『 わあ〜〜〜い ! ― (1) ― 』
******** はじめに *******
大変な事がたくさん・・・(;O;)
元気な双子ちゃんのお話から エネルギーをもらってください。
パタパタパタ ・・・ しゅるりん〜〜〜
いっぱいの洗濯ものが 吹き抜ける風に翻る。
この家は海に近いけれど とても巧みに設計されていて
裏庭には 潮風の影響はあまり届かない。
だから 花壇には季節の花がわんさと咲き 元気な庭木がわさわさ・・・
何本も枝葉を揺らしている。
そのまんなかに 洗濯モノ干し場 が どど〜んと構えている。
「 ふう〜〜 やれやれ・・・お洗濯も終わった〜っと。 」
フランソワーズは からっぽの洗濯カゴを持ち上げ、ぽんぽん・・・と
底を払った。
振り仰げば きっぱり晴れた空が 彼女に微笑かけている。
「 うふふ ・・・ 空さ〜〜ん ありがとう〜〜〜
もう〜 チビ達は汚し魔だから・・・ これでからりと乾いてくれれば
ホント 助かるわ 」
三段に上げた物干しざおには 大小・・・さまざまな衣類が揺れている。
「 あ ・・・ ジョーのシャツ そろそろ新しいの、買ってこなくちゃ。
長袖も出しておかなくちゃね 寒くなるし・・・ 」
ふう〜〜ん ・・・
大きく伸び〜〜すれば 身体中に空の、風の、緑の チカラが 入ってくる。
「 ふ〜〜〜 いい気持ち ・・・ さあ 頑張らなくっちゃ!
チビ達〜 ゴハンは終わったかな〜 」
「 フラン〜〜〜〜 すぴかが もっと〜〜て ・・・・ 」
キッチンの窓から ジョーの声が飛んできた。
「 あらら ・・・ もう食べちゃったのかしら。
はあ〜〜い 今 ゆくわぁ〜〜〜 」
カタカタカタ ・・・・
空の籠と洗濯バサミのカンをもって 彼女は勝手口に駆け戻っていった。
すぴか と すばる
双子の天使が ジョーとフランソワーズの元に舞い降りてきて
そろそろ三年が経つ。
どうかなるんじゃないか ・・・ と思ったほどの奮戦の時期、赤ちゃん時代 ―
が ようやく過ぎた とは思う。
しかし! 天使達は 時に チビ・悪魔 となり そこいら中を
駆けまわる年齢になってきている。
「 もっと〜〜〜 ぱんぱん〜〜〜 」
キッチンに入ると すぴかの声が響いてきた。
「 今 トーストするからさ〜 ほら プチ・とまと 食べてろよ 」
「 ぷち? うん むぐぐぐ〜〜 おいし〜〜
おと〜しゃん これも いい? 」
「 すぴか ・・・ 僕の たべていいよ 」
「 わい〜 むぐぐぐ 〜〜 おいし〜〜♪ 」
「 え? あ〜〜 すばる! 自分の分は自分で食べる! 」
「 ね〜〜 おと〜しゃん ぱんぱん〜〜〜〜 」
「 ・・・ 僕 も じゃむむぱん 〜〜 」
「 ああ 今ね 作ってるから ちょっと待って 」
「 ちょっと ・・・ まった! 」
「 僕も〜〜〜 ちょっと まったよ〜〜 」
「 もうちょっと! 」
テーブルでは ジョーがチビ達相手にてんてこ舞いしていた。
「 あ フラン〜〜 」
「 ジョー ありがと。 すぴか すばる〜 朝ごはん 食べてるかな〜 」
