現在の秩序


■東方
リアスターグ東方地域 地図の見方
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■東方  □北方  □西方  □南方  □中央

 東方は四季がはっきりした気候の地で、農業が発展している。地勢的には"槍の玉座"と呼ばれる山地が中央部にあり、その頂上にあるアウザ湖からヴェゼリア河が西に向かって流れる。ヴェゼリア河は、ちょうど河の真ん中でチュイラス湖に流れる。チュイラス湖からは 本流となるヴェゼリア河のほか、幾つかの支流が流れる。
 東方を出身とする民族は チェレストと呼ばれる。金髪・碧眼・白い肌という外見が特徴だが、リアスターグ全土に その血筋は広まり、各地域の地が混ざって、様々な外見の人々が生まれている。
 東方を、さらに東に進むと切り立った高い岩の壁に突き当たる。それは先に進むことを阻み、その先に何があるのか、知る者はいない。

ディエル・レン・ティトス帝国
 東方は ディエル・レン・ティトス帝国の支配下にある。帝国は、ガーランド戦役を終結に導いたティトスが、戦役終結後、人々に請われて皇帝として即位したことにより興された。ティトスは、リアスターグ全土を治める初代皇帝として、世界の復興に尽力した。
 帝国は黒影衆というエリート集団によって統治されている。皇帝自身をあらわす"槍"、黒騎士団を率いる"剣"5人・黒魔兵団を率いる"杖"2人・後方支援を行う"車"3人・諜報活動を行う"矢"1人の総勢12人が黒影衆の構成である。なお、黒影の矢は その職務上 公に存在は認められていない。
 皇位継承の儀式において、継承候補者は必ず"御神の槍"を手に取り、その審判を受けなければならない。資格なき者が皇帝になろうとした場合、その場で命を絶たれる。初代皇帝ティトスの孫たちは、誰一人 ティトス3世となることなく、槍に撃たれて命を奪われ、ここに初代皇帝の血筋は絶えている。こうした場合、黒影衆の中から次代皇帝が選ばれることになっている。
 皇帝以下 帝国は、建国以来 魔族との戦いを国是としてきた。魔族との戦いで命を落とした皇帝も多く、皇帝と帝国に対する国民の信頼は非常に篤い。

 帝国がリアスターグ全土を統治していた頃から、自治は広く認められていた。皇帝は自治を認めた地域の責任者に"公"の名を贈った。現在のリアスターグでも「〜公国」という国名が残っているのは、そのときの名残である。
 全土を支配していた帝国だが、解放帝ティトス7世が 400年に"解放宣言"を出し、領土を東方のみに縮小した。それでも、帝国によって統一された時期が、リアスターグに共通の言葉・通貨・単位を残し、今も それはそのまま通用している。

 "槍の玉座"の頂上には、暗黒神ダスタム教団の総本山"槍の神殿"が建てられ、"御神の槍"が安置されている。"槍の玉座"と呼ばれるのも、このためである。そして、その神殿に隣接する様に、ディエル・レン・ティトス帝国の帝都シリアム・ティトセラが建造されている。ヴェゼリア河は帝都から海へとつながる交通の要となっている。
 帝都に入る時は、"槍の玉座"のふもとにある要塞都市ヅレキスで審査を受ける必要がある。ヴェゼリア河の河口には商業都市バッカースがあり、ここが帝国と他地域との玄関口となっている。
 チュイラス湖には水上都市チュイラスがあり、旅人の休憩地として利用されている。ここから流れ出る支流のうち、もっとも大きなレチェス河を下ると、帝国の農業拠点である都市レチェスに向かえる。レチェスは農業のほか、焼き物の町としても知られている。
 レチェスの付近には、ハルチェスという農業都市もある。こちらでは焼き物は発達していないが、山地に近く そこを回る猟師が立ち寄り、肉などの畜産物を取引できる。
 また、レチェス河とは反対方向に流れる支流をたどると、歓楽都市ウェーアーイーンに行ける。ここは裏組織の暗躍も盛んで、治安は良くないが、人の流れが激しく 様々な情報を得られる。魔法文明の遺跡探索を行う人々の組織"冒険者協会"の本部もここにある。
 この付近には鉱山都市デュレックロートもあるが、こちらも治安はお世辞にも良いとはいえない。だが、ここで算出される鉄鉱石が 帝国の武具製作に使われるため、ここも重要な拠点とされている。
 帝都シリアム・ティトセラ(皇帝・剣1人・杖1人・車1人が常駐)、要塞都市ヅレキス(剣1人・杖1人・車1人が常駐)、商業都市バッカース(剣1人・矢1人が常駐)、農業都市レチェス(剣1人・車1人が常駐)は 帝国の"四柱都市"と呼ばれ、軍事・経済・産業の拠点となり、黒影衆が常駐して都市運営を行っている。

アールハス公国
 東方にはアールハス公国という都市国家が存在する。先見帝ティトス4世と共に魔族と戦った魔術師アールハスが、自らの住む場所を、古代語魔法の研究の場としたとき、自由に行動が出来るようにティトス4世が アールハスに"公"の称号を贈った。
 以後、都市の中央にある"魔術師の塔"の長老が、アールハス公を歴任し、古代語魔法の研究を推し進めてきた。一般の人々にも、アールハス公国という名より、魔術師の塔と言った方が馴染みが深い。

 東方には、エルフのフィオレンサラス氏族の源森"久緑の森"がある。源森とは、氏族の長が住む森であり、すなわち その氏族の最長老が 東方には住んでいるのである。ここに住む最長老は、リアスターグに生きる全てのエルフの中で 最も高齢であり、いまだに魔道大戦の記憶を残している。帝国から"公"の称号を便宜的に贈られており、エルフたちは自治を法的に認められている。

