『 時の過ぎ行くままに ― As time goes by ― (2) 』
駅前広場から少し離れたところにあるカフェ 珈琲滞夢 は その日は定時に閉店となった。
最近 じわり・・・と人気が増していて 日ごろマスターはあまり閉店時間にはこだわっていない。
しかし その日は時間きっちりに < また 明日のお越しをお待ちしております > のプレートが
ドアの外に 現れた。
「 ― ただいま ・・・ 」
「 あら ・・・ おかえりなさい。 今日は定時ですか。 」
マスターの自宅・わたなべ家では 奥さんが おや・・・という顔でご亭主を迎えた。
「 うん。 ちょっとね、ブレンドの試作をしたくて ・・・ 」
「 まあ そうなの? 新しい味のアイディアが湧いた? 」
「 ・・・ お客さんにちょっとヒントを貰ってさ。 キッチン、いいか? 」
「 まあ お客様に? それはステキね ・・・ どうぞ。 で どんなテーマ? 」
「 うん。 今 作りたいのは 『 お腹いっぱい晩御飯の後に 』 さ。 」
マスターは そそくさとキッチンに入っていった。
― ほどなくして 香ばしい匂いが家中にひろがった ・・・
「 も〜〜〜 おとうさん達ったら〜〜 なにやってるのォ〜〜
熱々の唐揚が冷めちゃうじゃ〜ん! 」
「 ほらほら 早く座ってよ。 ・・・ おかあさん。 背中にワラがついてる ・・・
どこに居たのさ! 」
「 あ! ちゃんと手、洗ってよね〜〜
もう〜〜 2人してな〜にやってたのよ〜〜 」
キッチンに戻ったジョーとフランソワーズを 子供達はわいわい<小言>で迎えた。
まあ・・・! いつも自分たちが言われてること、そのまんま返して!
あはは ・・・ いつのまにか大人びた口、きくようになったなあ・・・
2人は顔を見合わせ くす・・っと笑った。
「 もう〜〜 いいトシして いちゃいちゃするのは後にしてくださいね! 」
「 スープ、 配るから。 早く座ってくれないかな〜 冷めちゃうだろ〜 」
「 はいはい わかりましたよ。 ああ すばる、 はい 苺。 」
どん・・・! 母は息子に苺でいっぱいのボウルを押し付けた。
「 ・・・ ああ ありがと。 ふうん ・・・ まだこんなに生ってるのか〜 」
「 わ♪ 美味しそう〜〜 いっこ〜〜♪ 」
早速すぴかが一つ失敬して 口に放り込んだ。
「 ・・・・ うま〜〜〜〜♪ デザートにぴったり♪ 」
「 うん いいね。 あ ほらほら 飯にするぞ〜〜
おじいちゃま〜 アルベルト伯父さん お待たせしました。 」
「 はい〜〜 スープ で〜す! 」
すぴかとすばるが 熱々のスープを配る。
「「 いただきます 」」 全員で唱和し箸を取った。
「 ・・・ ほう? 美味そうだな。 これは ポテトとオニオンか? 」
「 うん。 ベーコン味でまとめてみたんだ ・・・ どう? アルベルト伯父さん。 」
「 ・・・ 旨い! すばる、お前 腕を上げたな! 」
「 え えへへ〜〜〜〜 」
「 はい こっちはメインのカレイの唐揚! 相模湾産の獲れたてよ〜 」
― 岬の家で賑やかな夕食が始まった。
デザートのお皿を用意するころ ・・・ ぴんぽ〜〜ん ・・・と玄関チャイムが鳴った。
「 こんばんわ〜〜〜 すばる、いますか〜〜〜 」
「 はあい〜〜 あら わたなべ君ね? 」
「 ん ・・・・ おう〜〜 今ゆくよ〜〜 」
すばるは 口をもぐもぐさせながら食卓から立ち上がった。
「 すばる! 食べかけで〜〜 」
「 いいじゃん ( むぐむぐ・・・ ) だいち〜〜 待ってろ。 」
母親の小言なんか何処吹く風・・・ すばるは悠々と玄関へ出ていった。
「 すばる君ッ ・・・ もう〜〜わたしのいう事なんかぜ・・・・っんぜん聞かないのだから〜〜! 」
背後で 母はきんきん怒鳴っていた・・・
「 よう? 」
「 これ。 親父から。 お前んとこの伯父さんにって。 」
玄関にでると、 お馴染みの <しんゆう>君 がたっていた。
「 お。 なんだ? こんな時間に ・・・ 」
「 うん だから これ。 ウチの親父からなんだ。 新作ブレンドだって。
お前のとこに来てるおじさん渡してくれってさ。 」
「 へええ?? お前の親父さん、どうしてアルベルト伯父さんのこと、知ってるんだ?? 」
「 ・・・ よくわかんないよ。 僕、部活から帰ったらさ。
親父がこれをすばるんちの持ってけっていうから ・・・ ほい。 」
わたなべ君は いい匂いのただよう袋 ― 特別ブレンド ― をすばるに渡した。
「 ふうん ・・・ お〜〜 いいね この匂い! ありがとう! 」
パタパタ足音がして フランソワーズが玄関顔をだした。
「 あら わたなべ君、こんばんは! 御飯は? あ もう食べちゃったのね〜
それじゃ デザート、食べてゆかない? 」
「 あ〜 おばさん ・・・ こんばんは。 」
わたなべ君は ぺこり、とお辞儀をした。
「 はい、 こんばんは。 ねえ すばる。 デザート、わたなべ君の分も用意して? 」
「 あ〜 いいよ。 」
「 ねえ? 苺のフローズ・ヨーグルト ですって。 美味しいわよ〜 さあ上がって 上がって? 」
「 ・・・ うわお〜〜♪ ありがとう、おばさん! 」
わたなべ君は もうにこにこ顔で勝手知る <しんゆう>んち にお邪魔した。
しばらくして ― 島村さんちのリビングにはコーヒーの香りがふんわ〜り満ちていた。
「 ・・・ うん これはいいな。 わたなべ君 ・・・だったな?
