『 青き星 白い花 』
イラスト : めぼうき
テキスト : ばちるど
朝霧がでていたはずだ ・・・・
古代 守は 宮殿のバルコニーから空を眺めた。
薄水色の空はどこまでも澄み、母なるサンザーの光がいっぱいに満ちている。
ほう ・・・ 本日は晴天なり、ということか。
ま いいことだ。
彼は空に向かって う〜〜ん・・・とひとつ、大きな伸びをした。
最近 体調はしっかりと定まり、 どうやらあの大怪我から完全に回復できたらしい。
伸びをしたついでに 両腕を振り回したりこきこきと首をひねったりしみる。
気のせいかもしれないが ・・・ 以前より活力が滾々と湧きあがってくる
・・・ うん。 なかなかいい調子だ
医療といい航宙技術といい この星の科学はすごいな
あれだけの重傷から回復できただけでも奇跡的なのに ・・・ と守は改めて嘆息していた。
怪我は後遺症を残すことなく癒え 宇宙放射線病からもほぼ回復した。
「 ・・・ それにしても ・・・ いい天気だな。 空気も爽やかだし。
地球なら そろそろ春もたけなわになろうか、という頃かな・・・ 」
改めて見回す台地は 目路はるか稚い緑に覆われていた。
そんな眼下の光景は 彼に故郷の地を思い起こさせる。
古代守 は緑滴る三浦半島で 豊かな自然に囲まれ少年時代をすごした。
まだガミラスの遊星爆弾攻撃以前、 彼の故郷はのどかで豊かな地域だった。
大都会や首都を身近にひかえていたが、 のんびりした雰囲気の方が強かった。
あの地で 俺は両親に慈しまれ最上の少年時代を送った ・・・
・・・ でも 弟は。 進は ・・・
柄にもなく少しばかり里心が付いたのかもしれない。
ふう・・・ 深呼吸とも溜息ともつかない息を吐き、改めて景色に目を転じれば
緑の中に点々と白い輝きが散らばっている。
ふうん・・・? あれは ・・・ 花 か 新緑だろうか
うん ・・・ 地球なら 梅かさくら だなあ・・・
桜 ― あの花を最後にのんびりと眺めたのはいったいいつのことだっただろうか。
守の意識は 遠く記憶の中を漂っていた。
「 守? お食事の用意が整いましたわ。 」
幾重にもさがった透紗の奥から 彼の新妻の声が聞こえてきた。
朝もまだ早い時刻だというのに 相変わらず澄みきった声だ。
守は 我知らず微笑を唇に結んでしまう。
愛するひとの言葉はいつだってなによりも心地好いものだ。
「 ― ああ ありがとう、 今 ゆくよ。 」
俺は 今。 この地に生きている ・・・
彼はもうひとつ深呼吸をすると、宮殿の奥深くへと戻っていった。
未明 目を覚ました時 この青き星は乳色の霧に覆われていたのだ。
「 ・・・ 霧 か。 」
守は静かに起き上がり、ぐっすりと眠る新妻をそっと腕から離した。
「 ・・・ よく眠っているな ・・・ 疲れているんだろうなあ・・・ 」
彼女は寝顔も穏やかに美しく、ついついキスのひとつも盗みたくなるのだが 自重した。
「 ちょいと散歩してくるから。 ゆっくりお休み ・・・ 」
ベッドを抜け出すと身支度を整え 守は宮殿の中庭に出た。
― カサ ・・・ カサカサ ・・・・
まだ完全に明け切らない薄明のなか、彼の足元で枯れ草がかすかに音をたてる。
「 うん・・・? 昆虫か ・・・ それとも小動物でもいるのかな。 」
地に靡いている草に眼を凝らしてみたが、地に澱んだ闇に邪魔されよく見えなかった。
いや ・・・ その薄闇にはきっとなにかが棲んでいるに違いない。
「 ふん ・・・ 動物というより小鬼とか妖精なんかが居そうだぞ? 」
守は 自分の発想になんだか楽しくなり、中庭をゆっくりと歩いた。
霧の湿り気がジャケットに降りてきたのか 少しひんやりとしてきた。
そろそろ陽がのぼるのかもしれない。
「 ・・・ 本当に 不思議な星だな。 夢の中を漂っているみたいだ ・・・
先進の科学技術とファンタジーが共棲している ・・・ 」
もう一回 中庭の辺り見回すと 彼はまたのんびりと宮殿内に戻った。
湿った上着をぬぎ 髪を拭い窓に近い長椅子に身を落ち着けた。
どうせなら日の出でも眺めてみようか と思ったのだ。
「 ― いや この霧だったら曇天かもしれんな 」
守はクッションにもたれ、天井まで高く届く窓から明けてゆく空をながめていた。
守? ・・・・ さあ 起きて? 守・・・
「 ・・・ぅ 〜〜ん ・・・・ あと五分 ・・・ 」
「 まあ なあに? どうなさったの、こんな椅子で寝て・・・ 」
