『  明日もいい天気 ― (1) ―  』

 

 

 

 

 

  かちゃかちゃ     じゃ〜〜〜      がさごそ  

 

そんなどこの家庭からでも聞こえてくる < 朝の音 > が

ここ ― ギルモア邸でも盛大に響く。

 

「 すばる〜〜〜 歯磨き 終わりましたか〜〜 

「 ・・・ む〜む〜〜〜〜 」

「 え?? まあだ? 」

「 まだ!  おか〜さん すばるってば〜〜

 はみがき なめてるんだもん。 いちごあじ おいし〜って 」

「 もう! すばる、はみがき 食べない! 

 すぴかさんは? もう終わった? 」

「 うん!  ほら みて〜〜〜 」

「 どおれ・・・ わあ〜 ぴかぴかだあ〜

 じゃ 幼稚園の制服に お着替えしましょう ? 」

「 うん え〜と せいふく  どこ〜 」

「 ほら ソファのとこに制服 おいてあるから。

 一人でできる かな〜〜〜? 」

「 できる! 」

「 そう? じゃ すばる、見てくるから お着替えしててね〜 」

「 うん! アタシ ひとりで できるも〜〜ん 」

「 そうね 

フランソワーズは エプロンで手を拭いつつ バス・ルームに

駆けてゆく。

 

「 すばる?? はみがき ・・・ うわ?? 」

「 ・・・ おか〜さん ・・・ おみず だしたら じゃ〜〜って 」

洗面台の周りを びたくたにして ― 本人もびたくた になって

 すばるば 半ベソになっている。

「 あ〜〜〜 びしゃびしゃねえ 」

「 ぼ 僕ぅ〜〜〜〜  ・・・ ひっく! 」

「 あ 泣かない!!  ほら これで拭いて 」

 

  バサ〜〜〜  母は バスタオルを息子のアタマからかぶせた。

 

「 むに?? 」

「 はい  くしゃくしゃくしゃ〜〜〜 して  」

「 む むにゅ〜〜 」

彼女の息子は バスタオルの中でもごもごしている。

「 ほ〜〜ら すっかり拭けたかなあ〜〜〜 」

「 えへ  えへへへ〜〜 ごしごし〜〜〜 」

「 おか〜さんッ  アタシ せいふく  きれた〜〜〜 

 

  バタンッ  すぴかが飛び込んできた。

 

「 ああ すぴか・・・ ちゃんと着られたかな〜 

「 うん!   あれえ?? すばるは? 」

「 む〜〜〜〜 ここ ! 」

「 うわ?? たおるおばけ?? 」

「 そ〜だよ〜〜ん♪ 」

「 あはは〜〜〜  くしゃくしゃ〜〜〜 」

「 うふふ くしゃくしゃ〜〜 」

コドモ達は バスタオルの中と外で互いにもみくちゃになっている。

「 あ〜らら・・・・ すばる? ちゃんと拭けた? 」

「 え へへへ〜〜 

「 じゃ 制服に着替えよっか 

「 あ〜〜 うん 〜 」

「 アタシ いっしょするよ〜ん 」

「 すぴかさん お願いね〜〜 」

「 わはははは〜〜〜〜 

「 うふふふふ〜〜〜 」

双子たちは 団子になりつつリビングに駆けていった。

 

   ふう ・・・ やれやれ・・・

   なんとか なる か・・・

 

洗面台の周りは びたくただけど そこは目を瞑ることにした。

防水コーテイングがしてあるし  ― なんとかなるだろう。

 

   さて 急がなくちゃ〜〜

 

フランソワーズはエプロンと外しつつ リビングに戻った。

 

 

「 じゃあね ママン、レッスンに行ってくるから ・・・

 二人とも いいコで幼稚園 行くのよ〜〜  

チビ達は なんとか制服を着て帽子も被り 準備おっけ〜 の様子だ。

「「 はああ〜〜い  」」

「 博士 お願いします 」

「 おうおう これはワシの役目じゃから 任せておくれ。

 ちゃんと園バスに乗せるよ 

「 おじ〜ちゃまといっしょ〜〜♪ 」

「 いっしょ〜〜♪ 」

「 すみません ・・・ 」

「 ほらほら お母さんや。

 はやく行きなさい、30分のバスに遅れるぞ  

「 はい イッテキマス 」

「 いってらっしゃ〜〜い おか〜さ〜〜ん〜〜 

 あ アタシ〜〜〜 おと〜さん おきて〜っていってくる 」

「 僕も 僕も〜〜〜 」

「 ほう それじゃ 二人に頼むかな? 」

「「 うん !! 」」

 

 おと〜さ〜〜ん と 叫びつつ子供たちは二階へ

駆け上がってゆく。

 

「 ふふ ・・・ ジョーよ? すぐに台風がゆくぞ?