親父さんに、 いや 『 珈琲滞夢 』 のマスターに 御馳走様でした、と伝えてくれ。 」
「 はい。 親父、喜びますよ〜 あ ・・・ これ ウマ〜〜〜♪ 」
わたなべ君は フローズン・ヨーグルト苺 に夢中のようだった。
「 へへへ。 ウチの庭の苺のシロップとさ〜 摘みたての実が入ってるんだ〜 大成功〜〜 」
いェい〜〜! と すばるはサムズアップしてみせた。
「 ― すばる。 お行儀の悪い! 」
「 ・・・ も〜〜 いちいち うっせ〜〜 ・・・ 」
「 なんですって? 」
「 いや こっちのコト ・・・ 」
ふん、とすばるが肩を竦めてソッポを向いた。
あはは ・・・ こりゃ フランソワーズも大変だろうな
・・・ ん ?? すぴかが微妙な顔、してるな ・・・
ああ あの話がしたいのか。
ふん。 ちょっくら邪魔モノどもを連れ出してやるか
アルベルトは静かにカップをソーサーにもどした。
「 なあ すばる。 お前たちの掘っ立て小屋、 まだ庭にあるか? 」
「 ・・・ アルベルト伯父さん! あれはね、僕らの 秘密基地!! 」
「 そ〜だよ! 秘密天文台 さ。 うん まだあるよ〜 すばるの伯父さん 」
男子中学生たちは 真剣な眼差しで答える。
「 お そうか? それじゃ ・・・ 久々に案内してくれるか?
星空を眺めながら この美味いコーヒーをじっくり味わいたいんでな〜 」
「 あ☆ いいね〜 そうだ そうだ・・・ 昨日のオーツ・ビスケットがまだあるはずだよ〜
あれも持ってこ。 おい〜〜 わたなべ、悪いけど手伝ってくれ〜 」
「 ああ いいよ。 僕がコーヒーセット、持ってゆくよ 」
「 たのむ〜〜 」
オトコノコたちはわいわいと大騒ぎで庭に出ていった。
すぴか。 いい機会だろ? 親父さんとお袋さんにきちんと話せ。
アルベルトは部屋をでる間際に ばち・・・ん! とすぴかにウィンクを残した。
「 ・・・ ああ 美味しいコーヒーだったわね〜〜
ああ 博士? お茶も用意しますわね。 」
「 おお ありがとうよ。 まあ まだいいよ、寝しなに持ってゆくから ・・・ 」
「 あら そうですか? 」
「 うむ。 ( ・・・ すぴか? なにか言いたいのじゃろう? ) 」
博士は じ〜っとすぴかの顔をみつめた。
お おじいちゃま ・・・! ウン・・・・
「 うわ〜〜お ・・・ 美味い晩飯にデザートに・・・最高のコーヒーに・・・
なんか滅茶苦茶に幸せだな ぼく ・・・ 」
ジョーは コーヒーを飲み干すとう〜〜ん・・と伸びをしている。
「 ― アルベルトが来ると こんな美味い晩飯になるのか〜 ふうん ・・・ 」
「 まあ なに言ってるのよ、ジョー。
皆で一緒に美味しいゴハン食べられて 幸せじゃない? 」
「 当ったり前さ。 ちょっと言ってみたかっただけ・・・ 」
「 ふふふ ・・・ 可笑しなジョーねえ・・・ ねえ すぴかさん?
