世界に生きる人々(2)
戦いの中に身を置く人々。己の肉体を鍛え上げ、それを頼りに人生を切り開く。リアスターグは、人が住まない地域になると、かなりの魔物が生息しており、己の身を守る手段が無ければ、そういったところを旅するのは難しい。何も考えずに歩くことが出来るのは、東方の帝都から海へと注ぐヴェゼリア河一帯ぐらいである。 ただウォーリアーと言っても、様々なスタイルが確立されている。リアスターグで見られる典型的なスタイルを、いくつか挙げる。
戦いを生業にする人々の組織や機関は、リアスターグには あまり存在しない。大規模な戦乱は、相手が魔族でもそうでなくても、国家に属する正規軍の領分だからである。特殊なものではあるが、その中でも比較的有名なものを紹介する。
また、リアスターグでは、至高三神の教団が任命する特別な戦士の役割が知られている。以下にそれを簡単に紹介するが、説明としては、本来の分類であるホーリーサービスの方も参照のこと。
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私も 過去の記憶から槍をたしなみます。 やはり適度に鍛えられた肉体というものは、 魔法を使う者であっても必要ですしね。 魔法を封じられたときに慌てずに済む、 というのも、なかなかに便利なことです。 まあ私の魔法を封じることのできる者は、 そうはいませんけどね、ふふふ。 さて、リアスターグにおいて戦士という存在は、 やはり欠かすことの出来ないものです。 どんなに魔法が強力でも、どうしても限界があり 最終的に 自らの力が勝負を決めることが多いので。 何より、肉体を鍛え上げていれば、 あとは訓練と経験で、一定の力を発揮できる というのが大きいですね。 精霊剣士については、多少 補足をしておきましょうか。 この不思議な力は、特定の一族以外には使えません。 もちろん精霊と会話が出来れば、似たことはできます。 ただ、精霊たちも、精霊剣士は特別扱いするらしく、 彼らを相手にすると、私といえども 思うように精霊を使役できないことが多いです。 まあ、それ以外の手段を使えば、 十分にお相手は出来ますので、心配はいりませんが。 ただ、西方では 自分が精霊剣士だ、 と言いふらすのは止めた方がいいですね。 それだけで 皆 近寄ろうとせず、視線を逸らし、 気がつけば 周囲には誰もいない・・とか、 最悪の場合 無数の石が投げつけられる・・とか いったことになりかねません。 それほど"焔の戦い"における ジェスリダの力は凄まじかった、ということです。 実際、西方の大地の半分が炎に覆われたとさえいわれます。 この年の西方の農業生産は ほとんど皆無で、 ゲーゼビットのゲーゼ布ですら、品薄になりました。 「大地の半分が・・」というのは、 それほど極端な表現ではなかったのでしょうね。 これが南方になると、強力な助っ人という印象になります。 風をまとい、雷を振るうバリダの一族や、 水の盾と 氷の斧を構えたカンリダの一族は、 少年たちの目には さぞ格好よく見えるのでしょうね。 バリダは、かなり好戦的な一族です。 何と言うか 乱を好む・・というところがあります。 裏表は無く、潔い性格なので、 仲間にすれば、信頼には足ります。 カンリダは 物静かな一族です。 南方北岸で、屋根つきの小さな船をたくさん見かけたら、 それがカンリダの一族の船団です。 一族の者でなくても、外部の話を聞くのが 大好きですから、きっと歓迎されますよ。 ケリング殿は、オッフレング王国の国王の職が 時として、非常に退屈になるようです。 このため、虹の傭兵団を組織し、それを率いて 魔物退治や、傭兵稼業を楽しんでいる節があります。 正規の騎士団を傭兵扱いする辺りが、彼らしいです。 ただ、息抜きという意味だけではなく、 そうでもして実戦を経験させなければ、 戦士として使い物にならない・・ということを、 肌で感じているのだと思います。 ビステム王国との戦いもさることながら、 過去の亡霊フィリップとの決着も着いていませんからね。 これは愚痴に近いのですが、 至高三神に任命された戦士たちは いずれも厄介な相手です。 私のような者を見ると、よってたかって目の敵です。 なまじ力があるだけに、こちらも手が抜けません。 私としては、無用な争いは避けたいのですがねえ。 |
