめて・・・
いや しかし見慣れん小童だったなあ ふふふ それも紅顔の美少年〜〜〜
ふふふ ふふふ 次はアイツを狙うとするか ふふふ ふふふ ふふふ〜〜〜 」
わはははは ・・・ オトコはクリスタルのグラスに満たした赤い液体を飲み乾した。
― そう 大梟とは この地域の森の奥に巣食う悪魔の化身だったのだ。
カッ カッ カッ カッ !
真っ黒な馬が矢のごとく城の門を通過し厩舎へと駆けこんできた。
「 エッカーマン? エッカーマン はいる?? 」
乗り手は まだ止まっていない馬からひらり、と飛び降りると 奥に向かって叫んだ。
「 どうどう・・・ご苦労様〜〜 ありがとうね、ベル。 ああ こんなに汗を・・・
ほ〜〜ら これで拭いてあげるわね〜 」
飛び降りた少年 ・・ いや お転婆姫君は チュニックの上着を脱ぐと愛馬の鬣やら
背やらを丁寧に拭っている。
「 はい〜〜〜 ただいま! ただいま 〜〜〜 姫さま〜〜〜 」
どたばた じたばた 足音を響かせ 髭だらけのオトコが駆けてきた。
「 へい〜〜 お帰りなさいまし。 今日はずいぶんとお早いお帰りでしたね。 」
「 ああエッカーマン! エッカーマン馬丁長どの! 助けてほしいの! 」
「 はへ? 」
「 ― コレよ。 このコを助けてください! お願いします。
あの大梟のえさになるところだったの。 」
姫君は ブラウスの中からほよほよとした羽根の < 醜いアヒルの子 > を取り出した。
「 はへ??? ひ ひ 姫さま〜〜〜 コイツを その〜〜〜 お胸に ・・・? 」
「 怪我してるよ〜〜 身体が冷えてたらヤバいと思って 」
「 へい ・・・ あ〜 こりゃ白鳥の雛ですなあ ・・・ アタマと脚に怪我してるな
おお おお 可哀想になア〜 」
「 ね! このコの怪我、治せる? 」
「 ふ〜〜む・・・? 翼や脚は折れてないようだなあ〜〜 へえ これなら
馬に塗ってやる傷薬を薄めてやりますよ。 まあ 元気があるから大丈夫でしょう。 」
「 そう? ありがとう〜〜〜〜 馬丁長殿! 」
「 いや なに ・・・ それしても姫様、この雛をどこで拾ってきなすったんで? 」
「 え ・・・ あのねえ ・・・ これ ナイショよ! 」
「 へい。 」
「 黒の森の中にね とってもキレイな湖があったの! その近くに大きな樹があって・・
大梟が巣をかけていたのよ。」
「 え なんですって! 大梟っていえば ・・・例の人浚いをする悪魔の鳥・・・? 」
「 悪魔かどうかはわからないけど。 わたしが湖を眺めていたらアイツがね、
このコを掴んで帰ってきたってわけ。 」
「 それで ・・・・? 」
「 ただの遠乗りだったから弓矢を持っていなかったのよね〜〜 だから手近にあった
石を投げて 大梟を撃退したの。 」
「 ・・・ 姫様〜〜〜 あなた様って方は ほんとうにご婦人にしておくのが勿体ないお方ですねえ 〜〜 」
馬丁長のエッカーマンは 呆れ半分、感心半分でつくづくと目の前にいるこの王国の世継ぎの姫君を見つめてしまった。
長い豊かな亜麻色の髪は いつも一括りにされて背中で跳ねている。
白いミルクみたいな肌は 年中外を駆けまわっているので焼きたてのパンみたいな色だ。
いつも輝いている瞳は深い森と空の色 ・・・ 桜ん坊の唇はピンクで艶やかである。
― 本日は その頬には泥が跳ねているし 髪はくしゃくしゃになっていた が・・
「 ・・・ 国王陛下のただ一人の姫君が ・・・
もうすぐ婿君を迎えられるって御方がねえ〜〜〜 ああ ああ これじゃ
村の悪ガキどもとたいして変わらねえよなあ ・・・ 」
「 え なあに? ね、それじゃ このコの治療、お願いします。
わたし、こっそりお部屋を抜け出してきたから・・・大急ぎで戻らないとばあやにみつかって