ゆるやかに肩を揺らす腕がそっと彼の髪を撫でる。
「 ・・・ う ・・? あ ・・・ やあ。 スターシア ・・・ 」
目の前には 新妻のあでやかな笑みがひろがっていた。
「 おはよう、守。 ・・・ びっくりしたわ・・ 起きたら あなた、いないのですもの。 」
「 あ ・・・ うん ・・・ ちょっと早く目覚めてしまってね。
中庭を散歩していたよ。 夜明けの頃には朝霧が出ていたのだが・・・ 」
「 まあ ・・・ それで戻ってきて 長椅子で寝ていらしたの? 」
「 うん? ・・・ またベッドに戻るのはな〜と思って。
長椅子で夜明けの空を眺めていたら ・・・ はは 二度寝してしまったよ。 」
「 ふふふ ・・・ 遠慮なさらずに ベッドに入っていらしたらよかったのに・・ 」
「 え だって君はまだぐっすり眠っていただろう? 起こしたら悪いなあとおもってさ。 」
「 まあ ありがとう 守 ・・・ 」
「 でも この笑顔をみて安心したよ、奥さん 」
「 え? あ ・・・ きゃ・・・ 」
守は長椅子から身を起こすと彼女の腕を すい、と引いた。
ほっそりとした身体が彼の元にたおれこむ。
「 ・・・ もう〜〜 守ってば・・・ 」
「 ふふふ ・・・ ♪ おはよう のキスがまだだったな〜と思って ― んん・・・ 」
「 ・・・ んんん 〜〜〜 」
縺れあうように長椅子に倒れこみ、二人は深いキスを交わしあった。
食卓のある部屋も 広い窓があり爽やかな朝の光で満ちていた。
「 ・・・ 今朝は いい陽気だなあ 」
「 ええ この星もそろそろ花の季節の始まりです。 」
「 ああ やっぱりあれは花だったのか ・・・ 」
「 ― あれ? 」
「 うん ・・・ さっきバルコニーから眺めていたらな、緑の間に白いものが点々と見えた。 」
「 まあ ・・・ 咲き始めていたのね。 」
ぱあ・・・っと華やかな微笑が彼女の上に広がった。
「 うん ? 」
「 ね? 朝食の後、散歩しません? この天気だし、きっと気分が晴れるわ。 」
「 ああ いいなあ。 少し遠くまで行ってみようか。
俺ももっと積極的に身体を鍛えなおさんといかんし ・・・ 」
「 うふふ・・・それじゃ その手始めね。 じゃ その前に朝御飯をいただきましょう。
はい、爽やかなお目覚めに一杯 ― 」
彼女は 小さなグラスを差し出した。
「 ありがとう ・・・ お、あの薬草のエキスだな。 これは いい・・ いただきます。 」
「 どうぞ ― この星の息吹が守に力を与えてくれますように・・・ 」
「 ありがとう 奥さん。 」
「 ・・・・・・・・・ 」
二人はまた見つめあい 黙って微笑みを交わしあった。
サワサワサワ −−−−
時折吹きぬける風に 地に伏す緑がその葉をやんわりと躍らせる。
腕を組んだ二人がゆっくりと登ってきた。
「 守 ・・・ 大丈夫? 」
スターシアは 自分が腕を預けている夫に顔を仰ぎみた。
「 おう、このくらいなんともない。 ああ ずいぶん登ってきたんだなあ。 」
「 ええ ここは花陰の丘、といって。 この季節には人々が散策を楽しむ地なのです。 」
「 ほう? そうか それはいいな。 う〜ん ・・・ ここは 素晴しい 」
守は改めてぐるりを見回した。
クリスタルパレスの ダイヤモンド・タワーを望み、足元には稚緑の絨毯が広がる。
そして その合間に ― 点々と、 いや レェスのカヴァーみたいに ・・・
白い白い花が 折り重なり群れを成し ― 盛り上がり 数え切れぬほど揺れていた。
ふう ― 守は感嘆の吐息をもらす。
「 ・・・ 素晴しい眺めだね。 」
「 ええ。 この景色を見ると、わたし達は芽吹きの季節が来たことを喜びあうのです。 」
「 そうか ・・・ 新しい季節の到来を知るんだね。
うん ・・・ これだったのか、 バルコニーからみえた白い輝きは ・・・ 」
「 今年は守が最初に見つけたのね。 」
「 今朝早くに さ。 朝霧の中 白いものが見えてね、何かなあと思ってたんだ。」
「 そうですか。 では その霧がイスカンダル・ブルーの目覚めを呼んだのね。 」
「 ― イスカンダル・ブル− ? 」
「 ええ.。 この花の名前です。 」
「 イスカンダル・ブルー ・・・というのか。 」
「 イスカンダルの青、イスカンダル・ブルーと言うのよ。」
「 へぇ・・・白い花なのにかい?」
「 それはね・・・・」
「 おっと・・失礼・・・」
守はスターシアの唇に小さな花びらが一枚くっついていることに気がついた。