 また東方には、ホビットたちが集まる"緑園の里"の存在が知られている。ホビットたちの集落は他にも存在が確認されているが、基本的に人間の社会に溶け込んでいるため、このように名を知られる里があるのは珍しい。ホビットたちの多くは、若い頃 ここで生活をした経験があり、そこで何らかの教育を受けているのではないか?と思われるが、その事実を彼らが認めたことは無い。

かなり端折った説明で恐縮ですが、
端的に言えば 帝国は 世界を魔族から守る盾です。
"御神の槍"による審判もあってか、
代々の皇帝も 基本的に世界のために戦っています。
私が「世界のため」などというのも変な話ですが。

それでも魔族に寄生され 黒影衆に粛清された皇帝もいます。
帝国に打撃を与えることは、この世界侵略のために
魔族が最優先で考えることですからね、ふふふ。
今のところ、魔道大戦やガーランド戦役で魔王が力を奪われ
魔族が大々的に再侵略する力は無さそうですから、
帝国という守りは、有効に働いていますね。

黒影衆の方々は、みな個性的な人ばかりです。
大きな力を持つということは、凡庸な人には無理
・・なのかもしれませんね。

アウザ湖の湖畔に 皇帝の居城と 槍の神殿が並び立つ光景は
なるほど威風堂々として素晴らしいものがあります。
一見の価値はあるのですが、私といえども
そう簡単に赴くことの出来ない警戒態勢なのが
実に残念というか、玉に瑕です。

帝国は暗黒神ダスタム教団と深い関わりを持っていますが
ダスタムの教えに従い、それを国民に強制はしません。
ですから、租税や労役の義務が多少あるだけで、
国民の生活は 比較的豊かです。
そして、魔族と戦うため、騎士や兵士の志願者は多く
戦力としては 全くもって侮れません。

四柱都市は、黒影衆が常につめていることもあり、
かなり高いレベルで治安が維持されています。
ですが、チュイラスやウェーアーイーン、
それにデュレックロート辺りは、女性の一人歩きが
ちょっとお勧めできないような状況ですね。
この辺りがダスタム教団を国教にしている帝国らしい
といえば、そうなのですが。


ホビットの"緑園の里"については、あまり知られていませんが
ホビットに伝わる盗賊としての技術を教えています。
ただ、このことに関しては、ホビット自身も魂をかけて
秘密を守り通そうとしますね。
え? なぜ私が知っているのか、ですか?
ふふふ、どうしても聞きたいのですか?


■北方
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□東方  ■北方  □西方  □南方  □中央

 北方はジヒト砂漠に そのほとんどを覆われた砂の大地である。温度差の激しい一日が延々と続く気候となっている。昼も夜も 旅をするには厳しい風土といわざるを得ない。だが、古代魔法文明の遺跡や、宝石の鉱脈が豊富に眠っているため、一攫千金を目指して砂漠を訪れる者は後を絶たない。
 北方を出身とする民族も、やはりジヒトと呼ばれる。茶髪・黒の瞳・浅黒い肌を特徴としており、北方の強い日差しの下でも耐えられると言われている。
 北方を、さらに北に進むと激しい砂嵐に 先を阻まれることになる。方向感覚は狂わされ、一度入れば戻ることは叶わない。その先に何があるのか、知る者はいない。

カハシュ都市連合
 北方では 砂漠に点在するオアシスを拠り所にして、砂漠には幾つかの都市国家が形成されてきた。都市国家として発達した理由は幾つかある。大きく分けると、宝石鉱脈を採掘する者の拠点か、古代魔法文明を研究する者の拠点として発達してきたものが主となる。
 宝石採掘を古くからしてきたのは ア=カハシュだが、ここは最近 鉱脈が枯れ始め、代わりに砂漠を旅する者のガイドを行うことを職業とする者が集まっている。ア=カハシュで採掘された宝石は、近隣のヘ=カハシュで細工されてきた。さらに完成された細工を ウィ=カハシュという町の商人が世界中に売りさばいてきた。この三都市は密接な関係を持っていたため、やがて商業的な連合を組むようになった。
 三都市によって結ばれた商業同盟は、その後 よく知られることになった。そんな折、古代魔法文明の研究をしてきた2つの都市が、奇しくも同時期に この商業同盟と関わろうとした。このうちポルワードは 友好的に同盟に加入を求め、受け入れられた。しかし、ゼハラは 自らが発見した魔法兵器を持ち出して、同盟に戦いを挑み、北方で唯一の戦乱である"ゼハラ封印戦争"を引き起こした。この魔法兵器の一撃を受けて、ウィ=カハシュは消滅した。この戦いが収束して50年ほど経過して、ようやくゼハラも同盟に加入を許された。
 ゼハラ封印戦争で消滅したウィ=カハシュは、その後ウィジッタという都市となって再建された。さらに砂漠外周で発達した商業都市レステア・鉱脈採掘のために人々が集まって形成された都市クアロシウスが加入した。さらに死の商人として世界中に知られるヴィシュ家が独自に作った都市ヴィシュが加わり、全部で八都市となった同盟は、現在は"カハシュ都市連合"と呼ばれ、経済だけでなく軍事的にも固く結びついている。リアスターグでは、単に"連合"と言えば、これのことを指す。

 都市連合では、もっとも登録された市民の多い都市が"主幹都市"として選ばれ、その都市の代表が 連合の代表となる。しばらくはポルワードが主幹都市だったが、地下に眠っていた古代魔法文明の遺跡が突如動作して、都市を壊滅させたため、現在はレステアが主幹都市をつとめている。

