『 誰( だれ )のために ― (2) ― 』
ガヤガヤ ・・・ ガチャガチャ ゴトゴト・・・
元旦を明日に控え、岬の洋館は賑やかな音で満ちている。
昨日 ( 突然 )やってきた二人に加え 本日も数人の仲間たちが
< 帰省 > してくる予定だ。
そんなこんなで 大掃除もお節料理の準備もまだ完全に終わってない。
この邸を実質上 取り仕切ってるフランソワーズは
朝から きりり、と眉を引き上げている。
「 みんな〜〜 卵はね 今朝は全員オムレツです!
アルベルト〜〜 コーヒー お願い。
ジョー! トースト係やって。 」
「 了解。 フラン、お前はカフェオレだろ。
あとは全員ブラック。 砂糖とミルクはテーブルの上だ 」
「 うん。 パンは〜〜 食パンでいいの? 」
「 ええ。 今朝はね。 美味しいの、買ってあるわ。
あ ジョー 御飯がいい? 」
「 あ う〜ん ・・・できれば 」
「 朝イチで炊いたご飯 あるわよ 」
「 え ホント? 」
「 ええ お握り、つくる予定だから 」
「 えへ うれし〜〜〜 ごはん ください。」
「 ワシも御飯にしてもらえるかな 」
「 あら 博士。 はい 承知しました、ジョー 一緒に
よそってあげてね 」
「 お〜らい♪ わほ ・・・ 炊きたてだあ〜
はい 博士 どうぞ 」
「 おお ありがとうよ 」
「 あら ジェットは 」
「 知らん。 まだ寝てるんだろ
ほい 珈琲。 ジョー お前 珈琲で米のメシを食うのか 」
「 ウン。 砂糖とミルク どばどば〜〜 のコーヒーと
炊きたてご飯 って意外と 合う んだよん
え ジェット? あは この時間に起きてくるはず ないよ 」
「 ジェットの分 どうしましょ 」
「 ぼくが! 食べる。 」
「 おいおい そんなに食って大丈夫か? 」
「 平気さ〜〜 今日は忙しくなるからね〜〜
しっかり食べなくちゃ! 」
「 ふふふ ピュンマやジェロニモJr. お昼頃には着くって 」
「 ほうほう 久し振りじゃなあ 」
「 そうですね お正月はみんな揃います。
え〜と じゃあ 朝ご飯 頂きましょう 」
いただきます。 全員で唱え箸を取った。
「 ねえ フラン。 まだ残ってる仕事ってなに 」
「 ジョー。 リビングの掃除と あと お節料理の仕上げ よ。」
「 ふん。 料理はあとなにを作るんだ 」
「 カマボコを切るでしょう あ 数の子とかも。
えっと ・・・ あとは まつかさごぼう と こぶまき。 」
「 なんかもっといろいろ・・・ あるよね? オセチって 」
「 そうなんだけど・・・ ウチはこのくらいでいいかなあ〜って。 」
「 そっか。 あ あと お雑煮だ 」
「 ジョー それって おもちが入ったお味噌汁 よね 」
「 う〜〜ん ぼくは湘南育ちだから 澄まし汁 にしたいな
味噌仕立ては 関西だなあ 」
「 ??? わかならないわ ジョー 作れる? 」
「 ・・・・ 作る! あとでスマホ検索しとく! 」
「 お願いしまあす♪ 」
きたるべき お正月 についてそれぞれの抱負?やら
おしゃべりに花を咲かせ < しばらくぶり > 組 は
元気かしら など 穏やかで賑やかな大晦日の朝食タイムを楽しんだ。
「 午前中の予定は決まっているのか 」
アルベルトが 新聞を畳みつつ言う。
「 あのね 大掃除はだいたい終わっているの。
最後の買い出しに行きたいのだけど ・・・ 」
「 おう 荷物持ち、するぞ 」
「 アルベルト、 ありがとう〜〜
あ ジョー ピュンマを迎えに行ってくださる? 」
「 おっけ〜 帰りに買い物もするよ 」
「 ジョー すまんが都心まで乗せていってくれるか 」
「 博士? なにか御用ですか?