彼は彼女の唇からそっと花びらをはずすと、 もう一度、今度は深く彼女に口付けた。
「 ・・・ もう ・・・ 守ったら・・・ 」
「 ふふふ 見ているのはこの白い花たちだけ さ。 」
守は すい、と腕を伸ばし白い花に触れた。
「 ・・・ 一本摘んでも いいかな。 」
「 どうぞどうぞ。 摘み取って花の香りを楽しんでください。 」
「 ありがとう ・・・ ふうん ・・・ なにか懐かしい香りだな 」
「 そう? 守の故郷にも似た花があったの? 」
「 う〜ん・・・? 俺は植物とかあんまり詳しくはなくてね ・・・
でもこの香りは コドモの頃に身近にあったみたいな気がするよ。 ほっとする・・・ 」
「 この花、イスカンダル・ブルーは この星のいたるところに咲いています。
昔から人々はいろいろとこの花を使っていました。
ね? すこしここで休みません? 随分歩いて ・・・守、疲れたでしょう? 」
「 いや それほどでもないが。 ああ でもこの香りの中は 気分がいいね。 」
「 ええ ほら ・・・ 」
「 うん ・・・ 」
二人は花の中に見え隠れしていた倒木に腰を降ろした。
やはり少し汗ばんでいたのか、さわさわ流れる微風が心地好い。
守は手にした摘み取った一本を眺め 台地いっぱいの白い花をながめ ― 中天に目をやった。
「 ・・・ いい 天気、 なのだな・・・ 」
手にした花からは ほのかに芳香が流れる。
「 守? 」
「 ・・・あれ スターシア。 そんな所にいたのか。 」
彼女は何時の間にか 倒木からすべり降り花々の間に座っている。
「 ええ ・・・ あんまりいい香りだから。 こうやってイスカンダル・ブルーに埋もれているの・・・ 」
白い花々の中に座っている彼女は まさに花に埋もれた春の女神だった。
♪♪ 〜〜〜 ♪♪♪ 〜〜〜
守は一本のイスカンダル・ブルーを緩やかにゆらし なにか歌を口ずさんでいる。
単調だけれど おだやかなメロディーが聞こえる。
少し首をかしげ スターシアは彼の声に耳を澄ます。
「 ・・・ ステキなメロディー ・・・ なんの歌なの? 」
二人の足元、 いや 回りには白い花が 緑の葉がゆらゆらと微風に戯れる。
中天には 春の陽がうらうらと輝いている。
守は 低い声で歌っていた。
スターシアは 白い花に顔を埋め聞いている。
「 〜〜〜 ・・・ Bless my
homeland forever ・・・
これ ・・・ やっぱりこんな季節にね、お袋がよく歌っていたよ。 」
「 どういう意味なの? 」
「 うん ・・・ 祖国を永遠に祝福しておくれ ・・・ そんな意味かな。 」
「 そう ・・・ それじゃイスカンダル・ブルーと同じね。 」
「 ああ そうだな。 うん ・・・ この歌の花も白い花なんだそうだよ。
残念ながら俺は見たことがなかったけれど 」
「 そうなの! ステキな偶然ねえ 」
「 うん ・・・ イスカンダルとはいろいろと縁があるらしいな。 」
「 そうねえ ・・・ ふふふ ・・・ 守と私みたい ・・・ 」
「 そうです、陛下。 」
守は スターシアの白い手に口付けをする。
「 もう・・・ 守ったらふざけてばっかり ・・・ 」
「 いや ふざけてなんかいませんよ? しかし本当に素晴しい眺めだね。 」
「 ええ。 子供の頃にはね、お父様やお母様、妹のサーシアと一緒に来たわ。
家族で外出できるめったにない機会で とっても楽しみにしていたの。 」
「 ほう ・・・ 女王陛下のご家族が ・・・ 」
「 そうなの。 他の国民の家族もいたけど、皆でにこにこ挨拶をしたわ。
だって陽光もイスカンダル・ブルーも 皆のものですものね。 」
「 それは いいなあ・・・そうして王女殿下姉妹はこの草原を転げまわって遊んだ、という訳か。 」
クスクスクス ― 彼は楽しそうに笑う。
「 え・・・ まあ ・・・ もう〜〜 守ったら〜〜 」
とん・・・! たおやなかな身体が守の胸にぶつかってきた。
「 ははは ・・・ おっと〜〜 」
「 うふふふ ・・・ ねえ 守。 守も花の中に埋もれてみて? 」
「 おやおや・・・おかしな事おねだりをする奥さんだなあ。 」
「 ねえねえ〜 いいでしょう? ほら ・・・とってもいい気持ちなの。 」
花の間から スターシアは守に微笑みかける。 魅惑に満ちた笑み ・・・
・・・ サイレンの魔女 だったか・・・?
なんと魅惑的な微笑みなんだ ・・・
「 守 ・・・ ここに来て?
