『 端役にもドラマ  − ジゼル − 』    

  

 

            前回に引き続き 『 ジゼル 』 第二幕をご説明します。

 

   第二幕 

 

 

キャスト ( しっかり顔を当てはめてくださいね〜〜 )

 

ジゼル      :  フランソワ−ズ

アルブレヒト   :  ジョ− ( 新ゼロ・ジョ−ですね〜 まちがっても平ジョ−じゃないです )

ミルタ       :  アルテミス

 

ヒラリオン     :  カ−ル・エッカ−マン ( ただし実像 )

ウィルフレ−ド  :  ピュンマ ( 従者 )

ドゥ・ウィリ−   :  ヘレン   ビ−ナ

 

 

 

さて、いよいよニ幕の幕開きです。

楽しい収穫祭の場から一転してジゼルの死、という衝撃的な場面で終わった一幕はもう

過去のもの。

忍びやかな前奏のもと、ゆっくりと幕が上がります。

この前奏、ようく耳を傾けてみてください。 あの楽しかった日々でのメロディ−が随所に

散りばめられています。 まるで今は亡きひとのきれぎれの思い出のように・・・・

 

沼をちかくに見る森の中。

湿った大地には 肌寒い風が吹き鬱蒼としげる樹々の梢をゆらしてゆきます。

下手に(奥の場合も手前の場合もあります。 その舞台の都合上・・(^_^;) )まだ

真新しい十字架があり、その白い表面には ・・・ GISELLE ・・・ の文字が。

 

やがてハ−プの伴奏で優美な弦の音とともに妖精の女王ミルタが舞台奥を

滑るように横切ってゆきます。

これってね〜 パ・ド・ブレで横切るだけなんですけど・・・大変!

限られた音の中で急いででも優美に行かねばなりません。 

パ・ド・ブレって5番の前足で進んでると思うでしょ?

ちがうんですよ〜 本当は後足で押して進むのです。 ここは客席に背を向けていますので

必死の形相・・・のアルテミス、じゃなかった、ミルタなのです。

 

ここでミルタのソロ。

妖精の女王ですから。 軽々と優美にしかも威厳をもって。

ロ−ズマリ−の枝を持ってアルテミス様は配下の妖精たち( ウィリ− )を呼び出します。

 

「 今宵一夜、甦えり踊り狂うがよい。 わが配下のウィリ−達よ・・・ 」

 

おごそかなアルテミスさまの命とともに両袖から24名( 都合により増減あり )の

ウィリ−達がしずしずと登場します。

『ジゼル』二幕のコ−ルド( 群舞 )の<お約束>は ⇒ 笑わない。

営業用にっこりは一切なしで 冷たい無表情で終始します。 演出さんによっては

口紅を塗るな〜って時も・・・。( 亡霊ですからね (^_^;) )

 

「 皆のもの・・・ 今宵われらはここに新しい仲間を迎える。 さあ 舞うのだ・・・ 」

 

ふたりのソリスト( ドゥ・ウィリ− ) ヘレンとビ−ナを先頭にウィリ−たちの踊りが始まります。

ここで♪

新ゼロ 『 明日鳴れ、愛の鐘 』 のなかで ジョ−君とフランちゃんがパリの街を歩きながら

( でーと のつもりなんでしょうね〜 )

「 オペラ座で 『 ジゼル 』 を踊るのが夢だったわ・・・ 」 って場面がありますよね。

あそこの BGM がここ、ウィリ−達の踊り、その中でドゥ・ウィリ−の片方、ビ−ナのソロの音なのです。

 

( わたくしは初めてドゥ・ウィリ−の役を頂いた時、ここの音の場面でランベルセ −パの名前− が

ど〜〜〜しても上手くひっくり返れなくて泣いた思い出があるのです。(#^.^#) ですから

『〜愛の鐘 』を初めて見た時 − わたくしは大人になってからちゃんと新ゼロを見ました −

「 ・・・うひゃあ〜〜〜♪♪ 」と ひとりで赤面?して跳ね回りました・・・ )

 

ここでのコ−ルド・バレエは シンメトリ−になったりユニゾンになったり、

踊りそのものも美しいですが その構成を眺めるのもまた一興だと思います。

なかでも左右の袖から ウィリ−達が一定の間隔を保ちファ−スト・アラベスクのまま

ソッテで交錯してゆく箇所は<名物>のひとつです。

 

余談ですが。この↑のシ−ン、日本のバレエ界では<よわたり>といいます。

( 世渡り なのか 夜渡り なのかは誰に聞いても謎ですが・・・ )