ぼくでよかったら 行きます! 」
「 うむ 神田の専門書店に ちょいと顔を出したいのじゃよ 」
「 あ はい。 お送りしますよ〜 」
「 ありがとうよ 」
「 お帰りもね 電話ください。 迎えにゆきますから 」
「 いいよ いいよ のんびり電車で帰る。
お前はピュンマを迎えに行ってやっておくれ 」
「 はい 」
食後 ギルモア邸の住人達それぞれは行動を開始した。
― それから。 約2時間の後
ペッタン ペッタン ・・・
「 ふぁ ・・・・ お は よ 」
スリッパを引きずりつつ 赤毛ののっぽが二階の自室から
キッチンに降りてきた。
シンクはぴかぴか 食器たちはきちんと食器棚に収まり
テーブルの上にはパン屑ひとつ 落ちていない。
そして 誰も いない。
「 ・・ は あん ・・・?
まだ だ〜れも起きてこねえのか? 」
彼は ぼう・・・っと壁の時計に目を向けた。
「 ・・・ もうじき昼じゃんか〜〜
フラン〜〜〜 ジョー〜〜〜 おはよ〜〜 」
「 ・・ ? 」
返事は ない。 ウチの中も 静かだ。
「 ・・・ オレが寝てる間に 世界消滅 か ? 」
テーブルは ぴかぴかで完全に乾いている。
食糧庫を覗いてみたが 小麦粉 とか 砂糖 とか
< 原材料 >の袋がならんでいるだけだ。
ヒト も 食べもの も ない
「 ん〜〜〜 食いもん はあ〜〜 」
冷蔵庫に突進し がばっと扉を開け ―
「 ・・・ ナンだ これ。 ラディッシュとキャロットのサラダ・・・?
腹にたまんねえな 肉は 肉〜〜 ・・・ 冷凍庫かあ
あと あるのは 卵とマヨネーズ・・・ 野菜だけ ??
ちぇ〜〜〜〜〜
」
バタン。 がっかり、彼は扉を閉めた。
栗きんとん ( と彼らが称しているモノ ) と 黒豆、 そして
洋風・煮しめ を冷蔵庫に入れておかなかったのは
ジョーの最高の気転? かもしれない。
・・・ただ単に 鍋が入らなかった とか 甘いモノは腐らない、という
ジョーの勝手な思い込みによるのだが・・・
「 お そだ そだ 昨日 オレが作った オシルコ はどこだ?
〜〜〜 ん〜〜 どこだ〜〜 鍋 ねえなあ ・・・
あ パンがあったぞ! 」
パントリーに貯蔵してあった食パンを 丸ごと一斤見つけ出した。
「 これでいっか・・・ 飲み物・・・ インスタトしかね〜か〜 」
自分のマグカップに インスタント・コーヒー と お湯をどばどば・・・
「 あ オレンジがあんじゃん(^^♪ 」
リビングの隅に置いてあった箱の中に 蜜柑 をみつけ
( 彼の期待してた オレンジ ではない ) 少し気を取り直した。
「 ふんふ〜〜〜ん ♪ 」
えいっと 食パンをほぼ半分に千切る。 熱い珈琲と甘い蜜柑。
「 へっへ〜〜 なかなかのメニュウでね?
・・・・ ん〜〜〜 甘い(^^♪ オレンジとはちいっと違うけど
うめ〜な〜〜 日本のパンは ふかふかでうめ〜んだ〜〜 」
リビングの日溜りに 胡坐をかいて座り込み
彼は の〜〜んびり遅い朝食を取りはじめた。
ぴんぽ〜〜〜ん ぴんぽ〜ん ぴんぽん!!
