1月編


 2003.1.31 (Fri)       「漢」と書いて「おとこ」と読む。それがカーン様。

「歌って踊れるゴリラ」ことボブ・サップのインパクトが強すぎてすっかり忘れておりましたが、本家「ゴリラ」といえば、サッカー・ドイツ代表の守護神、オリバー・カーン選手。いかつい風貌とド迫力のプレー、敵味方かまわず怒鳴りつけまくる強烈なキャラクターから付いたあだ名で、試合前には相手チームのサポーターからカーンに向けてバナナが投げつけられるのが半ば慣習と化しているほどです(笑)。

 昨年のW杯ではドイツを決勝まで導き、大会MVPにも選ばれました。惜しくもブラジルには敗れたものの、試合終了後、ゴールポストにもたれかかって、ひたすら男の哀愁を漂わせていた姿は、世の女性たちのみならず男たちをもメロメロにしたとかしないとか。ボクはもしサッカーをすることがあれば、ポジションおよび勝ち負けに関係なく(笑)、試合後はあれをやろうと決めております。

 さて、そのカーン様。いま何をしてらっしゃるかと思いましたら、「告訴」されておりました(笑)。「事件」が起こったのは昨年9月の試合中。相手選手が、オフサイドの笛が鳴っているにもかかわらず、これを無視してカーンの守るゴールにシュートを決めたことに腹を立て、その選手の首根っこを捕まえて倒したことによる暴行容疑だそうです。ま、実際のところは後ろから急に首をつかまれた相手選手が反射的に身をかがめただけ、っていう話ですが・・・。告訴もその選手が行ったのではなく、匿名の第3者だとか。

 でも、その選手は試合後、「殺されるかと思った・・・」とコメントしてますし(カーンが耳元でなにか凄いことを言ったんですかね)、ボクもその時の写真を見ましたが、「よく殺されずに済んだな・・・」っていうぐらいの迫力がありました(笑)。写真だけでもそれですから、現場で見てた観客や他の選手はもっと恐ろしいものを感じたんでしょう。訴えたのはそのうちの誰かでしょうね。

 一応、ほんとに警察が捜査に動いてるらしいですが、どうなんですかね。こんなことでカーン様が試合に出れなくなったらヤだな。もしドイツでサッカーが出来なくなったら、ぜひ日本に来てください。日本にはJリーグだけじゃなく、活躍の場はたくさんありますよ。とりあえず、サップを怒鳴りつける役をお願いしたいですね。
 「オマエ、テレビ出過ぎじゃボケェ。とっととアメリカに帰れ!!」とか。

 

 2003.1.26 (Sun)       見事なり、蒼き狼。奮起せよ、全日本人力士。

大相撲初場所は、大関・朝青龍が14勝1敗で2場所連続の優勝。場所後の横綱昇進を確実にしました。朝青龍の相撲は大好きです。力士の大型化が進み、体重とパワーだけで押し切ろうとする大味な相撲が多い中、均整の取れた身体で終始休まず攻め続けるスタイルは見ていて清清しいものがあります。今場所はスピードと技に加えて力強さも身につけたようで、往年の千代の富士を思わせるような豪快な投げも見受けられました。

 まだまだ彼は成長期、持ち前の闘争心を失わずに精進を続ければ、もっともっと強くなるでしょう。歴史に残る大横綱になるという可能性も充分にあるんじゃないかと思っています。

 さて、貴乃花が引退し、入れ替わるように朝青龍が横綱になることで、角界の最高位には朝青龍と武蔵丸の外国出身力士2人が並ぶことになります。ボクは日本人、外人、という区別はしたくありませんし、強いものが上に行くのは当然だと考えています。問題なのは「外国人が横綱になる」ことではなく、「横綱になれるほどの日本人力士がいない」ことです。