魔法を専門に使う人々。リアスターグでは魔晶(マナ)に様々な方法で力を加える技術の使い手ということになる。魔晶は、空気中にありふれており、それを使って普通は魔法を行使できるが、魔法を使用する頻度が高いと、その場の魔晶が一時的に枯渇することはある。そうした場合は、魔法を使わないことにするか、己の体内に眠る魔晶を用いるかを、選択することになる。体内に眠った魔晶は、なかなか回復しないため、術者の判断が重要になる。 リアスターグで知られている魔法ごとに、その専門家が存在する。
魔法の使い手・・という意味では、以下の様な 神に仕える人々も例外ではない(ここでは魔法の使い手としての説明に限るので、詳細な説明はホーリーサービスの方を参照のこと)
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何のかんのと言っても、やはり私は魔法使いです。 長い時を生きてきたことで、 様々な魔法を身につけてきましたが、 どれも非常に奥が深く、研究しがいがあります。 "神紋の扉"は、創立当初は"符術省"と言いました。 まだムリッカ家が国王になる前のことなので、 最初は 完全にムリッカ家の私設機関でした。 ムリッカ家が国王に互選されたとき、 この機関を 国営の機関として再編し、 そのときに本来の魔法の呼び名を付けたのです。 それでも中央では、いまだに神紋術のことを 符術と呼ぶ方が多いですし、そう呼ばれた頃の 伝統的な符を使う方も よく見かけます。 中央の人は伝統を重んじますからね。 過去のことであっても忘れないのです。 "魔術師の塔"には、何度か行ったことがあります。 歴代のアールハス公は、みな個性的な方でした。 統治者・・と言うよりは 研究者ですから、 都市国家を運営できたことは不思議です。 ここに集まる魔術師の皆さんは、 自分の意見を強く持った方が多く、 一度議論を始めると、朝も夜も関係なくなります。 いつ行っても、何年たっても これは変わりません。 歴史は繰り返すのですねえ・・って大げさですかね。 精霊使いが、何か組織や機関を持っている という話は、ついぞ聞いたことがありません。 ですが、精霊使いの一族が暮らす里 ・・というのは、それなりに見かけます。 やはり、子供の頃から 精霊のことを教えられた方が、 正しく付き合えるようになるのでしょうね。 "母なる神の揺り籠"は 互助組織・・というより 小さなパトロンの集まりと言った方が正確です。 その構成員は、一般家庭の人も多く含まれています。 そうした人は、吟遊詩人が近くを訪れたときに、 宿や食事を提供することで、彼らを支援します。 その代わりに吟遊詩人の歌や語りを求めることもあれば、 純粋に吟遊詩人を支援したいだけ、ということもあります。 いずれにせよ、そうした善意が集まって、 吟遊詩人たちは、活動が出来ているのですね。 そこまでして活動をするのは、娯楽提供だけでなく やはり呪歌を使う素質のある者の保護・・ という裏の目的があるからでしょうね。 ですから、大口の資金提供者の中には、 自分の子供が素質を持っていた、という方が 驚くほど多く含まれていたりします。 "チャルザック記念会"の名になっている チャルザック殿は、実に優れた錬金術師でした。 遺跡となった黄金都市を 最初に見つけたのも、 それが錬金術の遺産であることを突き止めたのも、 全て彼です。 これがなければ、今のように錬金術の知識が 深まることは無かったでしょうね。 私も最初に彼の研究書を 擦り切れるまで読みました。 ただ、チャルザック殿は 賢者の石の精製が 結局出来ないまま 亡くなってしまいました。 それが、単純な計算ミスのせいだった・・ というのが、なんとも皮肉なものなのですけどね。 その他に 魔法の力を持つものとしては、 幻術師のことを、ちょっとだけ触れておきましょう。 魔晶に働きかける力そのものは強くありませんが、 光と音の性質については、よくご存知の方々で、 彼らの作り出す幻影は 一見の価値があります。 夜空に降り注ぐ光の雨、光量を抑えた幽玄の表現 などは、もう芸術といっても過言でありません。 また大規模な楽師隊を雇う余裕が無いときなどに、 熟練した幻術師を一人雇えば壮麗な音楽を聞く といったことも可能です。 もちろん、絵や音楽に関する知識が無いと、 いかな幻術師といえど、人を感動させるものを 作り出すことは出来ませんけどね。 |
