『   田舎町編  − (2) −  』

 

 

 

 

 

  ス−パ−・コンピュ−タ−・<カ−ラ>は フランソワ−ズを抹殺しようとしている。

 

ジョ−はいやでも辿り着いた結論を呑み込むしかなかった。

まさか そんなはずはない、理由がない、ありえない。

否定の言葉は後から後から吹き出てくるが 現実は現実なのだ。

彼は 深く息を吸い込みギュッと拳をにぎった。

 

・・・ そうか。

それなら、ぼくがやるべき事はただひとつだ。

 

ジョ−はフランソワ−ズの傍に立ち、しっかりと彼女を抱き締めた。

 

「 ス−パ−・コンピュ−タ−が何を企もうと安心してくれ。

 きみは ぼくが護る。 ぼくの生命に代えても。 」

「 ・・・ ジョ− ・・・ 」

ショックで蒼ざめていたフランソワ−ズの頬に ほんのりと血の気がさした。

ジョ−の腕に柔らかく身を預けて それでもフランソワ−ズははっきりと言った。

「 ジョ−、ありがとう。 でも生命に代えていいものなんて・・・ないのよ。 」

「 ・・・ あるよ。 愛しい人はぼくの生命と同じだもの。

 きみを護ることは ぼく自身のためでもあるのさ。 」

「 ジョ− ・・・ あなたって・・・ 本当に・・・ 」

「 きみのためなら なんでもするよ。 きみはぼくの全てだもの。 」

「 ・・・ ジョ−ったら・・・ 」

フランソワ−ズの頬がますます紅潮してゆく。

 

( お〜い? お二人さん〜〜 いつまで二人だけの世界に篭っているのかね〜〜 )

( ・・・いい加減にしろ。 ジョ−、本部へ来い。 )

( ジョ−? 君、まさか一人ですべて抱え込む気じゃないだろうね? )

( 一人だけカッコつけんなよぉ! )

( ジョ−。 俺たちは一心同体だ。 )

( そうアル! ワテらは9人でひとつ、なんやで〜〜 )

 

「 わ ・・! な、なんだ〜〜 回路は閉じたはずなのに  みんなの声が一度に ・・・

突然仲間らからの通信がアタマの中でがんがんと響きわたり、

ジョ−は思わず声を上げてしまった。

 

( ボクダヨ。 ゴメン、チョット君ノ回路ヲ開カセテモラッタヨ )

「 イワン〜〜〜! 」

脳波通信よりももっと鮮明にイワンのテレパシ−が飛んで来た。

( じょ−? 妙ナ考エハ止メテ 僕ラノトコロニ来ルンダ。

 皆デ対策ヲ練ロウヨ。  僕 ・・・ ふらんそわ−ずニ抱ッコシテ欲シイナア。 )

「 わかったよ、イワン。 わかったけど、無事にそっちまで行けるかな・・・ 」

( ウ〜〜ン 多分大丈夫ダヨ。 君ガシッカリ彼女ヲ抱イテイレバネ )

「 ・・・ 了解。 それじゃ。 」

「 ジョ−。 わたしの準備はオッケ−よ。 でもね。 」

フランソワ−ズは静かにジョ−と向き合った。

彼女もジョ−と一緒にイワンからのメッセ−ジを受けていたのだ。

「 うん? なんだい。 」

「 わたしだって003なのよ?自分の身は自分で護るわ。 やられっ放しはイヤ。」

強い光を宿した青の瞳が、ジョ−を穏やかに見つめている。

「 きみってヒトは・・・ 本当に! ・・・ああ、なんて・・・素敵なんだ! 」

ジョ−は笑って腕の中の可憐なヒトに口付けをした。

 

「 ・・・ さあ、行こう。 コンピュ−タ−に負けてたまるか! 」

「 ええ。 」

 

ジョ−はフランソワ−ズの肩に腕を回した。

 

 

「 おい! ほっんとうにお前は水臭いヤツだな。 ひと言・・・ 」

「 あ〜あ・・・ こりゃアチラさんもかなり焦ってるんでねえの? 」

「 大丈夫かい。 フランソワ−ズ、眼は平気? 」

 

ほんの眼と鼻の先の<本部>にやってきた二人に仲間達は呆れ顔である。

ジョ−の防護服は土ぼこりにまみれ、フランソワ−ズの髪には枯葉が絡まっていた。

「 迎えに行こうって言ったらイワンが イイヨ、ダイジョブウって止めるんだ。 」

ピュンマが頬を膨らませている。

「 ふん、これしきのことで皆を煩わせたくないからね。 」

「 ええ、そうよ。 わたし達だけで充分だわ。 ・・・ちょっと汚れちゃったけど。 」

防護服の埃を払い、フランソワ−ズがにっこりと笑った。

 

 