 全ての日本人力士達には、「日本でしか行われていない」プロスポーツの最高ランクに位置する選手が外国出身者のみである、という事実を重く受けとめて欲しいと思います。規格外の体格を持つ曙や武蔵丸はともかく、朝青龍はフィジカル的には日本人と変わりません。朝青龍にあって自分たちに無いものがなんなのか、しっかりと考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 

 2003.1.20 (Mon)       長い間、本当にお疲れ様でした。

第65代横綱・貴乃花がついに現役引退を表明しました。周囲の制止を振り切って再出場してきたときには、ボクも一瞬、「何を考えてるんだ?」と疑問に感じましたが、今は貴乃花の決意と覚悟が少し理解できるような気がします。もちろん、自分自身の気持ちに整理をつける、というのもあるでしょうが、それ以上に彼は、貴乃花は、朝青龍が横綱への階段を登りつめようとしている今、その最後の壁として自分が立ちはだかる責任がある、と感じたのではないでしょうか。時代に君臨した大横綱を倒して優勝を決めることによってはじめて、朝青龍が胸を張って「横綱」を名乗れる、と考えたのではないでしょうか。

 武蔵丸はいない、他の大関陣はあてにならない。このままでは確実に「今場所」、朝青龍が横綱に昇進してしまう。貴乃花には「次の場所」という選択肢はありませんでした。そして、本気で自分が「壁」になろうとしたら、自分にも優勝の可能性を残したまま、千秋楽の決戦に持ち込みたかった。だからこそ、わずか2日休んだだけで土俵に復帰し、やりたくもない立ち合いの変化をしてまで白星にこだわったんだと思います。

 逆に言えば、貴乃花は信じていたのでしょう。なりふりかまわず勝ち星を拾うことだけにこだわれば、千秋楽までなんとか戦い続けることが出来る、と。自分の体にはまだそれだけのチカラは残っているはず、と。

 が、彼の体は、彼自身が考えていた以上にボロボロになっていました。かつて、根が生えたように土俵からピクリとも動かなかった右ひざで、今は踏み止まることが出来ない。一度つかんだら最後、相手に抵抗することを許さなかった左の上手が、今は取ることすら出来ない。ここにきてついに貴乃花は、自らの体がもはや自分の意思通りには動かない、ということを悟ります。そして・・・・。

 なにごとにも終わりがあり、次の時代がやってきます。一時代を築き、偉大な功績を残した貴乃花には、ただただ「お疲れ様でした」という気持ちです。そして、新しい時代を担うべき朝青龍には、適当かどうかわかりませんが(笑)、10年前、別れ際に宮沢りえが貴ノ花に投げかけたこの言葉を送りたいと思います。

 「どうか、強い横綱になってください。」

 

 2003.1.17 (Fri)       世はまさにチワワバブル

テレビを見てたらね、釈由美子が出てたんですよ、釈由美子。そのシャクがね、ペットだとか言ってチワワを連れてきてたんです。「ちょこちょこ」っていう名前らしいんですけど、そんなことはどうでもいいんです。問題は値段ですよ。ちょこちょこは2歳なんですが、2年前に買ったときは17万円ぐらいだったらしいんですね。それでも充分高いですけど、いま同じチワワを買おうと思ったら35万円ぐらい(!)するらしいんですよ。

 35まんってアナタ、軽自動車買えますよ。チワワって体重どれくらいか知りませんけど、500グラムぐらい?軽自動車1台500キロぐらいですよ。おとな4人乗れますよ。チワワにおとな4人乗れます?まあ、どうでもいいんですけど。これも全てヤツのせいですよ。ホレ、「どーする?アイフル」のCMで、「キューン・・・」とか言ってるヤツの。あー、思い出しただけでカワイイ!!

 と、いうわけでチワワ・ブリーダー大儲けなはず。チワワで家を建てるヤツとか出てきます、きっと。なんかもう、何もかもどうでもよくなってきた・・・・。チクワでいいや、オレ。チクワうまいし。 

 

 2003.1.14 (Tue)       世代交代・・・・なのか?

