『 雨のち
・・・ 晴れたらいいな ― (1) ― 』
******* はじめに *******
このお話は『 わが心にも・雨上がり 』 の続編です。
§ フランソワーズ
・・・・ ったく もう・・・!
ダンダンダン ―! フランソワーズは足音も高く ( ちょっとわざと ) 廊下を歩く。
もっとも特殊素材の床に吸音加工した絨毯が敷かれているので期待したほどの音は でない。
それでも少しはアタマに響くんじゃないかしら。 ― あのォ〜 ネボスケ!!
彼女はぷりぷりしつつ ― 目的のドアに近づいた。
「 毎朝 毎朝〜〜〜 いったいどういう風に育ったのよ?? 」
独り言を口にしてから はっとした。
いっけない。 言っていいことじゃないわね・・・
・・・あら? でも・・・
施設育ち・・・ いえ、 団体生活なら起床時間とかは煩いはずよね?
― ぼくは教会付属の施設で育ったんだ。
彼はわりと屈託なくさらり、と言った。 だから普通の <家庭> は知らないんだ、 と。
ひとつ屋根の下に暮らし始め、彼の言葉が本当なのだ、ということはわかった。
彼 ― 島村 ジョーは いつも穏やかな表情をしてひっそりと隅っこにいた。
物分りよく、落ち着いて。 誰の気分も損ねることなく、 ― 誰の印象にも残らず。
後になって ・・・ あれ、アイツ、居たっけ? と思われる・・・
彼はそんな存在であり、彼自らそうであることに徹していた。
戦闘中の 009 とはまったく・完全に別の人物、それが 島村ジョー なのだった。
でも 彼女は ― フランソワーズ・アルヌールは彼の存在に気がついてしまった!
・・・ なんなの??
どうしてそんなよそ行きの顔、してるの?
ここは とりあえず ここは わたし達のウチ なのよ?
つまり 彼は<家族>の前でも決して <素の姿> をみせない。
そんな彼に彼女は密かに苛立ちを感じていた。
でも どうして? なんだってあんな年下のオトコノコに・・・!う〜〜〜ん・・・
ワケはわかんないのだが、なぜか彼女は一人でイライラしてた。
島村 ジョー! ・・・ いったい なんなのよ?!
その上 そんな彼にも信じ難い点があり ― それが寝起きの悪さ、だったのだ。
身構え緊張していた闘いの日々を終え やっとこの地に落ち着いた頃から
ジョーは 寝坊大王 になった・・・!!
戦闘時にはほんのわずかの空気のそよぎにも神経を尖らせ、すっと全員の最前線に移動する彼が。
誰もが気がつく前に しっかりと正面を向いて立つ彼が。
・・・<いつもの朝 > には わんわん鳴り響くアラームにも気づかず寝こけている。
「 明日っからはもう起こさないから。 わたしだって忙しいんですからね! 」
ドアの前で彼女は自分自身にハッパをかけて、 す〜〜っと息を吸った。
「 ― ジョ ー おき 」
起きて、と言い終わる前に すた・・・っとドアが開き、その部屋の主が現れた。
じつに爽やかな笑みと ぴし!とアイロンの掛かったカッターシャツを着て。
「 やあ お早う フランソワーズ 。 」
「 !?? ・・・え あ あの お おはよ う・・・ 」
「 なにか用かい。 ああ 洗濯ものなら、申し訳ないけどシーツをお願いしていいかな。
さっきランドリー・ルームに置いてきたけれど。 」
「 え ・・・ あ は はい。 」
「 ごめんね、次からはぼくが洗濯、担当するからさ。
さあ 朝食にしよう。 」
「 え ・・・え ええ。 」
「 ああ 今日ぼく、出かけるんだ。 君もだろ? ほら・・・急ごうよ。 」
ジョーはさり気なく 彼女を促がし歩き出した。
「 え ええ。 あ ・・・ 出かけるって ジョー、お買い物に行くの? 」
「 いや。 本日は 三者面談 なんだ。 」
「 さんしゃめんだん? 」
「 そう。 本人と保護者と教師での進路相談 さ。 」
「 進路・・・って。 あ! ジョーの <勉強> のことね? 」
ジョーは 自分のこれから、について自身の希望を博士に打ち明けていた。
ちょっと勇気がいったけど、 きみをみならわなくちゃ、と思ってさ、とジョーは笑う。
「 そうなんだ。 博士がね、コズミ先生にも相談にのってもらおう、って。 」
「 まあ よかったじゃない? 凄いわ〜〜 」
「 まだ <相談> だからね。 ともかく第一歩ってとこ。 」
「 よかったわ〜〜 頑張って・・・というより、良い方法が見つかるといいわね。 」
「 うん。 きみもレッスン、 頑張れよ。 ぼくも 負けないからね。 」
「 ええ。 さあさあ朝御飯にしましょ! オムレツよ、今日は出来立てを食べてね。 」
「 ありがとう! うん、君のオムレツって最高だよ! 」
「 うわ 嬉しいわ。 そうだ、コーヒー、淹れたわ。 インスタントじゃなく ね。 」
「 わお♪ 感激だな〜〜 あ 博士 お早うございます〜 」
「 お? ああ お早う、ジョー。」
仲良くリビングに入ってきた二人の姿を 博士も笑顔で迎えた。
「 それじゃ 皆で朝御飯 ね。 」
― ギルモア邸での <家族の朝> が 始まった。
・・・ なんか ちがうヒト ・・・ みたいね?