ロッジからここまでのわずかな道程では案の定 <自然の脅威>が二人を襲った。

旋風が巻き起こり、足元は突如地割れし、眼の前には次々と木々が覆い被さってくる。

ジョ−はしっかりとフランソワ−ズの身体に腕を回した。

「 フラン? 大丈夫かい。 」

「 ジョ−? ちょっとわたしの側から離れてくれる? 」

「 いいけど・・・ 」

「 メルシ。 では・・・ 」

フランソワ−ズはジョ−の手が離れるとス−パ−ガンを抜きかなり遠くの樹を撃ち捲くった。

「 なに? 」

「 あそこに ・・・ モニタ−があったわ。 ええ、全部破壊したから

 とりあえず、本部まではしばらく攻撃はないと思うわ。 」

「 さすが〜♪ 探索つきの射撃には敵わないな。 」

「 ふふふ・・・ またこれ以上の直撃があったら、ジョ−、遠慮なく加速してね。 」

「 オ−ライ。 」

二人は再びしっかりと肩を寄せ合って台風の後みたいな道を進んできたのだった。

 

 

「 どんな理屈があるのか知らないけどね。 

 機械が人間を管理して良いわけないじゃないか。 コンピュ−タはあくまで人間の道具だよ。 」

「 あの町長は、 コンピュ−トピアとか称していたが、俺は好きになれんな。

 なんと言うか ・・・ どうも俺たちを反転させたみたいで不愉快だ。 」

ピュンマとアルベルトが 珍しく嫌悪感を露わにしている。

二人をなんとか無事に迎えられてほっとして、饒舌になっているのかもしれない。

 

  ・・・ 皆フランソワ−ズのことを心配してくれているんだな・・・

 

ジョ−はメンバ−達の絆をいつにも増して強く感じて、嬉しかった。

 

「 もういいじゃない? 明日こそここを発ちましょう。

 ごめんなさいね、わたしのせいで足止めさせてしまったわ。 」

フランソワ−ズの明るい声は その部屋の空気も皆の気持ちをもぱっと軽くした。

誰もが自然に笑みを浮かべ、皆が無事に揃っていることにほっとしていた。

 

「 お茶、淹れるわ。 本当なら美味しいケ−キでもつまみたいけど・・・

 ここのモノはちょっと止めておいた方がいいみたいね。 」

「 フラン、でもお茶も・・・ さっきみたいにさ? 」

「 これは多分大丈夫よ。 荷物の奥に入れて置いたものだし。 」

「 ほんならワテがお湯を沸かしまひょ。 おっかないレンジよりもず〜っと早うに

 ぐらぐら・あつあつの湯ゥにしまっせ。 」

張大人が張り切ってぼすん・・・と胸を叩いた。

「 それじゃ・・・ このポットをお願い。 」

「 はいナ♪ 」

ぼぼぼ〜〜 っと一吹きでたちまち煮えたぎったポットを持って

フランソワ−ズはキッチンに出ていった。

 

「 おい ジョ−。 」

「 ・・・ あ? なんだい、アルベルト。 」

「 なにぼ〜っと、ヨダレが垂れそうな顔でフランソワ−ズを眺めているんだ! 」

「 あ・・・ あ、そんな・・・ ぼくは別にそんな ・・・ 」

ふん! アルベルトはハナを鳴らし、低い声で言った。

「 ジョ−。 フランを一人にするな。 

 彼女のことだ、<自分の存在が皆を危険に遭わせる>って思い込んでとんでもないコトを

 やりかねんからな。 勿論例の<カ−ラ>の件もあるが 絶対に眼を離すなよ。 」

「 うん。 それは・・・ ぼくも心配してるよ。 」

「 お〜い、ジョ−にアルベルト。 帰りのル−トを確認しようぜ。

 ともかく 最短距離で最高速度で、この妙な町とはオサラバだ。 」

「 そうだね。 」

メンバ−達はアタマを付き合わせ地図を囲んだ。

 

( ・・・ ネエ。 ふらんそわーず ハ。 )

 

ふよふよ宙に浮かぶク−ファンからのひと言で ・・・ 全員が凍りついた

もう随分になるのに。 たかが、ティ−バッグでお茶を淹れるだけなのに。

 

  ・・・ フランソワ−ズは まだ キッチンから戻って来ていなかった・・・!

 

「 ・・・ !! 」

ガッタンッ !! 椅子がひっくり返り 次の瞬間、 ジョ−の姿は消えていた。

「 ! とにかく、あの町長のオフィスへ行こう。 <カ−ラ>のコントロ−ル権は

 アイツが握っているはずだ。 」

「 おう!」

「 ・・・ アルベルト。 」

「 ? これは。 フランソワ−ズの・・・ 」

 

ジェロニモが巨躯を屈めてキッチンの床から拾い上げたのは  − 赤いカチュ−シャ

 

「 それにしても ・・・ 臭うな。 」

「 ジョ−は多分気がつかなかったんだろうね。 カ〜〜〜ッとなっててさ。

 え、なに、グレ−ト。 」

「 ふん。 あまりにわざとらしいと思わんか。 わざわざこんな・・・

 まるでさあ、追ってこいと言わんばかりじゃないか。 」

「 名探偵どのも同じか。 」

「 ああ。 お主も気がついていたかね。 」

グレ−トはアルベルトに ばち・・・っとウィンクを送った。

「 薄々な。  おい、行くぞ。 町長サンに奴さんの大事な<カ−ラ>とやらが 

 何をやらかしたかとくと説明してやろうじゃないか。 」

「 O.K。 あそこのモニタ−なら町全体が見渡せるだろうしね。

 ( ・・・ジョ−? とりあえず町長のトコに集合だよ。 ) 」

( 了解! )