横綱貴乃花は二日目の雅山戦で肩を痛め、またしても休場を余儀なくされました。肩の怪我が単なる脱臼かなにかだとすれば、右ひざの怪我ほど長引く問題ではないでしょうが、休場回数が歴代横綱中最多になってしまったことも踏まえて、引退問題が再燃してくるのは必至だと思われます。ボクは同い年ということもあり貴乃花の大ファンなので、もっと長く相撲を取って欲しいのですが、この2日の相撲内容を見ていると、正直「ちょっと厳しいかな」とも思います。

 雅山戦は取り直しの結果、勝ちはしましたが、足腰の強い貴乃花があれほど見事に投げられるのは初めて見ました。柔道でいうところの「払い腰、一本」という感じで、たとえ雅山のひじが同時に落ちていたとしても、貴乃花の体は完全に死んでましたから、間違いなく貴乃花の負けです。審判団がなにを思って「同体」としたかはわかりませんが、「お客さんも貴乃花の勝つところを見たいだろう」などというつもりで取り直しをさせたのだとしたら、それはプライドの高い貴乃花にとっては、耐え難い屈辱ではないでしょうか。

 相撲の世界で横綱は「神」です。神が背中から土俵に叩きつけられたり、まげに砂をかぶるのはあってはならないことですが、負けた勝負を無理やり無かったことにさせられるのは、それ以上の神への冒とくではないかと、ボクはそう思います。

 貴乃花は現在30歳。相撲界では確かにもう若くはありませんが、「体力の限界」を感じるにはまだ早すぎるんじゃないでしょうか。長く休んでることをとやかく言う人がいますが、怪我の箇所とそのひどさを考えれば、ボクはあと1年ぐらい休んで、キッチリ完治してから出てもいいんじゃないかと思っています。貴乃花には他の力士にない、いままでの稽古の「貯金」があります。1年や2年土俵を離れていたからといって、かつての強さが全て失われるとは思えません。

 ただ、一方で今場所綱取りを目指す朝青龍。彼の躍動感に満ちた相撲を見ていると在りし日の「貴花田」を見ているような感じがします。まさに日の出の勢い。8歳の年の差。かつて貴乃花自身が大横綱・千代の富士に引導を渡したように、朝青龍という新しい太陽が貴乃花を西の地平線へと追いやるのでしょうか。

 

 2003.1.11 (Sat)       「猫を噛みそうな窮鼠」のふりは非常に危険

北朝鮮がNPT(核拡散防止条約)から脱退を宣言したのは、いやなニュースですね。不穏なムードが漂ってきます。まあ、もともとNPTに加盟していたときも裏で核開発を続けていたわけですから、加盟=安全、脱退=危険という単純な構図ではなく、今回の宣言はアメリカを交渉の場に引っ張り出したいためのブラフ、具体的には重油の供給停止などの経済制裁をやめさせたいための脅迫と考えるのが妥当でしょう。

 北朝鮮は10年前にも同じようにNPTからの脱退をちらつかせ、その時は思惑通りアメリカの譲歩を勝ち取りました。で、今回も、ということなんでしょうが、もしも単純にそう考えているんだとすれば、ボクはその考えは大変危険だと思います。当時のアメリカと現在のアメリカは全然違う国です。確かに今はイラク攻撃の準備に忙殺されていて、すぐには北朝鮮に目を向けられないかもしれません。そういう意味では、「強硬姿勢を見せるならこのタイミングだ」と判断したのは間違いではないと思います。

 ですが、今のブッシュ政権は「テロや脅しには絶対に屈しない」というのをスローガンにしている政権です。というよりもそういった姿勢を見せる敵対勢力を「徹底的に撲滅する」ことを命題にしているような感じすらします。たとえ今は一時的に北朝鮮に譲歩するかに見えても、イラクのことが片付き次第、北朝鮮の「脅迫」に対する報復を必ずしてくると思います。それこそ完膚なきまでに。