リハ−サルで 「 はい〜 コ−ルド!ニ幕の<よわたり>から〜 」と言われたら

このシ−ンからやるよ、という事なのです。 ( この手のコトバは結構ありまして、『白鳥〜』の

中でも「 二幕の<ステテコ>から〜 」ってのもあるんですよ(^_^;) )

 

「 さあ、新しい仲間を呼び起こそう・・・ 出ておいで! 」

アルテミス様が 魔法の枝をジゼルのお墓に向って一振りなさいますと・・・

 

白いベ−ル( これは経帷子 )を被ったフランソワ−ズが現れます。

「 新しい妹よ、ようこそ。 お前も今からウィリ−となって踊り狂うがいい。 」

「 ・・・・ はい。 アルテミスさま・・・・ 」

アルテミスの杖の一振りでベ−ルは飛び去り、フランソワ−ズは妖精に生まれ変わって

仲間たちと共に 踊りはじめます。

 

やがて。

「 ・・・ 誰か来る・・・! 身を隠せ・・・ 」

女王の命で ウィリ−達は素早くその姿を消します。

 

 

もの悲しいオ−ボエの旋律と共に 黒いマントで身を包んだ傷心のジョ−君の登場です。

付従うピュンマさまは気が気ではありません。 

だって、ここは・・・

 

「 ジョ−さま。 この森には恐ろしい言い伝えがあります。 それでなくとも夜中に

 墓地などに踏み入るものではありません。 さあ、ご帰還くださいませ・・・ 」

「 ・・・ほうっておいてくれ、ピュンマ・・・。 僕のことに構うな。 」

「 しかし、 ジョ−さま・・・!」

「 君は僕がどんな事をしたか知っているだろう。 謝って許されることなどではないが・・・

 せめて墓にこの花を供えたいんだ。 ・・・・ 悪いが独りにしておいてくれ。 」

「 ・・・・ ジョ−様・・・・ 」

ピュンマさんは 主人の命とあってすごすごと退場します。

 

「 ・・・・・ フランソワ−ズ ・・・・ やっと来ることができたよ。 」

ジョ−君は 真新しい墓に花束を供えます。

「 ・・・これは・・・・せめてもの僕のこころのあかしだ。 フランソワ−ズ、僕の花嫁は

 未来永劫きみひとり・・・。 ああ、僕のフランソワ−ズ・・・! 」

今更な〜にぬかす! このタラシが〜〜・・・って。 まあまあ・・・押さえて・押さえて。

 

このシ−ン、普通アルブレヒトは腕一杯の百合の花を持っています。

ある舞台で 彼はカラ−( オランダ海芋 )の花束を持って出てきました。

カラ−は花嫁のための花。 当時専門雑誌でこの花束を墓に捧げることでアルブレヒトは

無言の宣言をした、と特筆されていました。

 

 − 自分の花嫁は亡くなったジゼルだけだ、と。

 

 

お願いだ・・・ もう一度会いた ・・・・ 会ってきみを抱きしめたい・・・・

どうか、ゆるしてくれ・・・・ 僕がこころから愛するのは・・・フランソワ−ズ、きみだけだ・・・!

僕の・・・フランソワ−ズ!!

 

嘆き悲しむジョ−。 墓の前に額ずき涙に暮れています。

・・・いやあ・・・ 絵になる! むふふふ・・・ここで防護服でもい−ですよね。

モノト−ンっぽい背景とあの派手っちい色彩のコントラストがなおさら彼の悲しみを顕わにしますね〜

( だれか〜♪ 絵師さま〜〜 描いて・描いて〜〜(>_<) )

 

・・・ ジョ− ・・・・

 

かすかな ささやき、やさしい声音とともに 忘れえぬ懐かしい面影が ジョ−の前を通り過ぎる・・

 

?? フラン? フランソワ−ズ ???

 

夢か幻か・・・と 思わず身を起こして辺りをみまわすジョ−。

 

・・・ジョ− ・・・ ここよ ・・・ わたし、ここにいるわ ・・・

 

フランソワ−ズ!!!  

 

ジョ−・・・・!

 

生と死・・世界を異にしながら、ふたたび逢うことが出来たふたりは固く抱き合います。

(  舞台では抱き合いませんよ〜 イメ−ジね、イメ−ジ♪ 実際はリフト )

ここのリフトは まさに空気のように、ふわり・・・と見せなければなりません。

お互いのタイミングを読み合うのも勿論ですが 音に乗ってしかも優雅に・・・・

かな〜り真剣になるので ついついコワイ顔つきになっちゃって。

「 とって喰いに出てきたんじゃないよ! 」なんて注意されたりして。

 

裏切られた悲しみやら謝罪やら・・・そんなことは全て忘れてひたすら二人は喜び合います。

 

会いたかった・・・!愛してる、愛しているよ、フランソワ−ズ・・・!