ジョ−からの通信を受け取り、サイボ−グ達は町長が<町役場>と称する

この町のメイン・コントロ−ル施設へ向かった。

 

 

「 へえ・・・ 穏やかなもんじゃないか。 」

「 目標を拉致したから、荒れる必要はないだろうね。 天然自然のままです・・って顔だよ。 」

「 ふん。 なにが自然だ。 ・・・ 気に喰わん。 」

一歩外にでれば心地よい微風がながれ、小鳥の囀りにさわさわと木々の葉擦れが混じり

優しい田舎町が彼らの前にひろがっていた。

<町役場>までの路には タンポポやら荒地野菊が顔をだしている。 

側溝には水草が流れ、ちらちらと魚影すら見える。

ついさっき、ジョ−達の前に荒れ狂った姿はまったく影を潜めていた。

そんな中を歩くとき、 ついつい頬を緩め気分はのんびりとしてしまうのだが・・・

今、眼の前にひろがっている 自然の風景 は全てがツクリモノなのだ。

そう・・・ 巨大ド−ムの天井越しに降り注ぐ日の光以外はすべて。

 

  ・・・ ぞくり、とイヤな感覚がサイボ−グ達の背筋を走った。

 

「 ・・・ 遅れてごめん。 」

シュ・・・っと独特の音がして ジョ−の姿が一行の前に突然現れた。

「 なにか手がかりは? これ、キッチンに・・・ 」

ピュンマは赤いカチュ−シャをジョ−に渡した。

「 いや。 一応この町全体を回ってきたけど、なにも。 ・・・ ありがとう。 」

ジョ−はカチュ−シャをじっと見つめると大事そうに防護服の内ポケットにしまった。

( 安心シタマエ。 ふらんそわーずハ無事ダヨ。 じょ−、君ガココニ居ル限リハネ。 )

ジェロニモが担ぐク−ファンの中からイワンの声が飛んできた。

「 僕が・・・? 」

( ウン。 か−ら ノ目的ハふらんそわ−ず ジャナイカラネ。 )

「 フランソワ−ズじゃない? でも だったらどうして・・・

 今までの攻撃は彼女に集中してたじゃないか。 初めは全員めがけてたけど。 」

( ソウダケドネ。 ツマリ ・・・ アア、後ニシヨウ。 )

眼の前に<町役場>が現れた。

 

 

 

「 ああ・・・! 皆さん! もうなにが、どうしたのか・・・

 まだN.B.G.の残党が居るのかも知れません。 いやそのチェックはちゃんとやったし・・・ 」

「 町長。 」

「 ヤツらがなにか・・・<彼女>に悪さをしたのかも・・・ ああ、カ−ラ! どうしたんだ〜〜? 」

サンボ−グ達の姿を見て、町長は駆け寄ってきた。

今朝のにこやかな様子はどこへやら、髪を振り乱しス−ツは乱れネクタイは半分外れていた。

<町役場>の中の メイン・コントロ−ル室は騒然とした雰囲気に包まれている。

「 今は治まっていますが。 先ほどまで全くプログラムにない<動き>が噴出しまして・・・

 自動コントロ−ル・システムを手動に切り替えようとしているのですが。 」

メインのシステム・エンジニアが当惑顔をしている。

彼は<町役場の助役>として紹介されていた。

 

「 町長。 町全体をモニタ−するスクリ−ンを拝借したい。 」

「 カ−ラ〜〜 本当にどうしてしまったんだ? ・・・え? ああ・・・どうぞ。 

 助役さん?皆さんのご要望に お応えしてください。 

 ワタシはもう一回チェックをしてみますので・・・失礼! 」

町長は< カ−ラ >の前にばたばたと戻って行った。

 

( ぴゅんま。 か-らヲ呼ビ出シテ、ふらんそわーずノ現在位置ヲ検索サセテゴランヨ。 )

「 ・・・奴さんが 素直に応じるかなあ。 」

( ヤッテミナクチャ判ラナイダロ。 ) 

とぼけたイワンの口調に ピュンマは肩をすくめキ−ボ−ドを叩いた。

「 一応、音声検索も掛けてみるね。  

 ー カ−ラ? 登録ナンバ−:003 の現在位置をスクリ−ンにアップしてくれ。 」

大型スクリ−ンがぱっと開かれた。

 

  − なあに? わたしはここにいるわよ。 

 

楡の木陰にフランソワ−ズが気持ちよさそうに座り、手を振っている

 

「 フランソワ−ズ・・・!! 」

「 あ・・・! ジョ−、待つんだ・・・ ってもう行っちまったか・・・ 」

アルベルトの制止を待たずに ジョ−の姿は再び消えた。

「 気の早いヤツだなあ。 」

「 まあ、無理なかろうよ。 恋するヤツには敵うものナシだ。 」

「 でもこの画像は。」

「 ああ。 多分な。 ピュンマ、試しにもう一回入力してくれ。 」

「 O.. ・・・・ ああ、ほら? 」

 

  − なあに? わたしはここよ?

