『  相棒 ― (1) ―  』

 

 

 

 

 

 

 

 

  タタタタ ・・・ 軽い足音が玄関に近づいてきた。

 

ぴんぽ〜〜〜ん  ぴんぽん  チャイムが忙しなく響く。

「 は〜いはいはい 今 開けるわよ  ジョーってば 

フランソワーズは エプロンで手を拭き拭きキッチンから出てきた。

岬に近い辺鄙な土地に洋館を建て ギルモア博士とイワン、 フランソワーズ、

そして ジョーが 一つ屋根の下で暮らしている。

 

ジョーの故郷にも近い温暖な地で 彼らはごく当たり前な日々を

ひっそりと送っていた。

フランソワーズは 再び踊りの世界に足を踏み入れ ジョーも車関係の

雑誌社でアルバイトをしている。

そんな若い二人を 博士は穏やかな眼差しで見守っている毎日だ。

 

   ぴんぽん ぴんぽん!

 

「 ジョーってば。 すぐに開けますってば 」

フランソワーズが玄関のドアを開け  ―  ると同時に彼が顔を覗かせた。

「 ただいま!  ねえ クビクロは? 

「 お帰りなさい。  え?  あら 庭にいなかった? 」

「 いないんだ〜〜  帰ってきて門あけるといつもとんでくるのに〜〜 

「 あら じゃあ 裏庭で昼寝でもしてるんじゃないの 」

「 え〜〜 そうかなあ・・・ お〜〜〜い クビクロ〜〜〜 」

ジョーは 玄関からまた外に出ていってしまった。

「 あ・・・ ら まあ ・・・ 」

「 お帰り ジョー ・・・ うん?  今 アイツの声が聞こえたと思ったが 」

博士も玄関に顔を出したが おやおや? と周囲を見回している。

「 ええ ・・・ 相棒 を探しにいっちゃいました。  

「 あいぼう?  あ〜〜〜 ワン公のことか 」

「 ふふ ・・・ そんな風に言うと叱られますよ?

 彼は クビクロ だよ ちゃんと名前 あるんだよ ってね 

「 ああ そうじゃった そうじゃった・・・ しかしなあ

 アイツは自分で自分の相棒を拾ってきたわけだものな 」

「 そうですねえ ・・・ 今じゃ大切なトモダチのようですよ?

 帰ってくると一番に顔を見に行きますもの 

「 ふふふ ・・・ まあな こんな辺鄙な土地じゃて いい用心棒だよ

 あのワン公は。  ここいらなら走り回っても吠えても文句をいうヒトは

 いないからなあ 」

「 二人でね、転げまわって楽しんでいますわ。

 あ そろそろオヤツの用意、して置かなくちゃ・・・ 博士もお茶 どうぞ 

「 ありがとうよ。 そうそう どこぞの名物煎餅をもらったんじゃよ

 それも食べような 」

「 わあ〜〜 お煎餅♪ 大好きです〜〜  あ そうそう クビクロもね

 お煎餅好きなんです。 ふふふ よろこぶわあ 

「 ジョーが一緒に食べるじゃろ  相棒どうし分け合ってな 」

「 ふふふ そうですわね  

「 なんとなくあのワン公は ジョーに似ておらんか 」

「 そう! そうなんですよね〜〜 雰囲気というか ・・・ なんとなく。 

 茶色の毛とか 眼のカンジとかね  

「 まさに 相棒 じゃな 」

「 ええ  さあお茶 お茶〜〜〜 」

ほんわ〜〜かした空気は もうこの邸のものになっている。

 

 

 クビクロ。   ジョーが拾ってきた仔犬に彼がつけた名前だ。

 

桜の花が散り、葉桜が鬱蒼とした影を落とす頃のある日。

ジョーは 上着の前をもごもごさせて帰宅した。

 

「 た だいま・・・ 」

「 お帰りなさい〜 ・・・ あら どうしたの 」

その日 玄関で彼はなぜかもじもじ・・・立ち尽くしていた。

いつもの通りで迎えたフランソワーズは 首をかしげ彼を見つめた。

「 ・・・ どうか したの?  具合でも悪いの 」

「 あ  ううん ・・・ ってか あの〜〜 やっぱちょっと その・・

怪我 してて・・・ 

「 え 怪我ですって?? 」

「 ウン ・・・ 一応応急手当はしたんだ でもやっぱ ・・・ 」

「 損傷が激しいの?  大変!  博士〜〜〜〜 ジョーが〜〜 

「 あ!  そ その〜〜〜 ふ フラン〜〜〜 」

ジョーは ジャケットの前を抑えつつあわてて彼女を止めようとした。

「 その〜 じゃないわよ  ね そこにいて。 すぐに博士をお呼びするわ!