玄関のチャイムがやたら鳴っている。
「 ・・・ んだあ・・・ 今 留守なんだよ〜
だれもいないぜえ〜〜 」
ジェットは夢の中で それでも音に向かって応えていた。
「 だれもいね〜よ ・・・ 他をあたってくんな 」
ぴんぽん。 ≪ 起きろっ!!! ≫
「 !? げべ?? 」
突然 アタマの中に大音声が飛び込んできた。
「 な な なんだよぉ〜〜 耳 潰れちまう〜〜 」
跳ね起き 耳を押さえ 座り込んだ が ―
「 やめろ〜〜〜 」
≪ 起きろ! 起きて ロック解除しろ ≫
≪ ! わ〜〜った わ〜ったってば! ≫
≪ わかったなら さっさと解除しろ ≫
≪ ・・・ 解除するから〜〜 わあわあ言うなよ ぉ ≫
耳を抑えても 脳波通信 は遠慮会釈なく響いてくる。
≪ さっさと ≫
≪ わかったってばよ〜〜〜 ≫
赤毛ののっぽはリビングの隅にあるパネルにぶっ飛んでゆき
ぱぱぱっと操作した。
≪ ・・ 全部 解除したぜ! ≫
≪ 馬鹿! 屋根まで開いてる!!! 閉めろっ ≫
≪ え ・・・ あ〜 ヤベ〜〜 ≫
≪ ちょっと! 下の格納庫のシャッターまで開いちゃったわよ?? ≫
≪ げ。 ちょい待ち! え〜と ・・? 閉める ボタン?? ≫
≪ 右下のボタンだよ 格納庫関係は〜〜 ≫
≪ おい〜〜〜 いい加減にしろっ ≫
≪ 屋根 ヤバいんでないの? ≫
複数の声が一斉にアタマの中でがんがん・・・鳴り響き
さすがの002も 音を上げた。
≪ ちょいと〜〜 黙ってくれ〜〜 今 開けるからっ ≫
ダダダダ ・・・
「 くそぉ〜〜〜〜 足で進むってタルイぜ〜 」
どんなにか ・・・ 彼は飛びたかっただろう ! 多分。
「 ん〜〜〜〜〜っと! 開けたぜっ!! 」
ばった〜〜〜ん ・・・ 玄関のドアが全開した。
「 ! 乱暴に扱うな。 このトウヘンボクが 」
先頭に立ちアルベルトがゆっくりと玄関に入ってきた。
注意深く 周囲を検分してから 全員を招き入れた。
「 オーライ。 大丈夫だ。 ・・・ これは正真正銘のジェットだ 」
「 ただいま。 ・・・ 玄関の掃除 やり直してよね?
せっかくキレイにしたのに〜〜〜 」
「 キミの好きなドーナツも買ってきたからさあ〜〜
あ ここ 水流して掃除してね〜〜 雑巾がけもしてくれよ 」
「 ねえ ジェット。 一時に複数のボタンを押すと
コントロール・パネルが混乱してしまうんだ。
そう 君のアタマを同じで ね。
指示は一つづつ。 それが 機械への思いやりってもんさ 」
「 格納庫 チェックしてくる。 さっき ドアが開いた 」
「 起きたら 留守ロック解除してね〜
完全留守モード にしておいたのよ 」
帰宅組全員が わらわら・・・ 一斉にしゃべりつつ入ってきた。
うげ。 いっぺんに喋んなって〜〜
うっせ〜な〜〜・・・
う? ヤべ〜 004が睨んでら
008のヤツはやたらとしつこく説明するし
フランを怒らせると メシが・・・
009はにこにこしつつ 文句言い なんだ!
ここは一発謝ってさっさと終わらそう と<幕引き> を計った。
「 ぁ〜〜〜〜 みんなあ〜 わりぃ〜〜〜 」
長身を二つに折って 日本風に深くお辞儀をしてみせた。
わかればいいんだけどさ そうね 覚えておいてね
早寝早起きだ! 留守番、しっかりたのむね〜〜
などなど・・・多少のリプライはあったものの、
仲間達は 皆似たり寄ったりの顔をしてくれた。
・・・ ジェットだもの、仕方ない。
その反応に赤毛のアメリカ人は ほっと胸をなでおろした・・・
「 ピュンマ 部屋に荷物 置いてきなよ 」
「 お部屋 準備してあるわ。 ゆっくりしてね
あ 毛布、追加が欲しかったら 言ってね 」
「 ありがとう。 じゃ ちょっと 」
ピュンマは ひょい、とスーツケースを持ち上げると
悠々と二階へ上っていった。
「 それじゃ 残りの仕事、開始〜〜 かな 」
「 あ〜〜〜 オレはなに手伝ったらいい? 」
「 お前は。 三階の窓 拭いてこい! 」
「 え〜〜〜 今からあ? 」
「 そうだ。 あそこなら山側になるから
< 飛んで拭いても > 目立たん。 お前むきだろうが 」
「 ・・・ い〜けどぉ ・・・寒くね? 」
「 さむい だと?? 成層圏近くまで飛ぶ・002が? 」
「 ・・・ だってよぉ 防護服じゃね〜し〜 」
「 唯一の飛行形態の サイボーグ が さむい だと? 」
「 ・・・ だから その・・・ ふつ〜の服では さ 」
「 は! あの派手な服をここで着る気か?? お前 大丈夫か? 」
「 ・・・ わ〜ったよ ・・・ そうじする よ 」
空飛ぶアメリカ人は しおしお・・・玄関に向かった。
「 あ〜〜 バケツと雑巾! クリーナー と スポンジ!
