7月


 2003.7.15 (Tue)       「喧嘩両成敗」とはとても言えない

横綱・朝青龍が入門以来初めての休場に追い込まれました。表向きの理由は、首の故障ということですが、実際のところはたび重なるトラブルで精神的にまいってしまって相撲に集中できないというのが原因だと思います。

 トラブルの相手は同じモンゴル出身の旭鷲山。先場所からの遺恨が残る両者ですが、5日目の対戦で、朝青龍が相手のまげをつかんで引き倒し、反則負け。その日の帰りには旭鷲山の車のドアミラーに故意かどうかはわかりませんが、ヒジをぶつけて破壊してしまいました。さらに8日目には取組み後の風呂場ですれ違う際に肩がぶつかったことで口論になり、その場に居合わせた魁皇が止めに入る一幕もありました。肩がぶつかってケンカになるなどというヤクザまがいの行為は、なにより品位が求められる横綱としては許されるはずもなく、当然のことながら朝青龍はあらゆる方面から袋叩きに遭いました。

 ただ、ちょっと腑に落ちないのは、もう一方の当事者である、旭鷲山に対する批判の声が聞こえてこないことです。朝青龍の態度はもちろん横綱として言語道断、恥ずべき行為です。しかし、今回の騒動でもっとも間違った行動に出ているのは、ボクは旭鷲山だと思います。相撲の世界は番付が全て。幕下よりは関取が、平幕よりは横綱・大関が偉いのは当たり前。たとえ入門が早かろうが、出世しなければ後輩のフンドシ担ぎをしなければならないのが、この世界の鉄の掟です。だからこそ全ての力士が必死になって1つでも番付を上げようとする。その競争こそが大相撲の「秩序」そのものです。

 旭鷲山がモンゴルの大先輩だろうがなんだろうが、そのルールに変わりはない。通路で擦れ違えば、頭を下げて道を譲らなければならないのは、「先輩」である旭鷲山のほうです。そのことを旭鷲山が知らないはずはない。にもかからわず、つまらない意地を張って朝青龍を挑発したのではないでしょうか。マスコミは朝青龍を批判するなら、旭鷲山のこうした態度も批判しないといけない。大相撲の秩序を伝えずして、一般社会の常識だけで朝青龍をバッシングし、視聴者をあおるのはフェアではないと思います。

 昨日のテレビ画面には、朝青龍の土俵入りの最中に座布団を投げ込んだり、「モンゴルへ帰れ」と書かれた横断幕を広げるような嘆かわしい観客の姿が映されていました。ああいう短絡的な行動は見ていて悲しくなります。「日本の品位」を貶めているのは誰なのか、よく考えて欲しいですね。

 

 2003.7.10 (Thu)       NECの開発計画・その2

NECが燃料電池搭載ノートパソコンを発表したというのは前回書いたとおりです。さらに同社は、やはり2年以内を目処にノートパソコン用の「薄型水冷装置」を開発すると発表しました。これまではファンを回転させて風を送ることにより、パソコン内部の熱を下げることが主流でしたが、パソコンの性能が高いほど温度が上がりやすいため、ファンも大型化しなければならず、スペースの問題と騒音の問題が、開発者を悩ませていました。

 それを解決するべく開発されたのが、冷却水を循環させることにより、内部の熱を吸収する水冷システムです。自動車のエンジンの冷却などによく使われる方式で、水漏れの危険性からパソコンなどの精密機械への採用はなかなか難しいとされていましたが、本体内のスペースに余裕のあるデスクトップパソコン用のシステムはすでに開発され、同じNECから先日発売されました。

 今回発表されたのは、その超小型版というか超薄型版で、冷却システム全体を4mm程度の厚さに抑えることが出来ます。この先、自宅外へ持ち運んで使う、モバイル用途がより一層広まってくるとみられているノートパソコンの場合は、静音性というのがデスクトップパソコンよりも重要になってくるため、本体を大型化せずに静音性を確保できる薄型水冷装置は、地味ですけど効果的なシステムだといえます。

 ・・・・・。ということは〜。2年後ぐらいには、燃料電池式で、水冷式で、無線とかバンバン飛んでどこでもインターネットできて、液晶とかちょーキレイで、画面でかくてキーボードとかも打ちやすいんだけど、すごい軽くて薄いノートパソコンとかがお店に並ぶんでしょうね。WindowsもXPの次のやつとか出ててね。

 いや、待てよ。キーボードとかじゃなくてタッチパネルとかかな。それか音声認識か。あ、音声認識で思い出した。NECはパソコン以外にも今回もう一個面白い製品を発表してました。「自動通訳端末」です。すごいですよこれ。音声認識 → 自動翻訳 → 音声読み上げという作業を1台でこなしてしまうもので、この機械に向かって日本語でしゃべると、自動的に翻訳されて、訳文が画面に表示されると同時に相手の国の言葉で読み上げられるそうです。

 同様に相手のしゃべった言葉も翻訳されて、画面表示と読み上げがされるとのこと。話し終えるのとほぼ同時に翻訳が完了し、読み上げが始まるそうで、まさに通訳そのものです。とはいえこの手の製品は、音声の認識精度、翻訳の精度が重要なので、さすがに人間の通訳ほどは気がきかないでしょうけど、「通訳を持ち歩ける」という便利さは、海外でのコミュニケーションに革命をもたらす可能性もあります。

 ようやく21世紀らしくなってきましたね。

 

 2003.7.8 (Tue)       ついに燃料電池ノートパソコンが実現化へ

NECが先月の末に発表した新製品の開発計画の中には、「21世紀」を実感させるのに十分な内容のものがいくつか含まれていました。特に目を引いたのは「燃料電池搭載ノートパソコン」。皆さんご存知だとは思いますが、燃料電池とは水素と酸素が結合し、水を生成する過程で発生する電気を利用するものです。排出するのは水だけというクリーンなエネルギーとして期待され、酸素は地球上にいくらでも存在するため、あとは水素をどう供給するかというのが課題です。

 実際のところ、水素はそのままでは持ち運びがしづらいため、最近では「メタノール」を利用するという計画が主流になってきました。メタノールはメチルアルコールともいいます。エチルアルコールとは違うので飲めません。メタノールは常温で液体であるため、気体である水素よりも少ない体積で持ち運ぶことが出来ます。NECの発表によれば、300ccのメタノールでノートパソコンを5時間駆動することが可能で、最終的には1本のメタノールカートリッジで40時間の駆動を目指すそうです。

 メタノール自体は、通常、天然ガスなどから作られ、石油資源に依存しないことと、比較的安価であることがメリットです。最近はパソコンだけでなく、携帯電話やデジタルカメラなど、外に持ち歩く電気製品が多くなってきました。燃料電池を使用する製品が普及していけば、いずれはコンビニやガソリンスタンドなどで、メタノールのカートリッジが普通に売られるようになるでしょう。

 もちろんカートリッジの規格は統一され、リサイクルも可能な状態になると思います。まあ、機器の大きさによってカートリッジのサイズも違うでしょうが。そのあたりは単3電池や単4電池と一緒ですね。小さいカートリッジを100円とか200円で買っておいて、いろんな機械に使えたら便利ですよね。

 NECはこのパソコンを2年以内に発売すると明言しました。他のメーカーも黙って見ているわけはなく、開発競争になるでしょうから実際にはもっと早く市場に出てくるかもしれませんね。楽しみです。燃料電池以外にもNECが発表した製品に面白いものがあったんですが、長くなってしまったので続きはまた今度。

 


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