 ここで緊急メンテ、していただければ・・・ 」

「 え あ  あのう〜〜 あ 」

彼の言葉などまるで耳にせず 彼女は博士の書斎に駆けていった。

「 ・・・ あの そのう〜〜 」

 

  もぞもぞもぞ〜〜〜  ジャケットの前が激しく動いた。

 

「 あ こら〜  ああでも元気でてきたかい? 」

「 〜〜〜〜 く ぅ〜〜〜ん ・・・ 」

「 よかった〜〜 安心していいよ・・・ ここのヒトたちは皆優しいし

 一緒に暮らせるように頼むから 

「 くぅ〜〜 ? 」

「 そりゃ ・・・ お父さんやお母さんと別れてしまって淋しいのは

 わかるけど ・・・ ぼくがいるよ  な? 

「 ・・・ きゅう〜〜ん 

 

   バタン っ   リビングのドアが開いた。

 

「 ジョー !?  どうしたッ 

ギルモア博士が血相を変えて飛び出してきた。

「 あ  あのう 〜〜〜〜  怪我人は そのう〜〜〜 

「 どこを損傷した?  立っていられるのか 」

「 あの   ぼくじゃなくて。  怪我人は 」

 ごそごそ。  ジョーはジャケットの中から < それ > を取りだした。

「 コイツなんです  応急手当はして止血してますけど 」

「 くぅ〜〜〜〜ん  」 鼻黒がハナを鳴らした。

 

    「 ―  こいぬ  か ・・・?  

 

「 あら !  え このコ 怪我しているの? 」

「 そうなんです。  バイトの帰りに その〜〜 拾って 」

「 ふむ? ともかく手当てしなくては。  フランソワーズ 悪いが

 救急箱と そうさな・・・ タオルとお湯をもってきてくれるかな 

 ちょいとリビングの隅で治療をしよう  ワシは準備せにゃ すぐに戻る! 」

博士はせかせかと手を消毒しに行ってしまった。

「 はい タオルとお湯ですね 」

「 あ ぼくが ・・・ 」

「 ジョーは そのわんちゃんの側にいてあげて? 」

「 う うん ・・・ よしよし 」

ジョーは腕の中の仔犬のアタマをそっとなでた。

「 くぅ〜〜ん ・・・ 」

仔犬は小さく鳴くと ぺろり、とジョーの手をなめた。

「 安心していいよ。 痛いのはすぐに治るからね〜〜 博士は世界一の

 名医なんだぜ?  お前はウンがいいよ 

「 きゅう〜〜 

「 よしよし ・・・ あは お前って身体全体は茶色毛だけど

 首の周りだけが黒いんだねえ  」

「 くう? 」

「 首輪みたいだね?  あ ・・・ クビクロ。 お前の名前にどうだい? 」

「 くう〜〜〜ん 

ぺろん。 温かい舌がまたジョーの手に触れる。

「 賛成してくれるんだね? じゃあ きまり。 お前は クビクロさ。 

 あ ぼくは 島村ジョー。 あの白髪のご老人はギルモア博士。

 そしてね〜〜 金髪の美人さんは フランソワーズっていうんだ。

 カノジョ・・・ いいだろ?  えへ 実はね〜 ぼく ・・・ 」

「 くうん? 

「 す き って言いたいんだけど 〜 ゆ 勇気なくてさ〜 」

「 きゅう〜〜 」

「 ね〜〜 ぼく ・・・ がんばる! 

「 わん。

「 お? 応援してくれるんだ〜〜  えへへ 嬉しいなあ〜 

ジョーと仔犬、いや クビクロはみつめあって  に・・・っと笑い合った。

 

 