 寝坊大王 も起きざるをえんだろう ・・・ 

博士は 苦笑しつつ チビっこ台風 を見送った。

 

― 十分後 

寝ぼけマナコのお父さんに < いってらっしゃい > を

してもらい、 双子たちは機嫌よく出かけていった。

 

「 おと〜〜さ〜〜ん いってきま〜〜〜す 」

「 ま〜〜〜す 」

「 おう 〜〜〜 」

 

チビたちのキンキン声は 晴れた空に吸いこまれてゆく。

 

「 やれやれ ・・・ 」

ジョーは スウェットの裾をひっぱりつつ 庭用サンダルをつっかけ

ぽてぽて・・・ 玄関に戻ってきた。

「 う〜〜・・・ いくらぼくでもなあ〜〜〜 二人いっぺんに

 のっかられると ・・・ ううう・・・どっか破損してないかなあ

 あとでちょこっと加速してみるか ・・・ う〜〜   」

お腹をさすり さすり 009は 玄関からバスルームへ。

「 はあ〜 顔も洗ってなかった な・・・ 」

 

   びちゃん。  彼のスリッパは見事に水没した。

     

「 おわ?? なんだ びしゃびしゃじゃん ・・・? 

 あれえ・・・ 洗面台からか?  」

気がつけば 隅っこにバスタオルが捏ねてある。

「 ・・・ ははあ〜〜 チビ達 水飛ばしたなあ?

 やれやれ よっと〜〜 」

ジョー は ハナウタ混じりにバスタオルを洗濯カゴに放り込み

雑巾を持ってくると丁寧に周りを拭いた。

「 ふんふ〜〜ん♪  これでさっぱり〜〜

 あ そだ〜〜 ついでにやっとくかあ〜〜 」

彼は ズボンの裾をまくりあげると 洗面台と

さらに 風呂場までちゃちゃ〜〜っと掃除し始めた。

 

「 おっけ〜〜っと。 さあ 朝メシ〜〜〜 ♪ 」

 

さらにさらに上機嫌で ジョーはタオルを首に キッチンに降りていった。

「 朝メシ〜〜〜  おお オムレツ〜〜〜 ♪ 

 フランのオムレツ〜〜  冷めても美味しいんだぜ?

 ああ シアワセだなあ〜〜〜 」

ジョーは たちまち朝食を平らげた。

「 あ〜〜 ウマかった♪ これが家庭の幸せさ ・・・

 あ 洗濯モノ! 出勤前に乾しておかなくちゃな 

彼は ささ〜〜〜っと食器を洗い ( シンクに置きっぱなし

 だったすばるのカップも洗った! )

バスルームに駆けていった。

 

「 ほい ただいま ・・・  ジョー? 」

博士が コドモ達を園バスに乗せ、戻ってきた。

「 ?? もう出勤したのかな 

「 あ 博士〜〜〜  お疲れ様です〜〜 

外からジョーの声が 飛んできた。

「 ジョー? どこだい 」

「 裏庭で〜〜す 洗濯モノ干し場 〜〜 」

「 おお 頼むなあ 」

「 はい〜〜〜 」

彼は ご機嫌ちゃん なのだ。

「 ・・・ ふうむ ・・・ ほんに変わったヤツじゃなあ 」

 

  ぱたぱたぱた   サンダルを鳴らしジョーが戻ってきた。

 

「 乾し作業 完了〜〜 ぼく 出勤しますから

 博士〜〜 午後に取りこんでくれますか 」

「 ああ 任せておくれ 」

「 お願いしま〜す  じゃあ イッテキマス 」

「 おいおい ちゃんと着替えろよ? 」

「 あ いっけね〜  ははは ジャージで出勤するとこでしたよ〜 

 ちゃちゃ・・・っと着替えてきます〜〜 」

彼は くすくす笑いつつ 二階に上がって行った。

「 ・・・ アイツ ・・・ ほっんとに

 100% 天然 なんだなあ 」

どうして 彼が009なのか?? 博士はしばし

アタマを抱えて考え込んでいた。 

「 あ いってきま〜〜〜す 

ジョーは 日本晴れ?の笑顔で 悠々と出勤して行った。

 

