一般知識


■時間と暦

<トップへ>
■時間と暦  □単位と通貨  □世界観

 リアスターグにおける日常の生活は、都市部かどうかで 微妙に変わる。大きな都市でなければ、一日は 日の出と共に始まり、日の入りと共に終わる。都市部であれば、さらに日没後も・・いや日没になってから賑わう一角が たいていはある。
 以下では時間や暦など、人々の生活に関わりの深いものごとについて、紹介をしていく。時も暦も、帝国が全土支配していたときに制定して、全土に広めたものが そのまま使用されている。だから、種族を超えて リアスターグ全土で共通と言うことになる。

時間
 リアスターグでは 時間を測るために"時桶"という道具を使っている。これは底に小さな穴が開いた桶を4つ重ねたもので、一番上の桶に水を注いで、下の桶に水を落としていく仕掛けになっている。魔道大戦以前から、この道具は使われていた記録がわずかだが残っている。
 標準的な時桶1つの大きさは、直径 2ウォルト半(約60cm)・高さ 1ウォルト半(約35cm)である。この大きさの時桶の中に入る水の重さが、リアスターグでは そのまま重さの単位にもなっている。

 4つの時桶には、最初に積まれた状態で、上から"明光(みょうこう)"・"陽光(ようこう)"・"夕光(ゆうこう)"・"月光(げっこう)"という名前がつけられている。大まかな時間を表す言葉は、この名称を用いて表現される。例えば"陽光"の時桶が一番上にある時間帯は「陽光の刻」という具合である。
 時桶のそれぞれには、水位(=時間)を見る目安として、32等分された目盛りがついている。さらに この目盛りは 8つごとに大きく区切られている。32等分された目盛の単位は"オード"と呼ばれる。そして8つごとの目盛の単位は"ディソード"と呼ばれる。すなわち 8オードで1ディソードということになる。そして、時桶1つで4ディソードを測れることになる。時桶は4つあることから、
   1日=16ディソード=128オード
ということになる。1オードは 現実世界の時間に換算すると、10分よりちょっと長いぐらいである。12分ぐらいとして換算すれば、1日は 12×128÷60=25.6時間ということになり、ほぼ現実世界と変わらない時間と言うことになる(感覚としては、おおむね1オード=10分という認識で問題ない)。

 時桶は、時桶職人の手によって 注文を受けてから作られる。そして、引き渡すときはそこに水を注いだ状態で引き渡される。新たな街を作るときは、新たな時桶を必ず作り、それを使用し始めるときに記念式典を開いて、以後の発展を祈るのが慣例となっている。
 時桶と そこに注がれる水は、時桶職人に代々伝えられている 特別な儀式を経て、注文主に届けられる。この儀式の起源は、時間神ゼムールに対する祈りの文句であることが知られている。時桶は、この儀式により ゼムールの祝福を受けた物品となり、どんなに古いものでも 正確に時を刻み続けられる力を帯びる。

 どんなに小さな村でも、時桶は置かれており、それを管理する"時守"という役割の者が必ずいる(小さい村では 長老などの立場の者が兼任することもある)。時守は、時桶の一番上の水が無くなったら、何らかの合図をし、空いた一番上の時桶を 一番下に乗せ換える。
 合図は、鐘の音であることが多いため、リアスターグにおいて「鐘が鳴る」といえば、時間が大きく経過したことを表す慣用表現として一般的である。
 「月光の刻」は、もう真夜中であるため、皆寝静まっているようなところでは、合図を省略することもある。逆に言えば「月光の刻」を知らせる合図があるような場所は、その合図を必要とする者が住むほどの、大きな都市であるという証とも言える。
 さらに大都市になると、時桶を乗せ換えるときだけでなく、1ディソード単位で 合図を鳴らすところも増えてくる。より細かい時間で行動しなければならない者が多いからであろう。
 時桶とは別に、職人によって1オード・1ディソードといった短い時間を測るための砂時計なども作られている(ただしガラス製のものはドワーフでなければ作れない)。手の混んだものもあり、立派な工芸品として取引されることもある。
天体
 リアスターグで用いられている暦について紹介する前に、それを決める元となった天体について、紹介する。

 リアスターグの昼を照らすものは、やはり"太陽"である。これは精霊の光の力が結集したものといわれている。必ず「明光の刻」のどこかで登り、「夕光の刻」のどこかで沈む。一日の長さは一年を通じて変化する。
 "光の月"は、一日の長さが最も長くなる時期、"闇の月"は、一日の長さが最も短くなる時期となっている。月の名称については、下の暦の説明を御参照いただきたい。