 

今後は泉のほとりで彼女は微笑んでいる。

「 やっぱりな。 」

「 やっぱりって・・・ どいいう事ネ? ワテらもジョ−はんの後を追ったほうが・・・ 」

「 いや。 これはニセの映像なのさ。 」

「 ニセの? この・・・ フランソワ−ズはんの姿と声はワテにはほんまもんに見えるアル。 」

「 これは カ−ラが合成したニセの彼女なんだよ。

 僕らのデ−タは全部カ−ラに登録してあるから・・・ こんなこと、簡単なのさ。 」

「 な・・・る・・・。 」

( みんな? フランソワ−ズはさっきの場所には見あたらない・・・! )

ジョ−からの通信が全員のチャンネルに入った。

( ジョ−、戻って来いよ。 さっきの映像はニセなんだ、カ−ラの罠だ。 )

( ・・・・ くそッ! )

( じょ−? 気ヲツケタマエ。 か−ら ハ君ヲ狙ッテイルヨ。 )

( ? まさか・・・・。 とにかく・・・ この森一帯を捜して戻るよ。 )

 

「 フランソワ−ズはんに危険は及ばないアルか。 」

「 大丈夫、 カ−ラは <目的> のために・・・  わ?! な、なんだ?? 」

 

  −−−− みんな ・・・! フランが、フランンソワ−ズが ・・・・!!!

 

突然、全員のチャンネルにジョ−の悲鳴にちかい通信が飛び込んできた。

( ジョ−?! どうした、どこにいる? )

( おい、どうした! フランソワ−ズに ・・・ なにがあったんだ!? )

( ジョ−? 現在位置を教えろ。 俺がすぐに行く。 ・・・ よし、わかった! )

 

シュ・・・っと空気がゆれ、ジェットの姿が消えた。

 

 

「 ジョ− ! どうした、この煙はなんだ?! 」

森の外れで黒煙が上がっているのを見つけ、ジェットは加速装置をoffにして飛び降りた。

「 おい、ジョ−?! どうしたっ! 」

枝を重ね生い茂る木々が途切れ、丈の低い潅木がまばらな空き地にジョ−はいた。

「 ジョ−!! 」

「 ・・・ ジェット ・・・ 」

煙を吐いている残骸の前で ジョ−は呆然と膝を突いていた。

空からやってきた仲間の顔をのろのろと見上げたが ・・・ 彼の顔に表情はない。

虚ろな瞳が ぼう・・・・っとジェットに向けられただけだ。

「 おい! しっかりしろ!! なにがあったんだ?!

 フランソワ−ズが どうかしたのか? 

「 ・・・ フラ ・・・ン ・・・  これ ・・・ 」

「 あん? なんだ、はっきり言えよ! ・・ しっかりしろって、ジョ−!! 」

ピシッ!

ジェットの平手打ちがジョ−の頬に飛んだ。

 