イスカンダルを護る神々よ 新しい民を祝福してください ・・・
この星を護る貴士 ( ナイト ) としてこの星に生きてゆきます 」
ふぁさ ・・・ 白い花びらが守の頭に肩に降り注ぐ。
「 女王陛下。 貴女とこの星を護ってゆくことを誓います。 」
「 ・・・・ 守 ・・・ ! ステキ ・・・ 」
「 スターシア ・・・ 」
二人は白い花に埋もれつつ 熱く甘い口付けを交わした。
古代守はイスカンダルに残り、女王・スターシアと婚姻を結んだ後
山積みになっている するべきこと に取り掛かった。
まずは ― この星を徹底的に知らなければならない。
彼は 新妻に資料室の書庫への出入りの許可を訊ねた。
「 ― 許可 ? 資料室へ ですか。 」
「 うん。 ヨソモノの俺に許可するのは抵抗があるだろうけれど・・・ 」
「 まあ なにをおっしゃいますの?
守 ・・ 貴方はもうこの星の、イスカンダルの人間です。
それも貴士 ( ナイト ) として生きる方 ・・・ 躊躇ったりするものですか。
どうぞ 存分にご利用ください。 」
「 ・・・ ありがとう スターシア ・・・ いえ 女王陛下 ・・・ 」
守はイスカンダルの作法にのっとって慇懃に挨拶した。
「 守。 それでは ― まずはこちらへどうぞ。 」
「 ? 」
スターシアは ― いやイスカンダルの女王は今までとはまったく違う凛とした表情で言った。
「 はい。 」
彼女はずっと宮殿の塔へ進んでゆく。
やがて 一つのフロアにつき、にぶく光るドアの前で立ち止まった。
「 ― ここです。 」
「 ここは ― この星のコントロール・ルーム ・・・!
いつか君がそう言っていた部屋じゃないか。 」
「 はい。 どうぞ。 入ってください。 」
「 え いいのかい。 」
「 どうぞ? 守 あなたはこの星の人間です。 」
「 ― うむ。 」
― シュ ・・・
微かな音をたてドアが開いた。 中は ― 宇宙艦船のコクピットにも似た部屋だった。
「 これは ― ! 」
「 ここでイスカンダルのメカニックな部分の多くをコントロールします。
アンドロイドたちの統括はもちろん、 星を護るために自動艦隊やパトロール艇も
すべてここで操作するのです。 」
「 ・・・ まさに この星の心臓部だな・・・・ 」
「 はい。 ここを 守、あなたにお預けしますわ。 」
「 ― スターシア ・・・ ありがとう。
全力を尽くしてこの星と陛下を護ります。 」
「 お願いいたします。 」
女王は彼女の貴士 ( ナイト ) に全幅の信頼を預けた。
「 守。 あなたのお気に入りなりそうなモノもありますわ。 」
魅惑の笑みで彼女は付け加えた。
「 俺の気に入り? 」
「 ええ。 いろいろ ― ご自由にお使いください。 」
「 陛下のご期待に副えますよう 全力で努力いたします。 」
貴士 ( ナイト ) は彼の女王陛下に 誓った。
その日から 守はコントロール・ルームと資料室に篭った。
知らなければならないこと、考慮すべき点は山積みだった。
当然だろう、一つの惑星を統治してゆくのだから。
そして 資料もマニュアルも当然のことではあるが 全てイスカンダル語での記載だ。
彼はすでに日常会話や普通の読み書きにはほぼ不自由はなかった。
しかし 複雑・難解な軍事関係の資料や機密性の高い軍事用マニュアルの読解は
そうそう簡単なものではない。
守は終日コントロール・ルームで過すこともあった。
真田がいてくれたら ・・・
彼は時に嘆息し 本気でそう思った。
おい? 真田!
とっとと地球での任務を終らせろよ!
それで持って長期休暇でも取って・・・
この星まで遊びに来い!
