『 卒業写真  ― (1) ― 』

 

 

 

 

 

 

   ****  はじめに  ****

 

これは 拙作 『 ことだま ( 言霊 ) 』 の続編になります。

もしお時間ありましたら  ↑  に目を通してくださると嬉しいです

 

 

 

 

  ガタガタ −−−−   

 

この校舎は古い ― いや 伝統のある?建物なので

風が強いと 窓枠が鳴るのだ。

 

「 ひえ〜〜  ここすきま風、入ってくる〜〜  

「 ヒーター 効いてね〜んでないの〜 」

「 ・・・ 温度設定 どこでやるんだろ?? 」

 

ガランとした教室の中 少年達は自然と真ん中に固まっている。

風貌はそれぞれだが 似たような年代、似たような雰囲気だ。

 

「 ここさ〜 超難関大学なのに 校舎ボロいな〜 」

「 あは 都心の大学ってでっかいビルだと思ってた 」

「 な〜〜  このイス〜〜 信じらんね〜  昭和かよ〜〜

 俺が通ってた中学だって もっと新品だったぜ 」

 

   ふわ ・・・ ん ・・・  

 

なにやら食欲をそそる匂いが流れてきた。

 

「 ??  おい おま、ポテト、もってる? 」

「 俺じゃね〜よ  ・・・ あ でもそのニオイ 」

「 ん〜〜〜 腹ヘったぁ〜〜 」

 

   ガラ。  古ぼけた木製のドアが 勢いよく開いた。

 

「 あろ〜〜  ぎゃるそん〜〜  ヴォアラ〜 」

大きな盆をもって 年配の紳士が入ってきた。

「 あ せんせ〜〜? え 」

「 ああ?? 」

「 うっわ〜〜 」

「 ミナサン  オヤツですよ〜  パンのミミ・フライです 」

 

      うっわ〜〜〜〜〜〜〜 ♪♪♪

 

少年たちの歓声があがった。

 

 

            ***********

 

 

    俺 さ。  ― 高校中退 なんだ。

 

「 ! 俺も ! 」

「 !!!  うん! 」

 

一人の ちょっと重い発言は 三人の少年達の距離をイッキに縮めた。

彼らはなんとな〜くよそよそしく ― 別に仲が悪いわけではない が・・・

単なる 同じ講座の出席者 を装っていた のだが。

その言葉で 少年たちは即! < 同級生 > になった。

 

ここは都心にある有名大学 ― その一番古い校舎の一室。

島村ジョーは ここで開講されている一般向けの語学講座 に

通っている。

 

 

 

     初級・フランス語。 基礎から始めます。

 

パンフレットにはそんなフレーズで紹介されていて 

先生は この大学で教鞭をとるフランス人の年配の神父様だった。

 

「 こんにちは。 ワタシが このクラスの先生デス。

 デュポンせんせい と呼んでください。

 では ギャルソン。 君達は 今日から〜〜 」

錆色の薄くなった髪を揺らし デュポン先生は黒板の前から離れ

少年達に近寄ってきた。

 

 

       およ・・・・?

 

突然の ガイジン先生の接近に彼らは一様にドン引きした が。

デュポン先生は 全く意に介さない。

先生は 半分金髪  刈り込み短髪  そして ハーフ茶髪 の

少年たちのひとり一人の真ん前に立ち じっと見つめて

 

 きみは ルイ。    きみは パスカル。   そして  きみは ジャック。

 

このクラスでは この名前で呼びます  はい 決まり。

 

       な な  なん ・・??

 

― 突然の発言に

少年たちは 目を白黒・・・ まんまとデュポン先生のペースに

巻き込まれた。

 

「 ぼん。 で〜は 挨拶 を覚えましょう。

 Bonjour ?  はいっ くりかえして 

「 ぼ ぼん じゅ ・・・ 」

「 ・・ じゅ〜 」

「 ぼん・・・ る ・・・ 」

「 はい ゲンキよく  encore ( おんこ! : もう一度 の意味 ) 」

「「「 ぼ  ぼ ぼんじゅ〜〜る ! 」」」

 

デュポン先生はほとんどテキストを使わず

少年達に向き合って 大口をあけ大声をあげ 発音を教えた。

 

     ひえ〜〜〜〜??