「 ・・・あ ・・・ああ、ジェット・・・ フランが、フランソワ−ズが・・・! 」

ようやくジョ−の瞳が焦点を結んだ。

ジョ−は乱れたセピアの髪の間から潤んだ瞳を向けた。

「 フランが? なんだ?? 」

「 ば・・・爆弾を仕込まれてた・・・ ぼくの眼の前で・・・ 彼女は・・・! 」

「 爆弾? そんなことは有り得ないぜ。 」

「 本当だよ。 ぼくが森を抜けたらフランソワ−ズが駆け寄ってきたんだ。

 捜したわ、ジョ−・・・! って・・・ 」

「 変だな。 それでいきなり爆発したってのか。 」

「 いや、きみこそ拉致されたんじゃないのかいって言ってぼくが手を伸ばしたら急に ・・・ 

 こっちへこないでって叫んで駆け出して ・・・ それで ・・・ 」

ジョ−はがくり、と項垂れた。 彼の足元に点々と水玉模様が描きだされ始めた。

「 バカな。 そんなことは ー 有り得ないぜ。 」

「 本当だよ。 見て・・・くれ。 フランソワ−ズは ・・・ 知っていたんだ。

 それで ・・・ぼくを庇って。 一人で ・・・ 逝ってしまった・・・! 」

ジョ−はもう涙を隠そうとはしなかった。 低い嗚咽がジョ−の口から漏れ始めていた。

「 おい、ジョ−。 よく見てみろ。 」

「 ・・・え ・・・ 」

ジェットは足元に散乱している残骸を拾い上げた。

「 やっぱりな。 これは、ロボットだ。 」

「 え! でも、 これは確かに ・・・ ! 」

ジョ−もおそるおそる残骸に手を伸ばす。

「 そっくりに出来てるけどよ。 これはクロ−ン・ロボットだ。 」

「 ・・・・ クロ−ン? 」

「 眼を逸らさずによく見てみろ。 彼女は、フランソワ−ズは エサ なんだ。 」

「 エサ?! な、なんの?? 」

「 そうだ。 ジョ−、お前を釣るためのな。  」

「 ぼく・・? 」

「 ああ。 カ−ラの目的はジョ−、お前なんだ。

 お前を捕らえるためには 彼女が一番有効なエサだとカ−ラは判断したのさ。 」

「 じゃあ・・・ じゃあ、ホンモノのフランソワ−ズはどこに居るんだ。

 カ−ラに拉致・監禁されているんだろ。 」

「 多分な。 多分 ・・・ お前を誘い込みたい場所だろうな。 

 ともかく <町役場> にもどろうぜ。 」

「 うん。 ・・・ ありがとう、ジェット。 」

 

 

「 カ−ラが、ですか??! 」

コントロ−ル・ル−ムで頭を抱えていた町長は 驚きの声を上げた。

自慢のス−パ−・コンピュ−タ−がサイボ−グ達を攻撃し、今は一人のみを抹殺しようと

している・・・というピュンマの報告に町長は信じられない面持ちだった。

「 まさか・・・ あり得ないですよ。 そんなバカな・・・! 」

「 いや。 現に突発的な不具合は生じているし、フランソワ−ズは行方不明だ。 」

「 しかし・・ それがカ−ラが原因だという証拠は・・・ 」

なおも否定し続ける町長に ギルモア博士が静かに語りかけた。

「 町長。 <カ−ラ>は心理回路を、つまり<意志>を持っていますな。 」

「 ええ! カ−ラは彼女自身が考え・決定し・実行を支持するコンピュ−タ−ですから。 」

「 では、そのプログラムをしたのは誰です? ・・・多分、亡きカ−ラ夫人、でしょう? 」

「 心理回路 ・・・ ええ、そうです。 妻は心理学の博士号も持っていましたし・・・

 しかし なぜそれが今回の不祥事と関係がありのですか。 」

町長サンは甚だ不満気な様子である。

 

「 あ〜〜もう! 要するのによっ!! そのカ−ラサンが この! ジョ−に惚れちまって

 恋敵のフランを浚っちまったってことなのさ。 」

 

「 ・・・・・・・・ !! 」

「 すみませんな、町長。 言い方は乱暴ですが・・・つまりそういう事です。 

 多分フランソワ−ズは <カ−ラ>の好む場所に拉致されていると思いますぞ。 」 

「 ・・・ カ−ラが・・・ そんな ・・・ 」

「 町長さん。 すみません、ぼくが<カ−ラ>を説得しますから。

 教えてください。 彼女のお気に入りの場所はどこですか。 」

ジョ−が呆然としている町長の前に進み出た。

「 初めに気づくべきだったんだ。 ぼくが ・・・ 見過ごした為にフランソワ−ズに

 いろいろと危険な目にあわせてしまった・・・! 」

「 ジョ−よ。 それはお主の責任ではないぞ? 」

「 そうだよ。 これは僕たち全員の問題だ。 みんなで協力してフランソワ−ズを

 助け出そうよ。 」

「 グレ−ト・・・ ピュンマ・・・ ありがとう・・・! 」

「 ・・・ 町長、いかがですかな。 」

「 ・・・ コテ−ジ・・・かもしれません。 その昔 ・・・アレとハネム−ンで行った・・・・ 」

椅子に頭を抱え沈み込んでいた町長は やっと呻きつつ言葉を発した。

「 コテ−ジ? それは何処だ。 」

「 ・・・ 大池の・・・ 森の中心にある大池の畔、樟の大樹の上・・・ 」

「 ・・・ ありがとう! 」

「 オ−ライ! 」

「 っと・・・ 作戦も練らずに! ったく気の早い連中だ。 」

「 まあまあ、アルベルト。 恋するオトコの逸るココロに免じて目を瞑ってやろうじゃないか。 」

「 ふん。 ジェットまで・・   さあ、行くぞ。 」

「 おう! 」

意気揚々と出てゆくサイボ−グ達を 町長は悄然と見送った。

 

「 私は ・・・ 妻を協同研究者として充分に尊敬していました。

 それに ・・・ その・・・ 上手く口では言えませんでしたが ・・・あれをこころから愛して・・・ 」

「 町長。 そのことをカ−ラさんに 伝えてあげてくださらんか。 」

「 ・・・ この<カ−ラ>にですか・・・ 」

「 ・・・・・ 」

ギルモア博士は静かに頷いた。

 

 

 