コキ使ってやるから な〜〜
「 ふふ・・・ いや あいつのことだ。 嬉々として書庫に閉じこもっているかもなあ・・・ 」
ヤマトが停泊中の数日間は生涯の思い出となっている。
再び彼らに ― 地球人に 出会う日がくるかどうか それは誰にもわからない。
「 ともかく、やるしかない、ということだな。 ふう ・・・
お? ・・・ これは ・・・ 水雷艇 か? これなら 」
守は新しい資料を モニターに呼び出すと夢中になって読み始めて。
コツコツ ・・・ 控えめなノックがひびく。
「 ・・・ あの 守 ? 一息、いれたらいかが? 」
ドアの隙間から スターシアがそっと顔を覗かせる。
「 ・・・ 守 ・・・? お昼のお食事もまだでしょう? 」
一向に返事がないので スターシアはトレイを乗せたオートワゴンを連れてそっと室内にすべりこんだ。
「 ・・・? ・・・ 守 ・・・? 」
「 ・・・・・・・ 」
彼女の夫君が 夢中になり本当に他の全てを忘れモニターに噛り付いていた。
「 あの ・・・ 」 チリン ・・・ 弾みでワゴンに触れトレイの上のグラスが微かな音をたてた。
「 ! 誰だ?! 」
瞬時に夫が振り向き 鋭い声で誰何した。 ― 初めて聞く 愛する人の強い声だった。
「 ・・・ あ あの ・・・ 」
脚が竦み 舌が縺れてしまう。
「 あ ・・・ ああ きみか。 いや ・・・ きみしかいないものな・・・ 」
「 い いえ ・・・守 ・・・ その ・・・ 」
彼女の顔色が変わっていたのだろう、守はすぐに表情を和らげいつもの穏やかな声にもどった。
「 驚かせてしまったようだね。 すまん ・・・ つい 夢中になっていて ね 」
「 ・・・ いえ いいのよ でも いったい何をご覧になっていたの? 」
「 うん? これ さ。 」
守は身体をずらせてモニターを彼女に見せた。
「 ・・・ これは イスカンダル艦隊の水雷艇 ですね。 」
「 これだね? 君が言っていた < 俺の気に入りになるかもしれない > モノとは。 」
「 はい。 守、さっそく見つけられましたのね。 」
「 ああ。 君の目も確かだな。 俺はたちまちこの艇に夢中になっているよ。 」
「 まあ・・・ ふふふ ・・・ よかった。
この艇 ( ふね ) は 代々貴士 ( ナイト ) 閣下が扱われます。
― 守の艇 ( ふね ) です。 」
「 ― ありがとう。 ・・・ すごい艇 ( ふね ) だな・・・
いや 水雷艇だけじゃない。 イスカンダル艦隊を始め、この星の軍事力は凄い・・・ 」
「 どうぞ 彼らを存分に働かせてください。
ここは、このコントロール・ルームは 以前は父の、先代・貴士閣下の統括でした。
父と妹のサーシアがよくここに篭っていましたわ ・・・ 」
「 義父上とサーシア姫が・・・ 」
「 ええ。 妹は幼い頃から父と一緒に 宇宙に飛び出していました。
父も妹に沢山のことを教え、宇宙戦士として鍛えていました。
・・・ 私はそんな二人をちょっと羨ましく眺めていましたわ ・・・ 」
「 妹さんのことは ・・・ 地球人として本当にありがたいと思い感謝しているよ。 」
「 守 ・・・ ありがとう ・・・ 」
スターシアの声が震え 足元には大粒の水玉が跡を残す。
守は ヤマトに出向いたときに 弟や真田におおよその出来事を聞いていた。
妹サーシア姫は 地球へと女王のメッセージを携えてくる途中 ― 絶命したのだ。
彼はモニター前から席を立ち、彼女を抱き寄せた。
「 礼を言うのはこっちだよ、スターシア。 ・・・ 君達姉妹は なんという・・・ 」
「 守。 それが イスカンダルのこころ ですもの ・・・ 」
「 サーシア姫は火星に眠っているそうだよ。 進が言っていた。
いつか ・・・ いつかきっと二人で彼女の墓所を訊ねよう。 」
「 ええ ええ・・・ 守。 いつか きっと きっと ね・・・ 」
「 うん。 その頃には進やユキや真田たちも またここに来るだろうし。 」
「 ああ そんな日が ・・・ 来ればいいわね。 」
「 そうだね。 本当に。 」
二人は寄り添いあって コントロール・ルームの大スクリーンを見上げた。
「 宇宙は ― 広い な ・・・ 」
「 ・・・ 守 ? 」
「 いや。 やるべきことはまだまだ沢山ある、ということさ。 」
細い指が きゅ・・・っと守の手をにぎる。
「 ね? ここでは殺風景ですけれど ・・・ いかが? 」
スターシアは運んできた軽食を コントロール・ルームのコンソールの脇に並べた。
「 おお ・・・ わざわざすまんな。 」
「 ふふふ 守って夢中になると全て忘れてしまうから・・・
でもお食事だけは ちゃんとなさってね。 」
「 うむ ・・・ ありがとう。 やあ これは美味しそうだな。 」
「 お茶もあります。 これはね、身体を温めて気持ちをリラックスさせる効果があるの。
私も大好きなの ・・・ 」
「 ほう? うん ・・・ いい香りだな 」
トポポポポ −− ポットから飴色な液体がグラスに注がれる。