 ウィジッタには、都市連合の商人たちのギルド総本部が設置されている。北方の商人のギルドは"大ギルド"と呼ばれ、リアスターグ全土に その支部があって 北方商人の活動を支援している。

学術都市エレンヴァース
 砂漠の外周部に、タナルス教団の総本山"銀の神殿"が建てられている。また、これに隣接する様にして 学術院エレンヴァースが創設され、そこに学ぶ者たちが住む場として、都市が発展した。学術院はタナルス教団と関わりがあるわけではないが、知識を司る神のそばを 学び舎の地として選んだようだ。また、さらに芸術院フィリシーズも この都市に作られ、文化芸術の一大拠点となっている。エレンヴァースはタナルス教団同様 中立を守り、都市連合には参加していない。

 砂漠には"砂弓の民"と呼ばれる一族が、古くから暮らしている。砂漠に住む獣を狩ったり 飼いならしたりして、厳しい砂漠風土に溶け込みながら、日々の生活を続けている。彼らは北方では良く知られた部族であり、北方に住む者は 皆 敬意を払っている。北方の民族の特徴を、もっとも色濃く受け継いでおり、その地が 北方に住むもの全てに流れていると考えられている。

 砂漠の中でも一番の鉱脈には、ドワーフたちの地下都市"砂の都ヴァーディ"が作られている。ここでドワーフたちは宝石細工を作っており、その技術が北方には一部伝えられている。

北方は 実に個性的な都市の多い地域です。
それ以上に、古代魔法文明の遺跡の多さもダントツです。
というのも、ここは古代魔法文明が最も栄えた地域だからです。
遺跡が多いのも、宝石鉱脈が多いのも、それが理由です。
ですから、普通よりも魔晶の濃度が高い地域もあったりします。

ゼハラは、魔法文明期と同様の過ちを犯し、
周囲の魔晶を食いつぶしてしまいましたが、
ポルワードも、地下に眠っていた魔法文明の遺産が目覚め、
大変なことになっています。
地下にあったものが浮かび上がり、
都市のほとんどを破壊してしまったからです。
もっとも この遺跡の上に都市の中枢を移し、
都市再興を行っているようですね。

連合の最初のメンバーだった ア=カハシュや、ヘ=カハシュは
もう以前のように栄えてはいません。
ウィ=カハシュだった ウィジッタは、大ギルドの総本部が
あるので、まだまだ賑わいを見せていますね。

レステアは砂漠の外周にある都市で、
連合の中では唯一 都市の外部にスラム街を持っています。
これが治安悪化の原因にはなっていますが、
都市の内外で活発な商取引が行われているので、
痛し痒しといったところです。

クアロシウスは鉱脈掘りの町です。
掘り出した鉱石を 簡単に流通させる目的だけで
連合に加盟したため、それ以外の行政機能は皆無です。
ただ、住む者がお互いに掟を決めあっているので、
特に大きな混乱は無いようですね。

ヴィシュの名は、あまり評判が良くありません。
ヴィシュ家は自らの利益を守るために、
汚いことも平気でやってますからね。
現在の当主は、南方のジデニア王国の王女だったらしいですが
才覚を見込まれて、養子となったのだそうです。
連合に加盟したのも、彼女の提案だったようですが
果たして真意は何か? と思う人々も多いようです。

エレンヴァースは、ハーフエルフのカレンが学院長でして
創設以来、彼女が切り盛りをしています。
彼女は、エルフの血を引いているだけあって、
まだまだ元気ですね。

ちなみに北方に住むドワーフは"砂ドワーフ"と
呼ばれています。別に蔑称ではありませんよ。


■西方
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□東方  □北方  ■西方  □南方  □中央

 西方は、実はいまだに魔道大戦の爪跡が残る地域である。そのほとんどは湿地帯となっているが、東方と比べて 気温は平均的に低い。これは西方は曇りがちの天気が多く、めったに日光が当たらないせいだからだと、学者たちは予測している。
 西方を出身とする民族は フリーアムスと呼ばれているが、特殊なため、あとで詳しく説明をする。銀髪・銀の瞳・白い肌を特徴としているが、純血のフリーアムスは、もう生存していない。
 西方を、さらに西に進むと、湿地はさらに深まる。しかしそれだけでなく魔界と同じように瘴気が濃くなり、生きとし生けるものの侵入を拒む。その先に何があるのか、知る者はいない。

 西方について語るとき、フリーアムスと呼ばれる民族のことを抜きには出来ない。フリーアムスは銀髪・銀の瞳・白い肌という不思議な外見の一族で、高度な工芸技術・魔法技術を有していたが、それを恐れた魔族により 魔道大戦のときに徹底的に滅ぼされた。
 だが、彼らの技術は 西方に確実に受け継がれている。これゆえ西方の武具製作技術は、世界でも抜きん出ており、戦いに身を投じる者であれば、それを手にすることを、皆 夢見る。
 また、西方で生まれる人々の中には 銀髪や銀の瞳をもった者がおり、フリーアムスという民族そのものが完全に滅びたわけではないことを思わせる。