 リアスターグの空には3つの月が浮かんでいる。
 リアスターグ創造時から存在が確認されているのは"青き月"で、これは精霊の闇の力が結集したものといわれている。なお"青き月"といっても、正確な色は深い紺色である。満ち欠けはせず、常に空に青く浮かび上がって見える。
 魔道大戦以後、慈母神ティナリアの象徴とされる"白き月"が現れた。神話伝承では、魔道大戦以後、人を見守るために、ティナリアは 空に宮殿を設けたとされ、それが この月であると言われている。唯一、満ち欠けする。
 もう1つは"黒き月"である。といっても、これを実際目にする機会は少ない。"青き月"や、時には"太陽"すらも、時折 欠けることがあるのだが、それは この"黒き月"が重なるためであり、その時にのみ その存在を見て取れる。この月は、魔道大戦が始まる直前から突然存在が確認され、魔族との関係が濃いと考えられている。


 ガーランド戦役以後、リアスターグを全土支配することになった帝国は、天体の動きを考慮した新たな暦を制定し、各地でまちまちだったものを統一した。この暦は、"天霊暦"という名称があるが、完全に暦自体が定着したため、あえて その呼び名が使われることはなく、一般の人だと知らないことも多い。

 暦では、8日を1週としている。そして4週で1ヶ月とされる。これは"白き月"が満ち欠けをする周期と ほぼ対応している(それゆえに"月"という単位である)が、微妙なずれが 実はある。
 1年は全部で9ヶ月ある。月には精霊の名前が冠せられており、最初の月から、"光・氷・雷・炎・闇・水・風・土・人"となっている。それぞれの月ごとに精霊の力が強まったりする・・というわけではなく、単純な呼び名である。四季のない地域もあるため、四季に関連するような言葉は用いられなかった、と言われている。

 ただし、"人の月"だけは、精霊の名前でないことからも分かるように、特殊な月である。というのも、日数が一定してないからだ。この月は"調整月"という別称がある。
 先に述べたとおり、1ヶ月は"白き月"の満ち欠け周期にあわせているものの、完全に同期していない。そこで、新年初日の夜は 必ず"白き月"が満月になるように、調整をするのである。年によって、その日数はまちまちだが、3〜10日ほどとなる。
 "人の月"は、基本的に休暇の月とされ、都市部では、商店が休みになることも多い。市場も3日に一度のペースの開催となる(通常は毎日)。休みになった市場では、個人が自由に出店できる慣わしになっており、1年の最後に不要になったものを整理して売り出す人や、掘り出し物を探そうとする人で、休みの市場はごった返す。

 一年は大体260日前後となるため、現実世界よりも一年のペースは速いといえるだろう。四季の変化も大体2ヶ月単位であり、この短いペースで 四季がある地方なら、きちんと四季が巡るようになっている。


■単位と通貨

<トップへ>
□時間と暦  ■単位と通貨  □世界観

 リアスターグで用いられている単位や通貨も、暦と同様に 帝国で制定され、全土で統一されている。統一されたことによる利点が多いため、帝国領土縮小後も、そのまま共通のままとなっている点も、暦と同様である。

長さ・距離
 長さの単位は"ウォルト"・"ディソルト"で、8ウォルト=1ディソルトとされている。これは、帝国の初代皇帝ティトスの身長から採っている。皇帝は、この単位の決め方に 酷く難色を示したが、最終的に折れたと言う逸話が残っている。現実世界の単位に換算すると、1ウォルト=23.1cm、1ディソルト=184.8cmである。
 また、地図を作成するときなど、長い距離を表すために"ワーグ"・"ディサーグ"という単位も広く使われている。8ワーグ=1ディサーグである。現実世界の距離に換算すると 1ワーグ=2.5km、1ディサーグ=20kmである。1ディサーグは、一般的な人間が1日に無理なく歩くことの出来る距離とされており、大きな街道を作る場合、1ディサーグごとに旅人が休むことの出来る宿場を作るように整備されるのが通例である。
 ウォルト/ディソルトと、ワーグ/ディサーグの単位間の換算は、単位の利用目的が違うため、基本的に行われない。それでも、長さを示すときに敢えて「1ディサーグはある」と言えば、一目見ただけでは長さを推し量れない・・という意味の慣用表現となる。

重さ
 重さの単位は"オード"・"ディソード"が用いられる。8オード=1ディソードである。これは、時間の単位でもあるが、その水の重さが リアスターグにおける重さの単位として定着している。自分の体重まで単位にされそうになった皇帝が、辟易して時桶を指差したと言う逸話が残っている。現実世界の単位に換算すると、1オード=200g、1ディソード=1.6kgである。
 時桶の大きさは 基本的に一定であるが、持ち運びやすさなどを考慮して、大きさや水の量を調整したものも多く作られている(その調整が、職人の腕の見せ所でもある)。そこで、時桶とは別に 重さを計測するために"秤枡(はかり ます)"と呼ばれる専用の器が作られており、そこに水を入れて、秤を使って重さを測るのが一般的である。
通貨
 流通している貨幣は、金貨・銀貨・銅貨の3種類である。特に貨幣名は決められておらず、その材質と大きさだけが統一されている。そこに彫り込まれる図柄は、作られる地域によって様々であり、その図柄を収集する趣味を持った人も多い。