「 スターシア。 明日にでもあの水雷艇に乗艦してみようとおもう。
ああ まずはここの海で慣らしてから 飛ぶから。 安心してくれ。 」
「 はい。 それでは宇宙港のシステムを全部オンにしておきましょう。
発進に関わる操作はほとんど自動的に行われます。 」
「 そうか それはありがたいな。
しかし ・・・ 波動エンジンというものは凄いな。
この出力があれば ― 地球防衛軍の艦隊もむざむざやられることもなかった ・・・! 」
「 守 ― 」
「 あ ・・・ いや。 今となっては繰言だがな ・・・
俺は ― 部下を死なせてしまった ・・・ 全員 ・・・ なのに俺は 生きている。 」
「 守。 あなたは生きなければなりません。 亡くなった方々の分も。
それがあなたの義務、 上に立つものの義務です。 」
「 ― スターシア ? 」
「 生きなければなりません。 どんなに辛くても。 それが務めなのですから。 」
彼女の頬には強い意志を籠めた笑みが浮かぶ。
それは大層淋しいものだったが 守にはその淋しさがよく理解できた。
そうか。 彼女は 女王。
全ての民の上に立つ存在なんだ ・・・
― ということは背負おうものも すべて、か・・・
この細い肩に全部負ってきたのだなあ
「 スターシア ・・・ 俺が半分引き受けるから 」
「 ― え? 」
「 ともかく 明日、水雷艇で出てみる。 その後は宇宙に出る。
なにか艦はあるかい。 」
「 そうね・・・ ええと・・・ よく父と妹が飛ばしていたパトロール艇がありますわ。 」
「 お いいな。 まずは足馴らし、ということで ・・・ふふふ 久し振りの宇宙艇乗艦だなあ
なんだかわくわくしてきたよ。 」
「 まあ 守ったら子供みたい・・・ 」
「 いいさ 子供だって。 義父上やサーシア姫だって同じ気持ちだったさ きっと。 」
「 そう そうね。 二人とも出発前はすごく楽しそうだったわ。
私 ・・・ そんな二人がちょっと羨ましかったの。 」
「 そうかあ。 しかしサーシア姫は一人で艦を地球まで飛ばしたのかい。 凄いなあ・・ 」
「 あ いえ。 メイン・パイロットは 西の地の侯爵で・・・サーシアの許婚者の方よ。
もちろん妹も操舵士として乗り組みました。 」
「 許婚者? ― それじゃ二人とも・・・ ? 」
「 ええ 恐らく。 でも 二人一緒で幸せだった・・・と思いたいですわ。
私は ・・・ 別れ別れのままでしたから。 」
「 ― え? 別れ別れ ・・・? その ・・・ 君も? 」
「 はい。 婚約式をする月に東の侯爵領は突然瓦解し 滅びてしまいました。
私の許婚者は東の侯爵の子息でした。 」
「 そ ・・・ そう だったのか ・・・ そうか ・・・ 」
「 妹はきっと ・・・ ユーリーと幸せになっていると信じています、あちらの世で・・・
ユーリー ・・・ああ 妹の許婚者の方です。 」
「 あ そ そうだね。 うん ・・・ 」
「 そうだわ、 祭壇に泉の水を供えなければ ・・・ ちょっと失礼しますね。 」
「 あ ああ うん。 気をつけて な。 」
「 まあ いやですわ、守。 中庭の泉から汲んでくるだけです。 」
「 ・・・ あ うん ・・・ 」
くすくす笑いつつ 彼女は足取りも軽く出ていった。
― 許婚者が いた ・・・・ だって??
侯爵の子弟?? 侯爵様かい ・・・
・・・ いや女王陛下の相手だからな 当然か・・・
そういえば 先代女王の連れ合い殿も 西の侯爵とか・・・
ふ〜ん ・・・ と思わず嘯いて腕組みの一つもしたくなってしまう。
「 異星からの風来坊の俺とは段違いってことだなあ。 ま ・・・ 仕方ないけど。
― どんなヤツだったのか? 婚約前、ということは交際 ( つきあい ) だって・・・ 」
う〜む ・・・ と思わず呻いて囚われている自分自身を嗤ってもみる。
「 なんだ、お前? 案外自信がないんだな?
ともかく今現在イスカンダルのスターシアは俺の妻なんだぞ。 ふん・・・。 」
しかし ・・・ 地球でも王族ってのはずいぶんと幼少のころに結婚したりする よな?
この星でも同じ かも・・・
・・・ いや でも そんな。 彼女は確かに ・・・
! おいおい ・・・ なにを考えているんだよ?!
閨でのことにまで思いを廻らし悩む自分が情けない。
「 ったく。 ・・・ 宇宙戦士がなにをオタオタしているんだ?
許婚者がどうであろうと。 彼女の夫は 俺。 この古代守 なんだ。 それでいい。 」
頭を切り替えよう、と守は 明日の準備を始めた。
当初は水雷艇での航海を考えていたが、パトロール艇をみて考えが変わった。
「 ふん。 俺は基本、戦艦乗りだからな。 宇宙が一番だ。 」
彼はコントロール・ルームのコンソール前に陣取り 次々に指示を出し始めた。
一度 イスカンダル方式が理解できると、あとは スペース・イーグルの異名をとった
守の宇宙戦士としての腕のみせどころとなる。
「 ― これは いいぞ! 」
彼は夢中になってプログラムに取り組んでいた。
ゴ −−−−−−−−−− ・・・・・・!!!!