 

 ― さて 時計の針はぐる〜〜っと巡り 午後となり・・・

 

「 ただいま戻りましたッ ! 」

 

  バタン。  ぼん。 ごとん。

 

玄関のドアが開き フランソワーズの声がする。

「 コドモたち お迎えに行ってきます〜〜 」

「 ああ お帰り。 頼むよ  

 ああ 洗濯モノは取り込んでおいたから 安心をし  」

「 ありがとうございま〜〜す  いってきます! 」

博士の声に返事をしてすぐに玄関から また飛び出してゆく。

 

   シャ −−−−− ・・・・ !

 

ほどなくして銀色の 一見・ママちゃり が

邸の前の急坂を おっそろしいスピードで降りて行った。

 

「 ふんふ〜ん・・・ ああ いい気持ち♪

 もうすぐ春〜〜〜  あ チビ達の春服、用意しなくちゃね〜 

 あっという間に 大きくなるから た〜いへん  」

 

  シャ −−−  自転車は軽快に商店街通り目指し走っていった。

 

園バスの停留所?まで飛ばすと 待つほどもなく園バスがやってきた。

 

「 はい しまむら すぴかちゃん すばるクン 

 さよ〜なら〜〜〜 

「 さよ〜ならあ〜〜〜 めぐみせんせい 」」

若いお姉さんみたいな幼稚園の先生が 双子をバスから

降ろしてくれた。

「 しまむらさ〜ん 失礼しま〜す 」

「 やまだ先生〜〜 ありがとうございました〜 」

フランソワーズは 丁寧にお辞儀をする。

「 ただいま〜〜〜 おか〜さ〜〜ん 」

「 おか〜さ〜〜ん 」

  

    ど 〜〜〜 ん ・・・ !

 

色違いのアタマが 左右から抱き付いてきた。

「 は〜〜い お帰りなさい すぴか すばる。

 元気でお友達と遊びましたか 」

「 うん! アタシね〜〜〜 てつぼう やった! 」

「 ・・・ 僕 でんしゃでね〜〜 ご〜〜って 」

「 そうなの? さあ お家にかえりましょうね〜

 すぴかさん すばるくん 自転車にのって 」

「 うん! アタシ まえ! 」

すぴかは 一人でさっさか自転車の前座席によじ登る。

「 僕 ぅ ・・・ おか〜さんのうしろがいい〜 

「 いいわよ、ほら すばるクン 乗ってください。 」

「 う〜〜〜 

「 おか〜さん アタシ じゅんびかんりょう〜 」

「 はい。 お母さんも乗りました。 すばるクン? 」

「 ・・・ おか〜さん のせて 

「 自分で乗れるでしょう? お母さんのコートに掴まっていいから

 えいっ! て 登ってごらん? 」

「 ・・・  僕 ぅ ・・・ 」

「 ! すばるってば〜〜 」

 

   すとんっ!  

 

「 あ すぴか 」

すぴかは 身軽に前座席から飛び降りると たたた〜〜〜っと

弟の脇に駆け寄った。

「 すばる〜 いっ せ〜〜の〜〜せっ ! で じゃんぷ 」

「 ・・・ すぴか 」

「 い? いっ せ〜の〜せっ ! 」

「 ・・・せ・・・! 」

同じ日に生まれた姉に オシリを押してもらい 

すばるは なんとか後ろ座席に転げこんだ。

「 ぼ 僕 のれた ・・・ 

「 さあ お母さんのコートに掴まって すばるクン 」

「 う うん   

「 ぱぴゅっ!  ・・・ のったよ〜〜 アタシ! 」

すぴかは 自転車の前までダッシュし 即行で それこそ

飛び上がるみたいにして 前座席に座った。

「 おか〜さん いこ! 」

「 ― すぴかさん すごいわねえ〜〜〜 」

「 えへへ〜〜  」

 

    このコ、 確かにジョーの子だわねぇ

    すばるのビビリは 誰に似たのかなあ・・・

 

    同じ日に 二人ともこのわたしから生まれたのよねえ

     ―  どうしてこんなに違うの?