「 おか〜しゃん! ね ね ぱんぱん〜〜〜 もっと! 」
「 おかしゃん じゃむう〜〜〜 じゃむ〜〜 」
戻ってきた母に 子供たちは一段とヒート・アップした。
「 あらら ほら〜〜 いっぱいこぼして・・・ 」
フランソワーズは まず子供たちの口の周りと手を拭き
テーブルの上の惨状を あっと言う間に収拾した。
「 は・・・ さすが お母さんだねえ〜 」
「 ふふ 毎度のことですからね 」
「 ありがとう・・ ほら すぴか トースト、できたよ 」
「 わあい〜 ぱんぱん〜〜 」
すぴかは 焼き上がったパンにがぶり、と齧り付いた。
「 あ バター 塗るぞ? 」
「 ん〜〜〜〜 おいし〜〜 ぱんぱん〜〜 」
「 すばるは? パン もう一枚 たべる? 」
「 僕 ・・・ じゃむ 」
「 さっきのにいっぱい塗っただろ? あれでおしまい。 」
「 じゃむう〜〜〜 」
「 はい じゃむ屋さんはもう売り切れです って。
じゃ さ ここにこのハム のっけてみようか? 」
「 はむ・・・? 」
「 そ。 すばるのお皿に残ってる・はむ。
・・・ ほ〜〜ら 美味しそうな はむぱん になったわよ? 」
「 はむ ぱん ・・?? 」
「 そうよ〜〜 ほら おいしそうね〜〜
おかあさんも食べたいなあ〜 」
フランソワーズは ささ・・・っとハムの下にキュウリの薄切りを入れた。
「 だめ〜〜 僕がたべるのぉ〜〜 」
へえ ・・・ さっすがだなあ〜〜 フラン・・・
ジョーは 細君の手際の良さに感心しつつ
新しいトーストに バターを塗っていた。
「 ぼ〜くの はむぱん〜〜♪ 」
野菜嫌いなすばるだけれど 母の策略にころり、とひっかかり
ハム・キュウリ・パンにかぶり付こうした が・・・
「 あったし がたべる〜〜 むぐう〜〜〜 おいしっ! 」
「 ・・・あ すぴかが とったあ〜〜〜〜 」
横っちょから すぴかがあっさり失敬していった。
「 ・・・ はむぱん ・・・ 僕のはむぱん ・・・ 」
「 あ! ・・・ もう〜 すぴかってば 」
「 むぐ〜〜〜 あ キュウリさんもいる〜〜 おいし〜〜
おか〜さん はむぱん、すぴか すき! 」
「 ・・・ そう いっぱい食べたわね すぴかさん 」
「 ん! ね〜〜〜 ぎうにう〜〜〜 もっとちょうだい 」
「 僕も! ぎうにう〜〜〜 おさとう、いれて 」
「 ・・・ はいはい 」
「 あ ぼくがやるよ。 フラン ほら 君のトースト。
ハムとチーズ のっけといた 」
「 あら ありがとう ジョー。
すぴか すばる〜〜 ほら お父さんが ミルクですって 」
「「 わあ〜〜い 」」
双子たちは 小さな手でしっかりマグカップを持って
こくこく こく ・・・ ミルクを飲み乾した。
「 ごちそ〜〜さま〜〜〜〜〜 おりたい〜〜〜 」
すぴかは 子供用の椅子の上で 脚をばたばたさせている。
「 すばる、あそぼっ ! 」
「 僕ぅ じゃむ ・・・ ほしい〜〜 」
すばるはまだ粘っている。
「 あ〜〜 わかったよ すぴか。 ほうら 」
ジョーは ぽん、と娘を抱き下ろした。