神に仕えることに一生を捧げた人々。神への信仰を拠り所にした強さと結束力を誇り、神の力に一部を 魔法の形で具現化することが許される。リアスターグでは、至高三神に信者は それぞれの教団組織に指導されている。慈母神に仕える僧侶は存在するが、至高三神のように教団組織は形成していない。時間神に仕える者については、特殊なので 個々の説明を参照のこと。 様々な形態で、神の意思を具現化する人々がいる。その方法は 本当に多種多様であるが、異なる神の信者間で いさかいが起きることは滅多に無い。見かけるとすれば、ラノス信者 対 ダスタム信者ぐらいだが、これは あまりに教義に差があるため、仕方の無いところはある。それでも、共通の敵 魔族を討ち果たすためであれば、どんな場合でも彼らは協力して、お互いの役割を果たす。 至高三神の信者たちの集団は、教団組織を作り 神の教えを守っている。彼らが使う神の奇跡は、三神それぞれ独自のものと、共通のものとがある。また、どの教団も 信者たちを守り、神の教えを広めるために 戦いに特化した者たちを擁している。そうした者は、普段から信者たちの範であると同時に、魔族と戦う時に中心的な役割を果たしている。
慈母神の信者の第一の目的は、自然の守護である。このため、慈母神の力を与えられた神官たちの役割は、至高三神の神官とは大きく異なる。総本山といえる場所は無く、"守護者"が守る森の各々が、その役割を果たしている。また、慈母神の祝福を受けた人々・・というのが、神官ではないが知られている。
時間神の力を借りる者は、厳密には神官というわけではない。特に"時読み"の方は、自分が時間神の祝福を得ているという自覚すらない。・・のだが、一応 ここに挙げておく。
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私の永遠の敵でありライバルです。 あ、いえ、そう言われています。 私自身は 争うつもりなどありませんが、 向こうは そうはいかないようですからね。 まあ、至高三神や慈母神のことについては、 今までも散々申し上げていますから、 これ以上語るのはやめておきましょう。 その代わりといっては何ですが、 時間神と魂導神、それにその他の神々について ちょっとだけ補足をしておきましょうか。 時読み・・というのは、実に変わったポジションです。 神の祝福を受けていますが、別に教義があるわけでなし、 生活するにしても、胡散臭い目で見られることも多く、 人に認められるのは なかなか大変です。 ただ、正確に未来を読み取れるのは、やはり力です。 私も、占術を多少は知識として持っていますが、 正確な未来予測は うまくできません。 さすがにゼムール殿も、私を祝福はしないですからねえ。 時守については、人々に馴染み深い時守と、 誰も知らない 真の時守とを混合しないように御注意を。 とはいうものの、時桶を見ながら生活している 真の時守というのが、いてもおかしくはないですけどね。 なぜ、私が真の時守のことを知っているのか? というと、魔族の力で転生を繰り返していたら、 それを止めるために、干渉されたからです。 格の高い魔族と契約していなければ、 今 こうして あなたと言葉を交わすことはできなかった ・・かもしれません。 それほどの力を、真の時守は有しています。 それから、魂導神リグナーデのことも、 もう少し ここで解説しておきましょう。 リグナーデは、全ての神の信者たちに信じられています。 神官であれば、様々な儀式を執り行いますが、 死者の魂を冥界に送る 葬送の儀式のときは、 どの神の神官でも、リグナーデに祈りを捧げます。 