『 はつゆき   − (1) − 』  

 

 

 

 

**** おことわり ****

管理人はこのオハナシの舞台となった国には一度として行ったことがありません。

全くの妄想の産物ですので詳しい方、どうぞお目こぼし下さいませ。

 

 

 

 

「 わあ・・・ すごい霧ねえ。 」

「 うん。 こんなに濃いのって初めてだ。 全然前が見えないな。 」

「 そうよね。 ねえ、なんだか・・・ マジックみたい。 」

「 マジック ? 」

「 ええ・・・ ほら。 」

フランソワ−ズはエア・タ−ミナルの窓から外を指差した。

ケプラヴィ−ク空港に降りた時にはまだすこしは青空が見えていたのだが 入国審査などを済ませて

いるうちにあっという間に,周囲はすっかり霧に取り巻かれてしまった。

国際空港の周辺なので 人や車両の往来はかなりあるし、市内へのバスも定期的に発着

しているのだが・・・

すべてが 忽然と、霧のカ−テンの中から現れるのだ。

そう、ステ−ジの袖幕から俳優があらわれたり、 手品師の手元からハトが飛び立ったり 

・・・そんなカンジで乳白色の空間に ぽろり、と出現する。

四駆の車も 長いコ−トを着込んだ人も、そして時には大型のバスまでもが

本当に突然、何も無いところから魔法みたいに現れるのだ。

 

「 あは。 上手いコト、言うね、フランソワ−ズ。 本当にマジックみたいだ。 」

ジョ−も感心して窓に張り付き 外を眺めている。

「 なんだか・・・ワクワクしてきちゃった♪

 こんなメルヘンっぽい国に神話に出てくる登場人物・・・なんてロマンチックじゃない? 

「 もう・・・ オンナノコはすぐそういう発想をするんだからなあ。 」

「 あら、いけない? 面白いコトがあるんだ、って誘ったのはジョ−、あなたなのよ。 」

「 それはそうだけどさ。  う〜ん、ワクワクするのは一緒だけど、ロマンチックかどうか・・な

 ちょっと保証できないよ。 

「 どうしてわかるの。 」

「 だってさ、情報モトはアルベルトだもの。 」

「 あら。 アルベルトって結構ロマンチストな面があるのよ。 知らなかった? 」

「 へえ〜〜? そうなんだ・・・・ 」

ジョ−の声音がすこし無愛想になった。

 

   ・・・どうして そんなコト知っているんだよ? どうして??

 

「 ともかく。 な〜んだ・・・ってコトになるかもしれないからね。 」

「 ・・・・ でも まだ何にもわかってないのでしょ。 ロマンチックな可能性もあるわ。 」

「 <何もわかっていない > から面白いのさ、お嬢さん 」

ジョ−はぽん、とフランソワ−ズの頭に手を当てた。

「 もう! いいわ、わたしは北の果ての国の神話にロマンを求めることにします。 」

「 はいはい。 期待してますよ〜〜 」

「 ジョ−ォ! 

「 あ、ほら。 市内へのバスはあっちみたいだよ。 さあ、行こう。 

「 ええ。 ふうん ・・・ リムジン・バスがほとんどなのねえ。 

二人は長いコンコ−スを辿っていった。

 

タ−ミナル・ビルからは直接に市内行きのバスに乗り込める。

「 ほら、フラン。 きみの荷物、かして。 ここに纏めて置くきまりらしいよ。 」

「 はい、これ。  ・・・ふうん ? 外には全然でなくていいのね。  便利でいいわ。 」

「 便利ってさ、冬には雪と氷の国だもの、外に出たら凍えてしまうよ。 」

「 Iceland ですものねえ・・・  まだ9月だけどみんな長いコ−ト着てるわ。 」

「 もう冬は目の前なんだね。 」

バスは静かにエア・タ−ミナルを離れ 霧の中にカ−テンをあけ、街へ目指していった。

 

「 わあ ・・・・ 霧の壁に囲まれているみたい・・・! 」

「 うん、すごい・・・! 」

ジョ−もフランソワ−ズも小さな子供みたいに窓にオデコをくっつけて張り付いていた。

「 どちらまで? 」

「 ・・・ あの ・・・ ハイランド地方へ行く予定です。 」

「 ほう。 もうちょっと早い季節にいらっしゃればねえ。 夏には花畑も見られるんですよ。 」

隣に座った初老の男性がにこやかに教えてくれた。

「 まあ、残念! ・・・ あの、もう冬なんですか? 」

「 いいえェ 冬はこんな穏やかではありませんよ。 お嬢さん あら、奥さんかしら 」

男性の妻とおぼしき同年輩の女性もやはり微笑みつつ、応えてくれた。

「 あ・・・ え ・・・・ あの ・・・ 」

「 おお、ハネム−ンですか。 いいですなあ。 」

「 ・・・ あ ・・・ は、はい・・・ 」

ジョ−までもが 耳の付け根まで真っ赤になり同じく頬を染めたフランソワ−ズと顔を見合わせている。

「 この国はね、自然がいっぱいの国です。 妖精や精霊たちもお二人を祝福してくれますよ。 」

「 は ・・・  あ、あの・・・ 妖精ってやはり神話・・・ エッダ、に関係があります? 」

「 おや、ご存知ですかな。 我々の国の神話はギリシアのものとはちょっと違っていましてな・・・

 その足跡をさがしてご覧になるのも楽しいでしょう。 」

「 そうねえ。 ああ・・・ お嬢さん、あなたの髪はまるでフレイヤのようね。 

 きっと ・・・ イイコトがありますよ。 」

「 ・・・ フレイヤ ? 