でもこんなジョー 嫌いじゃないわ。
ちらりと彼を見上げ フランソワーズはクス・・・っと微笑んだ。
お腹の底から じんわ〜り・・・いい気分になる朝 だった。
よ ・・・ っと。
メトロの駅から地上に出て フランソワーズは大きなバッグを肩に掛けなおした。
「 さ〜あて。 ウォーミング・アップね〜 走ってゆこうっと。 」
彼女は舗道の端を駆け出した。
― おはよう ・・・! わたしの好きな街 ・・・!
都心だけれど 街路樹は大きく枝を広げ、足元のあちこちに花壇があったりして 車の往来も
そんなに気にならない。
・・・ ふうん? こんなに素敵な街だったかしら?
あら お花屋さん ・・・ きれい!
あ・・・ あの花、ウチの裏庭にも一杯咲いてて・・・
なんだっけ・・・え〜と ・・・あ、 アジサイ ね?
なんか ・・・ ちょっとだけ似てる、かな・・・ パリと
う〜ん カフェがないのが淋しいけど・・・
パリジェンヌは大きなバッグを抱え、亜麻色の髪を靡かせ ― 走る。
かっきり顔をあげ 頬に朝の風を感じ。 蒼い瞳に空を映し 走る。
俯くのをやめてしっかり前をみたら ― いろいろなものが視界に飛び込んできた。
雨の多い季節、木々や花たちは生き生きとして 彼女に微笑みかける。
行き交う人々のファッションだって なんだか陽気で可笑しい ・・・
彼女は今、身の回りの世界に夢中になっている。
おはよう! おはよう 新しい日 ・・・・!
大通りから二筋裏道に入り すこし行くとアイアン・レースの門がある。
「 あ おっはようございま〜す! 」
「 ・・・ おはようございます フランソワーズ。 」
フランソワーズは反対側からやってきた先輩の女性に 挨拶をした。
「 あ〜 お早う〜〜 フランソワーズ。 元気だね〜 」
その後ろから ひょい、とまん丸な大きな瞳が笑い返してくれる。
「 おはようございます、 みちよさ・・じゃなくて みちよ。 」
「 今朝は早いね〜 」
「 えへ・・・ これからはこの時間にがんばるわ。 もう遅刻 しません。 」
「 ほえ〜〜すごい。 あ ねえ〜〜 帰り、よかったら 」
「 お茶 しましょ♪ ねえ どこかおススメにつれていって? 」
「 うわい♪ まっかせなさい。 」
二人は笑いさざめきあい、門の中に入っていった。
― さあ。 がんばるわ、わたし ・・・・!
「 『 薔薇の精 』 ねえ・・・ ? 」
「 ええ ぴったりだと思うのですが。 今ウチの若手はテクニック系なコばかりですから。
今時、ああいう ほわん・・・としたお姫様タイプは貴重ですよ。 」
事務所ではティー・カップを傾けつつ、バレエ・マスターの一人が主宰者のマダムと話している。
( いらぬ注 : バレエ・マスター 振り付け師や指導者の助手をする助教師・男性。
ちなみに 女性の場合は バレエ・ミストレス )
廊下の先からは ジュニア・クラス用の音が聞こえてくる。
「 そう・・・ ねえ ・・・ 」
「 父上がえらく心配していたから どんな甘ったれかと思ってたですけどね。
案外 根性、ありそうですし。 」
「 それは そうね。 ええ ・・・あれはかなりな意地っぱりだわ、黙ってぼろぼろ泣いてたし。 」
「 あ〜 そりゃ ・・・ 」
ふふふ・・・と初老の女性は意味あり気に笑った。
「 まあね、悔し泣きするくらいじゃないと ね。
とりあえず、あの古めかしい踊り方を徹底的に落としてもらわなきゃね。
いったいどこで習ったのかしら、前世紀の遺物よ アレは! 」
「 それはそうですね。 しばらく泣いてもらいますか。
ま、いい勉強になるでしょう。 」
返事をせずに、マダムはにんまり笑って ふっと窓の外に視線を飛ばす。
・・・ そう 古きよき時代の踊り方なのよね・・・ 懐かしい ・・・
彼女の呟きは 振り出した小雨に紛れてしまった。
「 ・・・ これ、美味しいわね♪ それにとってもいい香り・・・ 」
「 フランソワーズ ・・・ もうやめておいたほうがいいよ〜 」
バレエ・カンパニーにほど近い、はやり大通りからひっこんだ場所にある、とある<甘味処> で。