しまうの〜〜 ね 夜にもう一度見にきますから。 薬も必要なら ・・・
ええ 侍医のお部屋からもこっそりもってくるわね! 」
「 へい 確かにお預かりいたしやした。 なあに、すぐに元気になりますですよ。
傷が癒えたら 中庭の池にでも放してやりますです はい。 」
「 ありがとう〜〜 さすがに馬丁長ね! 頼りにしています。 」
にこ・・・っと微笑むと 姫君は厩から駆けだして行った。
「 あんた? 姫様の声がしたけど ・・・ 遠乗りからお帰りになったのかい。 」
厩の奥から 馬丁長のおかみさんが出てきた。
「 あ? ああ ・・・ これ 預かった。 」
馬丁長は両手で抱いていた雛を見せた。
「 ? あれまあ ・・・ なんて不細工な雛なんだろ・・・ 家鴨の子かい? 」
「 うんにゃ。 コイツは白鳥の雛さ。 ちょいと怪我してるんで薬を塗っておくよ。
厩の隅に置いておくから ・・・後で様子を見てやってくれ。 」
「 あいよ。 しかしまあ〜〜 あの姫様も変わった御方だねえ・・・ 」
「 だよなあ ・・・ まあ お元気で頼もしいけど な。
ウチの厩舎の中では一番の乗り手だろうな〜 騎馬兵の中にまじっても
姫様なら十分に手柄をたてなさるだろうよ。 」
「 そうだねえ ・・・ でもね あたしゃ、姫様の花嫁姿を早く拝見したいねえ〜 」
「 はあ 〜〜〜 そりゃ ・・・ 難儀かもなあ ・・・
姫様に勝る勇敢で頼もしい騎士様が ― はたしているかどうか・・・ 」
「 ・・・ だ ね。 ああ その雛、預かるよ。 いつもの傷薬 塗っておくよ。 」
「 ああ 頼む。 俺は馬たちの飼葉を配らんとな。 ほら これだ。 」
「 あいよ。 ・・・あれまあ〜 なんとも貧相な雛だねえ〜〜
そうだ、あとで釣りの餌をやってみるよ、きっと喜んで食べるだろうさ。 」
オカミサンは横幅の方が大きい身体を ゆさゆさ揺らして雛を受け取った。
ガサ ・・・ カサ カサ ・・・
城の壁に這い回っている蔦を掴んでよじ登り 姫君はなんとか自室の窓まで辿りついた。
厩舎の屋根から窓伝いに壁を上り なんとか自室へと到達したのだ。
えいや・・・っと 勢いをつけて出窓に這いあがる。 そして首尾よくカーテンの内に
滑り込んだ ― と思った。
「 ふ〜〜〜 なとかバレずに戻れた わ〜 ふう〜〜 」
「 フランソワーズ姫さま ! 」
「 ひゃあ〜〜〜 ??? 」
やれやれ・・・と気を抜いた瞬間 乳母の君の厳しい〜〜声が飛んできた。
「 姫様!!! どちらにおいでになっていたのですか。 」
「 ばあや ・・・ あ あのう〜〜 」
「 はい? きちんと伺うまで晩餐にはお出しできませんよ。 」
「 え〜〜 あのね わたし とてもとてもとて〜〜〜もお腹が空いているのね〜〜〜 」
「 ですからどこにお出ましでしたか、 と伺っているだけです。 」
乳母の君は一歩も引かない。 さすがの姫も口ごもりもじもじしている。
「 ・・・ あのう〜〜〜 ベルと 遠乗りに行って ちょっとそこまでよ! 」
「 はい 気持ちのよい午後でございましたねえ。 」
「 でしょ でしょ? それで ― 下の村を抜けて街道を渡って ・・・ 」
「 はい それから? 」
「 えっと・・・ 知らないおばちゃんやらおっさん達のおしゃべりが賑やかに聞こえて 」
「 はい それから? 」
「 あのぉ〜〜〜 森の中にも沢山の池やら湖があるって話になって ・・・ 」
「 湖?? ・・・ まさか〜〜 黒の森に入ったりは 」
「 ごめんなさい〜〜〜!! その湖がね、どうしても見たくて森の中に行ったの。
あ ちゃんとベルに乗っていったわよ! それでもってねえ・・・
湖の側に大梟の巣があって ・・・ 怪我をした白鳥の雛を助けたのよ。 」