お父さんってば 可笑しいわよねえ? 」
フランソワーズは 娘に話かけた。
いつもなら母より先に父とおしゃべりしたがる娘なのだが ― 今日はムス・・っとしている。
「 なあに? なに怒ってるのよ? 」
「 ・・・ 怒ってなんか ・・・ いないもん。 」
「 じゃあ そんな顔、しないの。 女の子はね、いつだって笑顔でいなくちゃ。 」
「 そ〜いうのね、 セクハラっていうんだよ〜 お母さん! 」
「 そう? そんなこと、ないと思うわ。 女の子の笑顔はね、皆を幸せにするのよ。
ね? ・・・ ジョー? 」
「 ウン そうだね〜〜〜 フランの笑顔は世界一だもの♪ 」
「 うふふふ ・・・ ジョーの笑顔もよ〜〜 」
にっこり ― 夫婦は笑みの視線を絡ませる・・・
「 ・・・っと〜〜!! あの えっへん! 」
たちまちいちゃいちゃし始めた両親に すぴかはストップをかけた。
「 あ あの。 ちょっと ・・・ちょっとだけ いいかな〜 」
「「 なに?? 」」
「 ウン ・・・ あの ・・・ アタシ さ。 」
すぴかは すう〜〜っと深呼吸をするとお父さんとお母さんを真正面から見つめた。
<庭の掘っ立て小屋> は外見よりもはるかに居住性が良い。
博士の設計で オトコノコ達が真剣に整頓や掃除を続けているからだ。
アルベルトと男子中学生2人は コーヒーカップを片手にのんびり星空を見上げている。
「 ふん・・・ ここは特等席だな。 星を眺めて一杯・・じゃなくて一口、 か ・・ 」
「 ふふふ ・・・ おじいちゃまの特設天文台だもんな〜
見かけよかず〜〜っとはいすぺっくなんだぜ? 」
「 僕たちね〜 いろんな天文現象をここで観察したんです。 な〜 すばる? 」
「 ウン。 ジャマモノがいないから気分いいしね。 きんきん声もないしさ〜
秘密基地での勉強するとすぱすぱアタマに入るんだ。 」
そうだよな 〜〜 と2人は半ば本気で頷きあっている。
「 ほう〜〜 そりゃ凄いな。 勉強ってば お前ら受験生なんだってな。 」
「 あ・・ うん まあね。 一応そんなコトらしい・・・ 」
「 そうなんだ。 ウチはさ、親父が念願の店、だしただろ? だからさ〜 私立はダメなんだ。
― 県立翠ヶ丘 狙うっきゃない。 部活も今月で休み。 」
わたなべ君は しっかり覚悟を決めているらしい。
「 そうか。 日本の教育制度はよく知らんが。 オトコらしく腹を括った、というわけだな。
頑張れよ。 」
「 うん。 ありがとう、 すばるの伯父さん。 国公立の大学狙うなら まずは県立翠ヶ丘高校、
クリアしないと 厳しいんだ。 」
「 僕も さ、決めた。 」
「 え すばるも? 」
「 ん。 僕も 県立翠ヶ丘 狙うよ。 」
「 うわ〜お・・・ ライバルがここにもいた〜〜 」
「 へっへっへ〜〜 だいちには負けね〜ぞ〜 」
「 僕だって!! ・・・ でもさ 一緒に行きたいな、県立翠ヶ丘 ・・・ 」
「 ん。 だな ・・・ 僕ら 塾とか行ってないから不安だけど ・・・ 」
「 じゅく? ・・・ ああ 予備校のことだな?
な〜んだ お前ら。 そんな所に行かんでも最高の教師がいるじゃないか。 」
「「 ・・・え? 」」
「 博士だよ。 天才・科学者 I ギルモア氏 が さ。 」
「 あ〜〜〜 で でも・・・ い いいかな? その〜〜 ・・・ 」
わたなべ君が口篭りすばるをちらっと見た。
「 うん ・・・ じい様さあ、なんか〜元気ないんだよな。 身体の具合、よくないのかなあ・・・
アタマすっきり!は相変わらずなんだけどさ。 なんか その〜 」
「 ふん。 お前らが元気、分けてあげろ。 」
「 元気を? どうやって? 」
「 そうだな・・・ こんなデキの悪い弟子たちは放ってはおけない! と博士を発奮させろよ。 」
「 あ ひで〜な〜〜 アルベルト伯父さん〜〜
僕ら 数学じゃかなりいいセンいってるんだぜ〜 なあ だいち〜 」
「 そ。 ・・・でもさ、数学だけじゃないもんな〜 入試はさあ。 」
「 おう、いいじゃないか。 あのヒトはな まあ 言ってみればマルチ・天才だからな。
語学でもなんでも喰らい着いてコツを教わってこい。 」
「 あ ・・・ そうか〜 いいかな? すばる・・・ 」
「 うん、僕、じい様に頼んでみる! 」
「 頼む〜〜 あ! いっけね〜〜 僕 もう帰らなくちゃ! 」
壁の時計が鳴って わたなべ君は大慌てで帰り支度を始めた。
「 わるい〜〜すばる、僕 このまま帰るからさ〜 おじさんとおばさんに
ごちそ〜さまでしたって言っといてくれ〜 」
「 おっけ。 あ コーヒー美味かったって おじさんに頼む〜 」
「 おう、そうだな。 俺からもお礼を頼むよ。『 珈琲滞夢 』 のマスターに乾杯! だ。 」
