略年表


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東 方 北 方 西 方 南 方 中 央
〜0年
魔道大戦

 戦いそのものは 100年近く続いたと言われるが、正確なところは分かっていない。魔王ギィスガイは魔界への撤退に追い込んだものの、魔王ミレニルスは封じるのがやっとで、しかも その結界によって、中央は外部との出入りが不可能になった。
 また、この戦いは魔晶を大量に消耗したため、古代魔法文明は そのシステムを維持できなくなり、加速度的に衰退していくこととなる・・。



168年
ディス王国 建国

 後のディス公国。初代国王のディス1世は勇猛な戦士で 当時 南方を荒らしていた魔族の眷属を倒して、国内を安定させた。




213年
ディス王国 ディス3世、宰相ウィアリスを粛清

 ディス2世の死後、王子が幼少であったことから、宰相だったウィアリスが実権を10年近く握った。しかも、最後には ディス2世の 双子の王女の一人を娶って、自らが国王になろうとした。王の血筋を守るため、成長した王子は ウィアリスと戦って これを粛清、そのままディス3世として即位した。

 200年代、当時の選王による差別的な扱いから逃れるため、リッグキートや、"小さきものの園"などが築かれた



293年
ディス王国 ディス4世即位

 天寿を全うした先王ワルター1世の後を継ぎ、ディス1世の傍系の子孫だった者が ディス4世として即位した。この国王には双子の王女が生まれたが、王子に恵まれなかった。
300年
ガーランド選王国 ソウマ家、選王に互選される

 最初はシンカイ家が互選されたが、この頃、邪精霊による被害が各地で頻発していたため、その防衛に専念することを理由に辞退した。そのため、これをサポートできるように、ソウマ家が選王となることを申し出たといわれる。こうして、エスタフォートがシリアム・ガーランドとなった。
318〜320年
ガーランド戦役

 魔道大戦の最後に作られた結界が弱まったことで、封じられていた魔王ミレニルスが目覚めて起きた戦乱。ティトスが"御神の槍"を授かり、妻のシェリアナや、友人のアーリ、半妖精ディシェットや 最初に生まれた竜シュミファイアと言った仲間たちと共に魔王を打ち倒して、戦乱を終結させた。
 ただ、ガーランド戦役以前の記録などは、戦火にまみえて大半が失われてしまった。



 この時期、西方のピクシーの大女王と、中央のピクシーの小女王が初めて出会い、世界中のピクシーの友好を願って、友女王を生み出した。
 友女王は南方に自らの里を作り、新たなピクシーの血脈の祖となった。
320年
スラス・キャスラング 建国

 南方の小国 オッフレング・ネーゼロング・ミシリングの三王家が、ガーランド戦役後の自領内の破壊と混乱を収束させるために連合したもの。三王家が持ち回りで、国王の座に着くと言う協定で連合し、初代の国王はオッフレング家が務めた。
320年
ガーランド選王国 選王家変動

 ガーランド戦役で3つの選王家が断絶した。ここで選王家の数について再検討され、8つから6つに減らすことに決定された。
 残っていた選王家は5つで、今後の古代魔法文明に関する研究に期待されたことから、グレムキュリス家が新たな選王家として興された。
321年
ディエル・レン・ティトス帝国 建国

 戦乱を終結に導いた勇者ティトスは、その後の世界中の混乱から、人々に請われて皇帝として即位し、世界の復興を指揮することになった。これ以降、帝国は魔族と戦うことを国是とし、世界中に認知されていく。
 全土を1つの国が治めることにより、言葉・暦・単位・通貨といったものも統一されていった。現在の帝国は、東方のみに領土を限定しているが、日常生活に根ざしていたものは、その後も使われ続けた。



322年
ディス王国 マリエル1世即位し、国名をディス公国に改名

 ガーランド戦役で、ディス4世が崩御した後、国内の情勢が不安定になったが、王女マリエルが立ち、初の女王となった。帝国は"公"の称号を彼女に贈り、それに応えて、マリエルは国名をディス公国に変更した。

338年
真祖ティトス1世崩御

 勇者ティトスは天寿を全うした。帝都の上空には シュミファイアも現れ、その死を悼んだ。この後、皇帝となる前のティトス1世とシェリアナの忘れ形見が ティトス2世として即位した。
 なお、皇帝の二つ名は没後 その功績によって決定される慣わしとなっている。