「 美と愛の女神さまよ。 どうぞ楽しいご旅行をね 」

「 あ、 ありがとうございます。 」

リムジン・バスは ほどほどの客を乗せ、再びす・・っと霧のカ−テンの奥へ進んでいった。

北国の首都は やはり霧にすっぽりと包み込まれていた。

 

 

 

 

「 それで、アルベルトのハナシだけど。 フランソワ−ズ、きみどうする? 」

「 ・・・ これ、美味しい〜〜〜♪ やっぱり張大人の中華は絶品ねえ。 」

「 え・・・ ああ、そうだね。 フラン ・・・ そんなに食べていいのかい。 」

「 だってェ お腹ぺこぺこなんだもん。 いいの! 今日で今度の公演、打ち上げだもの。

 あ〜〜〜 ・・・ 美味しい〜〜〜 ♪♪ 」

「 あああ・・・ 知らないよ。 」

港・ヨコハマの中華街、 メインの通りから二筋ひっこんだところに張々湖飯店がある。

見かけは地味な、どこにでもある中華飯店だが・・・ 

実はツウの間ではひそかに <行列ができる・中華屋さん> なのだ。

 

海風がちょっぴり冬の気配を運んで来るようになった夜、ジョ−とフランソワ−ズは

奥まった席で円卓を囲んでいた。

店の中央のフロアはほぼ満席、 多くのご贔屓サン達が秋の夜長を美味で楽しんでいる。

「 いいわよ〜だ。 あ、 ジョ−。 その北京ダック、わたし全部もらってもいい? 」

「 ・・・ はいはい。 どうぞ、腹ぺこのお姫様 」

ジョ−は笑って円卓をずいっとまわした。

「 ね〜 今度の舞台、どうだった? どこにいたかわかったでしょう? 」

「 ・・・ えっとぉ ・・・ もしかして・・・ 真ん中へん? 」

「 ・・・ いいわ、もう。 ともかく終ったし。 まあまあ・・・だったかな。 」

「 ゴメン・・・。 一生懸命見てたんだけどさ、皆同じ顔に見えて・・・ きみ、今回は髪も染めてたし・・・ 」

「 そりゃそうよ。 『 白鳥〜 』 のコ−ルドですもん、一人だけ目立つほうが困るのよ。 

 ・・・ もっと勉強してよね。 」

「 ・・・ すいません。 」

「 それでアルベルトがどうしたの? 」

「 ・・・ え? ・・・ ああ! あのさ、実はねドイツから電話があってさ・・・ 」

ジョ−はやっと今晩のメインの話題に取り掛かった。

 

「 ・・・・・  ってコトなんだ。 <みんな>にも知らせは行っているはずだよ。 」

「 ふうん ・・・ 神話、かあ。 その場所なら エッダ ね。 」

「 へえ、よく知っているねえ。 そうなんだ、アルベルトもそう言っていた。 」

ジョ−は老酒の杯をちびり、と口に運んだ。

「 なんでも すごくデカイ巨人が現れたんだと。 付近の村も壊滅的だったらしい。 」

「 それは きっとイミ−ルね。 」

「 ・・・ いみ−る?? 」

「 そう、 イミ−ル。  エッダに出てくるんだけど氷と霜の巨人、 死の巨人なのよ。 」

「 死の巨人 ・・・? 」

ジョ−は箸もちりれんげも置いてしまった。

「 ええ。  北欧神話ではね。 毒のある氷の雫から生まれたってなってるのよ。 」

「 へええ〜〜 フランソワ−ズ、よく知っているねえ。 神話とか好きなんだ? 」

「 ここまでだけよ、知っているのは。  

 う〜ん・・・ 神話って結構残酷な面もあってね。 妙に現実的だったりするみたい。 」

「 そうなんだ?  ま、この <イミ−ルさがし> 行ってみないかい。 」

「 うふふふ・・・ なんだか面白そう♪  公演も終ったし・・・ いいわ、行くわ。 」

「 よし、決まり。 それじゃ、ぼく達 一足先に出発しようよ。

 現地で ・・・ Iceland で合流することにして、さ。 」

「 ええ、いいわ。 わあ・・・ なんだかわくわく・どきどきしてきたわ。

 まずは ・・・ えっとIceland 行き、ね♪♪ 」

「 そういうこと。 では ・・・ 新しいミッションに備えて〜〜まずは美味しいモノを

 お腹いっぱい食べよう〜〜 」

「 まあ・・ ジョ−ったら。  ・・・ あら、張大人〜〜♪ 美味しかったです、最高! 」

当店のオ−ナ−・シェフが ワゴンを押して現れた。

「 ほい、ようお越し。  フランソワ−ズはん、 わても行きまっせ!