アルベルトは コーヒーカップを持ち上げ バチンとウィンクを送った。
自転車で帰るわたなべ君を門に送り すばる達は玄関に向かった。
「 ・・・ すばる。 お前 ・・・ なにか企んでいるな? 」
「 え ・・・ なにかってなに? 」
「 ふふん とぼけるなよ? お前、将来の方向、決めたんだろ。 」
「 ・・・ う ん ・・・ でもまだはっきり決めたわけじゃ・・・ 」
「 まあ いいさ。 目的地の方向さえきめれば 取り合ず GO! だ。 」
「 ん。 僕 やるよ。 」
「 しんゆう君共々の 勝利報告 を期待しているぞ。 」
「 アルベルト伯父さん。 これ ・・・ おじいちゃまにだけ言ったんだけど。
僕。 ― 医療関係に進みたいんだ。 」
「 医学部 か。 」
「 ・・・ そういう訳じゃ ・・・ ううん! はっきり言うよ。 そうしたいんだ。 」
「 ― でかい夢だな。 博士、喜んだだろう? 」
「 ん・・・ でもまだ 夢 だから さ 」
「 あのな 誰だってまず初めは夢みるところから始めるんだ。
ふ ふふふ・・・・ お前たち、お前とアネキな ― まさしくジョーとフランの子供だな。 」
「 ??? そんなこと、あったり前じゃん? 」
すばるが オジサン、大丈夫か? と疑いのマナコで眺めている。
お〜〜っと。 こりゃまだお子ちゃまには通じんかな・・・
ふははは ・・・ こんなトコはジョーにそっくりだぜ。
「 ははは ・・・ そりゃそうだ。 今晩はもう休めよ。 」
2人は玄関のドアを開けた。
「 ウン。 あ〜 このまま風呂場直行しようかな〜〜 」
「 すばる!!! 後片付けはッ !? 」
途端に母の声が キンキン響いてきた。
「 あ・・・ いっけね・・・ ってかヤバ〜〜 見つかっちまった・・・ 」
「 ははは ・・・ そりゃそうだ。 お前のお袋さんの目から逃れるのは不可能だぞ。 」
「 え〜 そうなの? ったくうっせ〜んだよ〜〜 」
「 すばるっ !!! キッチンがそのままですよっ ! 」
「 ちぇ ・・・ わかってるって!! 」
すばるはたちまち <イマドキの中坊> の顔になりばたばたキッチンに駆けていった。
ははは ・・・ うん、元気でいいよな、俺の <甥っ子> はよ ・・・
<姪っ子> の方はちゃんと話せたのかな
どっちにしても ― 子供達はどんどん大きくなるってことだな
アルベルトは苦笑を噛み殺しつつ玄関から中に入った。
「 お茶 ・・・ 淹れたわ。 今度は日本茶よ 」
フランソワーズが静かにリビングに入ってきた。
「 ・・・ おう すまんな。 」
「 いや こっちこそ・・・すばる達の相手してくれてありがとう。 」
「 ジョー。 あの美味いコーヒーの御礼さ。 あの<しんゆう>君の親父さんの店、
なかなかいいぞ? 味も雰囲気も な。 ここにくる楽しみがまたひとつ増えた。 」
「 ふうん ・・・ 今度行ってみるよ。 」
「 おう、 行ってくれ。 ・・・ ああ フラン、弾いてもいいか? 」
アルベルトは湯呑を置くと リビングの隅にあるピアノを差した。
「 どうぞ どうぞ・・・というよりお願い。 貴方のピアノ、聴きたいわ・・・ 」
「 うん ぼくも ・・・ あ 博士もお呼びしてこようよ。 」
「 もう休まれているのではないか。 」
「 ― いや 起きておるよ。 ワシも聴きたいなあ。 」
「 お 博士 ・・・ 」
ドアが開いて 博士がゆっくりと入ってきた。 手に空の湯呑を持っている。
「 あら。 呼んでくだされば行きましたのに・・・ 」
フランソワーズが腰を浮かしたが、 それよりも速くジョーが駆け寄った。
「 ・・・ おお すまんなあ・・・ なに、寝しなにもう一杯 日本茶が欲しくてな・・・ 」
「 はい、熱いのを淹れますわね。 お代わり、欲しいひと〜〜? 」
「 あ ぼくも。 」
「 俺は 後でもらってもいいか? 」
「 勿論よ。 あ・・・ すぐに用意してくるから・・・ 演奏 待ってて〜〜 」
パタパタとフランソワーズはキッチンに行く。
「 ・・・ 今夜はなにやら ・・・ チビさん達の<ナイショ話>が 流行ったようじゃの・・・ 」
「 え 博士、ご存知だったのですか? 」
ジョーは博士の手を引いて 肘掛け椅子に案内した。
「 いやなに ・・・ あの子達の顔をみていれば判るよ。
そろそろ ・・・ 先のことを真剣に考える時期に来たのじゃろうな。
父さん 母さん、 子育ての道はあともう一頑張りじゃな。 」
「 ・・・ 博士 ・・・ 」
「 すぴかは留学したい、と言いました ・・・ わたしの故郷に ・・・
わ わたし ・・・ なんだか涙がこぼれて・・・ 」