船尾にうず高い水柱を残しパトロール艇は海面から浮上、ぐんぐん高度を上げてゆく。
「 ― 波動エンジン。 これほどとは ・・・ 」
守はイスカンダル艦隊のパトロール艇のコクピットで舌を巻いていた。
地球の駆逐艦などとは エンジンの性能からして段違いだった。
「 よし。 大気圏離脱だ ・・・! 」
小型のパトロール艇は楽々と重力の鎖を断ち切り宇宙空間に浮いていた。
窓の外には黒暗々の大宇宙が広がり数多の星々がその輝きを散らす。
― そして 眼下には青く輝く星が あった。
「 ! ・・・ これが イスカンダル か ・・・! 」
初めて外からこの星を眺め 守はコクピットで絶句していた。
「 ― なんて なんて美しい星なんだ ・・・! 」
以前 彼が初めて大気圏外に出た時、 故郷の星はまだその青い姿を止めていた。
しかし 今 彼が目の前にしている星は ―
あの時も 地球の美しさに感動したけれど ・・・
この星は また異なる美しさがある
神々しいまでに 美しい ・・・
しばし 守は陶然と青き星を眺めていた。
ピ − ピー ピー ピー ・・・・
「 ?! な なに?? アラート信号?? 」
はっと我にかえりレーダーをみえれば 艦隊の反応を示している。
「 これは・・・ ! ガミラス艦隊か! くそ ・・・ 」
守は咄嗟に主砲と思われる砲門を開いた。
「 パトロール艇だからな。 あまり期待はできないが ・・・
ふふん ・・・ あの頃の ゆきかぜ より遥かに強力だろうさ。
見てろよ! ゆきかぜ の仇を取ってやる! 」
彼は不敵な笑みさえうかべ じっとコンソールに届けられる数字を読んでいた。
パトロール艇だから、と自嘲していたが かなりの武装が装備してある。
地球防衛軍の宇宙艦隊所属の飛行隊、そのスペース・イーグルとして鳴らしたころの気概が燃え上がる。
守は トリガーに指を掛け 獲物を狙うハンターになっていた。
― しかし ガミラス艦はこちらをイスカンダル艦と感知しただけで素通りしていった
「 ・・・ ん? あれは ・・・ 無人艦隊か?
こちらを完全に認識したはずだが ・・・ 攻撃どころか自動偵察機もださないとは。 」
地球近辺で そして あの冥王星会戦での苦渋の思いが かっと燃え上がる。
「 ・・・作戦なのか。 油断させておいて瞬時反転、ということもある。 」
彼は注意深く観察を続けたが ― ガミラス艦はそのまま速度をアップし
あっと言う間に宇宙の彼方へと 消えた。
「 ふん??? ― イスカンダルには手出し無用、というわけか??
いや ・・・ ガミラスは滅びた、と進たちが言っていたな ・・・ 」
ふと。 眼下の青い星に視線をむけた。
! そうだ ・・・ もしか すると。
この星は そして イスカンダルの女王とは
・・・ このサンザー系での 斎 ( いつき ) の巫女 なのか ?
イスカンダルはその歴史、 王家の、そして国民たちの思考すべて好戦的とはいえない。
愛と平和の星、そして 流れゆく運命に身をゆだねる星だ。
しかし それは決して戦闘放棄や無抵抗主義ではない。
護るべきものは 護る、その意志は存在したらしい。
「 ― ふむ ・・・? ますます興味深い惑星だな。 」
ガミラスの自動艦隊をやりすごした後、母星の周囲を遊弋した。
「 ・・・ これは ・・・ 単なるパトロール艇ではないな。
パトロール艇に偽装をした小型戦艦だ ・・・ うん? これは・・・ 」
コクピットを調べるうちに 守は航海日誌をみつけた。
「 ・・・ ! 手書き、か・・・ これは 義父上の筆跡 ・・・ 」
そう、その日誌は手で書き記されていた。
守は 丁寧に、そして細心の注意を払って文字をページを追ってゆく。
おそらくイスカンダル艦隊の司令となる者への引継ぎ書の意味もあったのだろう。
義父の手になる文字が守に語りかける。 この星を そして娘を頼む、と・・・
義父上! ・・・ いえ 前イスカンダル艦隊総司令殿!
確かに 今 ― ここにその任を受け継ぎます。
そして イスカンダルと その女王陛下を護ります・・・!
― お任せください。
パトロール艇は 新・艦隊総司令 を乗せ予定どおり母星へと帰還した。
「 ― おかえりなさ ・・・! 守 〜〜 」
宙港では スターシアが大きく手を振り、 パトロール艇を迎えいれた。
「 やあ ただいま。 スターシア。 」
軽々とタラップから降りると 守は細君を抱き締めた。
「 あ・・・あら? 」
「 ふふふ ・・・ この星があんまり美しかったのでね。
女王陛下の美しさと負けず劣らずで さ。 ああ でもやはり君の方がいいな。 」
「 ・・・ あん もう〜〜 守ったら・・・ 」
手当たり次第にキスの雨を降らす夫に スターシアは声を上げて笑った。
二人は寄り添いあい、連絡艇で宮殿へ戻ってきた。
「 ウ〜〜ン・・・ ははは やっぱりウチはいいなあ。 ほっとするよ。 」
「 ふふふ ・・・ ねえ それでパトロール艇の具合はいかがでした?