 

フランソワーズは 最近つくづく思うのだ。

同じ両親から生まれ 最も長く < 一緒 > にいるはずなのに

二人のこの違いはなんなのだろう と。

 

すぴかは 見た目 は 母に似ている。

すばるは 見た目 は 父の小型版だ。

 

  だけど。 

 

中身 は 母とも父とも ぜ〜〜〜〜〜んぜん違う。

そして お互いも ま〜〜〜〜〜ったく違う性格なのだ。

 

 

「 ふう ・・・ 子育てとは まったく未知との遭遇だわ 」

「 おか〜さん! みち が なに?? 

耳がいいすぴかが 母の呟きをすぐに拾いあげる。

「 え? 」

「 みち いつものみち  だよね? 」

「 あ? え ええ そうよ。 いつもの道を通って

 ぱぴゅ〜〜〜っとお家に帰りましょう 

「 うん!  びゅう〜〜〜ん って いこ! 」

「 そうね? よ〜〜〜し お母さん はりきっちゃう〜〜 

 すぴか すばる? しっかり掴まってるのよ〜 」

「 きゃい〜〜♪ 」

「 ・・・ ぼ 僕 やだ! おか〜さん びゅう〜んって やだ 」

後ろから 半ベソの声が聞こえてきた。

  きゅう〜〜〜。  

母の背中に生暖かい存在が 張り付いてきた。

「 すばる?  大丈夫 怖くないから 」

「 やだ! びゅう〜〜んって やだ! 」

「 そんなに飛ばさないわよ 大丈夫。 でもね しっかり

 捕まっていてね 」

「 ・・・ やだ ・・・ ひっく ・・・ 」

「 すぴかさ〜〜ん すぴかさんも しっかり掴まって 」

「 りょ〜〜かい! 」

 

    え〜〜い ここは ホンキだそっかな〜〜

 

  ぐい。  フランソワーズは 自転車のペダルを力強く踏み込んだ。

 

          ばびゅ〜〜〜ん!  

 

前と後ろにチビを積みこんだままちゃりは 信じられない速さで

急な坂道を 駆け上がっていった。

 

 

「 ただいまあ〜〜〜 おじ〜ちゃまあ〜〜〜 

「 ・・・ただいま ・・・ 」

「 戻りました〜〜  さあ 二人とも 手を洗ってウガイして  

「 はあい。 あ せいふく おきがえするね 」

「 そうね すぴかさん、すばるクン お着替え してきましょう 」

「 はあい。  すばる いこ! 」

「 あ うん ・・・ 僕のおくつ ・・? 」

「 え??  あら 片っぽ どこ? 」

「 僕のおくつ ・・・ 僕のおくつ ない〜〜〜 

「 あらら 自転車に乗ってる間に 落としちゃったかしら 

「 あ〜〜 そうかも〜〜 すばるってば 」

「 うう・・・ 僕のおくつ ・・・ 」

すばるは またもじわ〜〜〜〜っと涙目だ。

「 泣かない! 大丈夫 お母さんが探してくるから。

 さ すばるクン、すぴかさんと一緒にお着替えしていらっしゃい 」

「 すばる〜〜〜 いこ! 

「 う  うん ・・・ 僕のおくつ ・・・ 」

「 いこ! 」

すぴかは 弟の手を握り ずずずず〜〜〜っと引っ張っていった。

「 すぴかさ〜〜ん お願いね〜〜

 えっと すばるの靴は ・・・?   ちょっとルール違反だけど 」

彼女は じ〜〜〜っと宙を睨む。

 

     ん〜〜〜〜〜〜 ・・・・  あった! 