 それぞれの貨幣価値の関係は、
   金貨1枚=銀貨32枚=銅貨1024枚
     (銀貨1枚=銅貨32枚)

である。金貨は、あまり一般では使用されていない。庶民の生活では、主に銅貨が用いられる。現実世界の価値に換算すると、銅貨1枚100円分ぐらいである(普通に野菜を買うなら、銅貨2枚前後で1個が買える位の感覚)。
 旅人であれば、銀貨1枚で 大体1日の生活費(宿・食費など込み)・・という感覚になる。だから、旅をする日数+αの銀貨を用意するのが、資金準備の基本となる。

 北方の都市連合では、大金貨という貨幣も作っている。これは、金貨128枚分の価値があり、高額な取引を行う商人たちが取り扱っている。今の貨幣価値で考えれば、1枚の大金貨は150万円以上の価値と言うことになる・・。北方以外でも使用は可能だが、一般的な貨幣への換金は、大ギルドの支部でなければ扱ってもらえないので、注意が必要である。

 ガーランド選王国では、結界に閉ざされている間、独自の貨幣が作られていた。これは"ガーランド貨幣"と呼ばれ、現在流通している貨幣より、一まわり大きい。やはり金銀銅の3種類があり、帝国によって統一された貨幣の1.5倍の価値で取引に用いられる。材質に間違いは無いため、中央地域以外でも取引には使用できるが、収集家に見せれば、通常の価値以上の代価で引き取ってくれることも多い。



■世界観

<トップへ>
□時間と暦  □単位と通貨  ■世界観

 リアスターグを取り巻く環境について、ここでは紹介する。ただし、ここに記述されたことを、リアスターグに住む者が意識することは極めて稀である。あくまで、設定上の知識にとどめていただきたい。

 世界を大局的に眺めると、以下の構図になる: 世界観

 図を見てもお分かりのように、人が住む世界は リアスターグのごく一部、"人間界"と呼ばれる狭い範囲に過ぎない。最初リアスターグが創造されたときは、人間しかいなかったため"人間界"と呼ばれているが、現在は 様々な種族が生活する場となっている。
 "人間界"は"冥界"とつながっているが、そこを行き来できるのは"魂"と呼ばれる存在のみである。"魂"については、もう少し後で説明する。
 そして、それを取り巻くように、至高三神の住む"天界"、慈母神と妖精たちが住む"妖精界"、竜が管理をしている"神泉界"、精霊王が住む"精霊界"が存在する。人間界は、こうした存在によって守護されている。

 リアスターグと同じ規模で"魔界"が存在し、そこに住む魔族たちが、リアスターグと そこに住む人々の"魂"を狙っているのが、現在の状況である。

魂と生命
 リアスターグにおいて、生命は いかなるものでも"肉体"と"精神"を有する。しかし、この2つは基本的に別のものであり、そのままでは結びつくことはない。これらを結びつけ、生命と言う存在にするのが"魂"の力である。
 魂の力が強いほど、肉体も精神も強い力を発揮するといわれる。肉体や精神に負荷がかかると、魂の力が弱まるため、その分だけ普段より発揮できる能力が低下するのである。
 リアスターグにおいて、強力な戦士も、卓越した魔法使いも、咲き誇るよう美しさの花挿し(娼婦)も、みな魂の力が高いからこそ、強い能力を発揮していると言うことになる。

 生命の死とは、魂の力が弱まり、肉体と精神が分離してしまうことである。死を迎えたとき、魂は宙へと迷い出てしまい、肉体は朽ち、精神は霧散する。迷い出た魂は、通常の場合 冥界へと進む道を自分で見つけ出す。また、葬送の儀式によってリグナーデの加護を祈れば、さらに確実に冥界へと導かれる。
 冥界に向かった魂は、そこで新たな生命の元に送られる時を待つ。そして、リグナーデの導きにより、新たな生命が生まれるとき、冥界の魂が、人間界に送られていく。いわゆる前世の記憶は、基本的に失われるが、強い想いは ときとして そのまま新たに生まれた生命の中に宿ることもあると言われる。

 だが、未練を残したまま死んだものや、自分が死んだことを自覚できないものの魂は、葬送の儀式を行っても、冥界へ行くことを拒んで 人間界を彷徨うことがある。こうした魂は、容易に魔族とその手先の餌食になって、さらなる不幸を生み出すことが多い。