「 さあ ・・・ これで大丈夫じゃろうよ。 脚は骨折などはしておらんようじゃし 

 あとは擦りキズと打撲程度だよ 」

博士は ぽんぽん・・・と仔犬のアタマを撫ぜた。

「 くぅ〜〜〜〜ん ・・・ 」

「 ありがとうございます ・・・ でもなんか元気なくて 

「 うん? 」

「 あ ・・・ お腹空いてるのではなくて?  今 ミルクをもってくるわ 

「 あ フランソワーズ・・・ 」

彼女はさっとキッチンに消えると 深皿に温めたミルクを満たしてもってきた。

「 さあ 飲みなさいな?  あ ・・・ 玄関じゃ寒いわねえ

 ほら ジョー リビングに連れてきて 」

「 え ・・・ い いいの? 」

「 勿論よ  あ そうだわ〜〜 バスタオルと毛布をもってくる! 」

「 ふむふむ・・・ それじゃワシはベッド代わりになにか箱を

 探してこよう  」

「 あ ・・・ す すみません・・・  よかったな〜〜 オマエ〜〜 」

「 きゅうううう・・・ん 」

ジョーの腕の中で 鼻黒の仔犬が甘え声をあげている。

「 それにしても コイツは交通事故にもで遭ったのかね 

「 多分 ・・・でもそれがちょっと妙なんです。 」

「 妙 とはどういう意味かね 

「 はい それが ― 」

ジョーは 仔犬のアタマを優しくなでつつ < 彼 > との出会いについて

ぽつぽつ語り始めた。

 

 

「 ひどいわ!! 」

フランソワーズが眉を顰め声をあげた。

「 ほう ・・・? それではその・・・このコの飼い主と両親は

 故意に轢かれた というのか 

「 わかりません、現場を見ていませんし。 でも タイヤの跡をみると

 どうしても普通の事故とは思えないんです。 

「 それで このコはなんとか命を取り留めたってことか。 」

「 はい。 両親が身をもって庇っていたみたいで ・・・ 」

「 まあ ・・・ ! 」

フランソワーズは腕を伸ばしそっと仔犬を抱き上げた。

「 ・・・ ね 安心して? あなたは今日からウチの子よ?

 ゆ〜〜っくり怪我を治しましょうね   あ 博士 ・・・

 あのう〜〜 この子 ・・・ 」

「 ああ ああ 構わんとも。  こんな辺鄙な地じゃ 番犬は必要じゃろうて。

 コイツは多分シェパードの血が入っておるな。 肢もしっかり太いし

 成長するれば 精悍な姿になるじゃろう  」

「 わあ〜〜〜 ありがとうございます!  よかったなあ〜 クビクロ〜〜 」

ジョーが歓声をあげた。

「 くびくろ? 」

「 うん ・・・ あの このコの名前なんだ・・・

 ほら ・・・ 茶色毛だけど ここの首のトコだけ黒いだろ?

 だから  クビクロ さ 」

「 あらカワイイ名前ね  クビクロ・・・よろしくね〜〜 」

「 きゅう ・・・ き〜〜〜ん ・・・ 」

仔犬は 大きな欠伸をした。

「 あらら・・・ おねむね? さあ ゆっくりお休みなさい 

フランソワーズはゆっくり箱ベッドの中に仔犬を寝かしつけた。

「 ・・・ ありがと、フランソワーズ 」

ジョーは 滲んできた涙をこそ・・・っと拭った。

 

鼻グロの仔犬は 箱の中でく〜く〜〜・・・穏やかな寝息をたてている。

ミルクをたっぷり飲み 温かい毛布にくるまりすっかり安心しているらしい。

 

「 ふふ・・・ よく寝てるな〜 ・・・ お腹 ぽんぽこりんだね〜

 クビクロ えへへ 明日は一緒に海岸を散歩しようぜ 」

ジョーは仔犬の寝顔ににこにこ話かけるのだった。

 

 

「 わんちゃん・・・ えっと クビクロ 〜 ちゃんとねんねしてるかしら 」

その夜  ― もうとっくに日付が変わってからだが フランソワーズは

気になってリビングまで降りてきた。

パジャマにカーディガンをひっかけただけの恰好だ。

「 新しいベッド 気に入ってくれたかな・・・? 」

彼女は そっとリビングの片隅に足音をひそめつつ近寄った。

  が。  段ボール箱の中 毛布の間に茶色毛は見えない。

「 あら?  どこかいっちゃったのかしら・・・? 」

きょろきょろ 辺りを見回すがそれらしい姿はない。

「 う〜〜ん?? リビングのドアはあけられないはずよ?  窓も・・・ 

どこいっちゃったの?  ソファの下にでも隠れちゃったの? 」

思わず < 目 > も < 耳 > も 使おうとした時。

 

   す〜〜〜す〜〜〜 ・・   くぅ ・・・

 