 おう 〜〜気に入ってくれはったアルか♪ お次はデザ−トのワゴン、持ってきましたで 」

「 きゃあ、 シアワセ〜〜♪♪ 」

「 でも そんなに食べてだいじょぶアルか ? 」

「 大人、 ぼくたちのお姫様はしばらく食欲の虜になっているらしいよ。 ・・・・ いて! 」

ジョ−のよそ行きズボンに フランソワ−ズのブ−ツの跡がくっきりと記された。

「 ねえ、張大人。 大人は第二陣で出発? 」

「 そや。 明日・明後日と大きな宴会の予約が入ってまんねん。

 わてとグレ−トはん、アルベルトにジェット。 ジェロニモもピュンマも、皆第二陣や。

 博士とイワン坊は ご−る・き−ぱ− やがな, お留守番や。 ワテら、寒いお国へ行くやさかい。 」 

「 そうねえ・・・ しっかり着込んで行かないと、ね。 

「 あはは・・・なに言ってるんだい。 防護服にまさる防寒服はないよ。 」

「 ・・・ ジョ−。 あなた、アレでナリタから旅客機に乗って Iceland  に行くつもり?

 いい加減、懲りたと思ってたわよ? 」

「 ・・・ あ ・・・・ そ、か。 は、ははは・・・・ あ! いっそドルフィン号でゆこうか。」

「 あのねえ。 <面白いコト> にドルフィンを使うわけにはゆかないでしょ。

 今度はミッション絡みではないはずよ。 」

「 う・・・ん  一応、ね。 」

「 ほっほ♪ はいはい、その辺にしておき。

 夫婦喧嘩は犬も喰わない、いう格言を知っとりますかいや。 」

「 ・・・ ふ、夫婦・・・ 」

「 ま〜たまた。 今更赤くなることもおまへんやろ。

  ジョ−はん? マジメに我らが女神サマの言うことをし〜〜っかり聞かなあきまへんで! 」

「 ・・・ ハイ。 」

「 ほんなら。 あちらでな、気ィつけや。 」

「 大人も お仕事、頑張ってね! 寒い国で合いましょう。 」

 

彼らの笑い声は 秋もまだ浅い都会の空にゆらゆらと立ち昇っていった。

ミッションではなくて <面白いコト>。

サイボ−グ達は 冒険旅行を楽しみにしていた・・・・

 

 

 

 

「 行くよ。 どこまで行けるかわからないが・・・ なんとかここを脱出してみせる。 」

「 ・・・・ あなた ・・・・ 」

「 フレイヤ。 必ず迎えに来るから!

 いつもの通り・・・ 普段と変わらない様子で待っていておくれ。 」

「 ・・・・ わかったわ。 あなたを信じて・・・ 待っているわ。 」

フレイヤは夫の胸に身を投げかけた。

豊かな髪が 煌きの波をつくり取りすがった逞しい胸に広がった。

「 ・・・ ああ・・・! 金の髪の・・・フレイヤ・・・!

 君が行く土地には すべての草花は青々と茂り花をつけ、たわわな実りを生むはずなのに・・・

 こんな村に閉じ込められて・・・ 外の地はではさぞかし困っているだろう。 」

「 あなた ・・・ 大地色の瞳のあなた。

 あなたこそ 陽の光の神として世界中に赴くはずなのに・・・  」

セピアの髪のオトコはもう一度 しっかりと妻を抱き締めた。

 

「 ・・・ 行って、外の世界に応援を頼んでくる。

 ここは ・・・ おかしいよ。 族長テックの言うことは少しもわからない! 」

「 あなた、 どうぞ・・・・ どうぞ気をつけて・・・! ワタシのことは心配しないで。 」

「 本当はね、心配で心配でたまらないのだよ。 

 できれば一緒に行きたい。 だけど・・・ 」

「 だめよ、子供達をおいてはゆけないわ。 ・・・ 大丈夫、うまくやるわ。 」

「 ・・・ ・・・・・ 」

二人はもう一度しっかりと抱き合い、深く口付けを交わした。

 

「 ・・・ それじゃ ・・・・ 」

「 あなた ・・・! 」

 

大地色の髪が ふ・・・っと霧の中に消えていった。

「 あなた ・・・ あなたが無事に帰ってこないと世界は永遠に薄闇の中に閉じ込められてしまうわ。

 世界中の人々のために ・・・・ ううん! ちがうわ! 」

金色の髪の妻は ぶるり、と身体中を震わせた。

「 ・・・ ちがう、ちがうでしょう?フレイヤ。 ・・・ 本当は ・・・ そう。本当は・・・

 ワタシが。 この ワタシのために ・・・ 必ず帰ってきて・・・・! 」

空と海を切り取った大きな瞳からは ほろほろとなみだがこぼれ始めた。

つややかな頬を伝いやがて ソレは ― 大地に散らばり黄金となった。

 