「 さあ お父さんと遊ぼう! すばるもおいで〜 」
「 う うん ・・・ 」
「 フラン、 チビたちは引き受けるから ゆっくり朝ご飯
食べろよ 」
「 ありがと ジョー〜〜 あ ジョーは? 済ませたの? 」
「 あは チビたちと一緒に・・・・ってかアイツらが
残したもので済ませたよ 」
「 あらら・・・ それじゃ 今晩はジョーの好きな肉ジャガね♪ 」
「 お サンキュ〜〜 」
おと〜〜しゃ〜〜ん あそぼ〜〜〜〜 はやく〜〜
・・・ おと〜しゃん ・・・あそぼ〜
リビングからすぴかがきんきん呼んでいる。
「 あは 惨状になる前に駆け付けなくちゃ ・・・ 」
「 ヨロシク〜〜 」
「 らじゃ。 」
ジョーは パチン、とウィンクすると リビングへ向かった。
彼にとって 家族と過ごす時間は至上の時、なのだ。
ケンカして泣いていたり ぐずっていたりしても とてもとても
根気よく相手をし、上手にあやす。
そんな時間をも 彼自身が楽しんでいる。
「 おと〜しゃん あそぼ〜〜〜 」
「 おう いいぞ すぴか。 ほ〜ら お父さんに登ってごらん? 」
「 おと〜しゃんに? きゃい〜〜〜〜 ♪ 」
「 お すぴか すごいぞ〜〜 ほら すばるもおいで〜〜 」
「 僕 ・・・ のぼる の? 」
「 そうだよ〜〜 ほら お父さんの脚につかまってごらん? 」
「 う うん えい ! 」
「 あはは すごいぞ〜〜 すばる 」
「 おと〜しゃん〜〜〜 アタシ ここ〜〜 」
「 おわ?? 背中まできてたんだ すぴか〜〜 すご〜〜いな〜 」
わいわい きゃわきゃわ ・・・ もう 大騒ぎ。
・・・一番 楽しんでいるのは ジョーかもしれない。
その間 お母さんは静かになったキッチンで のんびりカフェ・オ・レを
楽しんだ。
はあ〜〜〜 ・・・
・・・ やれやれ ・・・
我が家の台風たちは 朝から元気だこと・・・
ジョーが わたしの旦那サンで ほっんと〜〜に
よかったわあ〜〜〜〜
ジョー 〜〜〜〜〜 アイシテルわあ〜〜〜
フランソワーズは 溜息つきつつ、でも 焼きたてのトーストを
美味しく頂いた。
「 ん〜〜〜 おいし♪ バターの量もばっちり〜〜
よおし〜 今晩の肉ジャガ、腕を振るっちゃうもんね♪
楽しみにしててね! あ お肉 解凍しておこっと 」
ジョーとフランソワーズは がっちりタグを組んで
このチビっこ台風達と < 対決 > していった。
・・・ チビ達は 今までのどんな敵よりも手強かったから。
なにしろ 相手は最大、最強の武器 ― 笑顔 ― を
要所 要所で 駆使してくるのだから。
この最強の敵たち、最高の天使たち を相手に
ジョーとフランソワーズは 目の回るような、 いや 実際
くらくら〜〜 しつつ 日々を送っていた。
ああ でもね さんざん困らせても
にこ・・・っと 笑ってくれると ・・・
もう〜〜 最高なの♪
わたしの天使たち !
ふふふ・・・ 泣いても 怒っても
可愛いくて 可愛くて さ。
こ〜〜んなカワイイ子達が
ぼくの息子と娘なんだぜ?
ああ もう〜〜〜 最高さ ・・・ !