 

     ・・・どわ? なに これ

 

     うっそ〜〜〜

 

三人の生徒達、最初は戸惑っていたけれど 

直に 先生の後に続き始めた。

気になる異性の目 がないのだ、女子の前でカッコつける必要な ない。

少年たちは 大口をあけ大声をあげ ― 繰り返す。

「 はい 動詞 あヴぉあ〜る の活用デス!   はいっ 」

 

  じぇ とぅあ いるあ えるあ。

  ぬ ざぼん  ぶ ざヴぇ  いるそん  えるそん

 

「 ぼん!  とれびあ〜〜ん め ぞんふぉん〜〜 ぼん! 」

ちょっとでも進歩すれば 先生は大袈裟に褒めてくれる。

 

    うひ・・・? なんか でへへ・・・

 

    とれびあん だってよ〜

 

    うっわ ホメてもらったあ

 

少年達は単純に舞いあがり 週に二回、熱心に通ってくるようになった。

短い休み時間には コンビニパン やら お握りを詰め込み

なんとな〜く打ち明け話なんかも ぽつぽつし始め ・・・

 

「 ・・あ〜〜 腹 減ったなあ 

「 ルイとこ、ビストロだろ。 まかない あるんだろ 」

「 足りね〜〜 もん  ジャックは 昼 弁当? 」

「 ん〜  そんでもこの時間は 腹 減る 」

「 だよな〜〜 」

 

ぼそぼそ語りあっているところに  ― デュポン先生は

スペシャル・オヤツ を持ってきてくれたのだ。

 

「 食堂のオバチャンが アマリモノで作ってくれまシタ。

 がーりっく と しゅがー  振ってマス。

 いっぱいたべて  ふらんす語 勉強しまショ 」

「「「  うぃ〜〜〜  むっしゅう〜 」」」

少年たちは揃って声を上げると 揚げ・パンのミミ に集中した。

 

 

 ― サイボーグ。  

 

彼らゼロゼロ・ナンバーサイボーグ 9人の戦士たちは

全て違う国籍を持つ。

もちろん 使用言語も異なるが 自動翻訳機 という

夢みたな装置のおかげで 全く問題はない。

激しい戦闘中も 自由自在に意思疎通が可能なのだ。

 

  しかし。   

 

平和なごく当たり前の日々 を得た時 

009 いや 島村ジョー君は とんでもない問題にぶち当たった。

 

彼は ギルモア博士 そして 001、003 と共に

故郷にほどちかい地で 一つ屋根の下に暮らすことになった。

 

    うっひゃあ ・・・  らっき〜〜〜♪

    カノジョも一緒じゃん〜〜〜

 

    ガイジンさんかあ ・・・

    言葉 うまく通じるかな 

    ぼく以外 み〜んなガイジンじゃんか

    え〜〜〜 ヤバすぎね?

    ・・・ やめよっかな ・・・

 

      あ。   

 

    サイボーグ なんだよ〜  なあ 009!

    あの超〜〜便利な装置があるじゃん

 

    何語だってへっちゃらさあ♪

 

    えっへっへ〜〜 

    カノジョとオトモダチになる!