「 私たち・・・ 二人が揃っているから大地は豊かな実りの恵まれるのに・・・ 」

フレイヤは 溜息をつくとそっとドアにもたれかかった。

夜霧の中を恋しいヒトは 無事にこの村を抜け出すことができるのだろうか。

 

夜気は日ごとにその温度をさげている。

やがて・・・ 白いものが落ちてくる日も そう遠くはないだろう・

 

「 冬の使いが来る前に! 世界中の地に来年の春の約束を預けなければならないのに・・・ 」

フレイヤは夜空を見上げ呟いていた。

 

「 おや。 今晩は、奥さん。 こんな時間に何をしているだね。 」

闇の中から不意に ・・・ 老人が現れた。 

「 ( ・・・・! ) あら、こんばんわ、ロキさん。 

 ちょっとね ・・・ いい空気を吸いたくなっただけよ。 」

「 ふん? ・・・ 時に旦那さんはどうしたね。 ちょいとハナシがあるのだが・・・ 」

ロキとよばれた老人は無遠慮に家の中を覗きこもうとした。

「 ・・・ あの!  主人はもう休みましたの。 明日、朝が早いのです。

 ・・・ お休みなさい。 」

「 ・・・ ふん ・・・! 

鼻先で閉じられたドアに 老人は険しい目を向けていたがやがて立ち去っていった。

 

  ・・・ ああ ・・・ よかった・・・・

 

足を引き摺る音が遠ざかってゆく。

ドアに固く身をよせて、フレイヤはそっと安堵の息を吐いた。

指先は凍えているのに、じっとりと全身汗ばんでいる。

 

  あなた ・・・ どうか、どうか ・・・ 無事でいて・・・!

 

北国の夜空は冴え冴えと晴れ渡っていた。

丘の上に聳える巨大な樹木の影が 今晩はひそ・・・とも動かない。

足元の暑熱地帯から吹き出ている蒸気の影だけがゆらゆらと立ち昇っていた。

 

  ここは。  本当に神々の国、なの?

  私達は ・・・なに・・?? 神? こんなにも無力なのに・・・

 

ずっと信じて来た。 自分たちは 神 なのだ、と。

族長もそれを言い立て、安易に外部のモノ達と行き来してはならない、と言う。

実際この村に住むモノ達はいろいろな特殊なチカラを持っていた。

空を飛ぶもの、 大力の持ち主、 炎を自由に操るもの ・・・ そして異形のモノ達・・・

みな それぞれの力を収め暮らしている。

 

しかし

 

  こんな風にこの村だけに閉じ込められているなんて。

  ・・・ 神ってだれが決めたの??

 

フレイヤは深く溜息をつき、ただただ夫の無事を祈るのだった。

「 ・・ ・・・・ ・・・ 」

家の奥から子供の細い泣き声がもれてきた。

「 ・・・・? ああ、はいはい 今行きますよ・・・ 

フレイヤはさっと目尻をはらうと、子供達の部屋に駆けて行った。

 

 

 

 

「 お待たせ。 普通の服は荷物と一緒に ほら・・・ あの洞窟に隠してきたの。 」

「 ありがとう! ・・・・ ふふふ ・・・ どうだい? 」

「 ・・・ どうだい、ってなにが。 」

「 この原野の彼方に なにか見えるかい。 この ・・・ 風の中になにか聞こえるかな。 」

ジョ−は顔をあげ、北国の高い空に視線をとばした。

 

ハイランド地方、とよばれるこの地域はシ−ズンには沢山の珍しい植物やお花畑、

ヒトの手付かずの大自然の絶景などが人気で 観光客も多いのだという。

しかし、いまはもう秋の入り口 ― いやこの地域では冬へ入り口で、訪れるヒトも疎ららしい。

「 え? この地域を廻る? ・・・ この季節にですかい。 」

やっと見つけたレンタル・サイクル屋のオヤジは眼を剥いた。

「 お止めなさい。 ほら・・・ 空気がもうこんなに冷えてきた。 

 寒さに慣れない外国の方は 風邪をひくだけですよ。 」

どうしても・・・と懇願すると 大きな旧式の無線機を押し付けられた。

連絡の手段を確保しておけ、という。

 

「 あのオジサンに悪かったかしら。 無線機も自転車と一緒に置いてきちゃった。 」

「 ・・・ 仕方ないよ。 ・・・ ああ ・・・ 曇ってきたね。 」

「 あら・・・ほんとう ・・・ 」

自転車を使ってこの地域に踏み込んだ時分には まだ青空が少しは覗いていたが

ふと 気がつけば空は白い雲がびっしりと覆い 大気もだんだんと乳白色になってきていた。

 