へとへとになって一日が終わるが ジョーもフランソワーズも
心底 幸せ を感じていた。
さて ―
元気一杯なチビっこ達、 家族だけでなくまもなく地元の人々の間でも
< 有名人 > になっていった。
フランソワーズは ベビーカーを押してどんどん地元商店街に買い物に
出かけた。
双子がよちよち歩きはじめると 一緒に買い物に連れて行った。
「 こんにちは〜〜〜〜 」
「 こんにちは 」
すぴか と すばる は 八百屋さんの前でおっきな声でご挨拶。
「 あ〜〜 すぴかちゃん すばるくん いらしゃ〜〜い 」
八百屋のオジサンが満面の笑みで 飛び出してきた。
「 今日は なにを買いに来てくれたのかな〜〜 」
「 えっと ね ・・・ アタシ、 じゃがいも〜〜〜 」
「 僕 ・・・ おみかん ください 」
「 あいよっ とびっきり美味しいの、オジサンが選んでやるよ 」
「 こんにちは あのジャガイモとミカン、 あと セロリに
トマト、お願いします。 あ・・・っと ニンジンも 」
「 あ〜〜 すぴかちゃんちのお母さん、 いらっしゃ〜〜い 」
店の奥から おかみさんもにこにこ顔で出てきた。
「 こんにちは〜〜 八百藤さんのセロリ、とっても美味しくて・・・
大好きなんです。 」
「 ま〜 奥さん、ウチのセロリは地元産。 今朝のとれとれなんだぜ? 」
「 まあ 地元の? 」
「 ああ。 このトマトやキュウリ、ナスなんかも地元産だよっ
あ〜〜 すぴかちゃん、 はい ジャガイモ。
すばるくん みかんだよ〜〜
」
八百屋のオジサンは 双子の背負うチビ・リュックに
ジャガイモ と 蜜柑 を詰めてくれた。
「「 ありがと〜〜 です〜〜
」」
「 わ〜〜 エライねえ 二人共〜〜〜 お母さんのお手伝い、
よくできるねえ 」
「 えへへ〜〜 うんしょ うんしょ・・・ 」
「 ・・ う ん 〜〜 しょ〜〜 」
チビたちは ぱんぱんになったリュックを背負い、一生懸命踏ん張っている。
「 奥さん、 こちら セロリにトマト。 下に人参、入ってますよ 」
「 まあ ありがとうございます。 ・・・ はい お代 」
「 お 毎度〜〜
」
「「 さよ〜〜なら 」」
チビ達はちゃんと挨拶をすると お母さんの脇をうんしょ うんしょ・・
と歩き 店から出ていった。
「 お〜〜 また来ておくれ 」
「 またね〜〜 待ってるからね〜〜 」
八百藤さんのオジサン、オバサンは もう蕩けそうな顔で双子を見送った。
「 ・・・しっかりしてきたなあ〜〜 」
「 うんうん それにさ、 あの奥さん きっちりシツケてるね〜〜
あのコたち、並んでる野菜類に 絶対触ったりしないもんね〜〜
勝手に走り回ったりしないし 」
「 だ な ・・・ あ〜〜 なんか元気、もらっちまった ! 」
「 そうだね〜〜 ねえ アンタ、セロリやトマト、しっかり揃えといて 」
「 おう。 俺の目利きを信用しろ。 」
「 あのコたちが食べるんだからね 」
「 ああ。 任せとけってんだ〜〜 」
「 あたしも 店、がんばるよ。 なにせ ウチの野菜は 」
「 ここいら一番 だもんな〜 」
「 そ〜いうこと! 頼むよ〜〜 アンタ 」
「 おう! 」
「 おか〜さん おうち かえる? 」
「 おうち〜〜〜 」
「 えっと ・・・ あ その前に牛乳屋さんによりま〜す 」
「 ぎうにう? 」
「 そうよ。 あと少し 頑張って〜〜 」
「 うん! アタシ、へ〜き! ね すばる? 」
「 う うん ・・・ 」
「 さあ こっちよ〜 こんにちは〜〜 」
フランソワーズは 子供達を連れて商店街をどんどん進んでゆく。
決して 子供の歩調に合わせてはいない。
すぴかとすばるは 懸命に母の後に付いてゆくのだ。
「 いらっしゃい〜〜 ああ すぴかちゃん すばる君〜〜 」
牛乳屋さんのオバサンも 笑顔で迎えてくれた。
「「 こんにちは 」」
ぺこり、とお辞儀をすれば リュックの重さで足元がよれよれする。
「 おや お荷物、たくさんだねえ 」
「 ええ やっと少し重いものも持てるようになりました。
あ・・・ も〜も〜・みるく 二パックください。」
「 はいよっ 今朝の搾りたてが届いているよ〜 」