    うっひゃあ  ホント、綺麗なヒトだなあ〜

 

 

彼は内心 ほくほくしていた のであるが。

 

「 ジョー? お買い物 お願いできる? 」

「 おっけ〜〜 なに買ってくるのかな 」

「 あ メモ 書いたから ・・・ これで 」

「 はいよ  ・・・ ??? 」

彼女が渡してくれたメモには  理解不能なアルファベットが並んでいた・・・

「 ・・・ あ あのう 」

「 はい? 」

「 そのう〜〜 これなんだけどぉ 

「 ?? メモがどうかした? 」

「 ・・・ あの これ え、英語? 」

「 え? いいえ。 わたしの母国語よ。 フランス語 」

「 ふらんすご??  ま〜ったくわかんね〜〜よ〜〜 」

「 あ ・・・ それじゃね 読み上げるから。 よく聞いて 」

「 ・・・ う〜〜 」

 

わかるワケね〜じゃん・・・と スネオになっていたのだが。

「 えっと 卵 1ダース  ミルク 1リットル 二本

 キャベツ 1個 ニンジン タマネギ じゃがいも 1キロづつ 」

 

カノジョの口からは 彼が唯一理解可能、と自認しているコトバ―

つまり 日本語が聞こえるのだ。

 

「 ??  あ あのう〜〜 」

「 チキン 1キロ  ・・・ え なあに 」

「 あのう きみ、日本語 しゃべれるんだ? すっげ上手 」

「 ? ・・・ あ〜  ジョー。

 自動翻訳機 が on になっているでしょ?

 わたし メモに書いたフランス語を読んでいるのよ 」

「 ・・・ あ ・・・ 」

ジョーは ようやく自身の自動翻訳機のスイッチが入っていることに

( 自動稼働らしい ) に気づいた ・・・

 

     !  そっか〜〜〜〜・・・・

 

     これってば 戦闘中は便利だけど!

     実生活では てんで中途半端じゃんか!

 

「 あ そっか ・・・ うん 買ってくるもの、わかりマシタ。 」

「 ごめんなさいね わたし 日本語 書けなくて・・・ 」

「 ぼく だってさ!  読み書きできる唯一のコトバってさ

 日本語 だけなんだ 」

「 あら 英語は。  あの島では 公用語は英語 ・・・

 あ そうだったわね ・・・ ジョー あなたは 」

「 ウン  あそこにはさ ほんの数時間いた って意識しかないんだ ・・・

 ぼく 学校でも英語 苦手でさ・・・

 自動翻訳機なかったら ・・・ な〜んもわからないよ。 」

 

      だけど  さ。

      コレって 万能 じゃねえんだ??

 

      つっかえね〜〜 !!

 

ジョーは心の中で 密かに毒づいた。

 

 つ〜まり。

 

  自動翻訳機は  聞く 話す には万能だけれど

読む 書く には ま〜〜〜ったくからっきし  無能 だったのだ!

 

     う〜〜〜〜  む 〜〜〜〜

 

 

「  あ  れ・・・?

 きみ  普段は  日本語 しゃべってる・・・? 

 そのう・・・ アレ なしで ・・・? 」

「 そうなの・・・ ふふふ ヘタでしょう? 」

「 ぜ ぜんぜん〜〜〜〜  ぼく そのう・・・

 ミッション中と同じだと 思ってて・・・ 」

「 この国で暮らすんだもの。  日本語 話せなくちゃって。

 博士にテキストを頂いて勉強しているの。

 ねえ ・・・ わたしの日本語 あ〜〜  ヘンじゃない? 

「 !!!! 」

ジョーは ぶんぶん首を横に振った。

「 そう? うれしい!  ね いろいろわからないコトバ あるの。

 辞書には載ってないけど 普通に皆がしゃべってる言葉 

 たくさんあるじゃない? 