 西方は 帝国が領土を縮小したとき、最も混乱した地域だった。それを何とか収束させたのはゼールという若者と、彼が作った"生ける盾"という組織だった。治安が回復したとき、西方の人々はゼールを国王にして、新たな国を作ろうと持ちかけた。これに答えて、ゼール王国が建国された。
 だが、建国から3年足らずで ゼールは魔族との戦いによって命を落としてしまう。そして、その後の後継者を誰にするかで、いさかいが起こった。このとき次期国王の候補は"生ける盾"の中心メンバーだった ヘカリスと、ゼールの妻 エーリアの2人だった。結果として、ヘカリスが次期国王に選ばれ、ヘカリス1世として即位した。
 ヘカリス1世は、"生ける盾"時代から資金的な援助をしていたヴィシュ家に対し、王国内での商業的な特権を与えた。しかし、死の商人の噂が絶えないヴィシュ家を警戒していたエーリアたちは その方針を受け入れられず、次第にヘカリスとの対立が深まっていった。
 遂に、エーリアはゼール王国の辺境の都市で 自らを女王として 正統ゼール王国を樹立した。"生ける盾"のメンバーのほとんどが、彼女の元にいき、ここにゼール王国は分裂した。それから200年弱の間、ゼール王国と正統ゼール王国は 互いに正当な王権を主張して、戦乱を繰り返すことになる。なお、分裂前のゼール王国は、現在のゼール王国と区別するため、"旧ゼール王国"と呼ばれることが多い。

 対立を深めていた両国だったが、東方のティトス帝国で、"黒影の剣"ミシェイラが 魔族に寄生され、南方に対し魔族と化して戦いを挑んだときに、一度だけ協力した事がある。というのも、この戦いで"御神の槍"が折れてしまい、それを修復できるのは西方の職人以外にいない、といわれて持ち込まれたからだ。
 このときは両国の職人たちが一丸となって働き、最終的に 当時のゼール王国国王ヘカリス2世が 己の命と魂を捧げて、御神の槍は修復された。この行いに敬意を表し、正統ゼール王国の当時の女王ジュゼ1世は"休戦宣言"を提案し、両国間で合意の運びとなった。
 その後、ヘカリス2世の跡を継いだゼール2世は、ジュゼ1世に分裂した王国の統一と、それを表すための結婚を申し込んだ。しかし、それを交渉するため、国境付近の都市で会合を開いた2人を、魔族が急襲し、都市ごと両国の王と重臣たちを死に至らしめた。

 現在も、ゼール王国と正統ゼール王国は分裂したままだが、互いの覇権争いは休止し、魔族との戦いを最優先させている。どうやら、この魔族は 初代のゼールと戦ったものらしく、西方に最も関わりの深い魔族である事が確認されている。
 正統ゼール王国は、ジュゼ1世の横死後、しばらくの間 女王の座が空位のままだった。しかし、最近になって 在りし日のエーリアに瓜二つの女性が、エーリア2世として即位した。

ゼール王国
 西方の北部を治める国家。国王の下に、各分野の大臣が内政を補佐する。軍事的には、統爵(とうしゃく)を総司令官(国王が兼任することもある)とし、その下に 大隊を率いる師爵(すいしゃく)が4人いる。統爵は都市とその周辺を領土として与えられ、その地の治安維持と防衛にあたる。帥爵の下に小隊を率いる隊爵が何人か付けられる。個人的な騎士は剣爵という称号を拝領する。
 国王と統爵は、王都シリアム・ゼリナートに居を構える。そして、コルフティカ家・アフィシャス家・マナテルム家・リサァンテ家が、代々 帥爵を務め、それぞれの家の名を冠した都市に詰めている。このうち、アフィシャス・マナテルムは、正統ゼール王国との国境を守る重要な任に当たっている。リサァンテは、ゼール王国の海の玄関口を守っている。コルフティカは、王国内の小さな塚を守っているが、それがなんのためのものか、知る者は もういないに等しい。
 内政を司る大臣の中では、封務大臣というのが特別な作業のために、秘密裏に任命されている。それは、失われつつあるフリーアムスの技術の収集・保護・研究である。この大臣と 下部組織は公にされていないが、西方を駆け回りながら、フリーアムスの技術を集めているといわれる。

正統ゼール王国
 ゼール1世の死後、即位したヘカリス1世の統治方針に反対し、ゼール1世王妃 エーリアが興した国家。西方の南部を治める。代々、女王が最高権力者となる。女王の魅力に惹かれ、今も各地から移住してくるものが多いという。
 ゼール王国のような役職を持つ者はいない。必要な作業に応じて、"鋼の騎士"という爵位のようなものが与えられ、その者が責任者となって、行政や軍事をとりまとめる。常時 特定の任に当たる者から、一時的な作業のみの者まで 様々である。
 最初は ゼール王国辺境の漁村を王都シリアム・ゼルスとし、その整備を行った。その後、ゲーゼ布という特殊な織物を産出するゲーゼビットと、武器職人の街ノム・ノードが正統ゼール王国に臣従した。その産物を王都から海を通じて世界中に売りさばくことで、国庫が潤うようになっていった。王都は港町として発展し、正統ゼール王国の国力増強に貢献した。
 また、大地の精霊剣士が両国に分かれて戦いを繰り広げた"焔の戦い"に勝利したことで、農業生産地であるヒルスィターを獲得し、慢性的な食糧不足も解消された。
 西方には精霊守ジェスリダという大地の精霊剣士の一族が生活している。西方の戦乱においても、あまたの要請を無視して中立を保っていたが、一度だけ戦乱に参加した事がある。その力はあまりに強大で、この戦いは"焔の戦い"と呼ばれ、西方の人々に 精霊剣士に対する恐怖を植え付け、いまだに恐れられている。

 西方には、エルフのメヌエラ氏族の源森"銀輪の森"が存在する。ここの最長老とその子らは、みな銀髪を特徴としており やはりフリーアムスとの関わりを感じさせる。ピクシーの女王"大女王"の里も 銀輪の森に存在していると知られている。