納戸に入ってるからもっていって〜〜 」
「 アイアイサ〜〜 ・・・ 」
ガチャ。 玄関が開いて
「 寒いから早くしめて〜〜〜 」
・・・ 了解 ・・・ カチャ。 ドアは静かに閉じた。
「 え〜と。 じゃあ お節料理の続き します。
お正月は 明日! なんですから 〜 」
「 あとは なにつくるの? 」
「 かまぼこ とか 切ってくださる ジョー
こうはくかまぼこ って どうすればいいのかしら? 」
「 赤いのと 白いの、切って こう〜〜並べればいいのでない? 」
「 僕はなにしようか 」
「 ピュンマ! 田作り をお願い。
この小魚を使うらしいだけど ・・・ ちょっと待ってね 」
フランソワーズは すぐにスマホを取りだした。
「 へえ・・・ これ 美味しそうだね? 一匹 いい? 」
ひょい、とピュンマが摘み上げる。
「 え? ああ どうぞ。 え〜と ・・・? 」
「 〜〜〜ん 美味い! これ いいねえ〜 ドライになってるのかなあ 」
「 あ え〜と それって ニボシ の高級品?だと思うから
常温でも平気なんだ。 ぼく 好きだなあ 」
「 んんん これ いいねえ。 カルシウムたっぷり、だし。
う〜〜ん そうだ! ちょっと待っててくれるかい 」
「 ?? いいけど・・・? 」
ピュンマは 二階の自室に駆け上がってゆき すぐに戻ってきた。
「 ?? なあに ピュンマ 」
「 こ これ! これをさ こう〜 細く切って
この小魚と混ぜたら イケると思うんだ 」
カラリ カラカラ ・・・
殻つきの小さな木の実が布袋の中からこぼれ落ちた。
「 僕の国のポピュラーなオヤツなんだ。
一個 食べてみて? 」
「 あらあ〜〜 美味しそうねえ〜 ピスタチオみたいだけど 」
「 へえ〜〜 あ この殻、剥き易いねえ 」
「 うん そのまま食べてみて 」
「 薄皮は剥くの? 」
「 どっちでも。 剥かなくてもオイシイよ 」
「 ふうん ・・・ 〜〜〜〜 あら 美味しい! 」
「 カリカリ むぐむぐ〜〜 うまあ〜〜い 」
ワカモノ二人は 歓声を上げた。
「 ね なんて名前? どこで買えるの? 」
「 おいし〜〜〜 ね もう一個〜〜 」
カリリ カリカリ かりりり〜
「 あは よかったあ 気に入ってもらえたね〜〜
名前・・・って普通に オヤツの実 とか呼んでるけど 」
「 オヤツの実 かあ〜〜 んま〜〜 」
「 ジョー。 食べ過ぎ。 トウキョウで売ってるかしら 」
「 あ〜 輸出してないんだ 」
「 え〜〜 残念〜 」
「 ね これ・・・ この小魚と一緒に食べてみて 」
「 ん ・・・ 〜〜〜〜 んま!!!!
すっげ〜〜〜〜 アーモンド・ふぃっしゅ よかうま〜〜 」
ジョーが歓声を上げる。
「 そう? ・・・ 〜〜〜 あ ほんと! おいし〜〜〜〜〜
うふふ・・・ もう一個〜〜 」
フランソワーズも 手が止まらなくなってきた。
「 ね ね これ。 ウチのお節料理の たづくり にしましょ?