ジョ−・・・ わたしも・・・。 

 

 − ああ・・・・ 嬉しい・・・・・

 

「 ・・・・あ! いけない・・・! 仲間たちがくる・・・ あぶないわ!ね、ジョ−

 隠れていて。 夜があければ安全だから・・・・おねがい・・・ 」

さすがに気配を察した003は、じゃなくてジゼルは アルブレヒトを隠します。

 

 

らぶらぶですよ〜♪ ここは趣味で、ど-しても新ゼロの二人がいいな♪

平ジョ−なら 「 怖いよう・・・・ 」って涙ぐみそうだし。 旧ゼロなら・・よいこはとっくに

おねんねしていて夜中に出歩いたりはしません。 超銀?・・・即押し倒してたりして(邪笑)

原作・・・「ふむ・?」な〜んてひとりで腕組みして沈思黙考??

 

 

テンポの速い音で ウィリ−達に見つかったヒラリオンが逃げ惑いながら登場です。

「 た・・・たすけてくれ・・・! 二度と近づかないから・・・ 命だけは・・・! 」

「 踊れ。 さあ・・・・ 目が眩むまで。 息が絶えるまで。 」

必死の命乞いもむなしく、アルテミスの命のもとカ−ルはウィリ−達に翻弄され続けます。

「 ・・・た・・・・た・・すけ・・・て・・・・ 」

踊りの輪に引きずり込まれ、さんざん弄ばれた末カ−ルは沼へ沈められてしまいます。

どぼ〜〜ん・・・って放り込んじゃいます。( ちゃんとそうゆう振り付けなのです )

 

・・・殺しちゃうんですよ。古典バレエではっきり<殺人>ってこの場面くらいですかね〜

( 『 白鳥〜 』でロットバルトは退治されるけど、あれはヒトじゃないしな・・・

『 ロミ・ジュリ 』の決闘シ−ンもありゃ自業自得? )

「 助けてくれ〜! 」ってカ−ルは舞台にナナメ一直線に並んでいるウィリ−達に頼むのですが

みんな つめた〜〜〜く NO

( ははは・・・ この時カ−ルの汗がびちゃびちゃ飛んで来るんですよ〜〜 (=_=) )

NO!という快感? いぢわるの喜びに浸れます。

 

でもね〜 ここでのカ−ルって踏んだりけったりの人生??

本当にフランちゃんが好きだったのに。 好きだからジョ−の正体を見破って身分違いの恋から

身を引かそうと思っただけなのに。

結果的には自分の行為が 恋人を死においやり、お墓参りにきたのに取り殺されちゃうんですから。

ま〜 貧乏クジってか。

ここに スフィンクス・・・じゃなくてカ−ル・エッカ−マンは藻屑となって散るのでした。

 

やったあ〜!

ウィリ−達はアルテミスさまと共に勝利?のヨロコビを踊ります。

「 アルテミス様! もう一人・・・生贄をみつけましたわ・・・・ 」

隠れていたはずのジョ−君は ウィリ−達にアルテミスさまの前に狩り出されてます。

ドジやのう・・・ やっぱコレは平ジョ−ですかな・・・・

 

「 ふふふ・・・ さあ、お前も死ぬまで踊り狂うがよい! 」

魔法の杖を振りかざし、アルテミス様はジョ−君に呪いをかけようとします。

その時。

白い影が さっと女王の前に現れます。

「 ・・・ 待って! 待ってください、アルテミス様・・・! 」

「 ・・・ フランスソワ−ズ? 邪魔をするでない。さがっておれ 」

「 いいえ・・! アルテミスさま、お願いです。 どうか、彼を、ジョ−を助けてください。 」

「 何を言う? この男は・・・ お前を裏切ったヤツ。 この男のためにそなたは

 命をおとしたのではないか 」

「 ・・・それは・・・・ そうですけれど・・・。 でも! お願い・・・ジョ−を助けて・・・

 わたしは・・・・ジョ−をこころから愛しているのです・・・ ! 」

「 フランソワ−ズ・・・そなたはまだ目が覚めないのか! このタラシ男のために

 どんなに涙を流してきたか・・・ あれもこれもそれもナニも、すべてはこやつのせい・・・ 」

「 わかってます・・・。 それでも。 それでも、わたしはジョ−を愛しているのです! 」

( ・・おっとと・・・ この辺は<おまけ>でございます(^_^;) )

 

「 え〜い・・・! ならぬ、許すことなどまかりならぬ! さっさとコヤツを呪い殺すのだ! 」

「 ・・・・ 」

< ジョ−・・・? 聞こえる? ね、わたしのお墓、十字架から離れないで。 >

< ・・・・フラン? >

ふたりは 密かに脳波通信で語り合うのでした???