 

すばるの片っぽの靴は 坂の途中に転がっていた。

「 み〜〜つけた♪  うふふ〜〜 003でよ〜かった♪ 」

玄関をそっと開けると 彼女は身軽に駆けていった。

 

 

「「 ごちそ〜〜さま でした 」」

オヤツを食べ終わり 食卓の前で双子はきっちり手を合わせた。

「 はい。 じゃあ 二人とも手を洗ってきてから 

 < おしごと > お願いします。 」

「「 はあい 」」

すぴかは 子供椅子から飛び降り すばるはずりずり〜〜にじり降り

バス・ルームに駆けていった。

「 ・・・ やれやれ ・・・ 」

母は 溜息をつきつつ、散らばったビスケットのカケラとか

お煎餅の粉を拾い、テーブルにこぼれたミルク・ティの雫を拭きとる。

「 ・・・ ま 元気でなにより か・・・ 」

 

   ドタドタドタ ・・・・ チビ達が戻ってきた。

 

「 おか〜さん! おしごと するね 

「 おしごと 〜〜〜 」

「 はい お願いします。 エプロン しましょうね 」

「「 うん♪ 」」

お揃いのエプロンを着せてもらい 双子はご機嫌ちゃんで

玄関に向かう。

双子には < お仕事 > がある。

すぴか は 玄関の掃除。

すばる は 玄関前の小路の 門までの掃除。

博士が作ってくれた チビ・箒を二人とも結構上手に使うのだ。

 

この < お仕事 >、一度は 取り替えっこ をしたけれど

すぐに 撤回された。

なぜって ― 

すぴかは 玄関の外にでれば 庭中、箒を持って走りまわり

すばるは 靴箱の中身を、家族全員の靴をひっぱりだしていたから。

 

 「 二人とも〜〜 お仕事、終わったかな〜 」

 

しばらくすると お母さんが買い物カートをひっぱり

玄関に現れる。

 

「 アタシ おわった〜  きれいにしたよ 」

「 あらあ〜〜 すぴかさん すご〜〜い お玄関 ぴかぴか♪

 と〜〜ってもキレイになったわあ 」

「 えへへ ・・・ おぞうきん でね ごしごしした!  

「 すごい! お雑巾、使ったの? 」

「 ウン。 おと〜さんに きいた 」

「 まあ すごい! ありがとう すぴかさん 」

「 えへへ  ね おつかい ゆく? 」

「 ええ 行きますよ。 すばるクンは お仕事 終わったかな 」

「 すばる〜〜〜 ? 」

すぴかは もう玄関から飛び出している。

「 おか〜さん すばる おわったって!  」

「 そう? すばるクン? 」

母も 外に出てみれば 彼女の息子は 枯葉や落ちた枝を

丹念に箒で集めていた。

「 あ おか〜さん  すぴか〜 」

「 すばるクン お掃除は終わりましたか 」

「 ウン。 あのね〜 はっぱのしたに 虫さん がいた! 」

「 まあ そうなの? 」

「 うん。 虫さん とうみん してたのかな〜 」

「 そうかもね  そうっとしておいてあげたら? 

「 うん! 僕 またはっぱ、おいてあげたの 

「 すばるクン ありがと〜〜って 虫さんが 」

「 えへ〜〜〜 

どうりで 門までの通路にはあちこちに枯葉が寄せてあった。

 

   ・・・ ま いっか。

   掃除したことには変わりないし・・

 

フランソワーズは いろいろ細かい点には悩まない。

というか 目を瞑る。

 

   だって! そんなヒマ ないんですもの!

 

うだうだ・くよくよしてたら 御飯を作れなくなっちゃうのだ。

 

「 さあ〜〜 二人とも? お仕事 終わったかな〜 

「「 うん !! 」」

「 はい ありがとう。  じゃ エプロン、外して お手々洗って。 

 そしたら コートを着ていらっしゃい。

 お買い物に行きますよ〜 」

「「 わい〜〜〜 ♪ 」」

チビ達は 先を争ってバス・ルームにいった。

 

オヤツとお仕事が終われば お母さんと一緒にお使いに出かける。

下の商店街まで晩ご飯の材料を買いにゆく。

駅向こうの大型スーパーの方が安いし必要なものは

たいてい揃うので便利なのだが ―

 

   商店街の方が いいわ。

   いろいろなお店があって 楽しいし・・・

 

   皆 優しいのよ、お店のヒトも町のヒトも。

   チビ達も 買い物や荷物持ちの練習になるわ。

 

   ここは 本当に暮らしやすい町よねえ 

 

フランソワーズは 子育てをしつつローカル・ライフを

上手に楽しんでいた。

 

「 おか〜〜さ〜〜〜ん  はやく いこ〜〜〜 

「 いこ〜〜〜〜 」

チビ達が 門の側で待っている。

「 はいはい 今 行きますよ〜 ちゃんとコート、着たかな〜  」

「「 きた!!! 」」

「 では しゅっぱ〜〜つ ! 」

「「 しゅっぱ〜〜つ〜〜〜 」」

 