「 ここだな。 」

「 うん。 見かけは簡素なコテ−ジだけど・・・ 凄いや。 鉄壁の防備体制だ。

 これは一種のシェルタ−だね。 」

「 へん! 生意気なコトしやがる。 」

「 ぼくが入って行けば カ−ラは・・・ フランソワ−ズを解放してくれる。 」

「 おい、ジョ−? バカなこと、考えるな! 」

「 でも ・・・ ぼくが目的なんだろ。 だったら・・・ 」

「 ヘイ、my boy ? お前さんは本当に ・・・ boy なんだなあ〜 」

「 グレ−ト。 」

ばさり・・・と大鷲が飛び降り、同時にグレ−トの禿頭がひょっこり現れた。

「 それでマドモアゼルが喜ぶと思うのか? よく考えろ、この・・・若造が! 」

「 ふん・・・ なかなか洒落たオウチじゃねえか。 強行突破するか? 」

「 だめだよっ! フランがどんな目に遭うか・・・! 」

「 この中に彼女が居るのは確実だね。 完全防御体制が証明しているよ。

 ・・・ 脳波通信は?  ・・・ だめだな・・・ 」

「 うん、ずっとぼくも呼びかけているんだけど・・・ フランは回線を閉じているみたいだ。 」

「 カ−ラが妨害しているのかも、な。 」

「 ・・・ 呼びかけよう。 全員でココロを合わせて。 」

ジェロニモの低い声に全員が頷いた。

 

「 そうだ! 心を一つにして一斉に呼びかければ! 」

 

ジョ−は黙って拳を握り締めた。

 

  − フランソワ−ズ !   フランソワーズ ・・・!!!

 

脳波通信に集中し、深く心にメッセ−ジを念じつつ ・・・ ジョ−はぎゅっと目を瞑った。

 

フラン・・・ フランソワ−ズ・・・

ぼくを ひっぱってくれ。 きみのいる場所へ・・・

ぼくの精神 ( こころ ) を ・・・ 呼んでくれ ・・・!

 

( じょ−? チョット荒療治ダケド・・・ 君ノ精神ヲふらんそわ−ずノ処ニ飛バスヨ。 )

( イワンかい? うん、頼むよ。 なんとしても彼女を助けるんだ! )

( ジャ ・・・ チョットしすてむ・だうんサセテモラウヨ。 )

( 了解。 頼んだよ、イワン。 )

( ソレハ僕ノ台詞サ、 じょー。 ミンナ? 援護ノ呼ビカケヲ頼ムヨ )

( ・・・・・・ )

ジョ−の身体はくたくたと床の上に倒れた。

 

 

 

「 ・・・だれ? わたしを呼ぶのは・・・ 」

「 フランソワ−ズ! 聞こえる? 」

「 ・・・ ジョ− ・・・? ジョ−なの? わたしはここよ ・・・ あっ! 」

ジョ−の脳裏に鮮明なイメ−ジが送られたきた。

フランソワ−ズが なにものかに拘束されている。

 

「 彼女を放せ! ・・・ お前は ・・・ <カ−ラ>か? 」

《 ・・・・ ココまでよく辿り着いたわね。  褒めてやろう。 》

抑揚に乏しい合成ボイスが響いてきた。

「 カ−ラ・・・! 彼女を、フランソワ−ズを解放しろ! 」

《 ・・・  お前がワタシのものになるのなら。 》

「 くそ・・・っ! フラン!  今そこに行くから。 待ってろ・・・ 」

「 ジョ− ! ・・・ きゃあ・・・! 」

突然拘束されていたフランソワ−ズの身体が放りだされ、地面に叩きつけられた。

「 なにをするっ! フラン! 大丈夫か?!  ・・・ わぁ〜〜〜〜 ! 」

今度はジョ−の身体が跳ね上がった。

フランソワ−ズの周りには電磁バリア−にも似たものが張り巡らされているようだ。

金属の燃えるイヤな臭いがし、ジョ−は烈しい勢いで落下した。

「 ジョ−−−−−! 」

「 ・・・・ うっ ・・  フラン・・・ 見てくれ。 どこかに隙間はないか。 

 ぼくがバリア−を身体で閉じるから・・・ きみは 逃げろ! 」

床に落ちたジョ−は そのままじりじりとまたバリア−に近づいてゆく。

「 だめよ! ジョ−。 そんなこと、しないで!! あなたが・・・! 」

「 大丈夫・・・ きみが逃れる間くらい・・・ この身体は十分盾になる・・・ 

 ふふふ ・・・ 今はサイボ−グであることに感謝してるさ。 」

 

 バリバリバリバリ〜〜〜〜!

 

火花が飛び散り、再びジョ−の身体が宙に弾きとばされる。

「 ジョ−! やめて! やめてーーー 」

「 だ・・・いじょうぶ。 これしき。 加速すれば・・・ 」

「 だめ! そんな状態で加速したら、あなたは! ・・・あ?? なにをするの?!」

するするとフランソワ−ズの身体が宙に引き上げられてゆく。

《 煩い娘だね。 お前の役目はもう終った。 ・・・ふふふ・・・立派にエサになってくれた。 》

「 フラン! 大丈夫、ぼくがどんなことをしても受け止めるから。 

 加速装置を最高レベルにするから ・・・ 安心して ・・・・ う ・・・ ! 」

ジョ−は隙をねらって接近していが バリア−を突破できない。 

「 ジョ−、ジョ−・・・ やめてちょうだい! あなたが壊れてしまうわ。 

 ねえ、お願い!  生命と引き換えにできるものなんて ないのよ! 」

「 ・・・ フラン。 この前・・・言ったよね? 