あ〜〜〜 おいし〜〜 」
「 わあ。 嬉しいなあ。 日本の伝統食に故郷の産物が
仲間入り かあ 」
「 そうよ そうよぉ 最高♪ 」
「 ・・・ 僕 このままでもいっけどな〜〜 パリリ 」
「 ねえ ピュンマ。 まとめ買いしたいの。
送料込み でおいくらかしら。 」
「 え 本当に買ってくれるの? 」
「 はい。 皆のオヤツにします! 」
「 日持ちはするんだ。 だから 」
「 はい。 少量じゃないです。 」
― 個人貿易の商談が始まった・・・
**** 後に
この オヤツの実・個人輸入の件 は どど〜〜んと発展した。
夕方 仲間の料理人 がやってきた。
「 ねえ 大人。 これ 食べてみて? 」
「 なんね フランソワーズはん。 」
「 我が家の たつくり でえす♪ どぞ 」
「 ?? コレ、たつくり とはちゃうんでないですか ・・・
! ・・これは! 」
彼は 小魚+オヤツの実 をヒト摘み、口に入れると
顔色を変えた。
「 これ ・・・ なんね?? 」
「 美味しいでしょう?? これね ピュンマのお国の
特産んですって 」
「 ただのナッツやない。 黄金の木の実ぃや! 」
「 あのね ナッツだけでもオイシイのよ〜〜。
勿論、 ウチの たつくり は最高だけど 」
「 ん〜〜〜〜〜む〜〜〜 」
料理人は 掌でその木の実を矯めつ眇めつ仔細の観察をし
くんくん・・と存分に匂いをかぐ。
そして まずは一粒、口に含みゆっくりと咀嚼 味わう。
「 ふん? フランソワーズはん この煮干しはどこのね 」
「 あ これはねえ 地元産です。 下の商店街に漁協さんの
直販店があるの。 そこで買いました。 」
「 ええニボシや。 この木の実ぃと相性ばっちりや ・・・!
ピュンマはん ! 」
大人は さっとピュンマの前にゆくときっちりと正座した。
「 ・・・あ? あのう〜〜 」
「 こん実ぃは どこで買えまっか。 」
「 あ〜〜 まだ故郷でしか流通してなくて ・・・ 」
「 これ もろたわ! ほな。 ワテの店が窓口になります。
輸出してくれはりますか 」
「 え ・・・ 」
「 コレなあ お国の特産物になりまっせ〜〜〜
「 僕はさあ この・・・・ ニボシ をさ 輸入したいんだ。
コドモたちのカルシム摂取を増やしたいからね 」
「 そんなら。 この地元の漁協はん 紹介しまっせ〜 」
「 え それは嬉しいなあ〜〜 」
「 任せときなはれ。 ほっほ・・・ 面倒くさいコトはなあ
関税とか書類は ほれ イワン坊に頼もなあ 」
「 あ それいいね! 」
・・・ ってことで。
海岸通りの漁協とムアンバ共和国間での フェア・トレード が成立した。
ぴんぽ〜〜ん 玄関のチャイムが ゆったりと鳴った。
「 はあい。 あ〜〜 ジェロニモ〜〜 いらっしゃい 」
「 あれえ 電話くれたら迎えに行ったのに 」
ジョーとフランソワーズは 巨躯の仲間にわいわいと
纏わり付いた。
「 いい。 俺 電車 好きだ。 窓から光景
心が魅かれる 」
「 さあさあ 上がって〜〜〜
皆でお正月の準備 しているの 」
「 あ 荷物 ぼくが運ぶよ〜〜 」
「 ジョー。 屋根の上でジェットが 寝ていた
足 見えた。 」
「 え? やだあ〜〜〜 掃除 終わったのかしら 」
「 ジェット 屋根の掃除してたのか 」
「 いいえ 三階の窓の掃除を頼んだの 」
「 ・・・ 終わって休憩 か 」
「 多分ね。 そうだわ 皆でお茶タイムにしましょう
そろそろバナナ・シフォン・ケーキが焼き上がる頃だわ 」
「 わああ〜〜い ぼく フランのバナナ・ケーキ 大好き♪
でも いつ作ったの? 」
「 うふふ 買い物に行く前にちゃちゃっと準備して
帰ってきてからオーブンに入れたのよ 」
「 すっげ〜〜〜 あ ぼく お茶、淹れるね〜〜 」
「 ありがと、ジョー。 」
「 俺 二階にゆくついでにジェット 呼ぶ 」
「 おねがいね〜 ジェロニモ。
ふんふんふ〜〜ん♪ そうだわ <くりきんとん> を
皆にご披露しようかしら。
なんかすご〜〜く上手くいってたくさんつくったし。 」
フランソワーズは 大き目のタッパーを覗いてにんまり♪
栗の甘露煮の周りをマロン・ペーストが埋めていた。