金髪と黒髪がアタマを寄せあい、せっせと <甘味> を賞味していた。
「 う〜ん ・・・でもすご〜〜く美味しいんだもの・・・ あ〜〜 幸せ。 」
金髪は 満足の溜息をついてから もういっこだけ! と草団子の皿に手を伸ばす。
「 いいけどさあ・・・ お餅なんだよ〜〜 これ。 太るよォ 」
「 あら みちよは食べないの? ・・・なら、あなたの分も食べてあげる♪ 」
「 い いいよ! アタシだって大好きだもん、ココの草団子は さ。
でも ・・・ う〜〜ん いっか♪ 明日っからまたダイエットすれば。 」
「 そ〜よ わたし、どうせまたクラスで大汗と冷や汗と涙ながして 痩せるもん。 」
「 フランソワーズ〜〜 」
「 いいの、決めたの、わたし。 うんと泣くけど うんと頑張るの。
だから〜〜 もういっこ。 あ〜〜・・・美味しい〜〜♪ 」
「 はは ・・・ そんなに気に入った? よかったぁ〜〜
そんじゃさ、 夏には水羊羹とか葛桜だわなあ。 カキ氷もいいし♪ 」
「 わ! 食べたい、 食べたい〜〜 」
「 じゃ 違う店にも行ってみようよ。 でもさ ふ〜〜ん? 」
「 ? なあに。 」
「 え、 だってさ。 金髪碧眼のパリジェンヌはカフェ・オレにマカロンかと思ってさあ。 」
「 わたし、今は < 日本人 > なの。 ・・・ あ〜〜おいしい♪ 」
金髪も黒髪も こころゆくまで甘いモノを詰め込んだ ・・・ らしい。
「 ふうん・・・? はっぴょうかい? えっと・・・それって・・・? 」
「 あ う〜ん そうねえ、レッスン生の舞台ってことかな。 ウチの場合は参加義務。 」
「 そうなの、すごいわね。 」
ズ・・・・っと熱いお茶なんぞすすっているところは とてもパリジェンヌには見えない・・・
みちよは軽く くら・・・っと眩暈がしてしまった。
「 ちょっと〜〜 フランソワーズ、あんたも参加なのだよん。 」
「 え・・・ だってわたし、ここに来てまだ一月も経ってないもの。 対象外、でしょ 」
「 一月、居れば立派なもんよ。 それでねえ、 だいたいが 不得意なもの が
回ってくるのよ。 わざわざ ね。 」
「 ・・・ そ そうなの?? 不得意なモノ? 」
「 そうすりゃ 死に物狂いで練習して <不得意> じゃなくなるってわけ。 」
「 あ な〜るほど・・・ ふうん すごいわねえ・・・ 」
「 すごいわねえ、って フランソワーズ、あなただって踊るんだよ?
ベビー科から ジュニアも予科も ・・・ そうそう昼間のオバサマたちのクラスも、皆。 」
「 え〜〜〜 そうなの? 」
「 そうなの。 アタシらはたいていヴァリエーションね、優等生のめぐみ とか
ゆりえ なんかがGP ( グラン・パ・ド・ドゥ ) を貰えるかな。 」
「 ふうん ・・・ 」
「 フランソワーズは得意なのはどんなの? 」
「 う〜ん そうねえ・・・ あんまりソロの経験はないんだけど・・・
オデット とか ローズ とか。 リラの精 も踊ったわ。 」
「 そっか〜〜 ・・・ それじゃ まぁ 楽しみにしていなよ、そろそろキャストが出るからさ。 」
「 ふうん ・・・ あ みちよは? 」
「 アタシ? アタシは 大抵 ゆ〜〜〜うがなアダージオが回ってくるの!
・・・ そういうの、超〜〜〜苦手だから。 下手だし出来ないし。 」
小柄でどちらかというと丸っこいタイプの彼女は アレグロ系の速い踊りが得意なのだ。
彼女の脚捌きは小気味よくパワフルで、先輩たちも一目置いている。
初めて見たとき、フランソワーズの眼はまんまるになったままだった。
「 ふうん ・・・・ なんだか怖くなってきたわ。 」
「 いいじゃん、いっぱい美味しいモノ食べたんだから。 チャレンジしよ♪ 」
「 ふふふ・・・そうね。 あ〜〜〜 美味しくてシアワセでした♪ 」
「 あっは アタシも〜〜 」
金髪と黒髪は クスクス笑い合い一緒に店を出ていった。
うふふふ・・・・ 楽しかったぁ〜〜
・・・ あの頃 カフェでお喋りしたのと 同じ、ね。
バレエは変わってないもの。 そうよね?