西方も、一風変わった雰囲気です。
ゼール王国の分裂も かなり強引な理屈ですしね。
やはり、魔族によって倒された・・という
ゼール1世が、大きな鍵を握っています。

ここだけの話ですが、ゼール1世は魂だけの存在となり
魔族の侵略を押さえ込んできたのです。
その魂は ゼール王国領内の小さな村で、
"生ける盾"の中心人物の一人コルフティカ帥爵と
その一族によって守られています。
"生ける盾"の人たちは、ほとんどが
エーリアについていったのですが、
コルフティカだけは、ゼール王国にとどまりました。
それもゼール1世の魂を守るためなのでしょうね。

エーリアが正統ゼール王国を興したのも、
政策の違いというよりも、ゼール1世の封印を守るため
だったりするんですね、これが。
エーリアとヘカリスは、分かたれた封印の鍵を
ゼール1世に託されました。
これが1つになることの無いように、
2人は袂を分かち、あえて対立することにしたのです。

ただ、そういった言われは 割と簡単に失われ、
ミシェイラ討伐戦で折れた"御神の槍"の修復に
魂をかけて両国が協力できたこともあり、
再び統一しよう、という機運が高まったわけです。

そのために両国の王が会見をしたときに、
二人が・・いわゆる・・接触をしたのでしょうね。
封印の鍵は1つになってしまい、開かれてしまいました。
これによってゼール1世の封印は破られ、
西方を魔族が跋扈するようになった・・のでした。

もっともゼール1世の魂は、まだ失われておらず
今の状況を何とかするべく必死になっています。
まあ、今度やるときは もう少しうまくできるように
私が助言を差し上げましょうか、ふふふ。


ヴィシュ家が西方に介入していたのは、
どうやら西方の武器製造技術を手に入れるため
だったようです。これに成功したため、
その生産拠点として作られたのが、
北方のヴィシュという都市だったりします。

ですから、北方でも最近は西方に劣らない
良質な武器を手に入れる事が出来るように
なってはきましたが、要領がいいというか・・。


おっと、ゼール王国は やはり語り甲斐がありますね。
あとは西方の果てについて少々触れておきましょう。
実は、魔道大戦の直接の原因となった 最初の魔書を開いたのは
フリーアムスの若者 ディゼルという人物でした。
そして、その一族の力を憂慮した魔族は、
普通より遥かに高い代償をディゼルに求め、
それもあってフリーアムスは根絶やしにされました。

とはいえ、なかなか完璧には行かなかったのでしょうか、
西方の果て、瘴気の濃い沼地の中で、
フリーアムスの特徴を持つ者に助けられた・・
という人々が実は結構いたりします。
真相は、どうなのでしょうね?

いずれにせよ、魔界への扉は2つとも
この西方で開かれ、特に魔界の瘴気が多く流れ込みました。
現在も それが完全に薄れてはいないわけです。
ここに瘴気が残っているために、
人間は不老不死ではなくなったのかもしれない
と考えたこともありますが、実証はできません。


■南方
リアスターグ南方地域 地図の見方
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□東方  □北方  □西方  ■南方  □中央

 南方は、気温が高く湿気の多い風土となっている。山がちで広い平地はあまりない。森も多く 慈母神や妖精たちの力が色濃く現れるといわれる。だが、さらに南に下った辺境地域では、逆に気温は低くなり 雪すらも舞う気候となる。
 南方を出身とする民族は、アウギューヴと呼ばれる。金髪・金の瞳・黒い肌を特徴とする。またアウギューヴの血を引く者は、ほぼ例外なく金の瞳を受け継ぐため、南方出身という意味で"金の瞳"という表現が普通に使われる。
 南方を、さらに南に進むと、険しい山岳地域が立ちはだかる。その先は 時の流れが止まっており、何人も先に進むことはできない。その先に何があるのか、知る者はいない。

ビステム王国
 南方は、数多くの都市国家が乱立し、混沌とした状態が続いていた。しかし、ここ最近になり ビステム王国が周辺への侵略を繰り返し、少しずつ その勢力を増してきた。そのやり方は かなり強引で、進んで臣従してきた国には比較的寛容だが、抵抗した場合は完全に滅ぼしている。国王のリドは 即位して30年ほどたつが、いまだに若さを保っており、そこに魔族の影を感じる者も最近は増えている。
 ビステム王国に臣従した都市国家はすでにクレンス・レイゼ・ピュイサの3つ・滅ぼされ併合された都市国家もディス公国・シェレネーキー(旧ディス公国の都市)・アストルムと3つを数える。もっとも滅ぼされた国家のうち、ディス公国はマリエルによって復興され、オッフレング王国や山岳都市ランデルトの勢力と同盟して、ビステム王国に対抗する最大勢力となっている。

中立都市レハ
 ビステム王国の王都シリアム・ビストの付近にあり、現国王リドが生まれた都市。リドが国王として即位したときに、急に中立を宣言した。以後、ビステム王国の支配を受けず、中立を保っている。
 何かにつけて好戦的なリド王が、この都市の中立だけは なぜか認め、一切手出しをしていない。このため レハは 国王に反旗を翻そうとする者が密かに集う拠点となっているらしい。

ディス公国
 ビステム王国に滅ぼされ、命からがら逃げのびた ディス公国の公女マリエルは、成長して 自らの血筋を知り、南方で 改めてディス公国を興し、ビステム王国に対抗しようとしている。マリエルには双子の姉がいて、やはりマリエルと共に どこかに逃れたらしいのだが、その後の消息は不明である。
 ディス公国には、紅・碧・蒼の3つの騎士団があり、マリエルに忠誠を誓って、いずれ起こるであろう戦乱に備えて、訓練の日々を重ねている。
 現在は シリアム・ディセーラという都市のみの国家となっているが、ビステム王国に滅ぼされる前は、3つの都市を従え、ちょっとした勢力であった。