フランソワーズはくすん・・・と目頭を押さえてから 熱いお茶を皆に配った。
〜〜 ♪♪ ♪♪ ・・・・
リビングの隅から 静かなピアノの音が流れてきた。
「 フラン ・・・ 」
「 そうか そうか・・・よかったのう、フランソワーズや。 」
「 ええ ・・・ ずっとあの娘はわたしやわたしの祖国を嫌っているのか・・・って思ってました・・ 」
「 フラン!そんなことはないよ! すぴかは お母さんのこと、大好きなんだ。
ただ アイツ ・・・ その ・・・ なんていうのかな、ブキッチョなんだよ。 」
「 ・・・ ジョー ・・・ あなたに似てるのね。 」
「 え !? そ そうかな? う〜ん?? 」
「 それでのう、ジョー。 フランソワーズ ・・・ すばるから <お願い> があってな。 」
博士はちら・・っとアルベルトの方を見た。
「 お願い?? なんです? あ〜〜 アイツ、 小遣いくれ〜とか・・ 」
「 違う 違う・・・ あのなあ、 家庭教師になってくれ、とな。 このワシに・・・ 」
「 え。 か 家庭教師?? 」
「 うむ。 どうも誰かサンが炊き付けたらしいがの〜 ふっふっふ・・・・
今一度、若いヤツラと学ぶのも悪くないなあ・・と思っての。
引き受けてもいいかな? すばるの <保護者> さん達や。
ああ <しんゆう>君 も一緒、ということなんだが ・・・・ 」
「 まあ! ステキ・・・! あ 博士 すぴかも一緒にお願いしますわ。 」
手を打って喜ぶ細君を ジョーはちょっと・・・と嗜めた。
「 博士 ・・・ そのう ・・・ お身体の方は大丈夫なのですか。
ご無理なさらないでください。 」
「 大丈夫じゃよ。 なに、勉強の相手をするだけじゃからな。
すばるは例の ひみつきち で教えてくれ、と言うんじゃ。 あそこなら集中できるかもな
・・・ ああ モーツァルトもいいなあ・・・ アルベルト。 次はお前さんの十八番・・・
ベートーベンのソナタを所望してよいかな。 」
「 了解。 」
陽気な音が終ると 重厚な演奏が始まった。
「 博士。 ありがとうございます。 わたなべ君のご両親とも話しあってみますから・・・
三人一緒でも宜しいんですの? 」
「 ああ 構わんよ。 今までもな〜んでもかんでも <三人一緒> じゃったもの。 」
「 あは・・・そうですねえ・・・
博士 ・・・ それではどうぞ宜しくお願いします。
でも くれぐれも体調にはお気をつけくださいね! お願いしますよ〜〜 」
「 わかっとるよ。 ははは・・・若モノに元気を貰うとするかな・・・ 」
〜〜〜 ♪ リ ラィリ ラィリ ライ 〜〜
アルベルトの奏でる音が 旧い ・・・ 懐かしいメロディに変わった。
「 ・・・まあ ・・・! これ ・・・ あの映画の中の・・・・ 」
「 ふむ ・・・ おや、フランソワーズ・・・ お前、知っておるのか? 『 カサブランカ 』 」
「 ええ。 あの映画ね、 わたしの両親の思い出の映画なんですの。
あの曲 ・・・ 確かレコードがあったはずですわ。
何回も何回もきかされましたらから 覚えてしまいました。 」
「 ほう ・・・ 俺は こっちに来てからリバイバルでみたが ― この曲はいいな・・・ 」
リ ラィリ ラィリ ライ 〜〜 リ ラィリ ラィリ ライ 〜〜
つぶやく様な 小声で口ずさむ様に ・・・ちょっと切ないメロディが続く。
「 As time gose by ・・・ か。 時の過ぎ行くままに ・・・ 」
「 ふうん ・・・ ああ ぼくも聞いたことはあるな。 」
「 あら ジョーも? こんな夜に静かに聴くのが好きよ。
・・・ こうやって生の音で聞くと何倍もステキ ・・・ 」
フランソワーズはうっとりと目を閉じる。
「 どんな映画なの? ラブロマンスなのかい。 」
「 ふふん ・・・ 身勝手な美女と オトコの痩せ我慢が超キザに見えるハナシさ。 」
アルベルトが手を休めずに口を挟む。
「 ??? なんだい、それ・・・? 」
「 ふふふ・・・ そうねえ ・・・ そうかもしれないわ。
アルベルト、 ボギー ( 注 : ハンフリー・ボガード 『 カサブランカ 』 主演男優 )
の役がぴったりだもの。 」
「 はん・・・! 俺はあんな甘ちゃんじゃねえぞ。 」
「 そうかしら? 」
「 相手役が お前なら別かもな〜 君の瞳に乾杯♪ ( 注 : 映画の中のセリフ )
いや フランソワーズ、 お前がイルザ ( 注 : 映画のヒロイン ) なら
お前自身で路を切り開くだろ。 」
「 うっふっふ ・・・・ A votre sante! ( 乾杯 ) 」
フランソワーズは艶然と微笑むと ・・・ 煎茶いりの湯呑を持ち上げた。
く くっそ〜〜〜 明日! 絶対にレンタルしてくるぞ!!