 ぼくは きみを失うくらいなら・・・ ぼくの命は惜しくはない・・! 」

「 ジョ− ・・・ わたし ・・・ あなたを失ってまで生きていたくないわ! 」

 

《 お前らは なぜ そんなコトをする? 

 なぜ ・・・ 自分の身を平気で危険に曝せるのか! 》

 

今まで冷静に無感情だったカ−ラの声が にわかに乱れだした。

薄暗い空間にチカチカと電極の火花が散る。

 

《 ココはワタシが作り上げた空間なのに。 木の葉一枚、草一本まで全てワタシの意のままだ。

 その中で・・・おまえ達はスピリット(精神)にすぎないのに、

 なぜわたしの意志に反する行動が取れるのだ? 》

 

フランソワ−ズは宙吊りにされた不安定な位置で かっきりと顔をあげた。

擦り傷だらけの頬が きりりと引き締まり、青い瞳には強い光が湛えられている。

 

「 カ−ラ。 答えは簡単よ。 ・・・ 愛しているから。 」

 

《 愛・・・?  ・・・ わからない ・・・ 》

 

「 きゃあ〜〜〜 ! 」

突如、フランソワ−ズを拘束していた力が消滅し彼女の身体は落下しだした。

「 ・・・ 危ないッ!  」

彼女が床に叩きつけられる寸前に ジョ−が加速して抱きとめた。

そして彼女を抱き締めたまま、即座に反転しバリアの中を飛び出した。

 

 ばりばりばりばり 〜〜〜 !!

 

「 ・・・ ウ・・・ッ!! 」

「 ジョ−!? しっかりしてっ! 」

「 ・・・ フラン・・・ きみは ・・・? 」

「 わたしは大丈夫、あなたがしっかりと抱いていてくれたから・・・ 」

「 そう ・・・ か ・・・ よか ・・・ った  ・・・ 」

「 ・・・ ジョ−? ジョ−〜〜〜  」

ジョ−はフランソワ−ズをその腕に抱いたまま、かくん・・・と意識を失った。

 

《 ・・・わらかない。 お前達はなぜ庇いあう? 肉体と離れてまで・・・

 ワタシは 永遠に変らない世界を造りたかっただけ・・・

 そして ・・・ そこで愛するヒトと一緒にすごしたかっただけなのだ ・・・ 》

 

カ−ラの合成ボイスがどんどんと小さくなってゆく。

 

「 カ−ラ。 <永遠>って いつまでも同じ、ということじゃないと思うの。 」

ジョ−の身体にしっかりと腕を回し、フランソワ−ズはゆっくりと話始めた。

閉じ込められた空間では 時折火花が散っていたがそれも次第勢いを失い出している。

「 変らないって そんなに素晴しいことじゃないのよ。 

 それは ・・・ <変れない>わたし達はよく判るわ。

 本当の自然は 一本の草は冬には枯れてしまうけれど次の春にはその種が芽吹くでしょう?

 永遠って・・・ そういうものじゃないかしら。 」

 

《 ・・・ 永遠 ・・・? 》

「 そうよ。 受け継がれてゆく命や 想い そして 愛  ・・・・ 

 それが本当の永遠だって・・・ わたしは 思いたいの。 

《 ・・・ わからない ・・・ ワタシは ・・・ 》

「  ・・・ カ−ラ ! 聞こえるか、私だ。 」

《 ・・・ 誰。 ワタシに呼びかけるのは ・・・ 誰? 》

「 カ−ラ ・・・ 私だ、エッカ−マンだよ。 」

《 ・・・ ジョシュア・・? 》

「 私が悪かった・・・ 気が付かなかった・・・

 カ−ラ ・・・ 私は ・・・その。 こういうコトは上手く言えなかったが・・・

 君を心から ・・・ その・・・ 妻として愛していたよ。 今もその想いは変らない。 」

《 ・・・・・・・ 》

「 カ−ラ ・・・ お願いだ、その人たちのスピリットを解放してくれ。 

 そして・・・ また一緒に仕事をしようじゃないか。 本当の田舎町をつくろう。 」

《 ジョシュア・・・ 私は ・・・ 》

 

 ・・・ ボンッ!!

