―  え ・・・?

 

わたし、思わず聞き返してたわ。

・・・だって。  そんなこと、訊いてくるなんて ・・・ 初めてよ?

 

   ― 誕生日に欲しいものは なに。

 

耳の付け根まで真っ赤になって。  うふふふ・・・ でも嬉しいわ。

ええ 望みはたったひとつだけ。  そうよ、いつだって。

 

     一緒に いてほしい。

 

・・・ そうか、って。 やっぱり真っ赤になって笑って頷いてくれたわ  ―  ジョー。

 

 

 

 

 

 

      『  ただ それだけ  ― (1) ―  』

 

 

 

 

 

        うわ −−−−−−−−  ・・・・・・ !!!!!

 

 

絶叫が響き渡った。  雪深い渓谷に そして 海に突き出た断崖に。

どちらの地でもその声音は大いなる自然に呑み込まれてしまい、気づくひとはいなかった。

 

  ― いや。  聞き届けた者はちゃんといた。

雪の地では声の主の仲間たちが  そして 海辺では亜麻色の髪の乙女が。

 

 

「 ?! どうした!?  009!? 応答してくれ!! 」

ギルモア博士は必死で通信用パネルを操作している。

「 なんだ、どうしたってんだ〜〜 ジョーのヤツ? 」

「 妙だな、もう至近距離まで戻ってきていたはずだよ。 このブリザードは影響ないと思うな。 」

サイボーグたちは 博士の周りに集まってきた。

「 うう〜〜む ・・・ どうしたというのだ・・・ 009ともあろう者が。 」

「 博士 俺たち全員で脳波通信を送りますから。 博士はレーダーとソナーで探索してください。 」

「 よ よし ・・・ わかった ・・・ 」

「 ほい、我輩は空から偵察に参るとするか。 博士、座標判明次第 乞・送信! 」

素早くハッチを開き、ちょい、と腹を叩き大きな羽音をさせ大鷲が飛び出していった。

「 グレートは〜〜ん ワテが必要やったらすぐに言うてや! 」

「 ・・・ う〜〜〜む ・・・ 反応がないぞ! こんなことがあるはずが ・・・! 」

「 ・・・・  俺たちの方も反応なし だ。 呼びかけに全く応えない。

 アイツ、脳波通信のチャンネルを閉じている。 いや、開放できないのかもしれないな。  」

「 っきしょ〜〜 ジョーのヤツ、どこにいやがる〜〜

 ああ フランならイッパツでめっけるのによ〜 やっぱ連れてくれば 

「 あんさん、それは言いっこナシやで。 フランソワーズはんは 

「 ・・・わかってるって。  言ってみただけさ。

 うう〜〜〜 イラつく〜〜  ひとッ飛び見てくら。  フランのために よ! 」

あっと言う間にのっぽの赤毛もハッチから飛び出してゆく。

「 待て! 勝手に ・・・ ちぇ、あの単細胞が! 」

「 ・・・・  お ・・・ 反応あったぞ! よし、このデータを007と002に送ってくれ。 」

「 了解! 」

「 俺も行って来る。  これじゃ アイツを雪の中から掘り出す必要がありそうだからな。 」

「 アルベルトはん? そら ワテの仕事でっせ〜〜 あんさんはココで指令塔や。

 ピュンマはん、ほな行きまひょか。 道中たのんまっせ〜〜  」

「 はいはい。  博士〜〜 探査関係はお任せしましたから〜 」

「 おお 任せろ。  ・・・ しかし003がいないとほんになあ・・・ 」

「 博士がそれを言っちゃお終いですぜ。 」

「 うむ ・・・ そうじゃが。 」

「 全員 脳波通信をオープンに固定しろ。 それから ― 」

アルベルトはてきぱきと指示を飛ばし始めた。

 

  サイボーグたちは北欧の果て、フィヨルドの切り立つ地に来ていた。

中東でテロを支援していたNBGの残党を追い、最果ての北の地まで追い詰めた。

最後に基地の中枢を爆破した、と全員が思ったのだが、殿を守っていたジョーが巻き込まれてしまった。

 ― いや、ヤツラのトラップだったのかもしれない。

 

≪ お〜い  見つけたぞ!!!  大人〜〜 頼む! ≫

≪ ハイナ〜〜〜 ジェットはん、ワテを運んでや〜 

≪ ちぇ! 重て〜な〜〜 ! ≫

≪ ごたごた言わんと はよ! ≫

≪ ・・・ へ〜い ≫

「 博士、 発見したそうです。  ≪ おい! ジョーは!? ジョーは無事か! ≫ 

「 ・・・どうなんじゃ?  ワシはすぐにメディカル・ルームの準備をするが・・・ 」

「 ちょっと待ってください。  皆の報告を・・・  え? 」

アルベルトが言葉を切った。

「 ? おい アルベルト! どうしたのじゃ?  009は ・・・無事なのか! 」

「 ≪ わかった。 こちらは待機している ≫  

 博士。  ジョーは見つかりましたが ― 機能停止状態らしい。 」

「 なんじゃと!? 

