低料金の老人ホーム(経費ホーム)

 厚生労働省は4月から、比較的安い料金で入居できる老人ホームの規制を大都市圏で見直し、低コストで運営が可能な定員20人以下の小型施設の設置・運営を認める。高齢者向けセーフティーネット(安全網)整備の一環で、大都市の生活保護でも払える料金の施設を想定している。社会福祉法人や企業、非営利組織(NPO)などの参入を見込む。

 老人ホームには入居条件などによって特別擁護老人ホームなど4種類ある。今回、対象とするのは自治体の助成を受けて設置・運営する経費老人ホーム(ケアハウス)と呼ぶタイプ。

 厚生労働省は東京23区や横浜市などの首都圏、京都市や大阪市などの近畿圏と名古屋市を対象に、設備や運営に関する最低基準を緩和する。

 現在の基準では20人以上が入居できる規模が必要だが、新基準は20人以下の小型施設に限って適用する。個室の広さは現基準の21.6平方メートル(約13畳)以上に対し、小型施設では7.43平方メートル(4畳半)以上あればよい。談話室や娯楽施設は不要。事務員や栄養士も置く必要がなく、施設長が他の仕事との兼務でもよい。

 3月中に省令を改正、4月1日から解禁する。20人以上のホームの場合は対象地域でも現行の基準に合わせなければならない。経費ホームは都道府県が整備費や運営費の一部を助成している。低所得者向けに利湯お良を軽減する仕組みがあり、地方には食費や光熱費込みで6万円程度で入れる施設もある。

 ただ地価や人件費が高い大都市部では、利用料が月15万〜20万円程度になる例が多い。このため、住み慣れた地域にホームがあっても利用料が払えない為入居せず、地方の割安な施設を選ぶ高齢者も目立つ。

 今回の規制緩和によって、厚生労働省は東京都で月13万円(単身で持ち家がない場合)の生活保護受給者でも入れるホームがつくれると見ている。

 同省に規制緩和を求めた都としては、2010〜12年度の3年間で2400人分の整備を目指すとしている。選択肢が増える事は、大変に有り難いと思います。

 経費ホームは、介護保険サービスを受けるほどではないが、身体機能が低下し、独立して暮らすには不安がある60歳以上の高齢者が入居できる。部屋は個室で、食堂や浴室、居間などは共有。一部には介護サービスを提供する施設もある。全国で社会福祉法人などが約2000施設を運営し、約8万3千人が利用している。

 高齢者が増える中で、経費ホームのような見守り機能のある住宅の確保が課題となっている。ケア付き住宅は全国の高齢者の0.8%分しかなく、厚生労働省は大都市圏を中心に低所得者が入居できる施設の整備を急ぐ。10年度からは定員一人当たり150万円の整備費を国が直接補助し、低利融資制度も導入する。

 政府も本格的に高齢者施設に力を入れてきているようです。