・・・ しかし アルベルトとフランって ・・・ 映画の主役っぽい・・・
う ううう〜〜 ぼくはなんでもっと早く生まれなかったんだ〜〜〜
ジョーは密かに歯噛みをするのだった。
「 ふふふ ・・・ それでは 父さん、母さんや。 子供たちの <べんきょうかい> を
企画してもよいかな。 」
「 こちらこそお願いしてもよろしいですか?
ああ わたなべ君のお家ともちょっとも話し合っておかないと ・・・ 」
「 うむ。 そちらはお前に任せるよ、フランソワーズ。
おっと・・・・ 先に言っておくがな。 これはワシが好き勝手で企画することじゃ。
授業料だのなんだの ・・・ は一切抜きにしてもらおう。 全員 な。 それが条件じゃ。 」
「 博士 そんな ・・・! 」
「 いや。 ・・・ うん、そうだな。 それでは毎回 お茶を頼む。 それでいいな? 」
「 それでは 博士? 毎回、 美味しいお茶タイムをご用意しますね。
・・・ 生徒たちは お茶だけで十分ですけど。 」
「 ふむ ・・・ まあ 一生懸命勉強しよう! と決心したのじゃからなあ ・・・・
すこしは楽しみがあったほうがよいのではないかね。
オヤツ・タイム を設けてやればもっと熱中するさ。 」
― ということで <ひみつきち> での受験塾・・・いや 博士曰くの
べんきょう会 が決定した。
キュ ・・・ キュ ・・・・
気持ちの良い音がして ジョーはきっちりとティー セットを磨きあげる。
「 ・・・ わあ ジョー ・・・凄いわね・・・ 」
フランソワーズは夫の手元を覗きこみ歓声を上げた。
「 ふん ・・・ これ、きみが大切にしているティー・セットだろ?
博士もアルベルトも気に入ってるみたいだったし ・・・ きちんと手入れしておかないとな。 」
「 ありがとう ジョー ・・・ すばるだとやたらと洗剤掛けて洗うだけですもの。 」
2人は深夜のキッチンで後片付けの仕上げをしていた。
美味しい晩御飯とお茶タイム ・・・ ピアノ演奏までついて最高だった。
・・・ おまけに 子供たちからは <決意表明> を聞くことができた・・・
「 ・・・ ねえ ジョー。 」
チリ ・・・ン ・・・ 銀のスプーンが清んだ音をたてた。
「 うん? なに。 」
「 ・・・ ステキな晩だったわね。 」
・・・ カチャン。 ボーン・チャイナの茶器が食器棚に丁寧に仕舞われた。
「 ああ。 すぴかの発言にはちょっとびっくりしたけど ・・・ もうオトナなんだね。 」
「 そうね ・・・ 淋しい? お父さん。 」
「 うん ・・・ ちょっと ね。 いつまでも おとうさ〜〜ん♪ って抱きついてくる
すぴかでいて欲しいな・・・ そんな気分、否定できないもの。 」
「 ふふふ ・・・ あの子、 本当にお父さんっ子だから ・・・ 」
「 だけどね。 さっきも言ったけど ・・・ あいつ、きみのことを嫌うとかそんなことは! 」
「 ・・・ ええ ・・・ わかっているわ。 わかっているけど ・・・
あまりわたしには甘えてくれないから ・・・ 淋しいのよ、わたし。 」
「 ぼくがいても・・・? 奥さん ・・・ 」
ジョーの腕がするり、とフランソワーズの身体に絡んだ。
「 ・・・ バカねえ・・・ ジョーったら。 わたし ・・・ 欲張りだから
ジョーもすばるもすぴかも ・・・ み〜〜んな欲しいの、わたしの宝モノにしておきたいの。 」
ことん ・・・とたおやかな身体がジョーに寄りかかる。
2人はゆっくりとキッチンのスツールに座った。
「 ・・・ ねえ? 淋しいのは ― ぼくのせいじゃない? 」
「 え? どういうこと? 」
「 だって さ。 ぼく ・・・ つまんないヤツだよね。 皆の話題に乗れないし
・・・ 相変わらず気のきいた会話もできなくてさ ・・・ 」
「 ジョー ? なにを言うの? さっきのハナシ ・・・・ あれは旧い旧い映画なのよ。