「 ともかく 今 ジェットが運んできます。 」

「 そうか。  おい!! 加速装置なんぞ使うなよ!・・・ああ 通信してくれ、004。 」

「 了解。 博士、 メディカル・ルームへ。 」

「 ああ  ・・・ じゃが、なぜ009が・・? 一体何があったのじゃ!? 」

「 しかし。 なんだってこんな時に・・・! 」

アルベルトは一人コクピットで歯噛みをしていた。

 

   ビュウ −−−−− ・・・・

 

外は冬将軍がその白い牙を剥き猛威をふるっている。

 

 

 

 

       「 ・・・・ ああ ?! 」

 

突然 フランソワーズが声を上げた。

「  ― どうした、003。  

「 ジェロニモ ・・・ き 聞こえたの ・・・ 」

「 ・・・ 俺には潮騒と風の音しか聞こえないが。 」

「 ええ  でも 聞こえたの。 だれかの声 ・・・ 悲鳴だわ! 」

「 ―  悲鳴?  003。 <耳>が回復したのか。 」

フランソワーズは だまって首を振った。

「 いいえ。 スイッチをオンにすることもできないわ。  

 でも 聞こえたの。  ・・・ ううん 空気が揺れて・・・教えてくれたのよ。 

 海の ・・・ 崖の方だったわ! 」

フランソワーズはぱっとカウチから立ち上がるとテラスへ飛び出していった。

「 ?! まて 003。  俺も行く。  ・・・まだ走ってはいけない。 」

ジェロニモはさっと立ち上がると身軽に彼女の後を追った。

 

 

 

 今回、ミッションの初っ端で 003はまたもや音響魚雷の攻撃をうけた。

「 009! 右舷後方から魚雷接近! コース座標は ―  」

「 了解!  ・・・?  003 ・・・? どうした。 」

報告をしていたために 能力のスイッチをオフにするのが遅れてしまった。

そのスキを尽いて、 音響魚雷がドルフィン号の脇をすり抜けていった。

 

     ・・・・!?  あ ああああ −−−−−−−−!

 

声もなく、いや悲鳴を上げる余裕すらなく彼女はコクピットの床に崩れ落ちた。

「 !!  フランソワーズ −−−−!! 」

ジョーはパイロット席から跳んできて彼女を抱き上げ博士に渡した。

「 博士! お願いします。  ― くそゥ! 」

彼は顔色を青清ませ ぎゅ・・・っと操縦管を握った。

目が据わっている。  コクピットの空気は異様なほど張り詰めた。

  ― NBGはこの時、 最大のミスをした、と言っていい。

なぜならば 偵察に徹していたゼロゼロ・ナンバーサイボーグたちは一気に攻勢に出たのだ。

ジョーは瞬時にドルフィン号を反転させ急襲、徹底的に基地を叩いた。

 

   ズガーーーンン !!!  ガ ガ ガ −−−−−ン !!!

 

基地の内部では誘爆を呼びあっと言う間に周囲の関連施設も巻き込み崩れ落ちた。

「 ・・・おい ジョー。 もうその位にしておけ。 」

「 ・・・ アルベルト ・・・ 」

ミサイルの発射装置を握る手を 皮手袋の手が押さえた。

「 ヤツら、どうせ残党だ。  ここで大爆発になると騒ぎが大きくなる。 

「 あ ・・・ そうか そうだね ・・・ 」

「 ジョー。 アルベルトの言う通りだよ。 残りはどこか辺鄙な場所で片付けたほうがいいな。 」

「 ・・・ うん ・・・ 」

「 フランソワーズの治療 優先だ。 」

無口な巨人が珍しく口を挟んだ。

「 諸君 ・・・ 」

ギルモア博士がメデイカル・ルームから出てきた。

「 博士!!  どうなんです、フランは!? 

「 ああ なんとか・・・ 今はシステム・ダウンさせて休ませている。 」

「 じゃあ彼女の <能力> は回復したのですね。 」

「 ・・・ いや。 徹底的に治療するには研究所に戻らんとな。 

 今の003は 普通の聴覚もオフにしてあるのじゃ。

 そうでなければ ・・・ 機能のオーバーロードで耐えられんじゃろう。 

「 く そ ・・・!  あの時 ぼくが彼女に ・・・! 」

ジョーは唇を噛み締め、コンソール盤を叩く。

「 先に自分で確認するべきだったんだ!  安易に彼女に頼んだりしたから・・! 」

「 ジョー。 それは違う。 不運な偶然が重なっただけだ。 」

「 今、 彼女に必要なものは休息じゃよ。 」

「 では 一旦、帰還しよう。 」

「 アルベルト!  ・・・ しかし ヤツら、完全に殲滅したわけでは・・・ 」

「 フランソワーズの方が大切だ。  ジョー、お前もそう思っているはずだ。 

「 ・・・  うん ・・・ しかし! 」

「 むう。 俺、彼女をつれて帰る。 そして護る。 任せろ。

 お前たち、 残党狩りにゆけ。 」

「 そ そうか! 005、 そうしてくれるか!? 