「 あ あ〜 そう かも ・・・ 」

「 意味 教えてください。 」

「 きみって ・・・ すごい・・・ な 

 ぼく 尊敬しちゃうよ 」

「 え  やだあ〜 尊敬 だなんて 」

「 ぼく さ。 自動翻訳機って 超〜〜〜便利♪ って

 ほくほくしてたんだ ・・・ ずっと ね。

 その ・・・ きみともしゃべれたし 」

「 そう ね。 わたしも日本語わからなかったけど

 ジョーとお話 できたわね。 」

「 だろ?  ― だけど アレって ダメだよ。

 めっちゃ < 使えねえ > だ。 」

「 ・・・ ジョーも そう思う? 」

「 ん。 だってさ 読んだり 」

「 よかったわ。 わたしもそう思っているの。 

 だから わたし この国で暮らすって決めた時から

 アレをoffにしているの。 

「 ・・・ え? ええええ  そのう ・・・ ずっと? 」

「 はい。  だってわたし フランソワーズ・アルヌール だもの。 」

彼女は ちょっと胸をはってゆっくりと発音した。

「 ・・・ そう だけど。 その ・・・ずっと だよね? 

「 そうよ!  わたしはフランソワーズ。 003じゃない。 」

「 え・・・? 」

「 サイボーグだっていう現実は ちゃんと認識してるし

 受け止めているわ。 

 ・・・ 泣いたって喚いたって 変えることは ― できない。 」

「 ・・・・ 」

「 それでも 」

 

   わたし。 わたし達 機械の奴隷じゃないわ。

   機械を使い 支配するの。

 

   わたし 人間よ!

 

彼女は 高らかに謳うみたいに言った。

「 ですから。  いろいろとチャンレンジします。

 人間として ね 」

 「 ・・・・ 」

彼は 言葉もなく じっとその美しい横顔を見つめていた。

 

    ・・・ すご ・・・

    このヒト ・・・ すごい ・・・

 

    ぼくは ― 彼女の足元にも 及ばない よ・・・

 

    ・・・ ぼくは。

    いや。 自虐して縮まってる場合じゃない。

 

    ― そうさ  ぼくだって。

 

 「 ・・・・ 」

沈黙の中で ジョーはなにかをと見つけた のかもしれない。

 

 

それから 程遠くない、ある日。 

 

ジョーは思いつめた表情で、博士の部屋を訪れた。

「 あのう ・・・ ぼく ちゃんと学習したいんです 

 そのう・・・  フランス語を 」

「 ?? 自動翻訳機が故障したのか?? 」

「 あ そうじゃなくて。  そのう〜〜 ぼく・・

 読んだり書いたり が 全然 なんで ・・ 」

「 ・・・ おお そうかあ 」

「 アレだと ・・・ わかんないですよね?

 読む とか 書く は 」

ジョーはなにかとても言い難そうにしている。

「 まあ そうだが。 」

博士は素知らぬ顔で 素っ気なく返事をしたが ・・・

 

    ほう?  カノジョに らぶれた〜 書きたいのかね?

    よいよい・・・・ 

    青春の悩み じゃのう〜

    コイツも年頃の悩みを堪能すべし、だな

 

なにやら微笑ましい気分に浸っていた。

「 あの ― バイト先でも 少しは読んだりできないと ・・・

 ぼく 英語とか苦手だったんで・・・ 

「 ほう? この国では義務教育から英語を学ぶ、と聞いたが 」

「 はあ ・・・ でも ぼく あんま勉強しなくて ・・・ 」

「 ふうん  それなら今からやればよい。

 勉学に年齢は関係ないぞ。 

「 はあ ・・・ あのう・・・聞いてもいいですか 」

「 なんじゃね 」

「 あのう ・・・ 博士はふつ〜にぼく達と会話してますよね?

 そのう〜〜  装置とかナシで・・・ 」

「 あは ワシか?  ワシらは所謂多言語地域で生まれたからのう・・・

 コドモのころからいろいろな言語に接しておるのさ 」

「 それでも・・・ すご・・・」

「 ジョー。 ワシが一番苦労したのは 日本語 だ。

 大学でコズミ君と知りあってなあ  彼の優秀さに舌を巻き・・・

 彼と母国語でしゃべりたいと思い 必死で習得したよ 」

「 ・・・ そう なんですか ・・・ 」

「 どんな動機でもよい。 学ぶ ということは 素晴らしいよ 」

「 ・・・ そっか・・・ でも 今から学校・・って 」

「 方法はいくらでもある。 そうじゃ お前 今のバイト先は都心だろう?