フランソワーズはご機嫌で家路についた。 空は相変わらず灰色だったけれど
彼女は夏空気分だった ・・・ この時点では。
§ ジョー
「 ・・・また 雨か ・・・ 」
ジョーはチラっと空を見上げたけれど、 今日は溜息はでない。
そうさ、今朝はどこをさがしたって溜息なんか でてくるもんかよ!
彼は うんうん、と一人で頷く。
・・・ ホントは嬉しいのテンパってるのか 自分でもよくわからない・・・
「 ジョー? 」
博士が玄関の前で振り返る。
「 すみません、今 ・・・ 博士、ガレージの前にどうぞ? 」
「 うむ。 ああ 戸締りを頼むよ。 」
「 はい。 」
ジョーはしっかり玄関の電磁ロックを確認してから博士の後を追った。
雨は まだ落ちてこない。
波の音が 今朝はすこしだけ騒がしい気もしたのは ジョーだけだったかもしれないが・・・。
「 じゃ 出します。 」
「 うむ ・・・ ジョー? そんなに緊張するなよ。 」
「 え あ・・・ は はい・・・ 」
博士にちょんちょん・・・と腕を叩かれ ジョーははっとした。
・・・ものすごくぎっちりとハンドルを握っていたのだ。
「 なんじゃ、 今日は単なる話し合いじゃないか。 受験ではないのだぞ。 」
「 あは ・・・ そ そうでうすよね。 」
ジョーは照れ隠しに運転に集中しているフリをした。
「 ふん。 お前なあ ・・・ フランソワーズはしっかりしておったぞ。
初めての場所、それも異国の、な。 」
「 あ ・・・ そ そうですか・・・ 彼女 ・・・さすがだなあ・・・ 」
「 ははは ワシは保護者としてちょいとハナが高かった。
ジョー、 お前もな、落ちついて自分の思っていることを全部話せ。 いいな。 」
「 はい。 ― ありがとうございます。 」
「 な〜に言っとる。 これからじゃぞ、今日がお前の挑戦の入り口だ。 」
「 え ええ ・・・ 」
そうなんだけど。 やっぱりどうしても感謝したくて・・・
ジョーの車は緩やかに家の前の坂道を降りると 海岸通りから山側にはいった。
コズミ邸までは 車で15分ほどで到着する。
ジョーは <009> なのだ。
プロトタイプのラスト・ナンバー、ゼロゼロ・ナンバーサイボーグ達の中で最後に改造された。
― つまり、彼は改造の直後に脱走したわけで ・・・
ギルモア博士にたいしても 負の感情は持っていない。 ( 持つヒマもなかった、というか・・・ )
どちらかと言えば 頼りになる存在、そしてこの家で暮らすようになってからは
こっそり ・・・ 父親的な存在 と思っている。
ジェットやアルベルト、 そしてフランソワーズのように わだかまり など ない。
だからこそ、尚更遠慮してしまう。
けど。 今 ここで引っ込んじゃ ダメだ。
ジョー、お前 フランソワーズにも言ったじゃないか ― 顔 あげろって。
お前こそ 顔あげてきっちり 前、見ろよ!
ほう ・・・? コズミ博士はいつもの柔和な顔でジョーの話に耳を傾けてくれた。
よろしくご指導ください、とジョーが頭をさげる。
そんな彼をまあまあ 頭をあげて、と軽くいなすと、いつもに変わらぬ調子で言った。
「 ― それで 君は何がやりたいのかね。 」
「 え・・・ で ですから。 その さ サイボーグ工学 の ・・・ 」
「 いやいや 具体的なことではなくて、その先に目指すもの、だな。
ジョー君、君が一生をかけて目指すもの、と言っても いい。 」
「 目指すもの・・・ですか。 」
「 そうじゃよ。 具体的に科学者になりたい、とか技術系の仕事をしたいとか・・・
いろいろあうじゃろ。 もちろん 夢 で結構。
今 君の心に中にあるモノはなにかな。 」
「 ・・・ あ ・・・・ 」
「 それを見据えて そのための進路を考えてはどうかな。 」
「 は はい ・・・ 」
コズミ博士は相変わらずにこにこ穏やかな声と眼差しだったけれど、
その言葉は ひとつひとつがグサグサとジョーに突き刺さる。
・・・ ぼくは。 なんにも考えてない・・・!
<きめてもらう> ことだけを期待していた ・・・
今までの人生、 ジョーは自分自身で選択する自由はほとんどなかった。
BGなんぞに拉致されなかったとしても ごく限られた選択肢の中から 周囲にも迷惑の
掛からない道を選び好きもキライもなく、淡々と生きた ― のだろう。
だから ・・・
― わたしは! 踊りたい、 踊りたいのッ!
聖夜の夜空に向かって叫ぶ少女が眩しかった。 その瞳の輝きを羨ましい、とさえ思った。
「 ぼくは ― 」
ジョーは言葉が続かない。
思い余って、ではない。 なにもない・からっぽの自分に気がついてしまった。
博士の助手が務まるようになりたい ― それは夢ではなく、仕事。
― では 島村ジョー としては?