 ワシは003の替わり・・・とまでは行かんがレーダーとソナーで索敵を受け持とう。 」

「 博士。  ありがとうございます。  ジョー、 それでいいな。 」

「 うん。  ジェロニモ。 フランを頼む。 」

ジョーは仲間の前に深々とアタマを下げた。

「 あの・・・さ。 もうすぐ ・・・た、誕生日なんだ、彼女。  だから ・・・ 」

「 わかってる。 お前はお前の出来ることをしろ。 」

「 ん ・・・ 」

「 ジョー ・・・ 彼女の顔、見て来い。  安心して待っていろ、と言ってこい。 」

「 そやそや 誕生日、 安生楽しみにしてェな、言うてな。 」

「 ・・・ うん ・・・ ありがとう! 」

「 あは ・・・ 走っていっちゃったよ。 」

「 ― 加速しないだけマシだろ。 」

「 違いない! 」

ほんのすこしだけ コクピットの空気が軽くなった。

 

 

 

 

崖っぷちの邸に戻りフランソワーズは身体を休めていた。

意識を取り戻した時、 側にいたのは穏やかな表情のジェロニモだけだった。

彼らは脱出艇で別行動、急遽帰還したのだという。

彼は淡々とミッションの顛末を語った。

 

    ・・・ ジョー ・・・ !  どうか無事でいて ・・・ 

 

早々に戦線離脱しなければならかったのは悔しいが 仕方ない。

全く <聞こえない> 自分は足手纏いに他ならないのだ。

今は一日も早くミッションがおわり仲間たちが無事に帰還することを祈るだけだ。

 

「 ジェロニモ?  温室に行ってくるわね。  苺が赤くなっているかもしれないから・・・ 」

「 ・・・ 大丈夫か? 」

巨躯をかがめ 彼は身振り手振りで彼女に尋ねる。

彼女は聞こえないけれど、唇の動きでだいたいの意味を察している。

「 ええ。 ゆっくり歩けば眩暈もしないわ。  もう 平気よ、わたし。」

「 まだ 無理をしてはいけない。 」

「 無理、してません。  ね いいでしょう? 」

「 ・・・ 仕方ないな、気をつけて行け。 」

「 は〜い 」

大きく肩を竦め不承不承に頷いてくれた彼にキスを投げ、彼女は窓をあけた。

まだ少し冷たい海風が カーテンを揺らし部屋に吹き込んできた。

 

     ・・・・ ああ ・・・ 気持ちいい ・・・

     海と風は ・・・ どんな音をたてているのかしら・・・

 

フランソワーズは 胸いっぱいに慣れ親しんだ潮の香りを吸い込んだ。

今 彼女の < 耳 > は。 普通の聴覚も作動していない。

 

 

 

 

 

 

 

     帰還次第、即・徹底的にメンテナンスをする。 

     それまでは安静に身体と神経を休めておくこと。

 

博士の短いメモが フランソワーズの枕元に置いてあった。

「 ・・・ そう・・・ それじゃ ・・・ 仕方ないわね ・・・ 」

意識を回復し、フランソワーズはベッドの中で大きく溜息をついた。

 

 

 

 ― あの日。  あの時 

記憶の奥にあった不気味な唸りが徐々に接近してきた。

 

     ・・・!?   音響魚雷 ・・?!

     いけない!  スイッチを切らなければ・・・!

 

  ―  ドサ ・・・。 次の瞬間 彼女の意識は途切れ身体は床に転がった。

 

その後は なにも覚えていない。

最後に目にしたのはドルフィン号のコクピット、駆け寄ってくるジョーの姿がちら・・・っと視界にはいった。

あとは ―  暗黒と静寂に呑み込まれた。

次に目を開けた時には 自分のベッドに横たわっていた。

 

「 ・・・・ あ  ・・・  わ た  し ・・・? 

光はいっぱいに溢れ 目に映るのは見慣れた天井、シミの位置まで懐かしい自分の部屋だ。

しかし  音  がない。  異様なまでの静寂が彼女を包んでいた。

 

     ?! ・・・ < 耳 > が?  ううん スイッチはオフのはず・・・

     損傷したのかしら。  ?? 普通の聴覚も ・・・ 効かない

     あ。   音響リ魚雷  ―  そうだわ  

 

フランソワーズは ゆっくりと身じろぎをした。

腕に繋がれた点滴の管が ゆれる。

「 ― 気がついたか。 

「 ジェロニモ ・・・! 