   そ〜らは あおぞら い〜てんき〜〜♪

 

三人は 手を繋いで坂道をとんとんと〜ん ・・・と降りて行った。  

 

 

 

 ― さて。 その夜のこと ・・・

 

賑やかな晩御飯が終わり 歯磨きをし おやすみなさい をして。

お父さんはまだ帰ってこないけれど すぴかもすばるも

パジャマで 子供部屋に駆けてゆく。

 

しばらくして フランソワーズが静かにリビングに戻ってきた。

 「 ふう ・・・ 」

「 チビさん達は 寝たかい? 」

「 はい。 すぴかなんか ベッドに潜ったまま すぐにことん。 」

「 あはは すぴからしいのう〜〜 すばるは? 」

「 お話 二つして やっと寝ましたわ 」

「 そうか そうか ・・・ 母さん、お疲れ様じゃったな 」

「 いいえぇ ・・・ まだ もう一人。 

「 おお そうじゃなあ そろそろ帰ってくる かな 」

「 そうですねえ ・・・ 」

「 ・・・ お前も大変じゃなあ 」

「 ふふ もう慣れました ・・・ あ  お茶、淹れなおします? 」

「 いいよ いいよ。 ワシももう寝るとしよう。

 おやすみ フランソワ―ズ 」

「 お休みなさい 

博士は 湯呑みと 英字新聞を持って寝室に引き上げていった。

 

    ふう ・・・ そろそろ 帰ってくる かな〜〜〜

 

フランソワーズは テーブルの前で熱々のお茶を ゆっくり楽しむ。

今日もあれこれ忙しかったけど なんとか皆笑顔で終わった と思う。

 

    あ〜〜〜 ・・・ いいわぁ〜〜

 

彼女はこのひと時が お気に入りタイム なのだ。

 

  ―  やがて ・・・

 

 カチャリ。  玄関のドアが静かに開いた。

 

「 ただいま 」

「 ジョー!   お帰りなさ〜〜〜い ! 」

フランソワーズは 全てを放りだし玄関に駆けてゆく。

「 お帰りなさい!  お疲れさま〜〜 」

「 フラン  ただいま 」

 

大きな手、暖かい手が 彼女を抱き寄せる。

しなやかな腕が 彼の首に絡みつく。

 

   うふ・・・ お帰りなさい 

   ただいま ・・・ 

 

< お帰りなさいのキス > は 二人が結婚した日からの

習慣なのだ。

 

「 夜はまだ冷えるね 」

「 そうね 熱々のけんちん汁よ 」

「 うわお♪ いいねえ〜〜〜 」

「 手 洗ってウガイしてきてね 

「 ウン。 あ ちょっとさ  チビ達 見てくるね 」

「 ええ。 布団からはみ出てたら 掛けてやってね 」

「 了解♪ 」  

 

ジョーは バス・ルーム経由で子供部屋に上がってゆく。

 

「 ・・・ とんとん?  もう寝てるよなあ 」

彼は 足音を忍ばせチビ達のベッドの側に寄る。

 

すぴかは ぐ〜ぐ〜眠っている。  

ベッドからころがり落ちても そのままで寝てる子なのだ。

すばるは タオルケットを抱きしめ 眠っている。

眠っていても ほんのり笑顔 な子である。

 

「 すぴか すばる ・・・ ぼく達のとこに

 生まれてきてくれて  ありがとう ・・・ 」

 

ジョーは いつになくじ〜〜〜っと我が子達の寝顔を眺めていた。

 

 

「 ― あ〜〜〜 美味しかった ・・・ ! 」

ジョーは 満足気に箸を置いた。

「 よかったわ  あ デザート、召しあがる? 

 イチゴがあるのよ 」

「 あ  う〜〜ん  ・・・ 今晩は いいや 」

「 そう?  ―  ねえ なにか あった? 」

「 ― え。  どうして 

 

 

Last updated : 03,31,2020.                index     /     next

 

***********   途中ですが

お馴染み 【 島村さんち 】シリーズです。

中途半端なトコロで終わっていて すみませぬ〜〜〜

もう一回 お付き合いくださいませ <m(__)m>