4匹のバハムートを従えたその少女は
怒りに顔を歪めながら
元ガルガスタンの竜騎兵団団長だった男に
挑みかかってきた
「捜したわ!ガルガスタンの悪しき竜騎士!
今日こそみんなの仇を討ってやる!」
少女は男が焼き払った竜使いの村の
たった一人の生き残りだった・・・
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第1夜
コリタニ城の一室、ジュヌーンは熱を出して眠るオクシオーヌの横顔をじっと見ていた・・・。まだあどけなさを残す顔立ちだ。自分が全滅させた竜使いの村の生き残りの娘・・・。
3日前、コリタニ城を飛び出したオクシオーヌをゾード川の支流で見つけて無理やり城に連れて帰った。・・・頭をふる。どうして彼女にあんなことをしたのかわからなかった。自分から逃げようと、腕の中でもがきながら感情をぶつけてくるオクシオーヌの口を思わず自分の唇で塞ぎ、力のかぎり抱き締めた。オクシオーヌはぽろぽろと大きな涙を目いっぱいにあふれさせ消えるような声で呟いたのだ。
あなたが・・・好き・・・・・・
ごめんなさい・・・・・・
あなたが好き・・・
ごめんなさい・・・・・・と。
その時自分は確かにあの娘が愛しくてたまらなかったのだ。
腕の中で何度も何度もごめんなさいと好きを繰り返した竜使いの娘・・・。
あっちに行って
わたしはもう、あなたを縛りたくないの!
そう叫んだ娘を、どうして愛しいと思わずにいられよう・・・
だがそれは家族としてのそれだとジュヌーンは思う。
あの娘と解放軍の一員としてともに戦い、新しい国になってからコリタニの地でともに暮らし始めた。4匹のバハムートと自分以外、親しくする者のいないオクシオーヌにとって自分は家族のようなものだと思っていた。
オクシオーヌの幸せだけがジュヌーンの望みなのだ。
それが罪も無いバスクの人々を、彼女の両親を殺した彼がすべき償い
オクシオーヌのそばで彼女をずっと見守ってきた。
彼女が幸せになるのを見届けたらこの島を去ろうと思っていた。
どこか遠くに・・・。
だが、オクシオーヌが望んだのは・・・
きれいになりたくて
大人になりたくて
あなたにふさわしい女の人になりたくて
・・・・・・
ジュヌーンの特別の存在・・・
でもそれは決して彼の罪の償いの対象としてだなく・・・。
オクシオーヌがそれに気付かなければ良かったのにと思う・・・
そうすれば
彼が思い描く結末に行き着くはずだったのだ・・・