 もしそうなってしまった場合は、韓国や中国、そして日本をも巻き込んだ全面戦争に発展する可能性もないわけではありません。金正日をはじめとする北朝鮮のトップたちがどうなろうと知ったことではありませんが、自暴自棄になって無茶苦茶な行動をすることだけは避けてほしいですね。北朝鮮のミサイルはアメリカ本土までは届きませんが、日本には確実に届きますから。

 

 2003.1.9 (Thr)       身長で言うとジャイアント馬場とおんなじ

大晦日の「イノキ・ボンバイエ」が紅白の裏番組としては記録的な高視聴率を挙げたのをみてもわかるとおり、格闘技はいまや一大ムーブメント。人気・実力を兼ね備えた格闘家は、一部のファンの枠を超えて国民的なスターとなり、かなりの収入も約束されます。当然のことながら「いっちょ俺もやってみるか」という者があとを絶たないわけですが、ここにきて意外な男が名乗りを上げました。いや、ある意味ではイメージどおりでもあるのですが・・・。

 男の名はジョン・ムウェテ・ムルアカ。その名前に聞き覚えのある方も多いでしょう。あの鈴木宗男被告の私設秘書をやっていた黒人の大男です。宗男被告の逮捕後、職を失って生活に窮しての参戦表明だそうで、普通なら失笑を買うところですが、彼の場合は単なる「客寄せパンダ」に終わらない可能性もあります。なんせ209センチの長身。そのうえ空手やレスリングをマスターしており、祖国ザイール(現コンゴ)ではプロ格闘家として50戦ほど戦い、ほとんど負けたことがないという経歴を持つそうです。

 もちろん、長いブランクがありますし今すぐには無理でしょうけど、しばらくみっちりと鍛えなおせばひょっとするとまともな試合が出来る状態になる可能性があります。そうなれば、もともと話題性は十分ですから、非常に興味深いファイターになることは間違いないでしょう。

 宗男さんは塀の向こうでどんなふうに思うんですかね・・・(笑)。

 

 2003.1.1 (Wed)       来年から紅白と「イノキ」の時間をずらしてくれない?

なんだかよくわからないうちに元旦ですね。明けましておめでとうございます。いやー、それにしても紅白で中島みゆきが歌詞を間違えたのにもビックリしましたけど、もっとビックリしたのが裏番組で闘っていたボブ・サップの腕ひしぎ逆十字固めですね(笑)。これまでの試合では、力任せに殴るとかブン投げるとか押しつぶすとか、ほとんどそんな戦い方しかしてなかったのに、いつの間に関節技なんか覚えたのでしょうか。

 今や超売れっ子のサップ。スケジュールは多忙を極め、練習する暇などないと思うのですが、新しい技術をマスターしてたり、筋肉の張りも衰えていないところを見ると、「睡眠時間を削ってでも、毎日トレーニングは欠かさない」というのはどうやら本当のようですね。

 かつてアマチュアレスリングでロシアのアレクサンダー・カレリンが何年にも渡って無敵を誇っていた頃、彼に敗れた相手が「アイツに勝つにはゴリラにレスリングを教え込むしかないよ」と半ばあきれ顔でコメントしていました。「ゴリラにレスリングって・・・。んなアホな(笑)」と思っていましたが、ホントにいましたよ、そのときのアナタ。奴が、ボブ・サップこそが「レスリングを会得したゴリラ」そのものです。

 サップがついにテクニックをも身につけてしまったとすると、まともに勝負になる人間は限られてきます。彼の相手は、同じこの日のリングで完璧な勝利を飾って見せた2人、柔道金メダリストの底力を存分に見せつけている吉田秀彦と、欠点が見当たらないほどののコンプリート・ファイターになりつつあるミルコ・クロコップ。これに、唯一完全な形でボブ・サップから勝利を収めている、王者アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラを含めた4人を中心にして2003年の格闘技界は回っていきそうな気配です。

 


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