オッフレング王国
 マリエルが自らの生い立ちをしるまで、共に旅をしていた 戦士ケリングは、マリエルがディス公国を再興した直後、オッフレング王国の王として即位し、マリエルとディス公国と固い協力関係を結んでいる。
 もとはスラス・キャスラングといって、3つの王家が連合した国家だったのだが、王位継承争いに敗れた王家の1つが断絶されたとき、それを恨みに思った当主フィリップの魂が 魔族に囚われ、魔族と化して、残った2つの王家に襲い掛かった。何百年かにわたる戦いにより、2つの王家は滅ぼされた。
 最初、ケリングは最後に残った王家の王子の影武者として雇われていた(それほどに顔が似ていた)。しかし、王子は途中で魔族フィリップに襲撃されて命を失い、王家そのものも完全に断絶してしまった。それでも最高権力者としての王は必要とされており、紆余曲折の末、王としての素質を認められたケリングは そのままスラス・キャスラングを継ぎ、国名をオッフレング王国に改名した。結果としてスラス・キャスラングを滅亡に追いやったフィリップは、次はケリングを狙っていると言われている。
 ケリングは"虹の傭兵団"という組織を作っている。傭兵とはいうものの、これはれっきとしたオッフレング王国の正規の騎士団である。ただ、招請に応じて各地に騎士を傭兵として派遣するため、この名が付けられている。ケリングは 傭兵団の団長であり、現在はディス女公マリエルに雇われている・・とうそぶいているらしい。
 スラス・キャスラングの頃の3王家が拠点としていた3都市の1つを王都シリアム・オッフレングとし、1つを自由都市セルナーテレスとして誰でも出入りできるようにした。もう1つは港町ヌーヘルスで、今も王国の海の玄関口となっている。フィリップに滅ぼされ廃墟となったままの都市も存在しているという。

山岳都市ランデルト
 南方の辺境で、過去のドワーフたちの都市だったところに荒くれ者が集まって出来たもの。都市というよりは集落と言った方がよいものだったが、ここに住んでいた荒くれ者が、ある日突然現れたギルスという若者に 残らず打ち倒され その手下となった。
 ギルスは、ケリングやマリエルと共に旅をしてきた仲間で、彼らが国を持ってビステム王国と戦おうとしているのを見て、自分が率いることのできる軍勢を探していた。そして、このランデルトの荒くれ者を従えようと決めたのである。実際ギルスにはリーダーとしての素質があったらしく、ランデルトの荒くれ者たちは 皆 心からギルスに従うことを誓って、共に戦おうとしている。
 ランデルトのみの都市国家である。ネハースリッグと交易することもあるという珍しい都市でもある。

ジデニア王国
 香辛料の独占的栽培によって利益を得ている ジデニア王国も よく知られている。ここで栽培される香辛料は、なぜか この国の領内でしか栽培できず、それゆえに独占的に香辛料の交易を行っている。北方の商人との関係も深いといわれ、実際 この国の王女の1人は ヴィシュ家に見初められ、養子となってヴィシュ家当主の座を引き継いでいる。
 王都であり王国唯一の玄関口は港町シリアム・ジデニアス。ここ以外から、国内に入ることは許されていない。また、他国から来た者は、王都から出ることも許されないため、国内がどのようになっているのか、あまり知られていない。

竜王朝
 南方に住んでいた少数民族ファランズが、都市国家アンフェナに突如侵攻し、そこで竜王朝を興して、現在に至っている。その支配は 比較的緩やかで、侵攻前からアンフェナに住んでいた者も不満は持っていない。周辺に対し、さらなる侵略活動は行っておらず、不気味な静けさを保っているため、周囲は警戒を緩めることが出来ずにいる。

神聖都市グリアテール
 南方には、神聖都市グリアテールという ラノス教団の総本山がある。都市の中央には、金色に輝く"光の神殿"が建てられ、夜でも明るく都市内を照らすと言う。魔道大戦のころから、グリアテールは 同じ場所にあり、魔族との戦いにおいても、神と人間の最後の砦として、陥落することなく 人々を守り続けた。
 ビステム王国領とは離れているが、リド王の動静について、聖戦士を派遣して監視を始めているらしい。

 南方には 大空の精霊剣士の一族 精霊闘士バリダ・大海の精霊剣士の一族 精霊船団カンリダが その力を守りながら生活している。

 南方には、エルフのキュールセルタ氏族の源森"命光の森"・ピクシーの女王"友女王"の里がある。この地のエルフの源森には、万病を癒す泉があり、そこを目指す人々は多い。また、この地方のエルフは 金の瞳をしており、西方と同様 その地に生きる人間との血のつながりを感じさせる。

 さらにドワーフの"鉄の都メナフィ"と"岩の都ケレイア"も有名である。メナフィは優れた武具作成、ケレイアは優れた建築技術を専門としている。ケレイアのドワーフだけが硝子を作る事が出来、リアスターグ全土で重用されている。

 また南方最辺境の"時が凍る地"の付近に、ウィングの都市国家ネハースリッグがあり、南方をさらに進もうとする者を見張っている。この都市は非常に閉鎖的で、空を飛べる者でなければたどり着けない上に、外部からの客人を余り歓迎しない。

南方は私も住む地です。
なかなか混乱した状況なので、私の都合がいいのです。
私の住む付近は、たまにネハースリッグのウィング達が
見回りに来ていますが、一度 お灸を据えて以来、
彼らとのいさかいはなくなりましたね、ふふふ。


最近は、リド国王が暴れていますね。
彼と魔族の関係は・・言わぬが華というものです。
私なら、もう少しスマートに済ませますがねえ。

マリエル嬢は美しく成長されました。
姉君のことを まだお探しのようですが、さてさて・・。
ケリング殿との仲も順調とお見受けいたしますが、
国家の結びつきということになるので、御成婚までは
まだまだ色々と障害がありそうです。