「 ・・・ 霧になるな。 」

「 二フルへイム ( 霧の国 ) 、 ですもの。 」

「 うん ・・・ これでもっと季節が進むとたちまち吹雪になるんだろうね。 」

「 そうね。 まだ9月なのに・・・ なんだか寒いわ。 霧ってこんなに冷たかったかしら。 」

「 こっち、来いよ。 さあ・・・ 」

ジョ−はフランソワ−ズの腕を引くと 彼女の身体を自分に引き寄せた。

「 ・・・ 少しは温かいだろう? ぼくのマフラ−、使う? 」

「 ふふふ・・・ 大丈夫♪ ジョ−って・・・ 本当に温かいのね。 」

「 保温機能が強いのかなあ? ああ、ナヴィを頼むよ、もう ・・・ 1m先もダメだな。 」

「 ええ、任せておいて。 この原野をずっと抜けたところに村があるはず、なのよね。 」

「 ああ、そこで全員が合流する予定なんだけどね。 」

ジョ−とフランソワ−ズは互いの身体を温めあい、霧の中を進んでいった。

「 ・・・ あ ! 」

「 なんだ、どうした。 」

「 なにか ・・・ 誰かくるわ! ほら・・・ あそこ! 」

「 なに!? 」

ジョ−は反射的にス−パ−ガンを構え フランソワ−ズが差す方向を見つめた。

「 歩いている・・・みたい。 でもちょっとヘンだわ? よろよろしてる・・・・  」

「 どんなヤツだい。 男か女か・・・? 」

「 男性よ、多分 まだ若い ・・・ あ、 ほら・・・ ! 」

「 ・・・・ ! 」

霧をすかして、ぼうっと人影が見えてきた。 たしかにその足取りはおぼつかない。

「 ・・・ あ ・・・! 」

一瞬、はっきり眼にうつった姿は ふいに視界から消えてしまった。 

「 ・・・ 消えた?? 」

「 ちがうわ! 倒れたのよ・・・  あの、大丈夫ですか ? 」

フランソワ−ズはぱっと駆け出すと 地に崩れ落ちた人物の側に屈みこんだ。

「 ・・・ ウ ・・・ ウウ ・・・ 」

「 君! どうした! しっかりしたまえ。 どこから来たのかい。 」

ジョ−はそっとその人物を起こした。

大地色の髪も豊かな整った顔立ちの青年だった。

「 どこか・・・怪我をしているのかしら。 ねえ・・? 彼の服、ヘンじゃない? 」

「 うん、現代離れしてるね、古風というか。 それになにかに襲われたのか、ぼろぼろだし。

 かなり弱っているらしいな。 あ・・・ 気がついた・・・ 」

「 大丈夫ですか。 あの どこから来たのですか。 」

「 ・・・ ウ ・・・・ ああ・・・ やどり木の村 から ・・・ 外の世界へ ・・・ 」

「 やどり木の村?!  君はそこの住人なのかい。  名前は?  」

「 ウ ・・・ あの村は恐ろしい村 ・・・ あ・・? ああ ! フレイヤ ! お前・・・!

 は、早く逃げろ、子供達をつれて逃げるんだッ!  」

「 ・・・え? あ・・・きゃ・・・ 」

ぼんやりと眼を開いた青年は がば、とフランソワ−ズを抱き締めそのまま再びずるずると

倒れてしまった。

「 あ!! な、なにを〜〜 」

ジョ−はそのオトコに飛びかかりなんとか彼女から引き剥がそうと必死である。 

「 おい! 離せ! 彼女をはなすんだ! 」

「 ジョ−、乱暴はだめよ。 彼 ・・・ また気を失ってしまったわ。 」

「 ん? ・・・ ああ 本当だ。  なんだ、コイツ! 」

「 ジョ− ・・・ 痛いってば。 このヒト ・・・ ちからいっぱい抱き締めてるわ。 」

ジョ−は青年の腕の中からフランソワ−ズの身体をもぎ取った。

「 なんてヤツだ! ・・・よし。  」

「 フレイヤ、そう言っていたわよね? きっとこのヒトの奥さんか恋人なのね。 」

「 どもでもいいけどさ。  ・・・ったく! 本当に間違えたのかなあ。 あやしいもんだ。」

「 ・・・ 多分、凄く消耗しているのね、このひと。 あ・・・ 気がついたわ! 」

「 なんだって?! フランソワ−ズ、ちょっとこっちに除けてろ。  

 おい! しっかりしろ。 やどり木の村は この方角なのか? 」

ジョ−は再び青年を抱え上げ すこしばかり手荒くゆすった。

「 ・・・ あ ・・・ 村から脱出しようとしたら ・・・ ガイアにみつかって ・・・ 

 もう少しで 咽喉笛を噛み切られる・・・ う ・・・うう ・・・・ 」

がくん、と青年の身体が沈み込んだ。

「 あ、また・・・ ジョ−、やどり木の村ってたしか 皆と? 」

うん、とジョ−は頷いた。

「 そうだ。 皆と合流する予定の村なんだ。 その村の近くで 巨人をみた って

 情報があってね。 それをアルベルトが聞き込んできたのさ。 」

「 このヒト。 その村から逃げてきた・・・みたいね。 」

「 ・・・ う〜〜ん ・・・ いったい何があるんだ??  ガイアって何なのかな。 」

「 とりあえず、このヒトをどこか、手当てしてくれるところに運ばなくちゃ。

 その村に連れて行くのは ・・・ マズいかしら。 」

「 う〜ん ・・・ それしか方法はないんじゃないか。 こんなトコロに放り出しておくことはできないし。 」

「 そうね。 ・・・ あ! なにか・・・なにか来る! 」

「 え? ・・・ 光ってるな。 あれは多分 なにかとても大きなケモノの眼だ。 」

「 ケモノ? アッ! 犬よ! すごいわ ・・・ 大きな犬! 仔牛くらいな犬・・・! 」

 

グルルルル −−−−−− !!  ガウッ!!