知らなくて当然じゃない? わたしは ・・・ その たまたま両親が好きだったから・・・ 」
「 いいよ わかってる。 ぼくはきみ達とは違う時間を生きている。
それは事実なんだけど さ。 やっぱ 時々 ・・・ なんか妬けるよ。 」
くしゃり、とジョーは彼女の亜麻色の髪に顔を埋めた。
甘い香りが ジョーの鼻腔を埋め ・・・ 彼の奥を刺激する。
欲しい、と思う。 このオンナは俺のものだ ・・・と本能が主張する。
「 ・・ フラン ・・・ こんなぼくで ・・・ いいのか? 」
くぐもった夫の声の中に 彼女はちゃんと甘ったれの響きを聞き取っている。
あらら ・・・ もう〜〜 やっとすばる達の手が離れたらと思ってたら・・・
・・・ うふふ ・・・でも そんなジョーも好きなの・・・
「 ねえ ― どんな夫婦だってね、出会うまでは別々に生きてきたの、そうでしょ? 」
「 ・・・ そりゃ ・・・ 」
「 わたし達 今までずっと一緒に来たわ。 一緒に あの子達と格闘してきたでしょ。 」
「 あは ・・・ そうだねえ・・・ うん、強敵だよな〜 BGよりもず〜〜〜っと! 」
「 ええ。 なにせ可愛い顔して甘えてきて・・・すぐに反撃するんだもの。
これからも共同戦線、張ってゆかないととてもじゃないけどやってゆけないわ ねえ? 」
「 ・・・ そうだね。 ・・・ よろしく頼む 戦友。 」
「 ふふふ・・・ こちらこそ。 ・・・ これからいっぱい話をしましょうよ
それでいっぱいわたし達だけの思い出を増やしてゆくのよ。 」
「 ・・・・ん ・・・・ 愛してる フラン ・・・ 」
「 わたしも よ ジョー ・・・ 」
ジョーの腕の中でフランソワーズは満ち足りた溜息をついた。
リ ラィリ ラィリ ライ ・・・・ あのメロディが耳の奥で鳴ってる ・・・
「 ふぁ ・・・ うん 美味いコーヒーだったな ・・・ 」
アルベルトは自室の窓辺で大きく伸びをした。
開け放った窓からはそんなに冷えてはいない夜気が流れ込む。
少し湿度が多いかな、と感じたが不愉快になるほどでもない。
「 ・・・ふんふん ふん ・・・・ 」
美味しい食事と < 家族 > たちとの久々の会話 は 彼の心に温かいものを
ゆったりと満たしてゆく。
そして なによりも。 子供たち ― 若い思いを知ったのが嬉しい。
「 皆 飛んでゆけ。 過ぎた時を想うのは老人だけでいい ・・・ 」
そんな彼も 知らず知らずにあの旧いメロディを口ずさんでいるのだった。
― どん。 がちゃ・・・!
ドアに一発蹴りが入り 返事をする前に勝手に開いた。
「 ・・・ すぴか。 蹴るなよ〜〜 」
部屋の主は机の前で思いっきりしかめっ面をしている。
「 いいじゃん、ノックだもん。 ね〜 ちょっと いい。 」
「 ・・・ もう入ってるだろ。 なに。 」
「 ウン ・・・ 」
ぼすん ・・・ すぴかは弟のベッドにダイブした。
「 ちょ・・・ やめろって〜〜 俺 蒲団干したんだぞ〜〜 」
「 え〜 いいじゃん。 アンタの部屋のほうが風通しいいんだもん。 」
「 そんなこと ないだろ? すぴか、窓のトコにごたごたモノを置くからだよ。 」
「 ごたごたなんて置いてないよっ! アンタの部屋の方がよっぽど・・・
あ まあ いいや。 ・・・ケンカ 売りにきたんじゃないし〜 」
「 ・・・だから なに?! 俺〜〜 勉強してるの〜〜 」
「 あの さあ。 ちょっと 聞いてよ。 」
「 ?? 」
珍しく神妙な姉の声に すばるは椅子を引いて振り向いた。
「 すばる。 ・・・ 笑ってもいいよ。 アタシさ。 チビのころ ・・・ クリスマス・イブにね
ジャン伯父様に お母さんのお兄さんに ・・・ 会ったの。 ううん、夢なんかじゃない。
そんなこと 有り得ないはずだけど でもアレは夢じゃない、って信じてる。 」
「 ・・・ すぴか・・・ 」
「 だからさ〜 笑いたければ笑ったら?
