月編


 2003.2.24 (Mon)       野獣は再び野に放たれた

元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソンが8ヶ月ぶりの再起戦をわずか49秒、右フック一発の秒殺KOで飾りました。全盛期と比べると大振りのパンチが目立ち、左右の体重移動時のバランスが崩れている感じがしましたが、それでも左をかわされたあと反射的にすぐ右のフックを返せるところはさすがで、異常なまでのパンチ力も健在でした。

 今回のファイトマネーは一説によると約24億円といわれています。49秒で24億円ですから、1秒あたり約5000万円。タイソンより稼いでいる人も世の中にはたくさんいるでしょうが、さすがに「秒給」5000万円っていうのはタイソン以外には考えられないですね。ちなみに49秒というのは彼にとっては最短KO記録ではなく、これより短い時間でKOしたことが5回あります。1ラウンドKOは通算23度目。まさに怪物です。

 それにしてもタイソン、相変わらず人気ありますね。タイソンに替わるスターが現れないということもあるでしょうが、何度も刑務所に行ったりしてダーティーなイメージが付き纏うようになっても人気が落ちないのは、やはり強かったときのイメージがあまりにも強烈だったからでしょう。

 高校生の頃、ボクサーに憧れていたボクは、当時無敵の快進撃を続けていたタイソンのビデオを買ってきて、それこそ穴の開くほど見ていました。東京ドームでダグラスにまさかのKO負けを喫する前のタイソンはまぎれもなくボクにとっての「アイドル」でした。

 彼がもともと「いじめられっ子」だったというのは有名な話です。ある日、彼がかわいがっていたペットの鳩をいじめっ子に殺されたことでタイソンは逆上し、相手に殴りかかりました。我に返ったとき、血だらけになった相手が足元にうずくまっているのを見て、タイソンは初めて自分の拳が桁外れのパワーを秘めていることを知ります。そのあとは腕力にモノを言わせて不良への道を一直線。少年院にも行き、そのままヤクザな人生を送るかと思われたタイソンを救ってくれたのは、カス・ダマトという一人の老人でした。

 2人の世界チャンピオンを育てた名トレーナー、ダマトは、タイソンにボクシング技術だけでなく精神面での教育も施し、タイソンもよくその期待にこたえました。ダマトはタイソンがチャンピオンになる前に世を去りますが、あとを引き継いだケビン・ルーニーもタイソンを上手くコントロールし、ボクシング史上に残るスーパーファイターを作り上げます。

 しかし、父親代わりであったダマトを失ったタイソンは、やがて精神的な不安定さを見せ始め、パートナーのルーニーをも追放してしまいました。叱ってくれる人間をすべて排除し、自分の周りに「イエスマン」ばかりを置いたタイソンは次第に輝きを失い、ボクサーとしても一人の人間としてもどんどん崩壊していきました。

 その後の迷走ぶりは記憶に新しいかと思います。婦女暴行で刑務所に収監されたり、試合中に相手の耳を噛みちぎったり・・・。ボクにとっては、そんなタイソンはタイソンではない。完璧に磨き上げられた戦闘マシーンだったころの彼を知るものとしては、そんな姿は見るに忍びなく、ここ数年はタイソンの試合を見ることもなくなっていました。

 が、今回久々に彼の試合を見て少し考え方が変わりました。能力は衰えたとしても、筋肉は落ちていなかった。迷走しながらも、トレーニングは怠っていないことを意味します。彼自身はいまだ「かつてのタイソン」を取り戻すことを諦めてはいない。そう思うと、顔に刺青をしたことも、イスラム教に改宗しようとしたことも、彼なりに必死で自分をコントロールしようとした努力の跡のような気がしてきます。

 無敵の戦闘マシーンだった彼も素晴らしいが、一人の人間として道を探し続けるタイソンも、それはそれでいいんじゃないかと。これからは精神面の変化も含めて、タイソンの動きを見ていきたいと思いました。

 いや〜、えらい長くなっちゃいましたね(笑)。あんまり長いとみんな面倒くさくなって読んでくれなくなるからもう少しコンパクトにまとめるようにしよっと。

 

 2003.2.21 (Fri)       チワワ その2

現在の「チワワ・バブル」の原因になった、「アイフル」のCM第2弾がオンエアされています。もうすぐ結婚を控えた娘と、チワワ(結局買っちゃったのね)を連れて散歩の途中、ショーウインドウの中のタキシードを見つけた娘が「パパ、結婚式にこれ着なよ」とすすめます。パパは「いいよ、レンタルで」と言いかけますが、お揃いの「犬用のタキシード」がセットになっているのを見て、チワワと一緒に(笑)目が釘付けになる、という内容です。