 その近辺で 探してみたらどうかな 

「 え 学校・・・? 」

「 語学講座は いろいろなところにあるぞ 」

「 あ  はい 」

「 バイト先の上司に聞いてごらん。 地域情報として

 詳しいのではないかな 」

「 はい。 ありがとうございます。 」

 

      ・・・ はあ このヒトって。

      マジ マルチ天才 なんだなあ・・・

 

ジョーは ずっと親しみを感じているこの老科学者をしげしげと

眺めるのだった。

 

 ― ホンモノの才能は 万能である ということかもしれない。

 

 

「 語学講座?  あ 〜 それなら ほら・・・

 駅の向うの J大でやってるわな。 語学で有名なトコだから

 いろいろあるはずだよ 」

ジョーの質問に バイト先の編集部、チーフを務めるアンドウ女史は

すぐに教えてくれた。

「 J大? ・・・って無理っすよ〜〜 超難関大・・・ 」

「 いや 夜間の講座は申し込めばだれでもおっけ〜 のはずだよん。 」

「 え  そ  そうなんですか 」

「 ん〜  パンフとかもらってくれば? 

 え・・・っとねえ  たしか ・・・ 正門入ってすぐ横の建物が 学務部。

 そこに並んでるはず 」

「 あ ハイ。 ありがとうございます! 」

「 島ちゃ〜〜ん 熱心だね〜 いいね〜〜 」

「 え  いえ ・・・ ぼく そのう 全然ちゃんと勉強してこなくて 」

「 フランス語ってのが シブいなあ〜 ふつ〜に英語じゃなくてさ。

 あ もしかして カノジョ?? 」

「 え!? ち ち 違いますよ〜〜〜 」

ジョーは 耳の付け根まで真っ赤っ赤になり < ちがいません > と

公式に発信してしまった。

「 へっへ〜〜  ま いいじゃん。

 動機は楽しい方がいいもんね〜〜  ま 頑張れぇ〜〜 」

「 ・・・ は  ひ・・・ 」

 

   そして ジョーは  

 

      デュポン先生の初級・フランス語   をみつけたのだ。

 

 

  タタタタ ・・・  ガラ。

 

がらん・・・とした教室に ひとり また 一人 少年がやってくる。

「 よ。 ・・・ 腹減ったあ〜 」

「 お〜  おま そればっか。 」

「 だってさ〜  あ 宿題 やったか 」

「 なんとか・・・ パスカルは 」

「 ・・・ へっへ〜〜 俺 ちょっち書いたぜ! 」

「 え〜〜〜 マジ? 」

「 あのな あのな〜  店に来たガイジンさんのお客サンとしゃべった!

 そのこと 書いた! 」

「 ほえ・・・ ふ ふらんす語 で? 」

「 ぴんぽ〜〜〜ん   ・・・っても挨拶とちょびっとだけど 

 通じちゃったんだぜ〜〜〜〜 」

「 すっげ〜〜〜 パスカルってば〜〜 

「 やたな〜〜 」

「 へ へへへ・・・ それ 書いたんだけどさ

 でも 単語 わかんないから短いんだ 

「 俺もさ〜 」

「 ぼく スペル わかんないの、カタカナで書いた 」

いろいろ問題アリ でも 彼らはなんとか宿題をやってくる。

なぜって ― デュポン先生が ものすごく褒めてくれるからだ。

 