また、神の信者でなくても 日常的に"女神様"と呼んで、 リグナーデに 愛した者の魂を守るように祈り求めます。 リグナーデは、冥界にその身を置き、 エネルギーとしての魂を管理しています。 新たに生まれる生命に、冥界から魂を流し込み、 死した生命から抜け出た魂を、冥界へと導く。 このサイクルが 魔道大戦以降 繰り返されています。 誰も確認はしていないし、確認は不可能ですが リアスターグの東西南北の果て・・それが冥界ではないか? と、私は推測しています。 皆さん、ご存知ですか? この世界は球体で出来ているんです。 いえいえ、信じられないのも無理はありません。 ただ、そう考えると、東西南北の果ての先・・は 一ヶ所にまとまるのです。 ああ、はい。そうですね。これぐらいにしておきます。 幾らなんでも 荒唐無稽すぎますよね。 ところで、リアスターグに存在する神・・は、 至高三神と慈母神・時間神・魂導神の6人で全て だと思われますか? さすがに そこまでの力をお持ちの神は、他にいません。 ですが、魔族や竜のように 神と同等の力をもった存在は 確かに、この世の中にいます。 そして、未知の少数民族に信仰されている神が 確かに存在し、その民族を守っていることもあります。 ただ、信じる者が多くなければ、神の力も強まらないので なかなか目立たないだけのことです。 ですから、神という存在は、力あるものというより 信じる心を受け止め、それを力に出来るもの・・ ということが言えるのだと思います。 こんなことを言ったら、神々に対し不敬ですけどね。 ただ、そうした力を持った存在・・というのが 力こそ弱いにしても、この世にいる可能性は、 十分にあると、私は考えています。 そうそう、エルフやピクシーが 至高三神の信者になるのは 非常に稀です。慈母神のことを母と慕う人はいますけどね。 神に仕える一生を選ぶ人は 非常に稀です。 一方、ドワーフには、ダスタム信者が結構います。 鉄の都メナフィには わざわざ岩ドワーフを呼んで建てた と言う それは素晴らしい神殿があるほどです。 ホビットやライカンスロープの皆さんは・・・ あまり神を信じる、ということに興味は無さそうです。 でも、慈母神には敬意を払っていますね、彼らなりに。 ウィングの方々は、私たち人間と同じような 宗教感覚をお持ちですので、人それぞれで、 至高三神の教団に入信することもあります。 |
裏社会を生きる人々。・・どんな世界にも裏がある。リアスターグとて例外ではない。リアスターグにも盗賊や暗殺者たちの裏組織があり、人の多いところでは 彼ら独自の掟が支配する裏社会が作られている。 以下で紹介する人々は、多くの場合 自分たちの同業者たちで作り上げた互助組織に所属する。そうした組織の勢力圏内で、部外者が"仕事"をするのは、重大なルール違反であり、時には命をもって償わなければ成らなくなる。
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世界には様々な人々が生活していますから、 どうしても ここに挙げたような人々もいます。 ですが、彼らは彼らなりの規律に縛られており、 好き放題に生きていると言うわけでもないのです。 こんなことをいうと神官には怒られるでしょうが、 宗教組織と似通った部分があると思います。 その基本は、縦社会であり、自分より立場が上の者に 口答えをすることは許されません。 しかし、力さえあれば のし上がることも可能なわけで、 自分の力に自信があれば、生き易い世界かもしれません。 盗賊ギルドの総本部・・・気になりますか? 誰にも言わないと約束していただきたいのですが、 東方のウェーアーイーンにあるようですよ、ふふふ。 帝国領内とはいえ、あそこは特別ですからね。 情報を交換する・・と言う意味合いで、 冒険者教会とも連絡を取り合っているようですし、 帝国も必要悪と割り切っているのかもしれません。 無秩序な犯罪集団は手に負えませんが、 掟に縛られていれば、まあ無茶はしませんからね。 密偵に仕事を依頼する方法は御存知ですか? ああ、いえ知らなくても無理はありません。 