視界に005の穏やかな顔が入ってきた。

「 聴覚を全てオフにしてある。  脳波通信も使わない方がいい、とのことだ。 」

彼は耳を指し コメカミを指し 首を振った。

「 わかるか?  俺の口の動きを見ろ。 」

「 ・・・・? ・・・・・    ああ  わかったわ。 」

フランソワーズは ゆっくりと頷いてみせた。

「 みんな は ? 」

「 無事だ。  ただ帰還には 少し時間がかかる 」

「 ・・・ そう ・・・ 」

「 003。  今は やすめ。  それが一番だ。 」

「 ・・・ わかったわ 」

そっと寝返りを打とうとして ― 枕元のメモが目に入ったのだ。

 

 

「 ・・・ それにしても ・・・ ひと言くらいなにか・・・ 」

ぶつぶつ言いつつ そのメモを裏返し矯めつ眇めつしてみたが・・・なにも ない。

 

     ・・・ 愛してる、とか せめて 気をつけて ・・・とか

     サインだけでも いいわ、 書いてくれればいいのに・・・

 

「 ・・・ま 無理かしら ・・・ ね 」

長年の恋人なのだ、彼の性格はようく解っているのだけれど。

やっぱりちょっとは甘えてみたい ― 特にこんな場合には ・・・

「 フランソワーズ。 ゆっくり休め。 それがお前に出来る一番のことだ。 」

大きな手が ゆっくりと彼女のアタマを撫でる。

「 ジェロニモ ・・・・ そう  そう ね・・・ 」

「 ああ そうだ。  これ、香木で出来ている。 気持ちが休まる ・・・ 」

コトン と木彫りの小鳥をベッド・サイドに飾った。

「 まあ 可愛いわ ・・・ あら ほんとうに ・・・ いい香り ・・・ 」

清澄な香りが仄かに漂う。

「 ・・・・・・ 」

フランソワーズは ゆったりとした気持ちで眠りに落ちた。

崖っ淵の洋館では静かな時間がひそやかに流れていた。

慣れ親しんだ空気は 確実に彼女の神経を休め、癒していった。

ほどなくして、フランソワーズはベッドを離れリビングに置いたカウチで過すようになった。

そんな ある日  ―  あの 声 が 聞こえた・・・・

 

 

 

 

「  ・・・ ふ ・・・う ・・・  ああ やっぱり! 」

フランソワーズは息を弾ませ 崖の下に立った。

「 003。  無茶をしてはダメだ。  ・・・ なにかあるのか。 」

ジェロニモは大股でがしがしと追いついてきた。

「 あそこ!  あの崖の途中に ・・・ 何かい いえ! 誰かが引っ掛かってる! 」

「 003、 見えるか?   み え る か ? 

ジェロニモは彼女の注意を向けて、ゆっくりと言った。

「 あ ・・・ ちょっとまって。  眼は多分 ・・・  え!? 」

じっと上を見上げていた彼女が 瞬時に固まった。

「 ? おい どうした?  ど う し た?? 」

「 ・・・ ジョ ・・・ ジョー・・・!  ジョーが。 ジョーが  アレはジョー・・・! 」

「 なんだと? そんなはずはないぞ。 彼らは ・・・ 」

「 あれは ジョーなの! だって あれ、ジョーだわ!! 」

「 フランソワーズ、落ち着け。  お ち つ け。  い い な? 」

ジェロニモは彼女の肩を押さえ、そっと頬に触れた。

「 今、助けてくる。  ジョーではない、別の人物だ。  ジョー達は北欧だ。 」

「 ううん だってあれはジョーよ! はやく はやく 助けて!! 」

彼女は興奮していて、ジェロニモの言葉を <読む> ことができない。

「 だって ! 顔が見えるもの、あの髪 ・・・ あの口元 ・・・ ジョーよ ! 」

「 ここで 待っていろ。 いいな。 」

大きな手がフランソワーズの肩を押さえた。

ストン ・・・と彼女はそこに ― 海岸の岩場に腰を降ろした。

「 ナビするわ。  ううん、させてください。 わたしの声、聞こえてる? 音量は十分? 」

「 ああ 十分だ。  では 頼む 」

「 了解! 」

ジェロニモは軽々とした身のこなしで崖を登り始めた。

 

 

   ― そして数分後

 

「 ・・・ ジェロニモ! 」

「 大丈夫、 この少年。 生きている。 」

「 え? な なに・・・  ? 」

「 い き  て  る。  彼は 生きているぞ。 」

ジェロニモは茶色い髪の少年を担いで 降りてきた。  服はあちこちが裂け、血が滲んでいる。

フランソワーズは駆け寄ってじっと少年を見つめた。

白い肌 ・・・ そして茶色の柔らかい髪が波打っている。 

通った鼻筋と オトコには勿体無いほどの長い睫毛には ― しっかりと見覚えがある。

 

    わたし ・・ 知ってる。  この睫毛の奥の優しい瞳を ・・・

    知ってるのよ、わたし。  唇からもれる穏やかな声を!