338年
スラス・キャスラング ミシリング家断絶

 オッフレング家の国王が崩御した後、次期国王はネーゼロング家が務めるはずだった。しかし、それを快く思わないミシリング家が王権を求めて戦乱を起こそうとした。他の2家によって鎮圧され、ミシリング家は断絶したが、当主だったフィリップの魂は、恨みから魔族に囚われ 魔族となって両家に襲い掛かることになる。
341年
ガーランド選王国 グレムキュリス家 選王に互選される

 この当時グレムキュリス家の統核都市は、市民の管理が行き届いたハスだけだった。シリアム・ガーランドとなったことで都市の規模が拡大し、自由都市とも言うべきハルが作られることになった。
 これにより、中央地域の古代魔法文明の遺跡調査が加速した。ドワーフの都市といわれる"捨てられた都アネール"も、この時期に発見された。
352年
堅帝ティトス2世崩御・勇者の血筋断絶

 父親の施政を忠実に受け継ぎ帝国の基盤を確かなものとしたティトス2世が崩御。だが、2世の子供たちは、全員"御神の槍"に打たれ命を落とし、勇者の血筋が断絶してしまった。
 その後、3世は空位とし、2世の幼馴染で重臣の筆頭だったデュランが、4世として即位した。

 北方では、このころからオアシスを中心にした都市国家が、形成され始めている。

 ドワーフたちの宝石細工は、この頃から世界中で高額取引の対象だった。



 中央では亜人間たちが世界に飛び出すようになった。リッグキートは、この頃から外部へと門戸を開くようになった。
353年
アールハス公国 成立

 先見帝ティトス4世に協力して魔族と戦った魔術師ヨブ・アールハスに、皇帝が感謝の念を込めて"公"の称号を贈った。また、古代語魔法を研究するために アールハスが構想していた"魔術師の塔"の建造にも、帝国は協力した。




355年
先見帝ティトス4世 魔族に倒される

 時読みとしての強い力を持っていた4世は、帝位につけば自分が魔族に倒されるであろうことを予知していた。そして、結局その運命を彼は受け入れた。
 ティトス4世の長子エドワード(子供は一人のみだった)は まだ赤子であったため、4世の双子の弟アランが、エドワードの成人までと言う条件で、暫定的に5世として即位した。



 ほぼ同時期に 鉄の都メナフィと 岩の都ケレイアが建造され、ドワーフたちの技術が広まり始めた。

 また、南方にある謎のウィング国家 ネハースリッグの存在が、はっきりと確認されたのも この頃である。

372年
沈黙帝ティトス5世 エドワードに譲位

 先見帝ティトス4世の息子エドワードは、18歳になったとき ティトス5世から帝位を譲位され、ティトス6世として即位した。
 ティトス6世は、四柱都市の制定と 黒影衆の結成など、現在の帝国の秩序を築いた。


373年
ディス公国 ディス6世即位

 先代のディス5世は天寿を全うした。この後、即位したディス6世には双子の公女が生まれた。だが、これが凶兆なのではないか?と噂されるようになった。
375年
ガーランド選王国 ビュード家、選王に互選される

 これにより、シリアム・ガーランドとなった モストルクは単なる漁港のある都市ではなく、主に東方を相手とする交易港として発展することになった。



386年
ディス公国 リディア1世即位

 ディス6世が魔族に襲われて崩御したため、急遽ディス6世の従姉妹が即位することになった。結果として、双子の公女が生まれることが、公家にとって良くない兆候の現れであることを、人々は確信し始めていた。




388年
スラス・キャスラング ネーゼロング家断絶

 断絶したミシリング家の当主の成れの果て、魔族フィリップが スラス・キャスラングを襲撃し、ネーゼロング家の一族を死に至らしめた。最後に残った ネーゼロング家の当主が相打ちの形でフィリップを撃退したが、これによりネーゼロング家は断絶した。

400年
建柱帝ティトス6世、帝位を譲位
ティトス7世、即位と同時に"解放宣言"布告


 ティトス7世は即位と同時に、帝国の領土縮小と、東方以外の地域の支配権放棄を宣言した。これによって、リアスターグ全土が一時的に混乱状態になった。特に 西方と南方は、かなり不安定な状態が しばらく続いた。この宣言は、先見帝ティトス4世が後世に書き残した文書に従ったものと言われている。
 建柱帝ティトス6世は、第一王子リヒテスが 18歳になったとき、彼に帝位を譲位しようとしたが、"御神の槍"の審判で命を落としたため、第二王子(当時16歳)ウェールが急遽 ティトス7世として即位した。そうした経緯もあってか、突然の"解放宣言"に帝国の内外で驚きの声が上がった。この後も、ティトス7世は 公平な治世を行い、帝国は平穏な時期を謳歌することになる。