意外に簡単なんですよ。 街の中の特定の木の枝に布を結びつける・・とか、 路地裏にある店で、特定のものを買う・・とかね。 まあ知らずに出来るようなものはありませんから、 「これで暗殺者を呼んだことになったら・・」 などとビクビクしながら生活する必要は無いですよ。 "銀の矢車"は 本当に最近出来た組織です。 まあゼール王国が フリーアムスの技術を集めるために 結成し活動しているようですね。組織の人らしき方が、 私の館にはるばる 御越しになったことがあるのです。 よく私のようなものを見つけ出したと感心致しました。 私が 魔族と契約を結んでいることにも 薄々 気づいておいでのご様子でしたが、 それよりも失われた技術を手にする事の方が先らしく 随分 性急に 私にも詰め寄っておいででした。 何も無いということで、納得はしていただきましたが。 ・・とはいうものの、ようやく見つけ出した宝物を みすみす引き渡すほど、私はお人よしではありません。 せめて一時だけ貸して欲しいとか言うことなら、 考えないでも無かったのですけどねえ。 "月下美人"は、リアスターグに住む男であれば、 誰しもが客になることを一度は夢見るでしょうね。 実際、かなりの綺麗どころを揃えていますし、 変わった嗜好の方をも、難なく満足させます。 ある意味、あれは魔法といってもおかしくないですね。 私も 是非 館にお迎えしたいのですが、 目的は 客になることではないので、 やはり難しいでしょうね、ふふふ。 中央地方で活動する"忍び"は、 本来 公に知られることが許されない立場の者ながら 随分 その存在が有名になっています。 その高い能力と、"侍"にも通じる精神性が ただの裏社会の一員として片付けることの出来ない 何かを人々に残すのかもしれませんね。 存在自体は広く知られているとしても、 実際に仕事を依頼する方法や、 その本拠地が知られているわけではないので、 さほど活動に支障は無いようです。 |
自らの技で 何か作品を作り出している人々。日々、リアスターグに生きる人々へ、様々な娯楽を提供している。それは、彼らの魂の表現でもあり、同じ魂を持つ人々の心を震わせる。 リアスターグでは、パトロンか 専属の取引相手を持り、そうしたところを通じて、自分の作品を世に送り出している者が多い。また同業者による互助組織の一員となることで、作品だけでなく道具の取引や 仕事相手の斡旋などをしてもらえる場合もある。
芸術家や職人は、多くの場合 自分の工房を構えており、旅をする者は少ない。それでも、時折 旅をしながら気ままに自分の作品を残していく者もいることはいる。 |
生活をする上で必要不可欠な道具から 娯楽まで・・ ここで紹介する人々が果たす役割は、 一言で言い表すことは出来ません。 様々な分野の専門家であり、どんな町や村でも ここに挙げた技術を持った人がいることでしょう。 大きな都市では、同業者が多数いるため、 商売的に競合したり、外部から来た者が儲けたり するのを防ぐため、互いに助け合うようになりました。 資金援助・仕事斡旋など、同業者組合の役割は その構成員にとって、非常に大切でしょう。 たいていの場合は、稼ぎの何割かを収めます。 固定の金額であることもあるようですがね。 北方では、都市内の商業権を独占しており、 外部から来た者が仕事をしたいと思ったら、 同業者組合を通じて、都市に税を払う といった制度が 敷かれているようです。 北方の 砂ドワーフだけは、 流派ごとにギルドを結成していますが、 南方の 鉄ドワーフや 岩ドワーフたちの場合は、 その都自体がギルドのようなものです。 例えば、鉄ドワーフに仕事を頼みたいときは、 まず都に赴き、城で申し込まなければなりません。 城で最適な職人が紹介される仕組みなのです。 芸能家にも、様々な分野がありますが、 最も一般的なのは やはり吟遊詩人です。 歌い手・踊り手というのも、よく見かけますね。 役者・奇術師・絵語り・人形師といった所は たいてい 一座を作って、各地を渡っていますね。 酒を飲むぐらいしか楽しみの無い辺境では、 そうした人々が訪れたら、 ちょっとしたお祭り気分になって、 子供も大人も楽しげになります。 