「 うん うん なんじゃな。 」
「 ぼくは。 ぼく自身の支配者になりたい、と思います。
その・・・上手く言えませんけど、ぼくの意志で動きたい ・・・って。 」
「 ほうほう それはまた壮大かつ深遠な夢ですな。 いや、若者らしくていい。 」
「 あ ・・・ は はい ・・・ 」
「 それではそのために まずは君自身を知らねばな。
君がそう思い定めるのなら、 機械工学を基礎から始めるといい。 」
「 は はい! 」
仕事だから学ぶ のではなく、な とコズミ博士は独り言みたいに呟いた。
ザ ァ −−−−−
タンタンタン ・・・ グツグツグツ〜 ジャ・・・!
キッチンというのはいろいろな音に溢れているもので、話し合い に向いた場所とは言い難い。
「 それで ― とりあえず Y市立大学に通うんだ、聴講生だけど。
あ これ洗の? 」
「 まあ すごいわ! ジョー。 希望が叶ったわね!
うん でもざっとでいいわ。 あと スジを取って 」
「 了解。 あ ううん。 まだ第一歩の方向を決めただけさ。 トマトは? 」
「 さっと洗って・・・ 氷水に冷しておいて、 それ ウチの温室のなの。 」
「 うわ〜お ・・・ へへへ 一つ 味見〜〜 」
「 ジョー〜〜〜 お行儀悪いわよ! 」
「 ・・・・ んん うま〜〜〜〜♪ ともかく道は決めた、あとは GO! さ。 」
その日の夕方、 キッチンでは二人の<報告会>が 開かれていた。
手は洗ったり ・ 刻んだり ・ 混ぜたり。 煮たり ・ 炒めたり しつつ ・・・・
口は しゃべったりツマミ喰いをしたり 忙しい。
「 ジョー。 スタート、おめでとう! 」
「 アリガト・・・ へへへ ・・・ これで君に負けないさ。 これ〜 あとは? 」
「 まぜるだけでいいわ、最後にドレッシングかけるの。
わたしも ・・・ 頑張るわね〜〜 もしかしたら 舞台・・・踊れるかもしれないし。 」
「 うわ〜〜お♪ きみこそキック・オフだね〜〜 あ キュウリは? 」
「 味付けはしてあるの、蛇腹切り ・・・ ありがと、ジョー。 わたしも負けないわ。 」
「 おっし! 」
「 ― ん! 」
二人は トマトとキュウリで乾杯?した。
よ〜し やったる! そんでもってフランにイイトコみせる!
頑張るわ! 今度こそちゃんとわたしの踊り、みてほしい、ジョー。
単なる仲間は心安い同居人となり ・・・ 実は <気になる存在> になり始めていることに
ジョーもフランソワーズも 気がついていない。
もっとも、今、彼らは 気になるヒト は側にいるけれど、それと同じくらい自分の明日に夢中だ。
ワカモノ達は意欲満々 ― 明日は明るい! と二人はにんまりしている ・・・ この時点では。
§ フランソワーズ と ジョー ( ジョー ばっかり? )
「 知ってる? ・・・ 機械科の聴講生〜〜 茶髪の! 」
「 知ってる!! え 聴講生なの?? 一年とかじゃなくて? 」
「 そ〜なのよォ 機械科のコに聞いたんだけど。 学士入学とか編入じゃないんだって。 」
「 ・・・ ふ〜ん ・・ でも今はウチとこの学生よね〜 」
「 そ♪ さっそくゥ〜〜 ♪ 」
「 きゃあ☆ 機械科の講義、もぐりこも〜〜 」
学食でカフェテリアで ― 近所のカフェで 茶髪の聴講生は女子たちの話題のマトだった。
カレ − 島村ジョー クン は。
端正な容姿、 無駄のない身のこなし。 そして地味なファッションでどの講義にも出席し
しかし 端っこでひっそりと熱心に耳を傾けていた。
だいたいが女子が少ない学科なのだが、 そんな <島村くん> が 話題のマトになるのに
数週間とかからなかった。
「 お近づきになりたい♪ 」
「 まずはオトモダチになって。 ・・・でもスカしてるだけなのかも?? 」
「 いや〜〜 留学生なのかもね、あの髪と顔立ちはさ。 」
・・・ ってことでジョーの周囲になにかと女子の姿がチラチラ・うろうろし始めた。
当の<島村くん>は ― 外野の様子はまったく興味がない、風にみえた。
彼は本当に本当に熱心に講義に耳を傾け、ノートをとり図書館に消える。
日々、その繰り返しなのだ。
聴講生だからテストも成績も関係ないのになあ・・・とこれは一般学生のキモチ。
そんなワケで彼ら同世代のクラス・メイト達は彼をなんとな〜く遠巻きに眺めている。
― バサ ・・・!