 

突然、周囲の壁が爆発した。

強烈な爆風に巻き込まれ、フランソワ−ズはジョ−を抱えたまま気を失ってしまった。

 

 

 

「 ・・・ フラン・・・ フランソワ−ズ? 」

「 ・・・え ・・・あ ・・・!  ジョ− ・・・! 」

「 ああ! よかった! 気が付いたね! 」

「 もう大丈夫だ。 ス−パ−・コンピュ−タ−は自滅したよ。 」

「 ・・・ え ・・・ ? 」

気が付けば、明るいコテ−ジの中で、フランソワ−ズは柔らかなソファに身を横たえていた。

側には ジョ−の穏やかなセピアの瞳があった。

 

「 なぜか突然、メモリ−・コアの保存ル−ムが吹っ飛んでね。

 < カ−ラ >は ただのコンピュ−タ−になったよ。 」

「 ・・・ よかった・・・ きみが無事で。 本当によかった・・・! 」

「 ジョ− ・・・ あなたも・・・ 」

ジョ−は差し伸べられた白い手に頬擦りをし、キスをした。

「 ・・・ きみがいれば それでいい。 ぼくにはきみが ・・・ すべてなんだ。 」

「 わたしもよ、ジョ−。 あなたが無事でよかった・・・ 」

「 ああ〜〜 もう勝手にやってくれよ。 僕は遠慮してやるからさ! 」

本当に全く・・・! とピュンマはぶつくさ言って席を立った。

 

 

 

 

穏やかな朝の光が ド−ム・シティに降り注いでいる。

サイボ−グ達は翌朝一番で <田舎町> に別れを告げた。

「 ・・・ みなさん! 本当に本当にありがとうございました・・・! 」

町長はまたもや、何回も全員と握手をしまくり、アルベルトを渋面させていた。

「 お嬢さん。 本当に申し訳ありませんでした。 

 全てこの私の不徳のいたすところ・・・ なんとお詫びしてよいやら。 」

「 町長さん。 これ・・・ 見てください。

 わたし達の仲間が廃棄処理コ−ナ−で見つけました。 」

フランソワ−ズは手にしていた小さなコップを差し出した。

土を入れたそこには野菜くずから出た稚い緑の芽があった。

それは今朝方、ジェロニモが手渡してくれたものだ。

「 こんなちいさな自然が ・・・ きっといつか本当の緑の大地を造りだすのだと思います。

 それを見守るのが わたし達人間の役割じゃないかしら・・・ 」

町長は恐る恐る小さなコップを受け取り、じっと見つめていた。

「 お嬢さん。 そして ・・・サイボ−グの皆さん。 

 何年後か・・・ きっと素晴しい本当の、天然自然の<田舎町>を築きあげますから。

 またいらしてください。 大歓迎しますよ。

 ええ、どうぞ、ハネム−ンに・・・! ジョ−さん。 」

「 え・・・ あの・・・その。 ぼく達はそんなんじゃ・・・ 」

「 お前ね〜〜 」

「 ふふふ・・・ カ−ラに笑われるよ、ジョ−。 」

「 ふん、まったく・・・! 」

「 とにかくこれで <田舎町>はこれからじゃな。 なにごともなく平和な町になるじゃろう。 」

「 あ〜あ・・・ 小生らもなにごともなく、とっとと帰還しましょうや。 」

「 そうアル。 帰ったら・・・ご馳走アルね! 腕を揮いまっせ〜〜 」

 

・・・ あの岬の邸に帰還すれば。 また穏やかな日々が彼らを待っているだろう。

そう・・・ なにごともなく。 

 

 

  ・・・ なにごとも なく ・・・ ?

 

 

 

 ***** おまけ *****

 

レ−スのカ−テンを透して柔らかな月の光が差し込んでくる。

ジョ−とフランソワ−ズは久し振りのギルモア邸で 穏やかな夜を迎えていた。

 

・・・ 穏やかに ・・・? なにごとも ・・・なく ? 

 

「 ・・・ ねえ? 

「 だめです。 今夜は大人しくお休みなさい。 」

「 え〜〜 せっかく帰ってきたのに・・・ ねえ、いいだろ? 」

「 ジョ−。 ちょっと伺いますが。 」

「 ・・・はい。 」

「 あなた ・・・ あのコンピュ−タに何を言ったの? 」

「 え・・・ 別になにも・・・ ・・・・う〜ん・・・?

 こんな素敵な町を造り上げたヒトはきっととても素敵なヒトでしょう・・・って言ったけど・・・

 それだけだよ? ・・・なんだってあのコンピュ−タ−はぼくを・・・?? 」

ジョ−は大真面目な顔で首を捻っている。

「 ・・・も〜〜 ジョ−、あなたってヒトは・・・! 」

 

ばさり・・・! とフランソワ−ズは羽根布団を被ってしまった。

「 あ・・・ ねえ〜〜 フランソワ−ズゥ〜〜  愛しているってば・・・ 」

「 ・・・ ふん。 」

「 ね〜〜〜〜 」

 

その夜が本当に<なにごともなかった>かは ・・・ お月様だけが知っているのだった。

 

 

 

********   Fin.   *********

 

Last updated: 04,17,2007.                      back          /           index

 

 

 

*****   ひと言   *****

やっと終りました〜〜〜 

ごたごたとな〜んか荒唐無稽?な状況を設定してしまったですが・・・

要するに♪♪ ウチの J & F  はいつだって らぶらぶ♪♪ なのです☆☆☆

・・・しかし、こんな<コンピュ−トピア>はご免被りたいものですよね。

あのお話のぱろでぃ、こ〜んなのもアリかあ・・・と読み流し下さいませ<(_ _)>