「 まあ ラッキー〜〜 も〜も〜・みるく、ウチ中で大好きです。
あ ・・・ それから ちびっこグルト も二つ、お願いします。 」
「 はいよッ どうぞ〜 」
「 はい お代。 あ わたしが持ちますから。
さあ〜 すぴか すばる〜〜 お家に帰りますよ〜〜 」
「「 さよ〜なら〜 」」
「 はい さよなら。 また来てね〜〜〜 」
牛乳屋のオバサンも にこにこ・・・手を振ってくれた。
商店街の真ん中には 皆が一休みできる場所がある。
広場に ベンチがいくつかならんでいるのだ。
「 さ 二人とも。 ここに座って ちびっこグルト 頂きましょ 」
「 え! わあ〜〜〜い わ〜〜い 」
「 わ〜〜〜 わ〜〜 」
「 ほら こっちにいらっしゃい はい どうぞ 」
「 ぐると〜〜 ・・・ ずずずず・・ 」
「 ずずずず 〜〜〜 」
すぴかとすばるはお母さんの両側に座り、渡された乳酸菌飲料を上手に飲んだ。
「 おいし〜〜〜 」
「 僕 すき ・・・ 」
「 そう よかった〜〜 お手伝いしてくれたから特別オヤツよ。
さあ あと少し、お家まで持ってゆけるかな〜〜〜 」
「「 できる〜〜〜〜 」」
「 まあ すごい〜〜 今晩はね〜 二人の好きな カレー よ♪ 」
「「 わあ〜〜〜〜い 」」
「 さ お家に帰りましょ 」
「「 うん! 」」
ちっちゃなリュックを背負って 双子はお母さんと とてとてとて・・・
坂を上ってゆくのだった。
地元の海岸通り商店街、 寂れるどころか、ますます繁盛している。
双子が小学生になると 毎朝、商店街の人々は楽しみするようになった ―
なにを ・・・って?
「 おはよ〜〜〜 ござ〜〜いま〜〜す〜〜〜 」
カッチャ カッチャ カッチャ。
ランドセルを鳴らし、 金色のお下げをなびかせ すぴかは毎朝
商店街を駆け抜けてゆく。
あ〜〜 おはよ〜〜 すぴかちゃん〜〜
おはよ〜〜〜 元気だね〜〜〜
行ってらっしゃい 気をつけるんだよ
すぴかちゃん〜 行ってらっしゃい 〜
開店準備で 掃除をしたり、仕入れの荷を解いたりしている人々は
笑顔で 声をかけてくれる。
「 うふふ ・・・ いつも元気でカワイイねえ〜〜 」
「 ああ 毎朝 あの笑顔みると 元気になるなあ〜〜 」
「 そうそう〜〜 あ すばるくんは? 」
「 後から ご出勤 だろ? ああ ほら きたきた〜〜 」
たっ たっ たっ ・・・
ゆっくり、でも確実な足取りで 茶色の髪のオトコノコが歩いてくる。
「 おはようございます 〜〜〜 」
彼は 左右に笑顔とご挨拶を振り撒いてゆく。
「 おばちゃん おはよう〜です 」
「 おはよ〜 すばるくん 」
「 おはよ〜ございます 八百屋さんのオジサン 」
「 お! すばる坊〜 おはよっ 」
「 牛乳屋さんのおばちゃん おはようございます〜 」
「 あれさ すばるクン・・・ 早く学校に行かないと遅刻だよ〜〜 」
「 はあい。 いってきます〜〜〜 」
すばるクンは にこにこ笑顔で相変わらずのんびり・・・ いや
マイペースで歩いてゆく。
「 ふふふ 可愛いねえ〜〜 」
「 ホントだよなあ〜 アネキの方は元気よく駆け抜けてゆくし・・・
面白い双子だねえ 」
「 ホントにね あのコ達の笑顔が元気をもってきてくれるよ 」
「 うんうん さ〜〜〜 今日も頑張るか〜〜 」
「 おうよ 」
商店街は 活気ある朝を迎えるのだった。
ある日の午後 ― すぴかは スキップ スキップ で学校から帰ってきていた。
「 ふんふんふ〜〜〜〜ん♪ えっとぉ〜〜〜
お母さんのお使い〜〜 ゆうびんきょく で きって を買ったよん 」
下校中の寄り道 は 厳禁だが 保護者公認のお使い はおっけ〜 なのだ。
「 きって きってきって〜〜 ゆうびんきょくのおばちゃんが
オハナのきって、えらんでくれたよん〜〜 ふんふんふ〜〜〜ん
あ 作文、ど〜しよ〜かな〜〜 『 わたしたちの町 』 だよね〜 」
商店街への道を すきっぷ すきっぷ していると ・・
「 ? あれ? 」
車があまり通らない道で おばあちゃんがうろうろ・・していた。
見かけたことのない顔だ。
あのおばあちゃん 道に迷っている?
