在宅介護を支える新事業

「短時間訪問介護」のモデル事業は、訪問回数を増やす一方、必要な介護が終わればヘルパーはすぐに移動する。利用料は1回180円。時間のかかる入浴介助などは、通常の介護保険の訪問介護を利用する。

 12年度に国が導入する24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護は、岐阜県で先行実施されている短時間の定期巡回に加え、利用者の呼び出しに応じてヘルパーや看護師を派遣する随時訪問も行われる予定だ。
 
 自宅で訪問介護を受ける場合、多くは30分から1時間の訪問が一日2回程度で、残りは家族が介護するか、一人で過ごすしかない。生活リズムに合わせて短時間訪問を繰り返す方法なら、ぬれたおむつで長時間我慢しなくて済むほか、トイレでの排泄も可能になり、服薬管理や水分補給もしっかり行える。体調の変化にも気づきやすくなる。

 「このサービスがあれば、私が仕事をやめなくても、義母を家にいさせてあげることが出来る」と、介護している息子の妻の桂子さん(54)は言う。介護サービス会社の方は、「必要に応じて何度も訪問することで、安心感が生まれる」と強調する。

 医療や介護、給食などの生活支援が提供され、地域で暮らし続けられる体制を、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」と呼び、全国に広げようとしている。そのカギを握る24時間型の訪問介護について、大学教授は、「施設のような安心感を提供することで、在宅生活がより長く続けられるようになる」と評価する。

 国は今後、サービスの内容や料金体系などを決めるが、「夜間も介護職が確保できるか」利用料が高くなりすぎないかなど、過大は多い。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「見守りが必要な認知症の人など、短時間介護が向かない人もいる。従来の介護サービスも並行して充実させるべきだ」と注文する。

 年齢が高くなると、介護も医療も必要になることが多い。現行制度では看護と介護が別事務所がら提供される為、利用者の体調変化などが関係者に伝わりにくい。このため国は、12人年度から訪問看護を一体的に提供する事業所の設置を進める。

 12年度には、介護報酬と診療報酬の同時改定も行われル。医療が必要になっても、自宅やグループホームで最期まで暮らせる体制作りなどが議論される見通しだ。

 高齢の親と一緒に暮らしている、子世代にはありがたいですね。このような、最期まで自宅で暮らせるための周辺制度設計をお願いします。