403年
"生ける盾"結成

 "解放宣言"の後、混乱状態が続いた西方地域で、ゼールが"生ける盾"を結成して、治安の回復に取り掛かった。これによって西方の治安は かなり安定し、人々にも絶大な支持を得るようになった。

 山岳都市ランデルトが、初めて記録に現れたのが、このころである。この当時から、ならず者たちの巣窟となっており、付近のネハースリッグとも頻繁に衝突していた。
 その後 和解し、現在はネハースリッグと取引している唯一の都市となっている。
401年
ガーランド選王国 アカシェル家、選王に互選される

 解放宣言によって起きた混乱を収めるため、ビュード家は選王位を返上、新たにアカシェル家が選王に互選されなおした。こうして、フィンがシリアム・ガーランドとなった。
 アカシェル家は内政に長けた一門であり、こういったときに力を見せるためであり、その効果は如何なく発揮された。

408年
都市同盟 成立

 ア=カハシュ・ヘ=カハシュ・ウィ=カハシュの3都市が、互いの権利を守り、商業的な発展を目指して同盟したもの。現在のカハシュ都市連合の原型となるが、ウィ=カハシュは、その後消滅してしまい、他の2都市も往年の活気を取り戻せないほど衰退してしまう。
407年
(旧)ゼール王国 建国

 西方の人々に請われて、ゼールがゼール1世として即位した。"生ける盾"が結成された当初から、王国の建築に至るまで、北方の商人ヴィシュが大きな金銭的支援をしていたといわれる。




410年
ゼール1世 崩御、ヘカリス1世が即位

 ゼール1世は、西方を襲った魔族との戦いで命を落とした。
 その後、ゼールの妻エーリアと、"生ける盾"の副リーダーだったヘカリスが、次期国王候補とされたが、エーリアが譲って、ヘカリスが ヘカリス1世として即位することになった。



415年
エラゾソ・ヴィシュが都市を建造

 西方で得た武器製造知識を元手に築いた財産を使ったといわれる。
 実際 都市ヴィシュには、優れた武器職人が多く住み、都市に利益をもたらしている。カハシュ3都市による商業同盟には、最初から参加するつもりは無かった
413年
正統ゼール王国 建国

 ゼール王国を陰から支えていた商人ヴィシュに対して、商業的特権を与えるかどうかで、ヘカリス1世と 他の重臣たちが対立した。結局、ヘカリス1世はヴィシュに特権を与えることを強行したが、これに反発して、エーリアがゼール王国から離反した。そして、王国辺境で"正統ゼール王国"の樹立を宣言し、ゼール1世が有した王権は、自分に受け継がれたとの主張を始めた。
 "生ける盾"の元メンバーは コルフティカを除いて、全員が正統ゼール王国側についたため、人材的にはゼール王国に勝っていたが、国力は比べ者にならないほど弱かった。



424年
ポルワードが、都市同盟に加盟

 古代魔法文明の遺跡を地下に有するポルワードが カハシュ3都市の同盟への参加を打診、これが認められた。
 ポルワードの目的は、商人たちを通じて、魔法文明に関する情報を得ることだったといわれるが、都市に住む人の数は多い。このため、都市連合の形が はっきりしてからは、主幹都市を務めることが多かった。
416年
第1次アフィシャス会戦

 ゼール王国と正統ゼール王国による、最初の本格的な戦い。当時、ゼール王国は 正統ゼール王国を反乱勢力とみなし、その鎮圧と称して アフィシャス近辺で戦端が開かれた。"生ける盾"のほとんどが組した正統ゼール王国側が戦いに勝利し、ゼール王国はアフィシャスに撤退した。


425年
ゼハラ封印戦争

 古代魔法文明の文献を保護研究していたゼハラが、その研究の成果として 魔法文明の遺産である魔法兵器を発見、この力を盾に、ポルワードを加えて4都市間で結ばれた都市同盟に ゼハラを盟主として加えるように迫った。これを拒否した同盟側に対して、ゼハラは魔法兵器を使用、ウィ=カハシュは消滅した。
 この戦乱は、帝国の"黒影の杖"アルザインが派遣される騒ぎとなった。最終的に、付近にあった魔晶を大量消費し 魔法兵器が使用不可能になったのを、アルザインに見破られ、一気に制圧されて戦乱は終結した。その後50年以上、ゼハラは都市連合への参加を許されなかった。
426年
第2次アフィシャス会戦