 

「 あぶないッ!! 」

霧に壁の中から 突然大きなケモノが年出してきた。

「 フランソワ−ズッ! 逃げろ! 」

ジョ−は倒れた青年をかばいつつ そのケモノの一撃を交わした。

「 な、なんだ?? ・・・ オオカミ ?? 」

 

グフグフグフ ・・・ ガウッッ!!

 

再び その黒いケモノが襲ってきた。

「 − 犬。 犬よ! ・・・ ! 」

 

   バ ーーーーー ッ !!

 

地を転げ避けるフランソワ−ズのス−パ−ガンが炸裂した。

ガルルルルーーー!

仔牛ほどもある黒い犬は一瞬空に飛びそのまま落ちてきた。

どさり、と地に落ち、ぴくりとも動かない。

フランソワ−ズのレイガンは正確にソイツの眉間を撃ち抜いていた。

 

「 ・・・ ふう ・・・  相変わらず凄いね、ど真ん中をヒットしているよ フラン。 」

「 ジョ−! ああ、もうびっくりしたわ・・・!  ね、そのヒトは大丈夫? 」

「 うん。 でもあんまりいい状態じゃないね。 早くどこかで休ませたほうがいいだろう。 」

「 そうね。 とにかくその村に急ぎましょう。 皆と合流できれば安心よ。 」

「 そうだな。 しかしなんだ、今のは? 彼が言っていたガイアなのかな。 」

「 ジョ− ・・・ なんだかイヤな予感がするの。 すう〜っと背筋が冷たいわ・・・ 」

フランソワ−ズはジョ−の側にぴたり、と寄り添った。

「 おやおや・・・ あんな怪物を一発で倒したヒトがどうしたんだい。

 大丈夫、 ぼくがいるよ。 とにかく彼をつれてゆかなくては。 」

「 そうね。 あ、わたしも・・・ 反対側を支えるわ。 」

「 ぼく一人で平気だよ。 きみは周囲を見張ってくれ。 ・・・ なにが出てくるかわからないからね。 」

「 了解。 ・・・ あら ? 」

「 どうした?! また怪物か? 」

「 ううん ・・・・ ほら。 空が ・・・ 霧が晴れてきたわ。 」

「 本当だ、明るくなってきたな。 あ、あれは! 」

「 え? まあ! 皆だわ。 お〜〜い! 」

「 ああ全員無事に揃っているね。 よかったなあ。 お〜〜い ! 」

 

霧が消えてゆくにつれ、周りの風景がはっきりと見えてきた。

ジョ−とフランソワ−ズが目指していた道のかなり前方に 赤い服の人々がかたまっている。

「 お〜〜い 皆 !  ここで合流できてよかった! 

「 ジョ−! フランソワ−ズ!  こっちも君達と会えてよかったよ〜 」

ピュンマが大きく手を振っている。

後ろにはジェットやアルベルトの姿もはっきりと見えてきた。

「 これで一緒に <やどり木の村> に入れるわね。  あら、ジョ−、どうしたの。 」

「 あれ・・・ あれを見てごらん。 」

ジョ−はすっと宙を指差している。

しだいに晴れてきた空に その中天に向け真っ直ぐに伸び大きく周囲に枝を張った

・・・ 巨木である。

「 え? ・・・・ あ! まあ・・・・ なんて大きな・・・ 樹?? 

「 ああ。 こんなに距離があるのにあの大きさだ、実際にはまさに天を突く巨木だろうな。 」

「 ・・・ すごい ・・・。  ・・・ あら・・・? 」

「 なに。 どうかしたかい。 」

「 ・・・ え ・・・ あ、ううん。 多分・・・わたしの気のせいだと思うわ。 」

「 そう? それじゃ 村まであと一息だ! お〜〜い!! 皆〜〜 」

ジョ−は 肩貸している青年を抱えなおすとすたすたと道を降りていった。

 

   ・・・ 気のせい・・・ そうよ、きっと。

   それじゃなかったら ・・・ 道端にミツバチの巣でもあったのだわ。

 

フランソワ−ズはぷるん、とアタマを振るとジョ−の後を追って駆け出した。

 

 

 

 

 