ふうう〜〜〜〜 ・・・ 乳母の君は 深い深いため息を吐いた。
「 ・・・ 姫様。 ばあやはな〜〜にも伺わなかったことにしますですから
― もう黙ってあの恐ろしい森になんかいらっしゃらないでくださいまし〜〜 」
「 ・・・ ばあや あの でもね 」
「 さあさ お着替え遊ばして・・・ あらあ〜 お顔が汚れていますよ〜
いっそ湯浴みもなさいませ。 急げば晩餐に間に合います。
お父上様が楽しみにしていらっしゃいましたよ〜〜 姫君とのお食事を。 」
「 ― わかったわ ・・・ 」
姫君は ふか〜〜〜いため息を吐き、重い足取りで乳母の君の後に付いていった。
トン トン トン ・・・
とっぷりと暮れた頃、厩舎の隣、馬丁長の家のドアをこそっと叩く音がした。
「 あいよ〜〜 誰だい?? 気取ってないで声、かけておくれ! 」
馬丁長のオカミサンが大声で答えつつ ドアを開けた。
「 誰なんだ こんな時分に ・・・ あれま〜〜 姫様!? 」
ドアの前には 姿絵にある通りの < フランソワーズ姫 > が立っていた。
晩餐の席から 正装のまま厩舎にやってきたのだ。
「 んまあ〜〜 んまあ〜〜〜 なんてお綺麗な〜〜〜 ホンモノのお姫様みたいですねえ 」
「 わたし、ホンモノのこの城の姫ですけど〜〜 」
「 あはは ちょいとからかっただけですよ でも本当におキレイで〜〜 」
「 ドレスは好きじゃないけど・・・ お父様とのお食事だったから・・・
あああ〜 本当はねえ、小さい頃みたいにお父様と遠乗りに出て野原でランチを
食べたりしたいのよ わたし。 」
「 ええ ええ そうでしたですねえ ・・・ 姫様がお小さい時分には
国王陛下と王妃様 それに兄君さまとご一緒に乗馬を楽しんでいらっしゃいましたっけ
兄君さまは大層 馬がお上手で ― あ これは・・・! 失礼をいたしました 」
饒舌なオカミサンは はっと手を口に当てた。
「 いいのよ 気にしてはいないから ・・・ ねえ それよりあの子は?
少しは元気になったかしら。 」
「 あ〜 はいはい・・・ ウチの人がね、ちゃんと薬を塗っていましたし。
パンくずを柔らかくして食べさせておきましたよ。 」
「 まあ〜〜 ありがとう! でどこにいるの? 」
「 あったかい方がいいだろうってことで厩舎の一番明るくて広い所に <巣> を、
姫様のベルの寝床の隅に巣箱を置きました。 」
「 わあ〜〜〜 ありがとう! ちょっと見てくるわね! 」
姫君は長い裳裾を えいや!と捲り上げ両手で持った。
「 あ〜〜 鬱陶しい! 本当ならハサミで切り落としたいのに〜〜〜
でもこれで少しはすっきり。 さあ 行くわよ〜〜〜 」
裾を絡げたまま 姫君はずんずん厩舎の中へと入ってゆく。
ブルルルル 〜〜〜
いつもの女主人の足音を聞きつけ 姫君の愛馬で遠乗りのお相手、黒毛も美しいベルは
さかんに鼻を鳴らしている。
「 あら〜〜〜 今晩は ベル〜〜〜 元気でよかったわ。 よしよし〜〜〜
ねえ ・・・ お前の寝床に住みに置いていた雛は どう?
少し元気になるといいのだけど・・・ 」
カサ カサ カサ ・・・ 姫君はさくさく藁を踏んで行く。
「 ・・・ チビちゃん? 怪我はどう ・・・ え ・?? 」
「 どうなさいましたか〜〜〜 姫さま〜〜 エサをもう少し持って来ましたよ〜〜
あれれ? そこの隅にかごを置いたですがいませんか? え ええええ・・ 」
籠のまえでオカミサンは棒立ち、 姫君もパンくずを手に固まっている。
新しい藁の上に毛皮を敷いて。 そこに籐で編んだ籠に座っていたのは ・・・
ぽやぽやと幼い羽根気に蓋われた 貧相な醜いアヒルの子 ではなく。
― まるまると太った 赤ん坊 だった!