 一度撤退したゼール王国軍だが、再びアフィシャスから軍を進発。ゲーゼビット付近で正統ゼール王国軍と激突した。だが、戦場付近には ゲーゼ布の原料となる植物の群生地があり、それへの被害を恐れたゲーゼビットの織物職人ギルドが仲裁を行い、戦闘は中断され、両国は撤退した。

428年
ガーランド選王国 シンカイ家、選王に互選される

 ゼハラ封印戦争をはじめとして、各地の情勢が不穏になったため、内政を専門とするアカシェル家は選王位を返上した。
 これの後を継いだのは武門として有名なシンカイ家で、国内の戦力を再編し、防衛力を向上させることに取り掛かった。イリュメンが シリアム・ガーランドとなったのは、これが初めてのことで、このときは選王と将軍をシンカイ家当主が兼任した。
 ガーランド選王国は、時の必要に応じて選王位に着く者を変える柔軟さが特徴である。
431年
解放帝ティトス7世 崩御

 ティトス7世は、若くして即位したこともあり、かなり在位期間の長い皇帝だった。特に大きな戦乱もなく、天寿を全うした。後世、次代のティトス8世と何度も比較されることになる。ティトス7世の第一王子ヘンリは"御神の槍"の審判で絶命したため、第二王子リチャードがティトス8世として即位した。
430年
ウィジッタが、都市連合に加盟

 ゼハラ封印戦争で消滅したウィ=カハシュ出身の商人たちが、新たに建造した都市。建造に2年の歳月をかけ、この年 晴れて都市同盟に復帰した。このとき、都市の名前をウィジッタに改名した。都市とともに、設立されたばかりの"大ギルド"総本部も建造され、以後 北方商人の拠点となったことは、言うまでもない。
 このとき 特に名称もなく"都市同盟"と呼び習わされていた組織が、"カハシュ都市連合"という名称となり、最初の主幹都市はポルワードが務めることになった。
432年
正統ゼール王国 エーリア1世崩御

 正統ゼール王国の初代女王として 20年を過ごしたエーリアは、亡き夫の名をつぶやきながら、静かに安らかに息を引き取ったと言う。だが、エーリアには子供がいなかったため(ゼールの死後、独身を貫いた)、エーリアを支え続けた側近のジュゼが、1年の喪に服したあと、ジュゼ1世として即位することとなった。


434〜435年
乱帝の南方干渉
乱帝ティトス8世、黒影衆に粛清される


 この年、ティトス8世は"解放宣言"以後も動乱の続く南方の状態を憂い、「南方地域の安定のため」と称して 南方に"黒影の剣"デファナートと黒騎士団を派兵した。デファナートは独立都市アンフェナを接収して拠点としたが、それは侵略も同然だった。疑問に思った重臣たちは、次々に降格させられたが、黒影衆が 皇帝の背後に魔族の影を見出して、事態は急変した。
 結果として、皇帝とデファナートは、魔族に乗っ取られており、そのために常軌を逸した戦乱を始めようとしていたことが分かり、皇帝と黒影衆が、帝都で戦いを繰り広げることになった。黒影衆3人が この戦いで命を落としたが、"黒影の剣"リアーナが、ほとんど無許可で"御神の槍"を使い、皇帝と 皇帝に巣食った魔族を打ち倒した。リアーナは、その後 帝国で唯一の女帝として即位し、この経緯を全て発表して、南方の諸国に謝罪し、保障も行った。この件に限らず、帝国は内部の不祥事を基本的に隠さず、全て公表して、反省すべき点は反省する、という姿勢を貫いている。


442年
ゼール王国 ヘカリス1世 崩御

 結果として(旧)ゼール王国を分裂させることとなったヘカリス1世だが、その最後は安らかだった。死ぬ直前、ゼールとエーリアの名を呼び、何かを語りかけるようにしながら、息を引き取ったと言う。同年、第一王子マリュが ヘカリス2世として即位した。
438年
スラス・キャスラング、魔族フィリップを撃退