合流した一行は やどり木の村 を目指して巨木の裾に広がる集落へ入った。

「 ・・・ なんだァ ここ。 ひとっこ一人いねェなあ。 」

「 ふん・・・ これじゃまるでゴースト・タウンだ。 」

辺鄙な、というより廃村に近い村だった。

ようやく見つけた村人は 胡散臭そうにジョ−達を見つめた。

そして宿は一軒だけある、という。

「 どうも ・・・ ああ、それから。 」

「 ・・・ まだなにか。 」

そそくさと立ち去ろうとした村人は ぎろり、と振り返った。

「 あの このヒト、この村のヒトだと思うのですが・・・ ご存知ですか。 」

「 ・・・ 知らねェな。 」

「 そうですか。 それではこの村の医者はどこですか。 このヒトは病気らしいので。 」

「 知らねえ。 ・・・ オレは何も知らねえ! 」

「 あ・・・  ああ、行ってしまった。 」

「 おい、ジョ−。 やはりココは怪しいな。 充分に気をつけろ。 」

「 そうだね。 ともかく宿へ入ろう。 」

「 おう。 ジェロニモ ・・・ ソイツを頼んだぞ。 」

「 ムウ。 彼、かなり悪い。 休ませなければいけない。 」

寡黙な巨人の言葉が 全員のこころにズン・・・と響いた。

 

 

宿の主人も そんなヤツは知らないと言ったがひどく愛想よくサイボ−グ達を泊めてくれた。

彼らはとりあえずジョ−の部屋で今後の対策を練ることになった。

「 ほう ・・・ それで、ソイツが? 」

「 うん。 逃げてきたらしいんだ。  それで多分恋人とかにも逃げろって言ってた。 

「 わたしと間違えてね・・・・ そう ・・・確かフレイヤって。 」

「 フランソワ−ズ、君と間違えたって? 」

ピュンマが怪訝な顔をして まじまじとフランソワ−ズを見つめている。

「 あら、なあに? どうしたの。 

ピュンマを始め、後発隊の面々の間に微妙な雰囲気がながれた。

皆が顔を見合わせ、口篭っている。

「 どうしたの、ピュンマ。 」

「 ウン・・・ 僕達も途中である女性を助けたんだ。 」

「 まあ ・・・! 」

「 ああ。 やはりふらふら霧の中から現れてな、倒れてしまった。 」

「 そうアル。  そのお人もえろう古めかしい恰好をしてはってん。 ぼろぼろやった・・・ 」

「 え?! それで、そのヒトはどうしたんだい。 」

「 ジョ−、 それがね ・・・ もう息も絶え絶えで。  あなた、逃げて とだけ言い残してさ。

 事切れてしまったんだ。 」

「 さよう、もう瀕死だったからな。 あの服装はかなり旧式だった。 

 そして 彼女の髪がなあ、マドモアゼル、お主のように光かがやく色だったのさ。 」

「 ・・・・ あ! そのヒト、・・・ きっと フレイヤ よ!

 だから 彼は わたしと間違えたのだわ。  ・・・ 可哀想に・・・亡くなったの・・・ 」

「 ああ。 なにせ見知らぬ土地だし人家も見当たらない。

 とりあえず俺たちで丁重に葬ってきたのだが。 」

「 ・・・ そうなの。 大変だったわね。 

「 いや、それよりも。 どうしてここの住人は知らない、というのだろうか。

 なにか事情がありそうだな。 」

「 うん。 取り合えずこのヒトの回復を待とうよ。 」

「 そうアルな。 アイヤ〜〜 ここが日本やったらワテが精のつくお粥、たんとつくたげるのんに・・ 」

「 ま、それからだな、 例の<巨人さがし>は。 」           

「 ・・・ そうだね。 ひとまず落ち着くとしよう。 」

「 オレ、病人を引き受ける。 薬草、少し持ってきている。 」

「 ありがとう、頼むジェロニモ。 」

サイボ−グ達はそれぞれの部屋に散っていった。

 