お気に召して? 」
「 ああ すごく。 こんなフネがたくさんあるのだろう?
イスカンダルの軍事力は 凄いな。 」
「 でも 使うこともありませんから。 波動エンジンの理論は地球の方々が
継承してくださればそれで十分ですわ。 」
「 だと いいがな。 なあ、次には一緒に宇宙に出ないか?
陛下も一度、 我らが母なる星をご覧下さい。 」
「 まあ ほんとう? うれしいわ! あ 飛び切り美味しいお食事を用意したのよ。
ふふふ ・・・ 頑張って全部一人でつくったの。 」
「 ほう? 楽しみだなあ〜 」
「 最後の仕上げをしたいから・・・ 守、ちょっとゆっくり着替えていらしてね? 」
「 はいはい、奥さん。 」
スターシアはぱたぱたと厨房へ駆けて行った。
その姿はまるで少女のようで 守は思わず微笑してしまう。
「 ・・・ 可愛らしいというか無邪気というか・・・ 」
その天真爛漫な女王が背負う星は ― あまり楽観的な状態ではないようだ。
義父の航海日誌を読み、守自身がコンピューターの解析データから確認したのだが、
現在はいわば小康状態 ・・・ いずれ危惧すべき状況となるだろう。
― そして もうひとつ。
「 あれは 恐らく自爆装置だろう。 あんなものをこの星の王は準備していたのか。
― ふん。 使わせないぞ。 俺は絶対に 彼女にそんなことはさせん。 」
彼は密かに心を決めていた。
どんな時も彼女を護る と。 そして たとえこの星が滅びるとしたら ― 彼女を連れ出す!と。
「 ・・・ あ〜〜〜 美味かった・・・! 」
「 まあ 嬉しい! 守が好きなものばかり用意してみました。 」
食事を終え 二人はゆったりとした時を過す。
チリン ・・・ 透明なグラスには黄金色のワインにも似た飲み物が揺れる。
「 いかが? お食後に ・・・ 」
「 ああ ありがとう。 これはいいな 」
「 父も好物でしたのよ。 ああ 妹の許婚者さんも・・・ 殿方には評判ですの。 」
黄金色の液体は 奥深い刺激を含んでいる。 守は もう一口 含む・・・
「 あの なあ ・・・ その。 懐かしいかい。 」
「 ?? なにが、ですの。 」
「 そのう ・・・ 君の許婚者氏のことさ。 」
「 ・・・ ああ。 そりゃ・・・ 婚約式も決まっていましたもの。
でも直接に会ったことはありませんでしたから ・・・ 」
「 え ― ?? 」
「 家同士で決めた生まれながらの許婚者で・・・ フォログラフで見知っていただけなの。 」
「 そ そういう ・・・ ものなのかい?? この星の婚姻は ・・・ 」
「 王族は大抵。 サーシアとユーリーもそうです。
・・・ ですから父は破天荒なことをしたわけですけど ・・・ あ 守と私も ね。 」
スターシアはクスクスと笑う。 楽しそうに 嬉しそうに ・・・ ちょっぴり恥ずかしそうに。
「 ・・・ スターシア ・・・! 」
なんて なんて 可愛い女性 ( ひと ) なんだ ・・・!
守は寄り添うたおやかな身体に そっと腕をまわした。
護る。 どんなことがあっても 必ず!
そして この女性 ( ひと ) と生きてゆく。
― その夜のこと・・・
星明りの中 花陰の丘にはイスカンダル・ブルーの花の原を歩んでゆく二人の姿があった。
「 ・・・ 私たち ・・・ どうみえるかしら。 」
「 ふふふ ・・・ 恋人同士にみえるかっていうことかい。 」
「 ・・・ 守ったら ・・・ 」
離さない。 どんなことがあっても・・・!
この女性 ( ひと ) を護る。
共に行くわ。 どんな時でも・・・
この方と援けてゆく。
腰に腕をまわしつつ肩を寄せ至高の恋人たちは白い花の上を歩む。
その行き着く先は星々の煌きにまぎれ 無限の宇宙へと続いてゆくのかもしれない。
守 と スターシア − 青き星の永遠の恋人たち ・・・
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Fin.
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Last updated : 03,27,2012. index
************ 後書きに変えて
後半は 『 幸せに暮らしましたとさ 』 シリーズより、
古代守 と スターシア の甘々話です♪
二人のこと、 ↑の 幸せ部屋 については どうぞ こちら へ ワープ♪♪
時系列的には 『 朝 』 の後くらいになります。