「 お〜〜〜  とれびや〜〜ん   め・ぞんふぉん♪

 スバラシ〜〜〜〜  」

先生は もうありったけの笑顔で大絶賛してくれたあとで

きちんと宿題を直してくれ アドバイスをしてくれる。

「 わからない単語は辞書!  スマホ辞書もいいデス。

 ちっぽけな辞書 いつも持ってると便利。 」

デュポン先生は 掌サイズに近い辞書を見せてくれた。

「 へ え・・・ 俺 辞書ってあんまつかったことないっス 」

「 使いマショ。 たとえば〜〜 」

ぱらぱらと辞書をめくり 使い方をやってみせてくれた。

「 それでもわからなければ カタカナ いいです。

 ワタシが教えます。 まず 書いてみる、 だこ〜? 」

「「  うぃ むっしゅ〜〜!  」」」

皆 同じレベル、できね〜〜よ という引っ込み気分よりも

やってやろ〜じゃん♪ の チャレンジ精神がずいっと前に出た。

 

「 せんせ〜〜 俺 あ  ・・・ 僕。  ウチの大将と話したっす!

 おっかね〜〜フランス人のシェフ なんだけど  

「 お〜〜〜 ルイ!  とれびや〜〜ん! 」

「 そんで! ウチの大将も るい って名 だったんす! 

「 ほお〜〜〜 それは ぐうぜん ですねえ 」

「 そうなんス! 俺 いっつも厨房イチバンでいって

 シンクとか床 磨いてんですけどぉ〜 

 

ルイ は見習いをしているビストロの話を始めた。

彼のおしゃべりは おそらく全く無意識だろうけれど

 ところどころフランス語が混じっていた。

デュポン先生は にこにこ・・・

「 ぼん!  ルイ〜〜 ぼん! 」

同級生たちは

 

    ! あ 俺にもわかるじゃん!  え・・?

 

    ルイ〜〜 すげ〜〜  わかるよぉ ぼくにも〜〜

 

めっちゃくちゃに熱心に 耳を傾けていた。

 

 ルイのおしゃべり *****

 

「 ぶなべ たんぷっ てぃ なび〜げ ♪ 」

少年は今日も大声で歌いつつ シンクを磨く。

「  じゃ じゃ じゃめなびげ〜〜〜♪♪ 」

  

     おぇ おぇ〜〜〜〜 ♪

 

野太い声がその童謡の続きを歌った。

「 !?  あ  ぼ ぼんじゅ〜る   むっしゅう〜〜 」

振り向けば 厨房の入口に 鬼の?シェフが立っていた。

「 ぼんじゅ〜る ・・・ ける のむ? ( なまえは? ) 」

でっかいシェフは 相変わらずぶっきらぼうに言う。

「 あ あ 〜〜  じゅまべ〜る るい! ( るい デス ) 」

「 ルイ?  ―  もあ おっすぃ ( 俺もさ ) 」

シェフは  に・・・ っと笑いを返してくれた。

「 プチ・るい。 ( チビ・るい ) ぼん! 

さあ 仕事だ! と シェフは厳しい顔に戻り厨房の真ん中にたった。

 

     うっぴゃあ〜〜〜〜〜〜♪

 

ルイは隅っこのシンクの前で 掃除用のスポンジを握りしめていた。

 

 

「 で さ。  その日から俺 ジャガイモ剥き になった! 」

「 じゃがいもむき? ・・・ず〜〜っとイモの皮 剥く? 」

「 あ 野菜の下ごしらえ ってことかな〜

 ジャガイモがメインだから そういう名前なんだけどさ 」

「 ふ〜〜ん やったな〜〜 ルイ 」

「 ルイ! やろ〜ぜ  オレもまっけね〜〜 

 

    あはははは   少年達は 屈託なく笑う。

 

「 ぼん ぼん  とれびや〜〜ん め・ぞんふぉん〜〜

 ぼとる てーむ そん とれびあ〜〜〜ん ! 」

 

デュポン先生は一人一人の宿題 ( 短い作文 ) を

丁寧に添削し 文法の説明をする。 

三人の作文を三人の前で 学習の題材にするのだ。

 

     え ・・・  やだな〜〜

 