「 ?     あ。  ・・・うふふ  み〜っけ。 」

ソファの上では。  パジャマ姿のジョーと茶色毛の仔犬が

一緒くたになって 眠っていた。

茶色の髪と茶色毛が まじりあいどうちらも気持ちよさそうに熟睡している。

「 うふふ〜〜 ・・・こんなトコで寝てたら 風邪 ひくわよ ・・・ 

 ちょっと待っててね 」

足音を忍ばせ二階に上がると呼びの毛布をもってきた。

「 さ・・・ 一緒に包んであげるから仲良く眠ってね 」

  ふぁさ ・・・ 青い毛布を < 二人 > に掛けた。

 

 

その日から 茶色毛の仔犬はギルモア邸の一員となり 玄関前でしっかりと

番犬の仕事に就いた。

「 ただいま〜〜〜 帰りましたァ〜〜  クビクロ〜〜 ただいま〜〜 」

「 きゅ〜〜〜ん  くう〜〜〜ん 

ジョーは毎日バイトから帰ると 荷物を玄関に放り込み ―  クビクロに

リードをつけてまた門から出てゆく。

「 さあ 今日は海岸線を走ろうか 」

「 わ わん!!! 」

「 あはは 海岸に出たらリード 外すから〜〜 イイコにしてるんだぞ? 」

「 わん! 」

垂れていた仔犬特有の耳もほぼ ぴん・・! と立ちはじめ

茶色毛の仔犬は 精悍な若犬になり始めていた。

 

 

 

「 おや?  ジョーが戻ったと思ったが 」

ギルモア博士は 玄関に顔を出した。

「 はい?  ええ ・・・ でもすぐに散歩にいっちゃいました。

 相棒と一緒に 

「 ははは そうか そうか  」

博士とフランソワーズは のんびりお茶タイム・・・となった。

いい香の湯気が リビングに満ちている。

   カチャ。 博士はカップを置くとすこしばかり声を低め話し始めた。

「 ・・・・実はあの事故についてちょいと情報が あってなあ  

「 ?  事故って・・・ ああ あのクビクロの元の飼い主さんが・・? 」

「 ふむ。 その飼い主さんのことだがな。

 隠遁してはいたが元は高名な動物学者だったのだと。 」

「 動物学者? 」

「 そうじゃ。 なにがあったかわからんが第一線からは引きさがり犬たちと

 ひっそり暮らしていたらしい。 」

「 それが どうして事故に? あの ただの交通事故じゃ 」

「 犯人はまだわからん。 しかしどうもあの御仁と犬たち・・・ クビクロの

 二親は故意に轢き殺された可能性が高いのだと。  

 ジョーの観察と推察は正しかったわけだ。 

「 ! 故意に・・・って そんな  ひどいわ! 

「 うむ ・・・ タイヤの跡などからいずれ犯人は捕まるだろう。 」

「 犯人が捕まってっも クビクロの両親は生き返りませんわ  飼い主さんも 」

「 そうじゃなあ ・・・ クビクロはなにも知らんで

 ジョーと楽しく生きてくれればいいんじゃよ 

「 そうですよね〜  ふふふ ジェロニモ Jr. も可愛がってくれますわ。

 アルベルトなんかも しっかり訓練してくれそう 

「 だな。 多分 シェパードなんだろうな  ちょいと毛の色目が妙じゃが  

博士は 首の周りに輪っかを描いた。

「 うふふ〜〜 そうですねえ でもあれ 可愛いわ 」

「 うむ うむ  ジョーも弟分ができて楽しいじゃろうよ 」

「 ええ ええ ・・・ 本当に仲良しさんですものね 」

「 フランソワーズ お前も一緒に遊んでくればどうじゃ 」

「 あら 男同士のふざけ合いを邪魔したくありません?

 それにね〜〜 ブラッシングとかはハナを鳴らしてわたしのとこに

 すり寄ってきます。 」

「 あはは ・・・ あのわん公もなかなかよく見てるな 」

「 ええ しっかり家族の一員ですね 」

そう   ―  ジョー が拾ってきた仔犬は 

今やすっかりギルモア邸の一員になっているのだった。

 

 