今のところ ビステム王国は侵攻を停止しており、
戦乱の気配はありませんが、
いつ何が起こるのかは分からない状況です。
起きたら起きたで、私の素材集めにも都合がいいですが。

中立都市レハについても、少しだけ。
ここは確かに反リド王派の拠点となっています。
ですが、蜂起して リド王に戦いを挑んだ
ということは、ついぞ聞いたことがありません。
どうやら、敢えて中立を認め、レハに反国王派を集め
少しずつ その勢力を削いでいこう・・という思惑が
リド王にはあるようですねえ。
実際、レハに赴いた反国王派の人が行方不明になる
ということが、最近 多いらしいですよ。


ところで、現在は竜王朝の拠点であるアンフェナは、
それなりに昔から独立都市として栄えていました。
ですが、"御神の槍"が折れたというミシェイラ討伐戦でも
その攻撃に晒され壊滅しかけました。
ティトス帝国の皇帝自身が魔族に乗っ取られた時も、
アンフェナが帝国の前線基地とされていました。
そして、今はファランズ族に占領されています。
なんというか、不運な歴史を重ねていますね。
もっとも、これらのことがあっても人々の暮らしに
特に変化はなく、その意味では図太い神経でなければ
アンフェナでは暮らせないのかもしれません。

それから、竜王朝は 竜を神として崇拝しています。
ですが、竜は神々と違い、
そうした者がいるからと言って力を増すことは無いし、
そもそも 自分を崇拝する者を 特別扱いもしません。
ファランズ族は、自分たちの力が 竜に管理されている
ということを知っており、それを忘れないために
竜を崇拝しているのかもしれませんね。


南方に住むドワーフは、北方と同じように
鉄ドワーフ・岩ドワーフと呼ばれていますね。

岩ドワーフが作る透明な硝子は、壊れやすいですが
寒さを遮断し、しかも外を見通すことができるので、
建築物を作る際に重宝される優れた工芸品です。
私の館にも ふんだんに使われております。

鉄ドワーフに打ってもらった槍というのも持っていますよ。
彼らは 自分自身も優れた戦士であり、
戦って技量を認めた者にしか、武器を作りません。
それでも彼らの武器を持つということは、
やはり大きなステータスシンボルですね。


■中央
リアスターグ中央地域 地図の見方
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□東方  □北方  □西方  □南方  ■中央

 中央は、東方と同じく四季がはっきりした過ごしやすい気候となっている。中央部は"剣"と"盾"という2つの大きな島と、さらに小さな群島によって形成されている。"剣"の方は、平坦な土地が続き ほぼ全面的に農地となっている。"盾"の方は、中央に山岳があり、その裾野が島全体に広がっている。
 中央を出身とする民族は、ガレイアと呼ばれる。黒髪・茶の瞳・黄色の肌を特徴とする。ガレイアの特徴は、他民族と混血しても、なかなか出ないことで知られる。そのため、何代か前に交わっただけのガレイアの特徴が突然現れ、大騒ぎになることもある。
 結界によって隔絶されていたこともあり、中央では独自の文化が発展した。特に他地域では失われていた 神紋術が長い時を経て なおも受け継がれていた。現在は他地域との交流も盛んなため、多くの文化が交じり合っているが、古きガレイアの伝統は 今も多く残っている。

 中央は、ガーランド戦役を抜きにして語ることはできない。魔道大戦の末期、魔王を封じるため、この地域をすっぽりと覆うように結界が張られ、その中に魔王は封じられた。それから300年ほどの間、この地域は隔絶され、外部との行き来は不可能になった。
 結界が弱まったとき、魔王の復活を許したが、他の地域との連絡も可能になり、全土を上げて魔王と対決する事が出来た。

ガーランド選王国
 魔道大戦の頃から、中央地域は ガーランド選王国によって統治されてきた。この国には、ムリッカ家・ソウマ家・アカシェル家・ビュード家・グレムキュリス家・シンカイ家という6つの選王家があり、その当主の中から国王を互選してきた(同じ選王家から連続で国王に即位はできないなど、決まりはある)。現在はムリッカ家が国王の座についている。ガーランド戦役以後も、国家体制が崩れなかったため、国王(当時はソウマ家)は早々に帝国から"公"の称号を授かった。
 選王家は それぞれが"統核都市"と呼ばれる都市を与えられている。統核都市を中心とする地域について、選王家は自治を認められている。国王として選ばれた場合、その選王家の統核都市が 王都シリアム・ガーランドとなる。旧王都から新王都への役人たちの移動は、新たな国王が選ばれたことを、国内に示す風物詩となっている。なお、"剣"と"盾"以外の群島は国王の直轄領とされている。