 フィリップ襲来が50年周期であることを突き止めたオッフレング家は、魔族を倒すための切り札として、神剣ワレムを鍛えあげた。しかし完成した神剣は 誰にも使うことが出来なかった(手に持った途端、とてつもなく重くなる)。
 神剣の使い手がいないまま、当初の予想通り フィリップは目覚め、オッフレング家に襲い掛かった。あわやオッフレング家も断絶・・という瀬戸際で、当主がワレムを振るえるようになり、フィリップを撃退して、かろうじてオッフレング家の断絶を防いだ。

453年
芳花帝ティトス9世、息子に帝位を譲位

 ティトス9世は、現在も理想の女性像として帝国では描かれることが多いが、かなり豪胆な性格の持ち主だった。息子ヤコフ(ティトス9世が即位する以前に生まれていた)に帝位を譲ったのも、年老いたからではなかった。
 40歳を過ぎてから譲位して、リエーヌに戻った前帝は エレンヴァースへ赴き"士"となり、"房"を得て、天学における一大学閥を築いた。
450年
学術院エレンヴァース 創立

 ジヒト砂漠の南部で、"銀の神殿"に隣接する様に、カレン・エレンヴァースが学問の研究機関を作った。そこに学ぶ者が住む場所を求めて、学術院の周辺に都市が発展した。その後、芸術院フィリシーズも創設され、ここは学問と文化の中心地として、全土に知られるようになった。
450〜452年
焔の戦い

 西方での戦乱に、唯一 大地の精霊剣士の一族ジェスリダが参加した戦い。それは、ジェスリダの一部が ゼール王国に仕官して その力を過度に振るったためで、これをやめさせるべく、一族の残りの者が正統ゼール王国に味方をした。結果として、西方では最悪の被害をもたらす戦乱となった。
 ゼール王国に仕官したジェスリダ一族は 全員打ち倒され、正統ゼール王国が勝利して、農業地ヒルスィターを獲得したが、ジェスリダは西方において、今も恐怖と共に語られることになる。
462年
ジデニア王国 成立

 南方の東部辺境地域に、香辛料として使える特殊な植物を発見した北方の商人が、その権利を独占する目的で、建国した国家。この香辛料は、その地域でしか育たないため、最初の目論見どおり、香辛料取引を独占することに成功した(北方の商人は優遇している)。
450年
ガーランド選王国 ソウマ家、選王に互選される

 この当時、ソウマ家の統核都市エスタフォートには 北方商人の大ギルド支部が設置されており、経済的にも大きく発展を続けていた所を、シリアム・ガーランドとなって、さらに発展していくことになる。

460年
クアロシウスが、都市連合に加盟

 宝石採掘者の集まりであるクアロシウスは、採掘した宝石の原石を効果的に流通させる目的で、都市連合に加盟した。その目的は達せられたが、クアロシウスは居住権を誰にでも認めており、市民の数を把握していない。だから、主幹都市とはなれないのだが、クアロシウスに住む者は、特に気にしていない。
469年
正統ゼール王国 ジュゼ1世 崩御

 この当時、西方で猛威を振るった伝染病により、ゼール王国・正統ゼール王国関わらず、多数の死者が出た。
 ジュゼ1世も病に冒されたが、その力を振り絞って、銀輪の森に向かった。エルフは病気に伝染しなかったため、何らかの薬があるのではないか、と考えてのことだった。エルフたちは、病を押して森を訪れた女王に 秘薬を授けた。女王は、薬を公平に分け与えたが、自分の分は残しておらず、そのまま病死した。
 一年の喪に服したあと、その娘エミルが、ジュゼ2世として即位した。
466年
ディス公国 ワルター3世即位

 解放宣言以来、2人の国王を経て即位したワルター3世だが、双子の公女が生まれたことで、不吉な噂が広がり始めた。



475年
ゼール王国 ヘカリス2世 崩御

 西方を襲い、ジュゼ2世の命を奪った伝染病により、ゼール王国でも甚大な被害が出ていた。しかし、ヘカリス2世が戦乱を中止して開発した秘薬により、人々は伝染病から解放された。感謝のうちに、ヘカリス2世は天寿を全うしたが、"焔の戦い"による西方の破壊を最後まで悔いていたと言う。
 同年、第三王子(第一・第二王子は病死)シークが、ヘカリス3世として即位した。
472年
ファランズ族がアンフェナを侵略、竜王朝 成立