 うーん・・・、ちょっとね、今回は「やり過ぎ」かなって思うんですよね。前回のCMの出来があまりにもよかったので余計そう感じるのかもしれないけど。映画と一緒で名作の「続編」はなかなか上手くいかないですね。

 ところで、いまや日本一有名なペットになったこのチワワ、名前を「くぅーちゃん」といいます。男の子かと思ってましたが女の子なんですね。最近は朝から晩まで撮影や取材が入る売れっ子ぶり。今回のCMも寒さに弱いくぅーちゃんのためにわざわざ沖縄にロケに行くほどの超VIP待遇です。このままだと長者番付に載っちゃうんじゃないですかね、犬なのに(笑)。

 ちなみにチワワ、いつもプルプル震えていてすぐ死んじゃいそうですが、実は結構長生きだそうです。寿命は平均して13〜15年。大型犬のほうが寿命がずっと短いんですね。なんかイメージと逆ですけど。

 

 2003.2.18 (Tue)       あっ、と思ったけど時すでに遅し

以前、1000HIT記念で「なんの記念にもならないほどのどうしようもない粗品」をプレゼントすると書いたのに、どなたも名乗り出ないので、2000番を (σ ・∀・)σ ゲッツ!! した人に繰り越そうかなと思っていたら、うっかり自分で踏んでしまいました(笑)。「2000まであとどれくらいかな・・・」とチェックしようとしただけなんですけど。まあ、仕方ないっすね。粗品はさらに3000番まで持ち越しということで。っていうか、あんなもの欲しがる人いないと思いますけどね(笑)。

 それと、私事で大変恐縮ですが(いつもだけど)、ボク今日誕生日なんです。例年の誕生日は全然意識しないで過ぎていくんですけど、今年はちょっと特別かな〜。もう30になるんでね・・・・・って、さんじゅう!? 三十路!? ウソでしょ!? オレが!? 

 ・・・いやー、どうなのこの落ち着きの無さ(笑)。世間でいうところの30歳は絶対こんなふうじゃないはず。少なくともボクが子供だった頃は、ボクの目から見る30歳は立派な大人でした。なんだかな、精神的には高校生の頃からあまり成長してないような気がする・・。いまだにお酒より甘いものが好きだし、ゲームとか余裕でするし、お年玉あげたことないし。

 いつになったら「ちゃんとした大人」になるんだろう。結婚して子供でも出来たら変わるのかな・・・。

 

 2003.2.14 (Fri)       ついに恐れていたものが来てしまった・・・

・・・・ついに来てしまいましたよ、ヤツが・・。誰がって? 決まってますがな、花粉ですよ、花粉。昨日あたりから「ん? ひょっとして・・」と思っていましたが、今日間違いなく来ました。ほかの人は騙せてもボクの鼻は騙せませんよ(笑)。もうベテランですからね、花粉症の。あー、もうイヤ! また今年もあの悲劇が何ヶ月も続くのか・・・。ひょっとしたら今年あたり自然と治っちゃってるかな?、とか考えてましたけど、やっぱりダメでしたねー、当たり前ですけど。

 仕方ないので今年は防衛グッズをいろいろ準備しました。負けないぞコラー!

  1.甜茶100%の粒 (効くのか?)
  2.花粉防止グラス (最近のはだいぶデザインがかっこよくなりました。サングラスとしても使える)
  3.立体構造のマスク (顔にフィットするが口はマスクに密着しない。かけていると「鳥」と言われる)

 これに、毎年おなじみの目薬や点鼻薬をあわせて戦えばなんとかなるんじゃないかな。ダメ? 病院行ったほうがいい? やっぱり。っていうか花粉症の特効薬を速く作ってくれませんかねー。特効薬作ってみんな花粉症が治っちゃうと薬屋さんが儲からないから手加減してるんじゃないの?