! こまってるヒトには おてつだい しなきゃ!
すぴかは たたた・・・っと おばあちゃんの側に駆け寄った。
「 ・・・ おばあちゃん ・・・ こんにちは 」
「 ! ああ お嬢ちゃん ・・・ こんにちは 」
「 あのう〜〜 おばあちゃん ・・・ どうしたの? 」
「 え?? ああ どうしようねえ・・・ 」
「 ?? あの さあ ・・・ アタシ なんかできること ある?
おばあちゃん まいご・・・? 」
「 あ〜 お嬢ちゃん そうなんだよ ・・・
お嬢ちゃんは この町のコかい 」
「 うん! ず〜〜〜っと ここにいるよ 」
「 そうかい それじゃ 頼めるかなあ・・・ 」
「 うん なんでもいって! すぴか おてつだい、だいすき。 」
「 そうかい そうかい・・・ それじゃ・・・
駐在さんのとこにつれていっておくれ 」
「 ちゅ ちゅざい さん っていうおうち? 」
「 そうだよ、お嬢ちゃん。 ワタシの孫なんだよ〜〜
さだきちっていうんだ。 」
「 そうなんだ〜〜〜 でも ちゅうざい さん??? 」
すぴかはアタマをひねってた。
この町で生まれ育ったのだ、町のことはよ〜〜く知っている。
住んでいる人たちだって ほとんどが < しりあい > なのだが・・・
ちゅ うざい さん ってウチ あるかなあ??
あ 新しく引っ越してきた人かも・・・
「 おばあちゃん おばあちゃんのまご は ず〜〜っと
ここにいるの? 」
「 ああ この町に来た・・・ってさだきちが二年前くらいに手紙をくれたよ 」
「 二年前? ・・・ う〜〜ん ・・・? 」
すぴかは困ってしまった。
アタシ ・・・ お助けマンになれないかも ・・・
「 駐在さんのとこ、知らんかね〜〜 」
「 う〜ん ・・・ 誰かこないかなあ ・・・ あ! 」
らんらんら〜〜〜ん らんらんら〜〜〜ん
ハナウタ混じりに ぷっくりした小学生がのんびり歩いてきた。
「 ! すばる!!! ね〜〜〜 すばる! ちょっとぉ〜〜〜 」
「 ?? おわ?? すぴか〜〜 あれ まだ いたの?
一ばんで がっこう、出たよねえ 」
「 出たけど。 おか〜さんのお使い。 ゆうびんきょく。
そんでさ〜 すばる、 ちゅうざいさん ってウチ、 知ってる?