 

    この少年は  ジョー ・・・!

 

「 ・・・ ジョー ! 」

「 フランソワーズ。  よく見ろ。 彼は普通の人間だ。 セピアの髪をした普通の少年だ。 」

「 よく見てるわ。  よく見て・・・ だってほら、この顔 ・・・・ ジョーよ、ジョーだわ。

 ・・・ ええ 確かにこのヒトは人間よ。 100%生身の人間・・・

 ええ そうよ。  彼は まだ少年時代のジョー ・・・ なのよ! 」

「 ともかく 家に連れてゆこう。  ― 大丈夫。 この少年 死なない。 」

「 え  なあに、ゆっくり言って。 」

「 し な な い。  この少年 とても強い生命力 ・・・ 」

「 ・・・ え  そ そうなの・・・?  」

「 ああ。  家で手当てして休ませよう。 それで大丈夫だ。 」

ジェロニモは少年を抱えたまま、歩きだした。

「 アナタがそう言うのなら 大丈夫ね。  あ ・・・ まって ・・・ 」

フランソワーズはあわてて仲間の巨躯のあとを追った。

 

 

少年は 本当にジョーによく似ていた、いや 彼らが知っている <島村ジョー> よりも

少し年若い感じがする。

「 ・・・ どういうこと? ジョーに ・・・弟でもいたのかしら。 」

フランソワーズはそうっと上掛けを直した。

「 わからない。  この少年は崖から落ちた、判っているのはそれだけだ。 」

「 そうねえ ・・・  ちょっとゴメンなさいね・・・ 」

濡れたタオルで少年の頬の汚れを拭った。

「 ・・・ ねえ?  これで瞳がセピアだったら ―  あら? 」

 

   う   ・・・  ん ・・・・?

 

微かな呻き声と共に いきなり彼は目を開けた。 茶色の瞳がぽかり、と天井を見つめている。

「 !  あ  気がついた? 」

「 むう ・・・ おい 大丈夫 か? 」

「 ・・・ うう  ・・・?    ・・・? 」

少年はゆっくりと首を動かし、 ベッドサイドの二人を見た。

「 ・・・ うう ・・・?  う〜 う 〜〜 ・・・? 」

「 どうしたの?  どこか痛む? 」

「  うう  う〜〜あ ・・・?  」

「 !?  ねえ、彼は何を言っているの ? わからない・・・ 」

「 ああ。 この少年、言葉を発することができない。 」

「 ・・・ まあ ・・・  あの きこえる? わたしはフランソワーズ。 」

「 俺はジェロニモ。  お前は崖の途中に引っ掛かっていた。 」

「 ・・・ う? 」

  セピアの目は焦点も定まり、はっきりと二人を見つめている。 少年はゆっくりと頷いた。

「 わかる?  あ ・・・ あのね、わたしは 聞こえない の。 」

フランソワーズは身振りをまじえ 少年の前でできるだけゆっくりと喋った。

「 うう。  う ・・・? 」

「 ああ そうだな、ちょっと待て。 」

ジェロニモは大きく頷くと ベッドサイドのチェストからメモとボールペンを取り出した。

「 さあ これに書いていいぞ。 」

「 あら そうね、それならわたしにも解るわ。  えっと? 」

「 ・・・・   ううう ? 」

少年はさらさらとペンを走らせると メモ帳を二人に示した。

[ ここはどこですか。  僕の名前は ジョゼフ  耳は聞こえます。 ]

「 まあ ・・・ ジョゼフ?  ここはF市の外れの海岸通りの先にある ・・・研究所。 」

「 お前は崖の途中の木に引っ掛かっていた。 」

[ ・・・ 助けてくださってありがとうございます。 ]

「 怪我は大したことないのですって。  今夜はゆっくり休んで・・・ 」

[ ありがとうございます。  ふらんそわーず さん  じぇろにも さん  ]