魔族
 魔道大戦によって、その存在が大きく知られるようになった存在。魂を求めて、たびたび人間界を侵略している。リアスターグの歴史は、魔族との戦いの歴史といっても、過言ではない。
 魔族が魂を求めるのは、それが自分の力を高める素材となるからである。己の力を高め、他を圧倒し、魔界の覇権を握ることが、彼らの最終的な目標といわれるが、もちろん どこまでが真実かは分からない。

 魔界の空気は"瘴気"と呼ばれる。魔族にとっては、それが普通の環境だが、人間界に生きる者が 瘴気に触れた場合、急激に魂の力が弱められる。そして、肉体や精神との結びつきが薄れたところを、魔族は刈り取り 魂を自分の中に取り込む。これにより、死んだ状態となった肉体や精神は、そのまま魔族の手先として作り変えられ、アンデッドモンスターとなってしまう。
 肉体・精神のどちらも アンデッドモンスターとして利用されていない場合、魂を吸収した魔族の力を弱めることで、魂を取り戻し、回復させることが可能であることは知られている。しかし、それ自体が命がけの危険な戦いになることは覚悟しなければならない。
 一度アンデッドモンスターにされてしまった場合、魔族を倒して魂を取り戻しても、それを冥界に送り、新たな生命として生まれるのを待つことしか出来なくなる。それでも、魔族に取り込まれるよりは、遥かに良いわけだが・・。
・・さて、ここまで出番がありませんでしたが、
多少 私のコメントもお聞きいただきましょうか。

リアスターグという世界は、元々 至高三神の力を
取り戻すために作られた世界でした。
今は、目的を達せられたので、人間と その子らに
(亜人間も"子ら"に含まれますよ)
世界を開放しているわけですがね。

神々が 信じるものの心を力と出来ることは、
突き詰めると魂の力を受け止めているからなのです。
ですから、神々が力を維持するためには、
今後も魂の力を受ける必要があるはずです。

そうした存在は神々だけとは限りません。
対極にあり、リアスターグ全ての敵とも言える
魔族
彼らもまた、魂の力を受け止められる存在なのです。

魂の力を求めて、彼らは侵略を始めました。
つまり信じる心を得られないなら、魂そのものを奪う
というわけですね。
だから、魔族を神として信じるものがいれば、
実は魔族も力を伸ばせるのではないか?
と私は考えることがあります。

・・なぜそうしたことにならないのか?
と言えば、魔族が 自分の欲望に正直だからです。
彼らは 元々残忍です。
痛みや悲しみ・絶望と言った負の感情に染まった魂
それこそが 彼らには極上の御馳走なのです。

となると、魔族は やはり侵略によって、
その先に住む者を苦しめて、魂を負に染め上げる
ことを第一にしてしまうわけです。


色々考えると、冥界を手にすることが、
魂を手に入れるのが目的なら 一番効率が良いです。
なぜ、そうしないのか? というのも、
何の感情もない存在としての魂は、
無味乾燥で魔族にとってはつまらないものだから
と言う側面があります。

もちろん、リグナーデが全身全霊で冥界を守るため
神々ですら 容易に超えることの出来ない強力な結界を
張っている・・という事実もありますがね。

それほどのものを苦労して手に入れても、
中にあるのは味も何もしない魂だけならば、
その労力を 人間界に向けた方が良い
というのが、魔族の総論のようですね。


それから、魔族にも 様々な序列があります。
これを簡単に並べてみますと・・

 (1)アンデッドモンスター
 (2)下級妖魔 ※ゴブリンやオーガなど
 (3)上級妖魔 ※吸血鬼や夜魔など
 (4)下級魔族 ※シュアル族
 (5)上級魔族 ※リクト族・ディーム族

と言った風になります。
妖魔は、人間界に普通にいて、獲物を狩りますが
魔族は魔界にいるため、召喚でもされない限り、
簡単に人間界を行き来することはできません。

シュアル族というのは、魔族の中でも下っ端です。
魔界の尖兵として、妖魔たちを率いたり、
人間界の情報を収集して 上級魔族に報告したり、
といった役割を持っています。
初めて魔族を召喚するなら、まずこれになりますがね。
私も 最初は御世話になりましたよ、ふふふ。

リクト族やディーム族というのが、
いわゆる"魔族"ということになりますね。
好みの差で、この2つの派閥に分かれており、
お互いが相争っていたりします。
両派で最も強大な力を持つ存在が"魔王"です。

魔道大戦のときは、開かれた魔界の扉から、
リクト族・ディーム族双方の魔王が
リアスターグに降り立ちました。
こんなことになったのは、
後にも先にも この時だけですね。


<トップへ>

□時間と暦  □単位と通貨  □世界観