お墓の十字架には ミルタの魔法の杖( ロ−ズマリ−の枝 )の威力も効きません。

二人を引き離そうとするアルテミス様、・・・・ ああ ・・・ 魔法の杖がぽきりと折れてしまいます。

 

この杖、樹の枝仕様になっていまして、手許にぽっちがあります。

そうそう、傘のワンタッチボタンみたいなの。 これを音に合わせてお客さまからは判らないように

押すのです。 聞いたハナシですが、な--か装置?が故障してどんなにぽちっとな〜しても

枝が折れません・・・音はどんどん進んでゆきます・・・逆ギレ?したミルタは枝を投げ捨てたとか。

 

「 ・・・・う・うぬ・・。 フランソワ−ズ!この女王アルテミスの命だ。 この男を舞いで誘惑せよ! 」

「 ・・・・・ 」

一介のウィリ−であるフランソワ−ズは女王さまの命令には逆らえません。

うな垂れて 彼女は優美な舞いを始めるのでした・・・・

 

はい♪

ここで!皆様お待ちかねの ジゼルとアルブレヒトのグラン・パ・ド・ドゥ が始まります。

 

「 ・・・・ ジョ− ・・・ お願い、決して十字架を離さないでね・・・ 」

「 ・・・ああ ・・・・ フランソワ−ズ ・・・ なんて ・・・美しいんだ ・・・・! 」

 

ヴィオラの独奏でフランソワ−ズはゆっくりと踊りはじめます。

このグランはもちろん、単独でも素晴らしいですけど、明るい一幕、狂乱の幕切れ、

そしてつかの間の再会のよろこび・・・そんな背景があるからこそ、なお一層美しいのだと思います。

誘惑、というより魅惑の舞い、フランソワ−ズのジョ−への想いの全て・・みたいな踊り・・・

 

あんなに必死でフランちゃんが頼んだのに。

少々甘ちゃんのジョ−は 恋人の魅惑の舞いに我を忘れふらふらと引き寄せられてしまいます。

・・・ほっんとに。 イシュキックとか ヘレンとか ロ−レライの美女とか 新しいところではヒミコさまとか。

ジョ−君って、ジョ−君って・・・! ・・・・まあ、ソレが彼の魅力のひとつなのかな??

 

さ〜あ、大変!

ジョ−はアルテミスさまの呪いに操られテンポの速い舞いに翻弄されます。

ここの音は本当に有名で 稽古でもアレグロによくピアニストさん達は弾かれます。

込み入ったパだと・・・ 「 いや〜〜 アルブレヒトみたく・・・ 死にそう・・・!」 なんていい合いますけど。

 

疲労のあまり ジョ−はぶっ倒れます。 ( 生身のぼんぼん・王子ですからね、鍛えが足りん? )

ここの男性ヴァリエ−ションは 他に操られている様に激しい動きをしますので本当に<死にそう>。

 

「 ・・・・ ジョ−! しっかりして・・・!  」

「 ・・・ ふ、フランソワ−ズ・・・・ 」

「 アルテミスさま! お願いです、どうか。 どうか、彼を助けてください! みなさんも お願い・・・! 」

 

フランソワ−ズは アルテミス様に、仲間たちに懇願しながら ジョ−と一緒に踊ります。

ここで、<ジゼル・愛のテ−マ>

女王も仲間のウィリ−達も彼女のお願いを冷たく拒否。

 

 − NO

 

精魂尽き果てたジョ−に ウィリ−達の 女王・アルテミスの魔の手が迫ります・・・!