「 うふふ〜〜〜 明日はお正月〜〜〜〜 ♪ 」
お茶たいむ で のんびり まったり過ごした後、
フランソワーズは お正月行事 の最終でチェックを 始めた。
「 あれ グレートと大人は? 店が忙しいのかなあ 」
「 あら お店はお昼でお終い ですってよ? 」
「 グレートは ・・・ あ なんかメール 来てる 」
ジョーが 尻のポケットからスマホを抜きだす。
少し遅くなるが必ず 行くぞ。 吾輩の分、酒 とっておけ
「 あはは らしいやあ〜 」
「 大丈夫。 ウィスキーもちゃんと用意してあります。 」
「 ほう? スコッチか 」
「 ううん、 日本のウィスキー。 なんか有名な賞をとったのですって
そこに入れてあるけど 知ってる? アルベルト 」
「 お〜〜 すごいな これが飲めるとは 」
アルベルトは キャビネの中を見て声をあげた。
「 あれ 貴方はビールがいいのでしょう? 」
「 こいつは別だ。 ふふふん〜〜 ツマミ 作るぜ 」
「 あら ご機嫌ねえ ねえ 大人は何時ころ来るの
ジョー メールしてみて・・・ あ 忙しいかしら 」
「 あ 待って! 大人からもメールきてるよ
うっとこの店は ランチで仕舞いや。
従業員さんら はよオウチへ帰すさかい
夕方には きっと伺わせてもらいます。
「 ねえ ジョー。 この大きなお餅って どうするの? 」
「 えっと ・・・ これは飾っておくんだ。 」
「 ふうん じゃ テーブルの真ん中に置いて〜 どう? 」
どどん。
トレイに置いた特大の鏡餅をテーブルの中央に据えた。
「 ほらあ なんだか二段のケーキみたいじゃない? 」
「 あ・・・ そうだねえ こうやった方が楽しいかなあ 」
ジョー自身 鏡餅の飾り方なんぞ 詳しいわけはない。
「 え〜と なんだっけ? あの餅が入ったスープ ・・・
正月に食べるって聞いたけど 」
「 まあ さすがピュンマねえ〜 それはね お雑煮。
元旦に頂きます。 」
「 ふうん そういう風習なんだね 」
「 さあ それじゃ お節料理 を盛り付けるわね〜〜
この・・・ さんだんじゅう に入れるのですって。 」
「 さんだんじゅう? なんだか物騒な名前の箱だねえ
あ こんなカンジでいい? 」
「 綺麗ならいいわ ね? ジョー? 」
「 あ う うん ・・・ 多分。 」
重箱に入れるが 詰める そして 蓋をする、という概念がないので
こぼれんばかりの山盛り〜〜〜 ・・・・でも それなりに華やかで。
「 わあ お正月の雰囲気 ばっちりね 」
「 いいね こういうの〜 」
「 ほう これが日本風か。 なかなかいいもんだな 」
「 皆 美味しそうだねえ 保存食っぽなあ 」
「 大地の恵み だな。 感謝の食なのだろう 」
「 へ〜〜〜〜っくしゅ! 」
屋根の上の昼寝から連れ戻された赤毛はくしゃみ連発だ。
「 博士もそろそろお帰りになるわ。
大人とグレートも。 皆がそろったらお節、いただきましょ♪ 」
仲間たちがそろった晩御飯は もう大宴会となり ―
わいわい がやがや へ〜〜っくしゅ!!!
どどん、と置いた鏡持ち、はナイフで切り分けチンして。
黒豆しるこ? に 入れて皆でいただきまあ〜〜す となった。
「 ねえ ジョー。 お節料理って大晦日に食べるものなの? 」
「 フラン ・・・ あ〜〜 ウチはそういうことにしようよ 」
「 そうねえ あ でももうすぐ 」
「 あ 本当だ 皆〜〜 カウント・ダウン しようよ〜〜 」
はっぴ〜〜 にゅ〜 いや〜〜〜〜〜
ことしもよろしく(^^♪
誰のために ― って?
そりゃ 決まってるよ 皆のために! なのさ♪
********************** Fin. *********************
Last updated : 01,19,2021.
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********* ひと言 ********
こんな年末年始があっても いいんじゃないかな〜〜
ケンカしたり 殴り合いしたり グラスを割ったりするより
ず〜〜〜っと いいよなあ ・・・・
時期ズレで申し訳ありませぬ〜〜 <m(__)m>
彼らの わいわい・平和な日々 が好きです☆