ヤア。 姫サマ ト おかみさん アリガトウ
さらにこの赤ん坊は 呆然としている二人に < 話しかけてきた > のだ。
「 ひ・・ 姫様。 あのぉ〜〜 このお子は ・・・ 姫様の? 」
「 はい???? 」
「 いえ いえ〜〜 これはご無礼を ・・・でも あの その〜〜
ついさっきまで ここにはあの・・・汚れた雛が居たんですよ! ホントです〜 」
「 この < 声 > ・・・ さっき聞いたわ。 」
「 は?? 」
ウン 覚エテイテクレタカイ? 僕ノ名ハ いわん サ。
「 ・・・ 名前は イワン だそうよ。 ・・・え?? あの雛と同じなの? 」
「 はあ ・・・ アタシにもそう聞こえました ・・・ 」
「 ね? アナタは ・・・ あの雛鳥なの? 」
ソウダヨ。 すか〜るノ魔法デ 昼間ハ白鳥ノ姿ニ変エラレテシマッタノサ。
「 まああ! あの〜〜〜 大梟〜〜〜 ! 」
「 えええ?? やっぱり醜いアヒルの子ってホントだったんだわな・・・ 」
「 ねえ イワンちゃん? アナタのお家はどこなの? 家族は? 」
ウチ・・ッテイウカ アノ湖デ 仲間達ト暮ラシテイルンダ。
「 まああ そうなの? それじゃ今度連れていってあげるわ。
ねえ マーサ、夜だけイワンちゃんのお世話、お願いできる? 」
「 ええ ええ お任せくださいな。 ウチの子達が育っちまって赤ん坊さんは
久しぶりですねえ〜〜 可愛いねえ〜〜 ミルクを温めてあげようね。」
「 よかったわ〜 あ 牧場からミルクをたくさん届けさせるわ。
わたしの分はもういらないから。 」
「 畏まりましたよ〜 姫様。 ウチの子供らの古着があるから着せてあげます。 」
「 ありがとう〜〜 マーサ〜 あ でも朝になったら また雛の姿になるのよねえ・・ 」
「 そうしたら お城の庭の泉水にでも放しておきます。 あそこなら大梟やらキツネやら
外敵はきませんから。 」
「 そうね! わたしのお部屋の窓からも見えるし〜〜
イワンちゃん、ヨロシクね〜〜 なるべく早く森の湖に帰りましょうね。 」
アリガトウ ジャジャ馬姫様 〜
赤ん坊の小さな指が きゅ・・・っと姫君の手を握った。
「 きゃ♪ ちっちゃ〜〜い 可愛い〜〜〜 うふふふ ・・・
あ! いっけない! こっそり抜けて出してきたのよ〜〜〜 ばあやに見つかったら
もうお部屋から出してもらえないわ〜〜 マーサ、それじゃお願いしますね〜 」
姫君は キスを投げると またまた裳裾をむんず! と絡げ、厩舎から駆けだしていった。
「 あは ・・・ 本当に じゃじゃ馬姫様だねえ 〜〜 イワン坊や? 」
馬丁長のオカミサンは 抱き上げた赤ん坊と笑っていた。
ポーーン ポン パン パン 〜〜〜
晴れ上がった空に 花火が賑やかに打ち上げられる。
「 さあさ ・・・ お若い騎士様方 お嬢様方〜〜 ご自由にお楽しみくださいませ 」
いつもは厳めしい態度の侍従長が にこやかに声を張り上げている。
ここ ・・・ お城の中庭の広場には 多くの若い貴族の子弟たちが着飾って集っている。
そこここにテーブルが出され ワインやら美味しそうな料理が並んでいる。
「 こんばんは 侍従長さま 」
「 お招き ありがとうございます。 侍従長殿 」
見目よい若様やら美しい令嬢たちが 挨拶をしてゆく。
「 おお おお ようおいでくださいました、もまなくフランソワーズ姫君様が
お出ましになります。 」
ざわざわざわ ・・・ てんでに散っていた若者たちが 中央のテーブル付近に集まってきた。
「 皆様 今宵は我らがフランソワーズ姫様のご成年の宴を前に
お若いお友達の方々、 どうぞ姫君と楽しくご懇談ください。
年寄は邪魔になりますので これで引っ込みます故〜〜〜 では 」
侍従長は簡潔に挨拶を済ませると 飄々とその場を去った。
ざ ・・・ 騎士たちは会釈をし 令嬢たちも腰を屈めてお辞儀をして送った。