「 ちょっと〜〜 海岸の方まで行ってきます〜〜 」

玄関が開いて ジョーが顔をのぞかせた。

「 え・・・? クビクロ・・・ いないの? 」

「 ウン・・・ あいつ、利口だから絶対に勝手にウチの庭からは

 飛び出したりはしないんだけど。  でも どこにもいないし・・・

 門の脇のフェンスに あいつの毛が付いてたんだ 」 

「 まあ 飛び越して・・・? 」

「 多分ね。 なにか きっと理由があったんだと思うんだ。

 ぼくの留守に好き勝手するヤツじゃない。  しっかり留守番たのむねって

 いつも言い聞かせてるし 」

「 そう ・・・ 」

「 この前さ 海岸に行ってものすごく喜んでいたから ・・・

 きっとまた行ってみたくなったんだと思う。 

「 でもそんな勝手なこと、しないコでしょう? 」

「 うん ・・・ だからちょっと心配なんだ。 なにか ・・・ そのう

 心配なこととかあったのかなあ ・・・って 」

「 不穏な事件とかは ・・・ ないと思うけど 」

「 うん ・・・ 

「 でも心配よね、探しにいってあげて。 ドッグフードとミルクを用意して

 おくから 

「 ありがとう! じゃ ちょっと行ってくるね 

「 気をつけて ・・・ あ! 」

フランソワーズが 前方を見つめたまま固まっている。

「 !? ど どうした?  」

「  ― 帰ってきた わ! 」

「 え?? な なにが 」

「 クビクロよ!  今 ウチの前の坂を上ってくる! 

「 え!  わ〜〜 よかった〜〜  」

「 ?  な なんか ヘン だわ ・・・ 」

「 ヘン? 」

「 ええ。 とてもゆっくり・・・歩いているの。 」

「 ! 怪我でもしてるのかい? 」

「 ・・・わからないけど ・・・ 」

「 迎えにゆくっ 

「 あ わたしもゆくわっ 

二人は 玄関から飛び出していった。

 

  キ ・・・・   ジョーは門を開け坂道へとびだした。

 

「 クビクロっ  どこにいるんだ〜〜 」

「 あ  ほら  きたわ 

「 !  ほんとだ・・・  ああ? 」

クビクロは とても慎重な足取りで戻ってきた。  

「 あ〜〜 クビクロ〜〜 無事なんだね?  あれ? なにを咥えているのかい 

「 !!!  ジョー・・・・!  こねこ ・・・ 仔猫 を! 」

「 仔猫 だって ?? 」

ジョーとフランソワーズは クビクロの側に駆け寄った。

「 ・・・!  これ ・・・ 」

「 ・・・ 生きてる  生きてるわ!  このコ ・・・ 」

「 クビクロ〜〜〜 まさかお前 ・・・ 」

「 ちがうわ 彼はこの子をそう・・・っと運んできたのよ 

「 え?? 」

「 ね クビクロ・・・ このコ、離して? 治療をしなくちゃ 

「 うん。 クビクロ 頼む 

ジョーは ぽんぽん・・・とクビクロのアタマをなでた。

「 ・・・・ くう〜 ん 」

クビクロはそっと・・・咥えていた仔猫の首の後ろを離した。

「 ありがとう! 

フランソワーズは慎重に仔猫を受け取った。

「 ・・・ 事故に遭ったみたい ね 」

「 撥ねられた のかな ・・・ 

「 多分 ・・・ 」

「 それをお前が見つけたのかい 」

「 きゅうん ・・・ 」

「 ともかく博士にお願いするわ 」

「 そうだね。 フラン、その子 そうっと運んできてくれ。

 ぼくは博士に伝えて治療の準備をお願いするから。 」

「 お願いね ジョー。  猫ちゃん ・・・ がんばって! 」

「 !  博士〜〜〜〜〜 !! 

「 わん わんわん〜〜〜〜 」

ジョーとクビクロは一緒になって玄関まで駆けていった。

 

 

「 うん? どうしたね・・・ あ〜〜〜 こりゃ・・・ 」

博士は 運ばれてきた仔猫を見るなり呻り声をあげた。

「 博士〜〜 助けてくださいっ  」

「 う〜〜ん ・・・ ともかく最善を尽くす!  ジョー、救急箱と 」

「 はいッ タオルとお湯 ですよね   」

「 わたし 救急箱 もってきます。  ジョー クビクロにご褒美 上げてね 」

「 あ うん。 ありがとう〜〜 フラン 」

「 お礼はクビクロに ね?  

「 うん 」

「 くう〜〜〜ん 」

 

  ―  こうして また新しい < 家族 > が この邸に加わった。

 

Last updated : 06,13,2017.                  index      /     next

 

 

**********  途中ですが

原作 + 平ゼロ の あのお話です (>_<)

いろいろ・・・ 発展版?  

わんこと仲良しのにゃんこ って多いですよ〜