でもアタシには本当だったって信じてる。 だから ― それを確かめるためにも
お母さんの国へ フランスへ行ってお母さんの生まれて育った国で勉強したいんだ。 」
「 すぴか。 ― ちょっと待って! 」
「 え? 」
すばるは机の引き出しを開けると奥の方に手をつっこみごそごそやっている。
「 なによ〜〜 急に・・・ 」
「 ・・・ん〜〜〜 あった・・・! これ! 」
「 ・・・ これ? 」
すばるは ずい、とすぴかの前に手を突き出した。 その手に握られているのは ―
「 ・・・ これ ・・・ お母さんの携帯じゃない? それもふる〜〜いヤツ ・・・
アタシらがチビのころ、お母さんが使ってたヤツじゃん。 」
「 ん。 要らないっていうから貰ったんだ。 ちょっと・・・・ 待って。 ・・・ えっと ・・・ 」
「 ??? 」
すばるは古めかしいタイプの携帯を操作している。
「 だってさ〜 もう使えないんでしょ? 」
「 そうだけど ・・・ データは見れるんだ。 ― ほら! 見ろよ。 」
「 え〜〜 ・・・? え?!? えええ ・・・ 」
すばるが渡した古い携帯の中には ― 数枚の写真データが保存されていた。
どれもぼんやりとしている が ・・・
雪の夜・・・らしい。 少女時代のすぴかが ひどく古風な服装をしている。
彼女が繋いだ手は ジャンパーの袖。 その手は ・・・
「 こ ・・れ! 」
「 ああ。 俺もはっきり覚えてるもん。 」
「 ・・・ アンタ、写ってないね? 」
「 覚えてない? 撮ってたの、俺だぜ? 」
「 あ・・・そうだったよね。 2人で両手にぶら下がって さ・・ 」
「 ・・・ うん。 アレは 夢なんかじゃない。 」
「 すばる ・・・! 」
「 すぴか。 俺たち、ジャン伯父さんに会ったんだ。 あれは ― 」
「 ん。 すばる。 アタシ ・・・ どうしてもパリに行くよ。 」
「 ん。 すぴか、頑張れ。 」
「 すばるも 頑張れ。 」
「 ― ん! 」
すぴかとすばるは がっちりと手を握り合った。
<べんきょう会> は多くの実りを齎した。
まず 博士自身が元気になった。 若者に囲まれ学習の手ほどきをしてゆくうちに、
博士は健康を取り戻した。 無論 全く元通りとはいえないが・・・
気軽に外出することも増え、 ジョーとフランソワーズはほっとしていた。
そして < 教え子 > 達は ―
「 ・・・え〜〜〜 なに これ。 こんなの、習ってないよ〜 おじいちゃま! 」
「 ・・・ これ 高等数学じゃ・・・? 」
「 なに、基礎は今から説明するからの、解いてごらん? 」
「「「 げ★ 」」」
「 この記事についてどう思うか。 諸君の意見を聞きたい。 」
「 おじいちゃま〜〜 これ、 英語〜〜 」
「 ああ そうだな。 皆、辞書くらい持っておるだろう? 」
「「「 げ★ 」」」」
・・・ 特に受験勉強をしたわけではないが、アルベルト曰くの マルチ・天才 に
しごかれた三人は 翌春、めでたく志望校での同級生となった。
そして この期間、島村さんち では毎月美味しいブレンド・コーヒーの差入れを味わう特権を享受していた。
『 珈琲滞夢 』 ― そんな名前のカフェがいつからか静かに人気を集めていた。
学生がノートやPCを広げて勉強したり おっさんが静かに珈琲を楽しむ店、
そして その日の天気に合ったブレンドをだす。
マスターは物静かなヒトなので 常連さんに騒がしいヒトはいなかった。
時にピアノのCDが流れることもあるが 静かな曲ばかり・・・ドイツの無名のピアニストが
弾いているのだ、という。
少し元気のない時 ちょっとばかり心が疲れてしまった時 そんな日にも人々は
この店にやってくる。
「 マスター。 ブレンド をお願いします。 」
「 はい。 では・・・ 今日の天気に合ったブレンドを ― 」
― そう ・・・ こんな日には 静かにコーヒーを飲んでいたい・・・
リ ラィリ ラィリ ライ ・・・ リ ラィリ ラィリ ライ ・・・
柔らかい 音色が 懐かしい音が いつのまにか人々の心に沁み込んでゆく。
ああ あの頃は ― そんな日は涙がとまらない。
時の過ぎ行くままに ・・・
****************************** Fin. *****************************
Last updated
: 06,12,2012. back / index
******** ひと言 *******
作中の すぴかとすばるが携帯の画像を見て 〜〜 の
シーンは 企画 『 クリスマス・キャロル 』 を
ご参照ください。
『 カサブランカ 』 古いけどステキな映画です。