「 ・・・ あ ごめん。 」
講義が終わり、ざわざわ教室を出る学生たち、その一人が通りすがりに聴講生のノートを落としてしまった。
「 あ ・・・ 」
「 わりィ ・・・ あ、 これ。 う わ。 」
その学生は床のノートに手を伸ばし、一瞬 <固まった>
「 あ いいよ いいよ。 」
聴講生は身軽に落ちたノートに手を伸ばした。
「 ・・・ あ ああ。 ごめん。 ・・・ これ。 」
「 あ うん。 サンキュ 」
「 い いや・・・ 」
聴講生はノートを受け取るとテキストと一緒に鞄の中に放り込み スタスタと教室から出ていった。
学生は ぼ〜っとその後姿を見つめていた。
「 ・・・・ アイツ ・・・ 」
「 お〜い なんだぁ 先、行くぞ〜〜 」
仲間が入り口から呼んでいる。
「 ・・・ あ うん。 今 ゆく 」
「 なんだよ。 アイツ・・ 例の聴講生だろ。 」
「 うん。 すげ・・・ んだ、アイツのノート・・! 」
「 へ? 」
「 今、偶然見ちまったんだけど。 すげ〜よ びっちり。 」
「 なにが。 」
「 なにがって! ノートだよ、ノート! きっちり取ってあった・・・ 」
「 ・・・ 今の講義を? 」
「 ああ。 」
彼らは一年生、 機械科 だから少なくともその方面に興味と関心のあるモノたちなのだが。
最高学府に進み、いわゆる 高等物理学 や 高等数学 に面くらいヤルキも少々下降気味な・・・時。
「 ・・・ オトモダチになろうぜ! あのノートは・・・秘宝だ!! 」
「 女子らに負けるな・・・! 」
「 おし。 まずは定番・クラスコンパ だ! 」
― ますます<島村くん> の周囲は ざわざわとしてきていた。
そして当のご本人は。
・・・ごん。 学食の片隅で。 茶髪がノートの上に突っ伏した。
ざわざわ・がやがや・・・ヒトが多すぎる広大な場所なので、かえって誰も気がつかなかったけれど ・・・
彼は低くうめいていた。
・・・ く ・・・そ。 やっぱ基礎がなってないから・・!
― わからないことだらけだった。
ともかく熱心に講義に耳を傾け、熱心にノートを取ったけれど。 それでは理解した ことにはならない。
ジョーは自分の中で知識の断片だけが降り積もっている、としか思えない。
「 ・・・ダメだ。 これじゃ・・・これじゃ機械だ ・・・!
知識を使いこなせなくちゃ・・ 意味、ないよな。
データの量はあるけど、使いこなせません、じゃ・・・ そんなの、人間じゃない ! 」
彼は大学に通う他に コズミ博士から直々に講義を受けていた。
その講義とは ―
「 ・・・ これについて、君の見解はどうかな。 」
「 君はこれをどう考えるかね? 」
「 ・・・という反論があるが、 君の意見は。 」
「 ・・・あ え ・・・ あの ・・・ 」
博士の問いかけに ジョーはいつも満足に応えることもできない。
たまに ― あ・・・! これ、この前授業で聞いた! と思い出し、そのままぼそぼそ述べてみる。
「 ほうほう ・・・ それは〇〇クンの定説ですな。
それでは それについて君はどんな説を展開するかな? 」
「 ・・・ え あ 〜〜 」
要するに手も脚も出ない状態に ジョーはドツボの底を這いずっているのだ。
「 あの〜〜 島村くん? 」
「 ・・・・・・ 」
「 島村クン 〜〜 だよね? あ 寝てる? 」
「 ・・・ え? 」
つっぷしていた茶髪が もぞり・・・と起き上がる。
どうやら やっと自分が呼ばれている? と気がついたらしい。
「 あ〜 睡眠中、わりィ〜 あの よかったらこれ、参加しね? 」
「 へ ・・・? 」
ズイ、と差し出されたのは なにやら手作り感満載のパンフ。 その後ろには ・・・
どこにでもうじゃうじゃいる・オトコノコどもがいた。
「 ・・・ こんぱ? 」
「 そ。 俺ら 機械科の一年なんけど〜 」
「 あ・・・ ぼく、聴講生だから・・・ 」
「 い〜って い〜って。 一年の必修、ほとんど出てるだろ? 」
「 え あ うん。 」
「 でさ〜 シンボクなんか深めようか?って 飲み会なんだけど。 ど? 」
「 ・・・ え ・・・ あの。 」
「 残念ながら合コンじゃないんだけどさ〜 来いよ〜 ヤロ〜ばっかだけど〜 」
「 い いいのかな。 」
「 い〜さ い〜さ 俺ら キミとオチカヅキになりて〜の。 」
「 そ そうなんだ? え ・・・ そ それじゃ 」
「 うわお〜〜 おい、皆〜〜 島村、 来るって! 」
パンフを差し出したボーイが くるっと後ろを振り向いて声を上げ ― うお! っと
何気な〜く屯していた少年ズがガッツポーズをした・・・
な な なに・・・?