吟遊詩人を始めとして、役者・絵語り・人形師が 人々に見せる演目は、 各地で起こった事件など最新のニュースや、 恋物語・神話といった娯楽作品が多いです。 芸術家たちの作品は、一般の目には触れづらいです。 庶民には、そうしたものを楽しむ ・・という概念が余りありませんからね。 ですから、金銭的に余裕のある人々が、 自分で金を出して 作品を作らせるというのが 普通の芸術家たちの活動となります。 もちろん、市場など 人が多いところで、 自分の作った作品を 人々に安価で売ったり、 その場で何か作って見せたりする人もいますね。 幻術家のいうものの位置づけは、 基本的に 芸能家・芸術家と同じようなものです。 ただ、自分の意思で光や音を発すると言うのは、 芸能家・芸術家の技を さらに彩らせることが できるため、そうした人と共に仕事をしている ということも多いです。 もちろん、私も光や音を発する呪を使えますが 人を楽しませる・・というのは、 それはそれで また別の技術なのですよね。 |
主に活動する場所が野外である人々。動植物を始めとする自然に対する造詣が深い。リアスターグの大地の大半は、開拓されていない自然であり、そこを旅する機会のある者であれば、彼らの助力を受けることも多いことだろう。 「活動する場所が野外」というのは、非常に抽象的な表現だが、以下にあげた役割を御覧になれば、その意味は分かるはずだ:
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ここに挙げた人々には、 皆さん 一度はお会いしたことがあるのでは? 特に、農業・漁業といった一次産業と呼ばれ、 国の基幹となる役割の人々が、ここには含まれます。 そうした人々の家に生まれた方も多いでしょう。 お金に困ったとき、一攫千金を目指す そういう人は、後を絶ちません。 こうして にわか冒険者が無駄に命を散らすのですが、 そうした危険と引き換えで得られるものは、 確かに大きなものがありますからねえ。 冒険者協会では、遺跡に仕掛けられていた罠などの 情報もきちんと対処法込みで取りまとめているので、 たまに見に行くと良いでしょうね。 また、様々な役割の方が、冒険者となっているため、 賞金首やら探し物やらの依頼書が、 ひっきりなしに来るらしいですよ、冒険者協会は。 ここ南方でも、北方のアハーシュのことを たまに耳にすることがあります。 割と適正な報酬で、ガイドを請け負ってくれますが、 もともと危険が多い砂漠でのこと、 なかなか大変だと思いますねえ。 騎手・操手といった、何かに乗る人々は、 その何かに乗ったとき、100%以上の実力を発揮します。 普段では考えられない速度で動くこともあり、 同じように心得が無ければ、振り落とされないように するのが精一杯・・ということすらあります。 それに 船乗りたちは、揺れる船の上でも 平気で走り回ります。 いちいち揺れているのを気にしていては 海の上で彼らに勝つのは難しいでしょうね。 |
主に町中を生活の場とし、そこで自分の能力や知識を振るう人々。だからといって、町の外に出たら能力を発揮できないわけではないが、"フィールド"に分類された人々との対比とした。 様々な職業が雑多に存在しており、ここで ひとまとめにするのは難しい。以下に挙げたものは、これまでの分類の中に入れられなかったもの・・という性質が強いことは否定できない。
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商人は社会の中で必ず必要ですね。 彼らによって 様々なものが流通します。 自給自足の考えも それなりに残っていますが、 都市の中では、商人が果たす役割が大きいです。 また、算術・文字の読み書きといった 普通の生活とは あまり縁の無い知識が必要な為、 商人には博識な方が多い気はします。 北方の大ギルドでは、そうした商人に必要な知識を 教育する機関も作られています。 いわゆる「商用語」も ここで考案された と言う話です。 