 

 2003.2.10 (Mon)       ドイツで「スシボンバー」高原、大ブレイクの予感

傷害容疑で告訴されたりして何かと大変な「ゴリラ」カーン様、今何をしてらっしゃるかと思いきや、日本代表FW・「すし爆弾」高原にゴールを決められておりました(笑)。この試合がドイツ・ハンブルガーSV移籍後3戦目の高原、これが記念すべき初ゴールです。外国人FWの場合、移籍3試合目ぐらいまでに得点を決めなければ、どれだけ動きがよかろうと、どれだけチームのために献身的な働きをしようと、「役立たず」とみなされてしまいます。フォワードの仕事はあくまで点を取ること。「内容」ではなく「数字」のみが評価の対象です。

 前2試合、なかなかの動きながらも点が取れなかった高原にとって、今回は正念場。しかしよりによって相手はカーン擁する強豪バイエルン・ミュンヘン。現在首位で、しかも昨年11月9日からこの日まで約3カ月間、リーグ戦無失点を継続中。カーンにとっては自らが持つ連続無失点記録の更新を賭けた試合でもありました。さらに、ハンブルガーSVにとっては敵地に乗り込んでのゲーム。どう考えても得点は厳しい・・・。

 試合は予想通り、一方的なバイエルンペース。ハンブルガーSVのキーパーが再三好セーブを見せ、なんとか1失点におさえていたものの、このまま0−1で終了かと思われた後半ロスタイム、高原の劇的な同点ゴールが生まれました。右サイドからマハダビキアが上げた精度の高いクロスに高原が非常に高い打点でヘッドを合わせると、カーンは一歩も動けず、ボールはネットに突き刺さりました。

 直後に試合終了の笛。ハンブルガーにとっては勝ちに等しい引き分け。チームメイトにもみくちゃにされた高原はこれでようやくチームの一員として認められたでしょう。対戦相手やシチュエーションなどからみて、これ以上インパクトのある初得点は考えられず、初戦でいきなり2得点を決めた中田英寿に匹敵する衝撃的な「デビュー」といえます。

 プロスポーツ選手にとって、ファンやマスコミに認知されることも大事ですが、それ以上に自チームの監督やチームメイトに認められることは、活躍するうえで非常に重要な条件です。その意味でも今回の得点はドイツでの成功の足がかりになる、とてつもなく価値のある1点でした。このチャンスを逃さず、一気にスターダムへと駆け登って欲しいと思います。

 ちなみに今回の試合、カーンの連続無失点記録をストップする得点を決めた選手には、スポンサーからビール500リットルの懸賞がかけられていました。チームメイトの一人は「タカは普段ビールを飲まないからボクが代わりに飲んでやる」と言っていますが、どうするんでしょうね(笑)。

 

 2003.2.3 (Mon)       それでも人は宇宙を目指す。

スペースシャトル「コロンビア」の事故はあらためて宇宙飛行実験のリスクを浮き彫りにしました。86年の「チャレンジャー」爆発事故に次いで2度目の惨事。シャトルの飛行はもう100回を超えており、この確率が高いか低いかは判断しづらいですが、少なくとも飛行機事故の確率よりは何千倍も高いでしょう。まだまだ民間人が自分の身の安全を預けて宇宙に行けるような時代は遠そうです。

 最初にこの事故の映像をテレビで見たときは、真っ青な空に光がスーッと落ちていって、不謹慎な話ですが、「きれいだなー」と思いました。もっともそのときは単純に、シャトルの「部品の一部」が落ちていってるんだと思ってましたが。今にして思えば、あの時あの中に7人の人の命が詰まっていたんですね・・・。

 結局、今回の事故は、発射時に外れた燃料タンクの一部が機体の左翼を直撃し、耐熱タイルが剥がれてしまったことにより、大気圏突入時にその部分が燃え上がってしまったのが原因のようです。

 「大気圏突入」とか「大気との摩擦熱」とかいう言葉は、普段聞きなれない言葉ですが、ボクと同じ世代の男性には割とポピュラーなはずです。ボクらの世代は子供の頃、「ガンダム」というひとつのアニメをみんな見ていました。その中で大気圏突入の場面が取り上げられており、突入用の装備を持っていたガンダムは無事地球に降り立ちましたが、突入の準備をしていなかった敵の機体は大気との摩擦熱により、燃え尽きてしまいました。そのときのシーンは子供心にも強く刻み付けられているのですが、今回の事故でそれが現実に起こりうるのだということがよくわかりました。

 NASAはこの事故を受けて、当分の間シャトル実験を中止することを発表しました。先は長く道は険しい。このあとも気の遠くなるような労力と、時間と、尊い犠牲は尽きないかもしれません。それでも人は、かつて海の向こうの見果てぬ大陸を目指したように、そこに人が住める可能性がある限り、宇宙へのチャレンジをやめることは出来ないでしょう。 


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