ニフリートソード・・・汚れた水の力を封じたヒスイの剣






ニフリートソード







その剣の前の持ち主のことを誰もが嫌な男だったと言った。
ローディスの「羊の皮をかぶった狼」。
暗黒騎士マルティム・ノウマス。

己の手は汚さずに、のし上がっていった男も
異国の地で野望半ばにしてその命を落とした。

芝居じみた言動の男だった。
どこまでが本心でどこからが演技だったのかは・・・
運命を共にした男にもわからなかったのだが。

空中庭園の封印の間、
カオスゲートを開いて悪鬼の力を手に入れようとした。

手に入れたそれで彼は何をしようとしたのだろうか・・・・・・

ただ、彼の愛用していた
ニフリートソードだけがこの世に残された。

ニフリートソード
汚れた水の力を封じた翡翠の剣

彼の野望も汚れていたのだろうか?

彼を殺した男の手に
今はある・・・・・・。









ヴァレリアの地を遠くはなれてヴァイスは祖国を思っていた。
解放したと思った国は再び内乱の中、親友は戴冠式の時に暗殺された。
共に戦ってきた仲間たちもこの世を去り、ヴァイスはヴァレリアを出たのだ・・・。

希望はなかった。
傷ついた体と心を今はひとまず休めるために・・・、ゼノビアへと。

ただ一人生き残ったバスクの娘がそばにいた。









「ニフリートソード・・・、」
娘が彼に聞いた。何故、それを持つのか?

「あのマルティムの剣だったのでしょう? カオスゲートを開いて究極の力を手に入れようとして破滅した男の剣を何故?」

ヴァイスはもう一本、ロンバルディアを持っていた。親友の形見の剣だ。それはわかる。だが、他にもブリュンヒルドもオウガブレードもオラシオンもあったのに、何故ニフリートソードなのか?

彼は静かに言った。
天界や神との交信もオウガの力もオレには要らん・・・。

所詮、人間が手にしていい剣ではないのだと。

「これからきっとオレは・・・、汚れた水のようなところで生きていく。未来の見えない濁った世界だ。」

何となくわかる気がする。
あの男がどんな舞台に立っていたのか?
何を目指そうとしていたのか?

ニフリートソードに何を感じていたのか?



全てを流してしまう濁流の激しさと翡翠の静寂・・・・・・。



相反する二つの力を秘めた水の剣をヴァイスは月明りに翳してみる。

希望は見えない。



きっと、あの男はもろい幻想の舞台の上で道化師を演じていたのだ・・・・・・。










・・・意味不明。
とりあえずUP。後日修正するかもしれません。
これはLルートバッドエンド後のヴァイスのSS()のその後です。

(2004.3.27)




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