― 間もなく ・・・
「 フランソワーズ姫様のお出ましでございます 」
乳母の君の声とともに ― すらり、とした少年 ・・・ いや男装の姫が中庭の中央に進み出た。
きゃ〜〜〜〜 ・・・・! おお 〜〜〜〜〜〜〜
令嬢たちの黄色い声が そして 若者たちの感歎の声が 庭中に響いた。
姫君は 豊かな輝く髪を背に流し、白銀のタイツにペイル・ブルーのチュニック姿、
銀糸で縫い取りした真珠が煌めく。
「 皆さん ようこそ〜〜〜 さあ 今日は楽しくすごしてください。 」
姫君は明瞭闊達な声で挨拶をすると 銀の杯を翳した。
「 では 我らが青春の日々に ― 乾杯 〜〜 」
若者同士の賑やかな宴が始まった。
得意のリュートを弾く若者やら 美しい声で歌を聴かせる令嬢やら ・・・ そして
「 美しい令嬢、 そして こちらの方も 踊っていただけますか。 」
「 ま まあ〜〜 姫様〜〜 ええ 喜んで〜〜 」
「 きゃあ♪ 喜んで♪ 」
フランソワーズ姫は とりわけ美しい貴族の令嬢二人と軽い足取りで踊り始めた。
ほう ・・・・ 若者たちの間からため息が立ち上る。
姫君の美しさ しなやかさ そして 凛々しさに ― 全ての人々が魅了されていった。
やがて 他のモノたちもそれぞれの相手を踊ったり談笑したり楽しんでいる。
パパパ 〜〜 ン 突然 短いホルンの音が響いた。
「 国王陛下のお出ましでございます。 」
ざわざわざわ 〜〜〜〜〜 若者たちは皆 さっと畏まり頭を垂れた。
「 父上 ・・・ 」
フランソワーズ姫も さっと父君の側に駆け寄り会釈をする。
「 ああ よいよい ・・・ せっかくの宴を邪魔して悪いな。
今宵はなあ コレをそなたに授けようと思ってな ・・・ 」
「 ? 父上 何でございますか。 」
「 うむ ・・・ そなたの得意な弓矢じゃよ。 この国一番の名人の作じゃ。 」
「 うわあ・・・ ありがとうございます、父上〜〜 」
「 そなたの成年を祝って な。 」
「 はい。 」
「 そして 正式な成年の宴の日 ― 婿殿を決めるのだ。 婚姻の儀を迎えるのだ。
その婿殿を共に やがてはこの王国を統べるのがそなたの務めじゃ。 わかったな。 」
「 ・・・ 父上 ・・・ かしこまりました ・・・ 」
フランソワーズ姫は 礼儀正しく返答した。
「 おお おお 得心してくれたか。 では 今宵は存分に楽しむがよいぞ・・・ 」
父王は愛娘の頬にキスをすると 悠々と引き揚げていった。
婿君 ・・・ ですって? 婚姻の儀 ですって?
「 ・・・ 姫君様 ・・・ ? 」
ぽつねんと立ち尽くす姫に 令嬢の一人が遠慮がちに声をかけた。
「 あの ・・・ ご気分でもお悪いのですか。 」
「 ・・・ あ? ああ ・・・ これは失礼を。
お客人方に気を使わせてしまいました。 さあ〜〜 皆さん、楽しんでください! 」
姫君の明るい声音に 若者たちは再び踊ったり リュートに合わせて歌ったり ・・・ 宴を楽しみ出した。
クル −−−− ン ・・・ クルルル ・・・・
そろそろ茜色に染まり始めた空を 大きな鳥の群れが横切って行った。
「 ・・・ あ ? 」
「 え? ああ 白鳥ですよ。 森の中の湖に帰ってきたのでしょう。 」
思わず暮れなずむ空を見上げた姫君に 騎士の一人が教えてくれた。
そう ・・・ あの湖に ・・・
あ! あの雛を帰してあげなくちゃ!
やがて宴がお開きになった後、 姫君の姿は城から消えていた。
Last updated : 08,07,2014.
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****** 途中ですが
え〜〜 以前にも似たパロを書きましたが
今回は 完全・裏返し版 です〜〜
で もって 正調・『 白鳥の湖 』 の観賞手引き???