 竜を神として侵攻する 南方の少数民族ファランズ族が、突如 独立都市アンフェナに侵攻し、これを制圧、その後 竜王朝の樹立を宣言した。その後、特に大きな動きは無く、アンフェナの市民にも 多少の租税を要求するのみではある。
 ファランズの暦では 36年ごとに特別な年があり、一族は大きな行動を起こす。472年もそうだったが、次の508年にも何かあるものと、付近では その動向に注目している。
473年
ガーランド選王国 ムリッカ家、選王に互選される

 前年まで選王であったソウマ家当主が崩御したため、選王家内で互選されて、ムリッカ家が選王として即位することになった。これにより、従来のシリアム・ガーランドは、ソウマ家の統核都市エスタフォートに戻り、ムリッカ家の統核都市リスタが、新たなシリアム・ガーランドとなって、現在に至ることとなる。
 代々、符術士の家系であるムリッカ家の後押しで、その私設機関だった"符術省"は"神紋の扉"と改名して、国家的な魔法研究機関となった。
480年
ミシェイラ討伐戦
悲嘆帝ティトス10世 自害


 "黒影の剣"ミシェイラが、魔族討伐の戦いの折、魔族が使っていた"闇の鎌"という武器を手にした結果、乗っ取られたことで起こった戦い。ミシェイラは、そのまま自力で海を渡り、南方を目指した。
 中央は特に大きな被害を受けなかったが、それはミシェイラが上陸したのが、イリュメン付近だったからだった。シンカイ家率いる侍の精鋭部隊の前に、さしものミシェイラも手を焼き、中央を迂回するように南方へ向かったと言う。
 その後、南方東北岸に上陸したミシェイラは、竜王朝〜ディス公国を破壊しながら通過した。そこで 当時の皇帝ティトス10世に 全権を任され "御神の槍"を授かった"黒影の剣"ジーナス(ミシェイラと恋仲だが、この任に志願)と対峙した。この戦いで、なんと"御神の槍"が折れ、ジーナスも重傷を負った。
 折れた"御神の槍"は、北方の"銀の神殿"の即断による協力で、すぐに西方に運ばれ、分裂以来始めて ゼール王国と正統ゼール王国が協力し、最高の職人たちを集めて修復に当たった。だが、どうしても神の力を取り戻すことが出来ず、最終的に、当時のゼール王国国王 ヘカリス3世が 神に祈り求めながら、力を失った"御神の槍"で 自らの胸を貫き、その魂を捧げた。
 ヘカリス3世の献身によって"御神の槍"は力を取り戻し、傷が癒えたジーナスは 再び ミシェイラに戦いを挑んだ。2人の戦いは相打ちとなったが、死体は残らず ただ 大地に刺さった"御神の槍"だけが残されていたという。
 責任を負って 悲嘆帝ティトス10世は 命を絶ち、新たにティトス11世が即位する結果となった。ティトス11世は、従来の方針通り、ことの全てを世界に公表した。ティトス11世は、祖母の影響で 若くしてエレンヴァースに所属し、天地人のそれぞれで"房"を得ている博識の皇帝として後世に知られる。

482年
レステアとゼハラが、都市連合に加盟

 北方南部で発展してきたレステアと、ゼハラ封印戦争の反省を認められたゼハラが、都市連合に加盟を認められた。これにより、都市連合は7都市による大同盟となり、北方のほとんどを勢力下におさめることとなった。
 レステアは、特に人口が多く 加盟の翌年にはポルワードと主幹都市の座を争うほどだった。
481年
正統ゼール王国 非戦闘宣言 発布
ゼール王国 ゼール2世即位


 "御神の槍"修復で、見せたヘカリス3世の献身に敬意を表し、正統ゼール王国の女王ジュゼ2世は、ゼール王国に対し 向こう30年間の戦闘停止を宣言した。
 ゼール王国側も これに同調し、西方に久しぶりの平和が戻った。同年 執り行われた ゼール王国の 新国王ゼール2世の即位式には、分裂以来初めて正統ゼール王国の使者が送られ、これを祝福した。
481年
リドがビステム王国の国王に即位、ディス公国とシェレネーキーを滅ぼす

 ミシェイラ討伐戦で、大きな被害を受けていたディス公国だが、同じ年に 即位したリド国王のビステム王国の侵略まで受けた。ミシェイラ討伐戦の時点で、紅・碧の騎士団が壊滅しており、残った蒼の騎士団だけでは、ビステム王国軍に対抗できず、シリアム・ディセーラは陥落、王族は 命からがら逃げ延びた双子の公女を除いて処刑された。その後もビステム王国は執拗に逃げ延びた公女の行方を追った。
 さらに、ディス公国とも親交の深かったシェレネーキーにも 侵略の魔の手を伸ばし、これも制圧して、市長以下の主だった高官を処刑した。