「 うふふ・・・ <さん> はいらないわ。  あ 飲み物を持ってくるわね。 」

「 ゆっくり休め。 」

少年、 いや ジョゼフ はこくん、と頷くと素直に目を閉じた。

「 ・・・・・・・・ 」

「 お待たせ。 コドモみたいって怒らないでね? ホットミルクなんだけど・・・  あら? 」

フランソワーズが小走りに戻ってきた。

「 あら。  」

「 ああ 眠ってしまった。 」

「 そう・・・ でも眠れば早く元気になれるわよね。 」

「 うむ。  ― この少年 ・・・ 邪悪なモノは感じられない。 」

「 まあ  よかった・・・ きっとあの崖から足を滑らせたのね。 」

「 ・・・ フランソワーズ。 お前も今日は早めに休め。 まだ あんなに駆けてはいけない。 」

「 は〜い ・・・ふふふ 正直言ってちょっと疲れちゃった・・・ 」

「 まだ無理をしてはいけない。 海風はまだ冷たいぞ。 」

「 はあい。   ・・・ ねえ? 皆は ・・・ どうしているのかしら。 」

「 もうすぐ定時連絡が来る。  安心しろ、非常通信はない。 」

「 そう ・・・  ジョー ・・・も 元気よね。 」

「 ・・・ああ 」

「 それなら ・・・ いいけど。  あ 食事の用意くらいさせてね。 」

フランソワーズは ベッドの少年にもう一度視線を当ててから静かに出ていった。

 

 

 

彼は  ジョゼフ  と言った。

海にほど近い施設で暮らしていた。 子供の頃、事故のショックで言葉が出なくなってしまった、という。

しかし どうしてもそれ以上のことを思い出すことができなかった。

どうしてこの地にいるのか、 何故崖っぷちまで行ったのか ― 彼は全く覚えていない。

それどころか身許、いや 苗字さえ判らない。 断片的な記憶があるだけのようだ。

アタマの中に部分的に霧が掛かった状態らしかったが 怪我の回復は早かった。

 

「 すこし散歩してみない? 」

[ いいのですか。 あの ・・・ アナタは? ]

「 ふふふ わたしはもう病人じゃないわ。 あ・・・ アナタ じゃなくてね ・・・」

フランソワーズは彼の差し出したメモを手にとった。

「 アナタ じゃなくて っと ・・・ フランソワーズ よ。」

二本線で消して。  フランソワーズ、と書き足した。

[ フランソワーズ。  キレイな名前ですね ]

「 ありがとう♪ ねえ あの・・・ジョゼフはいつも ジョゼフ って呼ばれているの? 」

[ はい。 僕は ジョゼフですけど・・ なにか・・・?

「 あ ううん ううん!  なんでもないの。  あの ・・・ もしかして ジョー って

 呼ばれてたかな〜 なんて思っただけ。 」

[ ああ。 僕を育ててくれた人はいつでも ジョゼフ と呼びました ]

「 そ そう・・・ あら、なにか思い出して? 」

[ ・・・ すみません ・・・ その他にはなにも ・・・ ]

「 あ 気にしないで・・・ そのうち思い出すわ、 きっと ・・・ 」

二人は そんな会話を交わしつつ 浜辺をゆっくりと歩いていた。

ジョゼフの怪我はほとんど治り、ジェロニモも彼をフランソワーズのボディガードと認めていた。

 

崖っぷちの家から 坂道を降りて海岸に出た。

季節外れなので人影はなく、 ただただ 風と波が戯れているだけだ。

「 こっちの方が  きゃ・・・ 」

フランソワーズが思わず砂地に足を取られ よろけた。

「 ・・・・!!  ううう う〜〜 ! 

咄嗟にジョゼフの手が彼女を支える。

「 ・・・ あ  ありがとう・・・ 」

「 ・・・・・・ 」

言葉はなくても 優しい眼差しが返ってくる。

 

     ・・・ ジョー ・・・ !  いえ  ちがうわ ・・・

     でも ・・・ この眼は ・・・ この眼差しは ・・・

 

フランソワーズはさり気なく彼の手を外す。  海に眼を逸らす ・・・

温暖なこの地方なので海風の冷たさは日増し減ってきている。

陽射しの煌きには どこか早い春が見え 空に浮かぶ雲にも確実に次の季節の到来が感じられる。

ふわり、と髪を撫でてゆく風にも凍える鋭さは もうない。

足元に時折跳ねる飛沫は 冷たい礫ではない。

「 ・・・ いい気持ち ・・・ 」

[ アナタ・・・あ 違った・・・ フランソワーズの具合は? 病気なのですか? ]

「 ああ わたし、病気とはちょっとちがって。  耳がね、聴覚の具合が悪くて。

 ちょっと・・・ そう、事故に遭って聞こえないの。

 < 家族 >が戻ってくるのを待っているの。 」

[ そうですか ・・・ 家族がいるんだ、 いいなあ ]

「 ジョ ・・・ いえ ジョゼフは? 