ジョーは びた!っと学食のテーブルに張り付いてしまった。
少年ズの反応にも驚いたが そのすぐまた後ろでギャルズが数名、睨んでいるのを
彼の偏光レンズ眼は し〜〜っかりキャッチしてしまったのである。
・・・ な なんだ なんだ なんなんだ〜〜〜
― で もって。 島村ジョー君 は Y市立大学 理工学部 機械科 一年 の
飲み会 もとい! ( ← 1年だからね! 未成年 ) クラス親睦コンパ に参加することになった。
クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ クックゥ ・・・
― ふゥ 〜〜〜〜〜〜 ・・・!
鳩時計が鳴き終わるまで律儀に数えて フランソワーズは大きく溜息をついた。
「 ・・・ ったく ・・・! 」
バサ ・・・! 勢いよく立ち上がったので膝の上からなにかが床に転げおちた。
「 ・・・ ん? なにか落ちたぞ、フランソワーズ。 」
博士はようやっと分厚い専門書から顔をあげた。
「 あ ・・・ ! いっけない ・・・ 」
フランソワーズはかがみこみ、床からポアントを拾いあげた。
「 あ〜あ ・・・ リボン、縫いつけてたんですけど・・・ 」
「 うん? 大丈夫かな ・・・ 気をつけなさい。 」
「 でも! もう11時なんですけど! 」
「 ― ああ?? 」
突如 声を上げた彼女を 博士はぽかん・・・と見上げた。
「 博士。 11時なんです! 」
「 ・・・?? あ ああ そのようだな。 鳩時計も液晶アラームも ・・・
お。 ワシの懐中時計が3秒おくれておるわい・・・ 」
博士は本を置くと、古風な時計を手に溜息をついている。
「 う〜〜ん・・・もう・・・博士〜〜 ねえ もう11時なんですってば。 」
「 おや オネムかい。 それじゃ 今夜はワシも早目に休むとするかの。
・・・ っと よしよし。 これはドライバーでもあれば調整できるな。 」
手の中の時計を眺め 博士は満足そうだ。
「 まあ よかったですわね。 あ・・・そうだわ、わたしの時計も見てくださいます? 」
「 おお いいとも。 じゃがな、海岸通りの商店街にある時計屋な、
あそこの親父に任せたほうがいいかもしれんぞ。 」
「 え・・・ そうですか? 」
「 ああ。 あの親父、 ガンコ者だが腕は確かと見たぞ。
お前の大切なタカラモノ、きっと上手く調整してくれるさ。 」
「 それなら ・・・ 嬉しいんですけど ・・・ 」
フランソワーズにとって あの時計 は たった一つの形見の品なのだ。
「 ・・・大切に しなければ な・・・ 」
「 ・・・ はい ・・・ 」
二人は少し淋しい笑みを浮かべて ・・・・
― あ! そう! そうよ、 博士! もう11時なんです!
「 なのに! ジョーってばまだ帰ってきません〜〜〜 ! 」
「 お ・・・っと 驚いた・・・ な〜にを騒いでいるのかと思えば・・・
まだ・11時じゃよ、フランソワーズ。 」
「 え。 」
「 アイツの年頃のヤツらには11時なんぞ 宵の口だろうよ。
放っておけ、 そのうち・・・帰ってくるじゃろ。 」
「 え で でも ・・・ バスだってもう最終 ・・・ 」
「 ヤツは飲み行ったのじゃろ? バスの時間なんぞ気にするものかね。 」
「 ・・・ そ そうなんですか? じゃ・・・タクシーとか使うのかしら。 」
お金もかかるし、 そもそもこんなトコまで行ってくれるタクシーがあるだろうか?
フランソワーズはますます心配になってきた・・・・
「 なに、 ダメならどこかで夜明かしするさ。 」
「 え。 無断外泊 ですか! 」
「 フランソワーズ。 18歳の青少年なんざ 駅のベンチでだって寝ちまうよ。
ほらほら ・・・ そんな顔はおよし。 」
「 ・・・ でも ・・・ 」
眉間に皺を寄せたまま 彼女はモジモジしている。
「 そんなに気になるのじゃったら ほれ・・・電話してみればよかろう? 」
博士は彼女がず〜〜っとぎっちり握りしめている携帯電話を指差した。
「 え ・・・ええ ・・・でも でも ・・・ いいのかしら。
じゃ 邪魔になったら ・・・ 」
「 おいおい? ヤツは飲み会 ・・・ いや クラス親睦コンパに出る、と言っておったのじゃろ?
別に電話しても構わんじゃろ。 」
「 ・・・ そ そうですよね。 」
フランソワーズは 意を決した顔で彼女の携帯を改めて手にとった。
・・・ か かけるわ! ・・・ ジョー ・・・!