486年
ビステム王国 クレンスを併合

 ビステム王国に滅ぼされた ディス公国とシェレネーキーは、その後 迫害と圧政に苦しめられた。これを見た 港町クレンスは、無理に滅ぼされる前に ビステム王国に臣従を宣言したところ、王国側が あっさりとこれを認めた。しかも臣従したクレンスに対する要求は、元のディス公国やシェレネーキーとは比べものならないほど 緩いものだった。
 この扱いは、周辺国家が抗戦より臣従へと走らせる一因となった。


490年
ヴィシュが、都市連合に加盟

 ジデニア王国の香辛料専売所を作り上げた手腕を買われ、第三王女リエーヌはヴィシュ家の養子として迎えられた。そのままヴィシュ家当主の座も引き継いだリエーヌは、これまでの方針を転換し、都市連合への加盟を決めた。
 悪評こそあれ、商業都市として発展していたヴィシュを、都市連合は 複雑な思いと共に受け入れた。それは、今までとは違う当主リエーヌに対する期待も込められていたのかもしれない。
491年
アフィシャス事変

 ミシェイラ討伐戦以来、友好的ムードが高まっていた両国の王と重臣が、統一に向けた交渉をするため、ゼール王国の辺境都市アフィシャスに集ったとき、魔族の襲撃を受けた事件。
 アフィシャスは半壊し、会見していたゼール2世とジュゼ2世はもちろん、他の重臣たちも、全員 命を落とす結果となった。また、この事件以後、西方では魔族に襲われる事件が頻発するようになった。
488年
スラス・キャスラング オッフレング家 ほぼ断絶

 50年を経て、魔族フィリップは スラス・キャスラングに襲い掛かった。残った最後の王家であるオッフレング家は、徹底抗戦したが、時を重ねるに従って 力を増すフィリップに押され気味だった。結局、それまで王都としていたシリアム・オッフレングを放棄し、都市一つを呑み込む 神紋の秘術をもって、フィリップを弱らせ、神剣で貫いて撃退した(それでも止めをさす前に逃げられた)。
 この戦いで、オッフレング家は 再び断絶しかけたが、何とか王子一人が生き延びた。しかし、この王子にはフィリップの呪いが降りかかり、以後 フィリップ以外の魔族に付け狙われる様になってしまった。



492年
ゼール王国、アナティ1世 即位

 魔族によって命を奪われたゼール2世の跡を継ぎ、アナティ1世が即位。正統ゼール王国との戦乱は 先代に続き停止し、魔族と戦うことを内外に宣言した。そのための戦力増強が 以後 積極的に行われることとなる。
493年
ビステム王国 アストルムを滅ぼす

 アストルムは ビステム王国に臣従したクレンスの弱腰を批判し、王国と徹底的に争うことを宣言した。これに応えて、ビステム王国は旧クレンスの正規軍を中心とした討伐軍を派遣、徹底抗戦を続けたアストルムを滅ぼした。



494年
正統ゼール王国で エーリア2世 即位

 アフィシャス事変後、子供のいなかったジュゼ2世の後継者探しは難航した。それを収めたのは、アフィシャス事変の翌年(492年) シリアム・ゼルスに現れた女性だった。彼女は 伝え聞くエーリア1世と 瓜二つの容姿で、しかも「ゼールに呼ばれた」と口にしていた。
 それから2年、彼女は知性と魅力にあふれていることを国内で認められ、新たな女王として即位する運びとなった。このとき、エーリア2世を名乗ったが、誰も反対はしなかった。
494年
ビステム王国 レイゼを併合

 武器職人の街として知られていたレイゼが、滅ぼされることを恐れ、自らの技術をもってビステム王国に臣従、これを認められた。これによって、ビステム王国の武器生産力が向上し、現在も 何かに向けて武器生産が続けられている。




498年
ビステム王国 ピュイサを併合

 ピュイサは あまり特徴のない都市だった。ビステム王国に臣従を打診したとき、それが受け入られるのか、と疑問に思った者も多いが、これもあっさりと受け入れられた。
 特に特産物もないピュイサは人的資源の提供を申し出、労役や兵役に 多くの人が自発的に従事している。