最初は引いていた彼らだったが ― すぐにその感覚は消えた。

だって < 仲間 > だから。

そして 合い間には不動詞の活用を皆で大声で唱える。

 

「 おし。 覚えたぜ 」

「 ・・・明日 しゃべる! 」

「 そっか そうなるんだ? 」

 

ジョーは いや ジョーとその同級生は 勉強の仕方 を学んだのだ。

 

ある日 ― デュポン先生は いつもの如く笑顔満載で現れた。

 

「 ぼんじゅ〜る め ぞんふぉん♪ 

 今日は〜〜 写真 とりまショ 」

「「 へ ??? 」」」

少年たちは ぽかん、としている。

「 カメラ 借りてきまシタ。 クラスの記念デス。

 さ ならんで〜 ルイ  パスカル  ジャック〜〜 

 

   え え〜〜     なん??    ちょっとぉ 

 

三人がうろうろしている間に デュポン先生はちょいと古めかしい

カメラ! ( スマホじゃなく ) をセットした。

「 はい  る・ふろま〜〜〜じゅ! ( ち〜ず ) 」

 

    カシャ。  

 

やろ〜が三人 なんとかぎこちない笑顔で並んでしまった・・・

 

「 ぼん!  それでは〜〜 

 元気だして〜 あヴぉあ〜る の活用! 」

いつもの授業が始まった。

 

「 お〜るぼわ〜る め ぞんふぉん。 」

「「「  お〜るぼわ〜る ムッシュウ。 あ じゅ〜でぃ 」」」

( さよなら せんせ〜  木曜に )

クラスが終われば 三人でぶらぶら・・・最寄りの駅まで歩く。

「 はあ〜  腹 へったあ〜 」

「 おま そればっか〜 」

「 へへへ〜〜 」

「 あ 次の木曜 ぼく 休み 」

「 え〜〜〜 ジャック 休みかよ  バイト? 」

「 ん〜 ちょっと野暮用  あ 後でノート 見せてくれよ 」

「 だこ〜〜 ( おっけ〜 )   じゃ な〜 」

「 じゃな〜〜 」

ジョーは  語学講座の < 同級生 >たちとゆるゆる交流していた。

 

 

 ―  だけど やはりこの世は平和でにこにこ・・・ だけではないのだ。

 

突発的にミッションは発生した。

局地的なもので 少人数、短時間で解決はできたけれど

やはり 彼らはあの赤い特殊な服を纏い <闘い> の場に

その身を投じるのだ。 それが彼らの宿命 ・・・ かもしれない。

 

  ヒューーーー      ドドド ドーーー ン ッ !!

 

背後では轟音が響き 目的の建物がグズグズと崩壊していった。

僻地の荒地の中 気付くものも とばっちりを喰う動植物も ない。

BGの末端の末端・・・ケチな組織だったが 見逃すわけには行かない。

大きくなる前に 悪い芽は削除するだけだ。

 

 シュ −−−  タタタ −−−−

 

赤い服の数人が 密かに駆け去ってゆく。

あとは速やかに撤退、ドルフィン号でこの地を去る。

 

≪ ?  あれ   009が遅れてるよ ≫

 

最初に気付いたのは008だった。

≪ え?  ・・・  009! そこを左! ≫

殿( しんがり ) を護っていた003が 振り向いて

ダイレクトで通信と飛ばした。

 

 ≪ ・・・・ 〜〜〜 ず〜〜〜 ≫

≪ ? なに どうしたの??  009 返答して! 

≪ ぷ〜〜〜  ぴ〜〜〜が〜〜〜 ≫

≪ なにか不具合か?? ≫

 

 ―  009以外の全員が 停止 した。

 

 

Last updated : 03,23,2021.            index      /     next

 

 

**********   途中ですが

 ジョーくんの青春記?  かな・・・・

平ジョー君なんですけど  フランちゃんに

憧れて 憧れている頃 から始まります。