 

「 ・・・ ジョ− ・・・・!!! 」

フランソワ−ズの声にならない哀しい叫びが 夜の空気をふるわせた時・・・

 

 − か----ん   か-----

 

遠くから 夜明けをつげる鐘の音が響いてきます。

夜があければ さしもの女王アルテミスは力を失って常闇の国へ姿を消さねばなりません。

 

ジョ−は すんでのところで助かったのです。

アルテミスとウィリ−達は 静かに消えて行くのでした。

そして それは。

今はウィリ−に成り果てたフランソワ−ズと生身のジョ−との永遠( とわ )の別れでもありました。

 

 

ジョ−・・・もう これでお別れ・・・ もう 二度と会えないわ・・・

 

フランソワ−ズ・・・ いやだ、そんなの・・・お願いだ、もう一度・・・

 

ジョ−。 もう悲しまないで。 どうか 自分を責めないで・・・ そうして

どうぞ つよく生きて・・・・ あなたの思うままに・・・生きて・・・

 

・・・・フランソワ−ズ・・・・! 僕を・・・ 許して・・・・ 

 

さようなら・・・・ジョ−・・・ わたしの・・・愛するただひとりのひと・・・・

・・・・どうか 幸せに・・・・ さようなら・・・・ ジョ−・・・・・

 

・・・・ フランソワ−ズ!!!

 

自分を死に追いやったひと。 戯れに愛を誓ったひと。

それでも。

自分がこころから愛した、ただひとりのひと。

 

・・・ ジョ− ・・・・・

 

そんな彼に フランソワ−ズは限りなく優しい眼差しを残して 消えてゆきました・・・・

 

 

希望の象徴のはずの朝の光が差して来た時、 

ジョ−はただひとり この世で一番愛した人のお墓のまえに呆然とくず折れるのでした。

 

 

 

幕。

 

 

***** それからのジョ− *****

狂気と悔恨の一夜から 見も心もぼろぼろになって辛うじて一命を取り留めたジョ−。

彼は その後どんな生涯をおくったのでしょうね。

 

多分。

ジョ−は翌春には 何事もなかったかのようにタマラ姫と華燭の典をあげ、まずまず平穏な結婚生活を

送るでしょう。 時に( 性懲りも無く? )ちいさな浮気沙汰を繰り返しながらも

ジョ−君とタマラ姫の間には多くの王子・王女が生まれ ( タマラさんはきっと多産系??あの腰つき?

わたくし達の素晴らしい子孫が・・・ってね♪  )ふぁんたりおん国は安泰・繁栄するのではないかな?

 

でも ふと目覚めた夜の静寂( しじま )に。 眠れずに迎えた薄明の時に。

ジョ−が想いをこめて抱き寄せるのは やっぱりフランソワ−ズの面影なのです。

そして 年老いた彼が息を引き取るとき、両手を広げて迎えにきてくれるのも・・・フランソワ−ズ。

 

「 ・・・・ ああ ・・・ やっと・・・・会えたね・・・フラ・・ンソワ・・−ズ ・・・・ 」

苦しい息のもと、そんな呟きを漏らせ至福の笑みを浮かべて彼はその生涯を終える・・・のだと思うのです。

 

 

 

<端役にもドラマ>なのです。

そう!一幕の農民でも楽しいです、とかきましたけれど、二幕のウィリ−達もまた然り。

ウィリ−とは 結婚前に死んでしまった娘たちの悲しい姿なのです。

( 随分と若年性の女性死亡率の高い地方なのか、タラシ男が多いのか??? )

み〜〜〜んな、<諸事情>あってのウィリ−なんですよ。(^_^;)

だから、フランちゃんの「 ジョ−を助けて! 」のお願いにつめた〜〜く NO!。

アルテミスさまなんて かなり酷いトラウマを抱えているんだろうなあ。 まあ、チャチャ入れはともかく。

 

あなたが ジゼルだったら。 バチルド姫だったら。 

どうしますか?

 

そんな風に考えると、この物語は単なるオハナシではなくてあなたの心に真摯に問いかけて

くるものが沢山あると思うのです。

 

ほんとうに、音楽も踊りもドラマも。 『 ジゼル 』、 大好き!

全幕でも2時間はかかりません。 ドラマのテンポも速いですから眠くなりませんし。(^_^;)

どうぞ、皆様 チャンスがありましたら是非、公演に足をお運びください。

DVDも数多く出ていますが、やはり劇場で生のダンサ−の息使いを感じて、バレエって

ひらひら・ぴらぴら綺麗なだけじゃないんだな〜って思ってくだされば こんなに嬉しいことはありません。

 

 

ジョ−君! フランちゃ〜ん♪ お疲れ様〜〜〜(^_-)-

 

 

***** Fin. ******

Last updated: 09,19,2004.            back  /   あひる・こらむ  /   index

 

 

**** 後書き     by    ばちるど  ****

おもいっきりオタクなコラムになってしまいました。(汗)

ヒラリオン役にメンバ−を当てたくなかったのは、 あまりに踏んだり蹴ったりの役ゆえ

誰に振っても怒りの石礫が飛んできそうでしたので・・・(^_^;)