[ 僕は。 わからない、でも・・・多分ずっと施設にいた、と思います。 ]

「 そう ・・・ 」

[ すみません。 ご迷惑をかけて ]

「 そんなことないわ。 ゆっくり養生してね、ほら擦り傷がまだいっぱい・・・ 」

[ あは  こんなの、舐めておけばすぐに治ります。 ]

「 ・・・ いいわね ・・・ 羨ましいわ ・・・ 」

[ ・・・え?? ]

「 あ ごめんなさい、独り言よ。  あの ・・・ 聞いてもいいかしら。 」

[ なんですか。 ]

「 あの ・・・ ジョ ・・ ジョゼフの 」

[ どうして喋れないかってことでしょ。  ショックで聞こえないって。 でも僕自身にもわからない。 

 けど、 聞こえるから。 こうやってメモを書くの、なれてる気分だもの。 ]

「 そう・・・ きっとなにか事故とかに遭ったのね。

 そうだわ! あの ・・・ < 家族 >が戻ってくれば、治せるかもしれないわ 」

[ ?? ドクターでもいるのですか? ]

「 え ・・・ ええ ちょっと違うけど・・・ でも記憶のこととかも解るかもしれないわ。 

[ そうだったら嬉しいです。  でも ・・・ ご迷惑じゃありませんか?  ]

「 ぜんぜ〜〜ん!  ねえ そんな遠慮はやめて。

 怪我をした人がいれば 手を貸してあげるでしょう、誰だって。 」

[ ・・・ そういう人は少ないですよ、この頃・・・ 

「 もう! じゃ ・・ そうね、わたしはとてもお節介なのよ。 

 ジョゼフはお節介なヒトはキライ? 

[ お節介だなんて・・・ すごく感謝しています。 ]

「 それならね、わたしのお願い、聞いてくますか? 

[ え。  お願い? ]

「 そうよ。 ダメ? 

[ 僕に出来ることなら。 ]

ジョゼフはちょっと困った顔をした。

「 うふふ・・・ あのね、 一緒に海辺を散歩して遊んで欲しいの。 」

[ え・・・ だって今 散歩していますよ? ]

「 ええ。 だから。 遊んで? わたし、一度浅瀬で遊んでみたかったの。 」

[ はい じゃ 一緒に <遊び> ましょう。 ]

「 嬉しいわ〜〜  いっつもね、 そんな子供っぽこと、って言われそうで・・・ 」

[ ?? 誰に。 ]

「 ・・・あ ! ううん ううん なんでもないの。 

 あ ねえ あっちの岩場に行ってみない? 磯溜まりがあって・・・ 

 小さな魚やカニがいたりするのよ。  あれを捕まえてみたいの。 

[ いいですよ。  でも海に入っても大丈夫? 

「 病気じゃない、って言ったでしょう? ねえ あっちよ!  」

フランソワーズは ぱっと駆け出した。

なぜか ―  ジョーと渚を駆けている気がして 胸が高鳴る。

 

     ・・・ ジョー ・・・!  

     ジョー・・・ どうしているの。  早く帰ってきて・・・!

 

「 ・・・ ほら ここよ?  」

「 ・・・・はあ   う ううう ? 

ジョゼフはやっと追いついて息を整えている。 

「 ね? あら お魚がいるわ?  ねえ 捕れる? 」

[ もう〜〜  とんだお転婆さんなんだね、フランソワーズって ]

「 うふふふ ・・・ ジョゼフ。 やっと普通に <喋って> くれたわね。 」

フランソワーズは トン・・・とメモ帳を突いた。

 なに・・・??といった顔でジョゼフが首を傾げる。

「 普通におしゃべりして?  丁寧な言い方、しなくていいの。 」

[ 目上の人には丁寧に・・・って教わりました。 ] 

「 目上って ・・・! と 年上っていう意味? 」

気色ばんで見つめれば 茶色の瞳は笑っている。

「 ・・・ もう〜〜 意地悪!  そりゃ・・・ちょっとはわたしの方が年上だけど ・・・

 でもお友達なのよ、普通の話してほしいわ。 」

「 わかりました。 ] 

「 もう〜〜・・・! ちょっと貸して? 」

フランソワーズは彼の手からボールペンをとりあげようとした。

ジョゼフは笑って彼女から逃げだしてから メモ帳をみせた。

[ わかりました ・・・じゃなくて わかったよ。  これでいい? ]

「 はい、 オッケー。   ね、 お魚、捕れる? 

 ほら〜〜〜 あれ!  あのキレイなのが欲しいわ〜 」

フランソワーズは磯溜まりの脇に屈みこんでいる。

「 ・・・ ?? 」

どれ? とジョゼフが身振りで示した。

「 ほら〜〜 あれ あれよ!  ・・・ああ 逃げたア〜〜 」

[ ・・・ 貝で我慢してほしいな。 ]

「 う〜〜ん・・・ いいわ。  でもキレイなの、捜して? 」

[ 了解〜〜 ]

「  ・・・・ あ ・・・・ 」

こつん ・・・ と彼女の胸にその文字が響いた。

<了解> ・・・ 何回 いや 何百回 ジョーの口から、そしてアタマの中で聞いた言葉だろう。

 

    このコは ・・・ わたしのジョー・・・じゃない ・・・

 

[ ? どうしたの?  なにか気に触ること、言った? ]