「 ・・・ ジョ−。 あの方・・・フレイヤのことを知ったら・・・ 」

「 うん ・・・ しばらくは伏せておいたほうがいいな。 」

「 フレイヤ・・・って そう確か・・・ 美と愛の女神様だって、ほら!空港からのバスの中で 」

「 ああ、そうだったね。 ここはいったいどういう村なんだろう。 」

「 本当に神話の村、なのかしら。 」

「 ・・・ ともかく今晩はゆっくり休もうよ。 今朝、ケプラヴィ−ク空港に着いた・・・なんて

 とても信じられないや。 ここもすごく時代がかっているよな。 」

「 ふふふ・・・ そうねえ・・・ 飛行機に乗っていたのがもう何日も前、みたいな気がするわ・・・

 あら、本当。 タイム・スリップでもしたみたい。 」

ジョーの言葉でフランソワ―ズは今晩の宿になる部屋を見回した。

この建物自体 相当に古めかしい石作りだったが内部もかなり時代がかっている。

木の床には所々に獣の皮が敷いてありベッドも樫の樹でできていた。

枕元の小机には ランプが置いてある。

「 ・・・ ふうん ランプねえ。 雰囲気づくりの小道具じゃあないわね。 」

「 ああ。 ここには電気もガスも来ていないようだ。 」

ジョ−は備え付けのマッチを擦り、ランプを灯した。

薄暗くなってきた部屋に ぼう・・・っと灯りが拡がった。

電気の光には比べものにならない、暗く頼りない光だったが・・・

「 ねえ。 なんだかほっとしない? 」

「 うん? なにがかい。 」

「 これよ、この光。 とっても・・・ 温かいわ。 」

オレンジ色の光が あわくフランソワ−ズの顔を照らす。

白皙の頬を縁取る亜麻色の髪は きらきらと煌いている。

「 ・・・ 金の髪、と言っていたね。 」

ジョ−はフランソワ−ズを抱き寄せ、その豊かな髪をゆっくりと愛撫した。

「 ジョ− ・・・ 」

「 綺麗だ・・・ 本当に綺麗だ・・・ 」

ジョ−の長い指は亜麻色の髪を伝い白いうなじをたどり、巧みに襟元を緩めてゆく。

「 だめよ、ジョ−・・・! こんなトコで。 ・・・・ きゃ ・・・ ァぁぁ ・・・ 」

「 大丈夫さ。 この風だもの、聞こえっこないよ。  ふ・・・ 」

「 ・・・ あ ・・・ あああ ・・・ ねえ ・・・忘れさせて・・・? 」

「 ・・・ え ・・・? 

「 あの 音。 ずっと聞こえてるあの・・・ミツバチの羽音みたいな微かな音・・・ 」

「 きみには聞こえるんだ? 」

「 ええ 誰かがすすり泣いているみたいな ・・・ こころがひりひりするのよ 」

「 そうか。 それじゃ ・・・ そんなの、聞こえなくしてあげる・・・ 」

「 ・・・ きゃ・・・ア・・・・ ジョ ・・・− ・・・・ 」

はらり、と床に赤い服が脱ぎ散らされていった。

やどり木の村に 夜の帳が降りてゆく。 

木の葉の落ちる音すら聞こえず、沼地を抜ける風までもその息を潜めている。

 

 ・・・・ ィ  ・・・・ィィ 〜〜  ・・・・ィ〜〜  ・・・・ィ〜〜〜 ・・・・

 

月も姿を隠した闇夜、フランソワ−ズの耳の底にはいつまでも ミツバチの羽音 がこびりついていた。

ジョ−の腕の中で 全てを自身の海を滾らせ燃え上がった時ですら その音はかすかに・・・

ほんとうにひそかに 彼女を苛み続けていた。

 

 

 

「 なんだぁ〜?? 相変わらず不気味な村じゃねえか。

 こんな明るい朝なのに、人っ子ひとり、見えねえぞ。 」

「 う〜ん・・・・? ヒトだけじゃなくて、家畜とか犬ネコもいないねえ。 」

「 やはり、この村はおかしい。 これでは廃村だ。 」

不気味な夜が明け、サイボ−グ達はとりあえず村を調べることにした。

空はどんよりとした雲に覆われていて、それでも時折ぼんやりと陽射しがこぼれてくる。

朝になっても村の静けさは そのままだった。

「 あのオトコはどうだい。 少しは熱が下がったかい。 」

ピュンマは宿に残してきた病人を気遣った。

「 いや・・・ どうも普通の熱とは少し違うようなんだ。 ジェロニモの薬草やフランソワ−ズが持ってきた

 常備薬では全然効き目がないんだ。 」

「 ふうん・・・ ジョ−、で、フランソワ−ズは? 」

「 少し頭痛がするっていうから、休ませたよ。 ジェロニモもいるから安心さ。 」

「 そりゃそうだ。 長旅で彼女も疲れたのではないかな。

 おい、ボ−イ! 彼女をあんまり苛めるなよ〜 」

「 お前な、時と場所を考えろ。 」

ふふん・・・・とグレ−トの洩らす苦笑にジョ−は密かに赤面していた。

 

   あ〜あ・・・ 初心いヤツ! テキト〜にしらばっくれればいいじゃん。

 

   ほっほ。 仲良きコトは美しき哉、ちゅうてな。 イイコトや。

 

   さよう。 琴瑟相和す、とも言うな。 

 

   なんだよ〜 なんのコトかよ!

 

   ふん。 初心いのはお前の方だ。 

 

ジョ−以外に回路をひらき、サイボ−グ戦士達はやどり木の村中に散っていった。

曇り空を カラスの大群が低く・・・ 横切っていった。

 

 

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Last updated : 06,17,2008.

 

 

******   途中ですが ・・・

すみません〜〜〜 終りませんでした。  もう一回 お付き合いくださいませ。 <(_ _)>

またまた激しく季節外れでありまして・・・ すみません!!

えっと・・・あのオハナシです。 原作 + 新ゼロ の例によっておいしいトコ取り設定です。

ひとつ、困ったコトが〜〜(;O;)

北欧神話 によりますと、 フレイヤのダンナさんは オズ−ル。 新ゼロでフィノスさんのカレシだった

ヒトなんです。 そしてね・・・ フリッグ という名前の女神さま ( オ−ディンのおくさん ) がいました。

さあ〜〜〜 どうする??? 原作の < フリッガ > は 石の森先生の創作?なのか???

今となっては確かめる術もありませんので ・・・・ 誤魔化しました! ( 拙作中では 名無しです(^_^;) )

例によって細かい点のツッコミは平にご容赦くださいませ。 <(_ _)>