500年
マリエルによりディス公国 再興

 ビステム王国に滅ぼされたディス公国の公女マリエル(当時は赤子)は、その後 中央に逃れ 名前を変えて育てられた。その後 冒険者として、ケリングやギルスと共に古代魔法文明の遺跡を巡っていたが、南方にあった遺跡の中で、自分の出自を初めて知った。その遺跡で、ビステム王国のリドの真意をも知ったマリエルは、ディス公国の再興を決意した。
 それから数年、公国の支持者たちを集めた彼女は、ディス公国の再興と、ビステム王国への対抗を宣言した。最初、ビステム王国は これを無視していたが、その後は ビステム王国に対抗できる勢力を築くことになる。




501年
ケリング、オッフレング王国 国王に即位

 ディス公国を再興したマリエルと別れ、スラス・キャスラングの傭兵となったケリングだが、その顔が オッフレング家の王子とそっくりだったため、その影武者として登用された。しかし、魔族フィリップの呪いにより、オッフレング家は遂に断絶、スラス・キャスラングは崩壊の危機にさらされた。
 それを収めたのが、影武者だったケリングだった。彼は、使う者が限定されていたはずの神剣ワレムを自在に操って見せた。それが決め手となって、反対の声はあったものの、ケリングはオッフレング家を継承し、国王として推されることになった。その後、スラス・キャスラングという国名を オッフレング王国に改め、ディス公国との全面的な同盟を宣言して、ビステム王国と対抗している。

502年
賢帝ティトス11世、息子に帝位を譲位

 体力の衰えを感じたティトス11世は、自ら皇位を退く決意をし、"黒影の車"だった自分の息子に皇位を継がせることにした。"御神の槍"の審判もこなし、"黒影の車"という裏方ともいえる役割の者から、初めて皇帝が即位した。
 現在、東方で発達した水路以外に、地を進む街道を整備する事業を進めている。それによって、大軍を移動しやすくする目的とされている。
504年
ポルワード壊滅

 ポルワードの地下に、古代魔法文明の遺跡があることは、昔から知られていたが、それが この年 突然作動し、空中に向かって浮かび上がった。その上にあった都市は 当然壊滅し、ポルワードは廃墟同然になった。
 その後、ポルワードは浮かび上がった遺跡の上に都市中枢を移し、地上部分の復興作業を始めた。作業に加わった人々に、いずれ市民権を与えることを約束し、ポルワードは 少しずつ復興し始めている。

503年
ギルス ランデルトを掌握

 ケリングやマリエルと共に、古代魔法文明を冒険していたギルスが、2人の力になるべく戦力となれる所を探した結果、ならず者の巣窟となっていたランデルトに目をつけた。
 抜群の力とカリスマ性を見せたギルスは、短期間でランデルトの実権を掌握、ディス公国やオッフレング王国と共に、ビステム王国と戦うことを宣言した。


そして、現在へ・・・


 現在、帝国は 帝都シリアム・ティトセラからバッカースへと続く街道の再整備に注力している。また、黒騎士団や黒魔兵団の増強にも力を入れ始めており、何らかの事態に備えようとしているのかもしれない。

 ポルワードの遺跡が作動した理由については、現在も分かっていない。ただ、これに対応するように、北方の砂漠にある古代魔法文明の遺跡の活動が盛んになってきていることが確認されており、ゼハラ・ライブラリ、冒険者協会、魔術師の塔の各機関は状況の確認に追われている。

 西方は、現在 魔族との全面戦争一歩前の状態である。各地で魔族の襲撃が相次ぎ、ゼール王国と正統ゼール王国は、それぞれの領内で その鎮圧に追われている。
 ゼール王国コルフティカ帥爵は 長年の沈黙を守り、帥爵軍を動員して 王都シリアム・ゼリナートに移動を開始した。王国軍の指揮下に入り、魔族と戦うためである。辺境地域で魔族と常に戦ってきたコルフティカ帥爵軍の戦力は、大いに期待されている。

 南方は、現在 ビステム王国 対 反ビステム王国の対立の気配が強まっている。各国は戦乱に向けて準備を整えているが、ひとたび戦乱が始まれば、南方では最大級の規模となることが予想されている。

 中央では、選王を務めてきたムリッカ家の当主が高齢となっており、近いうちに選王が互選されなおすという噂が広まり始める。
 これは今に始まったことではない。次代の選王が誰になるか?は、ガーランド選王国の国民にとっては、格好の酒の肴なのだ。


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