セピアの瞳が彼女を覗き込む。

「 ・・・ う ううん! なんでもないの、ごめんなさい。 」

ぷるん、とアタマを振ってちょっと空を見て。

「 ふふ ・・・ そろそろお茶の時間ね?  戻りましょうか。 」

[ あれ・・・ 貝はいらないの、お転婆さん ]

「 ・・・ この次で我慢するわ。 それより咽喉が乾いたの。 」

[ ああ そうだね。  ・・・ 疲れてない? ]

「 全然。  いい気持ち ・・・ 今晩はよく眠れそうよ。 」

[ 僕も。  ・・・ 海は ・・・ いいね。 ]

「 ええ。 海は ・・・ 素敵ね。 早く 音が 聞きたいわ・・・ 

 ・・・・ とん。

少年の手が彼女の背を優しく叩いた。 

「 ・・・ ありがと ・・・ 」

二人は自然に寄り添い ・・・ どちらからともなく手を差し伸べ。手を繋いで歩いていった。

海鳥が数羽、ねぐら目指して夕空を横切っていった。

 

 

 

 

「 ひえ〜〜〜 すげ〜雪だぜ! 

ハッチが開いた、と思ったら次の瞬間 雪塗れののっぽがコクピットに飛込んできた。

「 アイヤ〜〜〜 あんさん、ここいらに雪、散らしたらあかんがな! 」

「 おい。 水分は厳禁だぞ! 」

「 ってよ〜〜  この空、飛んだらしゃ〜ね〜じゃんか。 傘 差して飛べってか〜〜 」

文句いいつつも、ノッポの赤毛は入り口近くにもどり ばんばん雪を叩いている。 

「 それで どうだ? 」

「 う〜ん ・・・ ま、かなり巧妙にカモフラージュしててよ。

 精度の高いサーチがいるな〜  やっぱフランの 目と耳 がさ! 」

「 だから それナシでどうするか、がモンダイなんだよ。 」

「 ふん!  で ジョーのヤツは? 」

「 うん ・・・ 博士が大急ぎで簡易メンテをやってくれたんだ。 異常なし だって。 」

「 え!? けどよ、ヤツは・・・ 」

「 博士にもわからないそうだ。 」

「 オッサン! わからない、じゃすまね〜よ! 」

  ダン ・・・! 赤毛ののっぽがコンソール盤を叩いた。

「 煩い。  無駄に騒ぐな。 」

「 けど! 」

  ―  シュ ・・・!

コクピットのドアが開いた。

「 博士! ヤツは!? 」

「 おい。  静かにしろ。 博士は疲れてる。 」

博士は重い足取りで隅の席に座った。

「 ふむ。 ・・・ どこにも異常はない。 身体の機能も人工頭脳も正常だ。 」

「 なら! 」

「 しかし 目覚めんのだ。  なぜかわからんが 009は眠っている。 とても深く・・・ 」

「 深く? 」

「 そうじゃ。 無理矢理に覚醒させれば脳組織を損傷してしまうかもしれん。

 ともかく ここではこれ以上打つ手がないのだ。 」

「 博士。  研究所に戻ればなんとかなるのですか? 」

「 少なくとも 今よりは有効な治療を試みることができる。 」

「 それなら 僕たちが出来るコトはだたひとつ だね。 」

「 ハイな。  善は急げっちゅうことや。 」

「 そうだ。  ― ジェット、もう一度 」

「 オーライ! 」 

「 我輩も行くぞ。 」

全部聞かずに 赤毛とスキン・ヘッドが飛び出してゆく。 」

「 ったく気の早いヤツらだ! 」

「 いいよ、それで一時間でも早くカタがつけば。 それで一時間でも早く帰還しようよ。

 そして一時間でも早く ! 」

「 誕生日や!  フランソワーズはんの誕生日、ジョーはんがおらな あかん。 」

「 そうだな。 博士、 ドルフィンを動かしてもオッケーですか。 」

「 ああ ・・・ しかし ・・・ 」

「 ほな、行きまっせ〜〜 ワテらが本気、出したらどないなるか。 」

「 ・・・ あ。 データが飛んできたよ? 」

「 ふん ・・・ よし。 出撃だ。  その足で帰還するぞ! 」

「 アイアイ サー。 」

吹雪の中、 空飛ぶイルカは獲物を仕留めに悠々と発進していった。

 

   ―  003。  すぐに帰還するからな、 009と一緒に  ・・・! 

 

 

 

Last updated : 05,31,2011.                    index       /      next

 

 

 

***************  途中ですが

・・・・ 続きます!

原作あのオハナシ、のつもりだったのですが 途中から妄想が暴走し・・・

ただの93らぶ話になりそう〜〜〜 (;O;)

あ ・・・ 作中のジョゼフの会話 [  ] は メモ帳に書かれた文字、

と思ってくださいませ <(_ _)>