ちゅうざい・さだきち ってヒト。 」
「 ちゅう ざいさん? ・・・ しらない〜〜〜 」
「 そっか〜〜 このおばあちゃんね ちゅ うざい さん ってウチ、
さがしてるんだって 」
「 おばあちゃん? ・・・ こんにちは〜 僕 すばる。 」
「 はい こんにちは、可愛い坊や。 お嬢ちゃんの弟かい? 」
「 ぴんぽ〜〜〜ん♪ でも ど〜してわかったのぉ? 」
「 あんた達、 なんとな〜く似てるからだよ。 お顔じゃない、雰囲気が ね 」
「 ふんいき??? 」
「 かんじ ってことでしょ おばあちゃん 」
「 そうだよ〜〜 坊や、よく知ってるね 」
「 ウン! コズミのおじいちゃまがよく言うもん。 」
「 ね〜〜〜 どうしよ〜〜 」
「 う〜〜ん ・・・ あ じゃあ こうばん にいこうよ 」
「 あ そうだね〜〜 おばちゃん、いっしょにこうばん 行こうよ
あ 僕 そのにもつ、持つね 」
「 アタシも〜〜〜 」
「 あれあれ・・・ ありがとう すばる君に えっと・・・? 」
「 アタシ すぴか! 」
「 すぴかちゃん かい。 可愛い姉弟だねえ 」
「「 えへへへ・・・・」」
「 あのね おばあちゃん。 アタシたち ふたご なんだ〜 」
「 そ! ふたご 」
「 そうかい そうかい ・・・ 可愛い双子さんだ。
ずっとこの町に住んでるのかい 」
「 そ! アタシ達 ここで生まれたんだよ〜〜 ね すばる 」
「 そ。 この町 生まれ。 」
「 ふうん ・・・ 二人ともホントにいいコだねえ 」
「 えへへへ・・・ あのね アタシ達の おか〜さん はねえ
ふらんす人なんだよ〜〜 」
「 そ。 ふらんす人。 でも ず〜〜っとここにいるんだ〜 」
「 そうかい そうかい ・・・ それで二人とも
綺麗な髪なんだね〜 茶色 と 金色 でキレイだこと 」
「 えへへ〜〜 僕のかみはあ〜 おと〜さん と同じ! 」
「 そ。 あ こっちだよ、おばあちゃん。 」
「 ああ こっちかい ・・・ 」
「 すぴか〜〜 ゆっくりいって! 」
「 あ うん ごめん おばあちゃん・・・
あ〜〜 ? 交番のお巡りさん いないよ?
」
「 え? でも < ぱとろ〜るちゅう > の札 出てないよ? 」
「 ホントだ ・・・ よんでみよっか 」
「 そだね 」
「 い・・・ せ〜〜のせ、でよぶよ? 」
「 うん 」
「 じゃ い・・・っせ〜のせっ
おまわりさ〜〜〜〜ん !!! いますかあ〜〜〜〜
甲高い声が 青い空にコダマする。
「 お〜〜 いますよ〜〜 ちょっと待ってね〜〜〜 」
交番の奥から いつものお巡りさんの声が聞こえた。
まだ若いお巡りさんだけど、いつもにこにこ・・・ すぴか達を
見守ってくれている。
地元のパトロールも熱心で 町の人々に頼りにされているのだ。
「 あ よかったあ〜〜 ねえねえ お巡りさん 〜〜
ちゅうざい ・ さだきち ってヒトのお家、 しってますか 」
「 ?? ちゅ ちゅうざいさん?? 」
「 そうなの。 あのね このおばあちゃんが ・・・ 」
さだきち!!! おばあちゃんが声を上げた。
「 !? あ〜〜 ばあちゃん〜〜〜 」
お巡りさんが 大きな声で応えた。
え??? すぴか と すばる の目はまん丸だ。
「 ばあちゃん! いつ来たんだい? 」
「 さだきち〜〜〜〜 ああ やっと辿りついたよぉ〜〜 」
お巡りさん って ちゅうざい・さだきち って名前??
そうみたい だ ね・・・?
Last updated : 10,22,2019.
index / next
********** 途中ですが
お馴染み 【 島村さんち 】 シリーズ ・・・
双子ちゃんの活躍? を お楽しみください (‘◇’)ゞ