その日の朝のこと ―
「 あ フラン。 ぼく、今日は夕飯 いらないから。 」
「 え? ジョー・・・ バイトの日だった? 」
「 ううん ちがうんだ。 その・・・クラス親睦のコンパがあって
ソレに誘われているんだ。 」
「 しんぼくのこんぱ? 」
「 ウン。 同じクラスのヤツらで一緒にメシでも食おうかって集まりさ。
機械科だもん、ヤロウばっかだけどね。 」
「 まあ お友達ができたのね、 よかったわねえ。
ええ 是非行ってらっしゃいよ。 」
「 うん ・・・ ありがと 」
「 楽しい時間を! あ・・・いっけない、バスに遅れる〜〜 」
行ってきまァす・・・ ! 博士とジョーのほほにさ・・・っとキスを落として
フランソワーズは玄関からぱたぱた駆け出していった。
「 あは ・・・ げ 元気だなァ ・・・ 」
ジョーは そうっと自分のほっぺたに手を当て密かに真っ赤になっていた。
おやおや ・・・ なんとまあ この坊主は・・・
ま コイツも同じ年頃の友人が出来てよかったなあ
博士は眼の端っこで見て見ぬフリ、なんとも手のかかるワカモノ達に溜息をついていた。
大学最寄駅近くの よくある・居酒屋で。 数人のやっと<少年>を卒業でき・・・そうな集団が
盛り上がっていた。
林立する一応・ソフト・ドリンクの間に ちろちろアルコール類が混じっているのは ― まあ
店側も大目に見てくれている・・・のかもしれない。
( マネヲシテハイケマセン。 いちお〜ほうりついはんですから・・・ )
飲むよりもまだまだ食い気専門な彼ら、大いに食べて喋って笑って ― 楽しんでいる。
ジョーも 始めは口が重かったけれど、イケズな教授のワルクチ合戦くらいから打ち解けてきた。
「 あははは ・・・ そ〜なんだよォな 島村ってば 言うね〜 」
「 アレはないと思うし 〜〜 」
「 だよな〜〜 」
・・・・ ワイワイ がやがや もぐもぐ ばくばく ・・・・
「 ん? ・・・ あ、俺じゃねえや。 な、電話 鳴ってるぜ? 」
つんつん、 と隣の学生がジョーの肩をつついた。
「 え? あ ・・・ サンキュ ・・・ 」
ジョーはゴソゴソ・・・ ズポンの尻ポケットから携帯を取り出した。
「 ・・・ あ ・・・でんわ・・・ ( フラン ・・・? ) もしもし ・・・? 」
「 ジョー −−−−! 今 何時だと思ってるの !!! 」
「 ・・・ うわ ・・・! 」
ジョーは反射的に携帯を遠ざけた。 一瞬ノイズのような音が辺りに響いた。
「 な なんだ?? 」
「 !? け 携帯、 ぶっこわれたのか?? 」
「 あ ごめん ・・・ ちょっとウチから・・・ 」
「 ウチ? ・・・ あ お袋さん? 」
「 いや〜〜 あ 姉 ・・・ みたいな ・・・ 」
「 ね〜ちゃん、 いるんだ〜 島村〜〜 」
「 ひえ〜〜〜 お前んトコの姉貴、 おっかね〜な・・・ 」
「 でも島村の姉貴なら美人だろ〜? 紹介しろよ〜〜 」
「 なんだよ〜〜 年上シュミかよ〜〜 」
「 面食いといえ〜〜 」
いい加減、皆出来上がっているので何を言っているのか意味不明っぽくなっていた。
やはりまだ18歳たち、 < 同棲しているカノジョ > もしくは < おくさん > とか ・・・
そんな方面にはまだまだ考えが行かないらしい。
「 ごめん ・・・ ぼく、先に失礼するよ。 」
「 え〜〜〜 これからダゾ〜 盛り上がるの〜〜 」
「 ウン ・・・ ホント ごめん! あ これ ぼくの分、な。 ゴメン・・・! 」
ジョーは さっとお札を皿の下に挟み立ち上がった。
「 ゴメン ほんと ゴメン! 誘ってくれて ありがと〜〜 ゴメンね! 」
「 ・・・ あ〜 ・・・ 」
ぼ〜〜〜っと眺めている18歳ズを後に、 ジョーはだ・・・っと駆け出した。
わ −−−−−−− !! しまったァ〜〜〜〜
ごめん、フラン〜〜 連絡 忘れてたよ〜〜〜
ごめん、 今 帰るから !
彼が加速装置を使わなかったは どうやら単に忘れていただけ、のようだ。
― そして。
<島村んちのおっかない・姉ちゃん> は しばらくの間、機械科1年クラスの話題となった。
Last updated
: 06,21,2011. index / next
******** 途中ですが
続きます!!!
フランちゃんの青春すとーりー と 平坊のきゃんぱす・らいふ??
・・・ お宜しければ 後半もお付き合いくださいませ。