 ムリッカ家の統核都市は リスタで、"盾"の中央部に位置している。なお、今は王都シリアム・ガーランドとなっている。ムリッカ家はチェレストの外見的特徴(金髪・碧眼・白い肌)の家系だが、れっきとしたガーランド人である。代々 優れた"符術士"の家系であり、王都には神紋術を研究する王立機関"神紋の扉"が設けられている。
 ソウマ家の統核都市は エスタフォートで、"剣"の柄に位置している。中央で大きな勢力を持つ商家でもある。ガーランド戦役直後、国王に選ばれたソウマ家当主は積極的に他地方との取引を行った。その結果、経済的に発展しただけでなく、中央部をリアスターグに溶け込ませることに寄与した。それから100年ほどたっても商業都市として栄え続け、北方商人の大ギルド支部は、ここに設置された。
 アカシェル家の統核都市は フィンで、現在の王都シリアム・ガーランドと山を挟んだ反対側に位置している。この地域には豊富な金銀の鉱脈があり、結界に閉ざされていたときは、アカシェル家の管理の元、選王国内で通用する貨幣を製造していた。また、アカシェル家は "忍び"の家系であると言う噂が絶えない。
 ビュード家の統核都市は モストルクで、"盾"の最東端に位置している。この地域は古くから農業と漁業が発展しており、中央部の食糧生産の半分を担っている。モストルクは漁港としての性質が強かったが、結界が解けた後は、主に東方を相手とする貿易港としても発展した。ビュード家も "忍び"の家系であるという噂がある。
 グレムキュリス家の統核都市は ハス=ハルで、"盾"の南西の端に位置している。この都市は ハスとハルという2つの都市から成っている。ハスの方は住民の管理が行き届き治安も良いが、ハルの方は誰でも居住できるため治安はあまりよくない。この地域には古代魔法文明の遺跡が多く残っており、その探索の拠点として ハス=ハルは栄えてきた。
 シンカイ家の統核都市は イリュメンで、"剣"の刃先に位置している。代々 選王国の騎士である"侍"を輩出してきた家柄で、リアスターグ全土にも その武門としての名声は轟いている。シンカイ家の当主は ガーランド選王国の正規軍の総責任者である"将軍"の任に当たることが通例となっている。

精霊殿
 中央には精霊殿という建物がある。雷・風・炎・土・氷・水という三界の精霊の名が冠せられており、魔王を封じる結界の要となっていた。だが、精霊の力が強く結集していたためなのか、精霊の力が変質してしまい、邪精霊と呼ばれるものが 精霊殿の近くでは多く現れ、周囲を襲っていた。この邪精霊の出現を抑えるため、精霊殿には 精霊使いが住んでいたのだが、長い時を経て その伝承が失われ、精霊殿は邪精霊の巣窟となり、さらには結界の要としての力も失われた。
 こうして結界は弱まり、魔王の目覚めを呼び、ガーランド戦役を引き起こすこととなった。もっとも、これによって魔王を 魔界へ撤退させる事が出来、リアスターグは1つの国にまとめ上げられたのも事実であり、現在の秩序に与えた影響は大きかった。

 "盾"の山岳地域には ウィングの都市国家リッグキートが作られている。南方のネハースリッグと異なり、こちらは外部との接触にも積極的で、空を飛べないものでも自由に都市内が行き来できるようになっている。リッグキートのウィングたちの外見は金髪・碧眼・白い肌であったため、結界に閉ざされていたときは ガレイアの特徴ばかりの人間たちに差別されていたといわれる。

 さらにエルフのニスティアート氏族の源森"深淵の森"があるが、他の源森と異なり 外部との接触を今も強く拒んでいる。中に入ろうとする部外者は、一度だけ警告をするが、その後は躊躇い無く弓で打ち抜かれる。

 また、ホビットとピクシーが共同で"小さきものの里"という集落を作っている。この里には、ピクシーの女王は"小女王"が住んでいる。姿の小さなホビットやピクシーたちは 結界に閉ざされている間、人間たちに 大きな差別を受け、自らを守るために 里に引きこもったといわれる。

 中央にはなぜかドワーフの都市は存在しない。ただ、"捨てられた都アネール"というのが残されているのみで、結界に閉ざされている間、ドワーフたちは人間の都市で生活をしていた。アネールは いまだに都市機能が生きており、なぜ捨てられたのかは謎となっている。ドワーフたちも、そのことについては口を閉ざし続けている。

中央もまた、かなり特殊な地域でしたね。
結界が解けて、ガーランド諸島が目の前に現れたときは
さすがに私も驚きました。
かなり強力な結界が張られていることは分かっていましたが
あれほどとは思っていませんでした、当時は。

ガレイアという民族は、やはりちょっと変わっています。
彼らがいうには「礼」とか「恥」とかが、
生き方の中で 非常に重きを置かれるのだそうです。
あまりに変わっていて、私は理解に苦しみますが。

王に使える騎士は「侍」という立場なのですが、
まあ潔くて、付き合っていて気持ちの良い方ではあります。
ちょっと堅苦しいですが、
騎士というのは 本来そういうものですしね。


最近はガレイアも 他の民族と混血していますが、
いまだに純血の方々が 多く住んでいます。
あまり他の地方に旅をする方がいないのも特徴ですね。

あと自分と異なる外見の者に、かなり違和感を感じる
という民族性があるようです。
ですから、亜人間の方々は随分差別されていたようです。
もっとも結界が外れ、他地域と接触するようになってから
200年ほどたち、昔ほど酷い差別はもうありません。


ここに残っていた神紋術は「符術」と呼ばれていました。
聖別された札に 神紋を描き、それを媒体にして
魔法を発動させていたのです。
その後、札でなくても 神紋は使える事が分かりましたが
最初 聞いたときは かなり変わっていると思いました。

まあ、竜王朝のファランズ族が使っているのと
同質の魔法であると気がつかなかったら、
私も いちいち符を使って 呪を行使していたかもしれません。


ところで、ガーランド選王国の選王家が6つなのと、
精霊殿が6つなのは無関係ではないようです。
つまり、精霊殿を邪精霊から守る役割というのが、
選王家と選王国の責務だったのではないか?
と私は考えています。
もっとも、長い年月というのは、人の記憶を簡単に奪います。
なかなかうまくはいかなかったのでしょうね。
まあ、結界が緩んだおかげで、
中央部と自由に行き来できるようになったわけで
悪いことばかり・・というよりメリットの方が
十分に多かったと私は思います。


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