薬師は、ラノス教団の役割と重なっていますね。 ただ薬草の知識や、薬師に伝わる治療の秘術が 薬師の存在を印象付けています。 魔法が発達し、私もたいていの疾病は癒せますが、 薬師のように各地を回って、人々を助けよう ・・とまでは思わないですね。 ほとんどの国で、薬師は自由に出入国が認められます。 世間一般の学者に対する評価は 「役に立たないことをやってる変わり者」 と言う感じです。 学術院エレンヴァースは、そんな社会において 学問の研究を続けたい、と思う者にとっては 楽園のような場所です。 同じ学問を目指すもの同士の交流もできますしね。 リアスターグにおける教育機関というのは すなわち専門職の訓練機関といえます。 至高三神の神官を目指す者は、その過程で 教団の中で文字の読み書きを教えられます。 でないと教典が読めませんからね。 教典の内容を神官が読み解き、 ときには字が読めない一般の人々に読み聞かせる というのが、教団の役割の一つでもあります。 商人も、字の読み書きや算術ができないと 仕事そのものが成り立たないですよね。 すでに仕事をこなしている商人の下に入り 仕事を手伝いながら、そうした知識を教わるのが 普通ですが、北方に限っては、 大ギルドが そうした訓練をしています。 大ギルドに属する人の紹介が必要ですけどね。 あとは騎士や役人、さらには支配者階層であれば 文字の読み書きなどは、当然 常識です。 王侯貴族であれば、専属の教師をつけて学びますし 騎士や役人は、具体的な仕事に着く前に、 必ず初等教育を受けるのが、普通です。 古代語や錬金術を学ぶ者や、学者たちも 文字の読み書きが出来ないと、かなり困りますね。 彼らは主に 自分の師から 読み書きを教わります。 学者たちの中には、自分の家に遊びに来る子供たちに ちょっとした暇つぶしで文字を教えることがあり、 その親に「怪しげなものを教えている」と言われる といったことが、ありがちですね。 意外に吟遊詩人たちは字が読めないことが多いです。 もちろん"母なる神の揺り籠"で教われますが 人々の記憶に受け継がれたものを歌い継ぐ人々も リアスターグには、結構いるものなのです。 |
これは社会的地位を表している。国の行政に関わっている者、騎士叙勲を受けた者などが含まれる。もちろん、これは役割の一面であるため、これまでに述べた役割との兼任という形になるのが一般的である。
社会的な地位を表すものには、以下のようなものが挙げられる。
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リアスターグには様々な国があります。 その多くは都市国家なのですが、 帝国のように広い領土を持つ国も幾つかある ・・というのは、もうお分かりだと思います。 国家権力の象徴たる王になる、ということは 非常に名誉なことであり、その権利を巡って 血なまぐさい闘争が起きることもありました。 ただ、リアスターグでは 魔族と戦う際に その指揮をする役割があるため、 元首になることを望む者が 比較的少ない ・・という噂もあります。 各国の正規軍と呼ばれる組織に 騎士は所属します。 純粋に兵力が必要な場合、国民を徴兵しますが、 そこまでしなければならない地域は少ないです。 ですから、正規軍=騎士と考えていただいても さほどの誤解にはなりません。 多くの都市は、市民権が無ければ居住できません。 理由はお分かりですか? そうした都市内は、治安が維持されており、 そこに住む者の安全を保障する代わりに、 税や労役などを求めているのです。 その管理を正しく行うため、都市に住む者は "市民"と言う形で、都市の記録に残されるのです。 こうした義務を果たせない場合、市民権は剥奪され 都市から追放されます。 犯罪を犯した者に対しても同様の処置が下る というのは、よく聞かれる話です。 なお、市民権が与えられるのは、基本的に成人男性です。 もちろん、市民権によって発生する義務を果たせるのなら 女性や子供でも 市民権は得られますが、 家長が無くなり、税を納められなくなって、 都市を出て行く・・という事例も 少なくはありません。 |