現在個人向け国債が人気となっています。そして、その売れ行きについても非常に好調なようです。投資の経験のない中高年は運用の候補として個人向け国債を検討して欲しいと思います。

私自身はこの個人向け国債については、あまり好意的な印象を持っていません。しかし、投資経験のない人にとっては、円資産として保有する場合は、最も低リスクである程度のリターンを得る事ができる商品だと思っています。


個人向け国債の特徴は大きく分類すると二つあると思います。

個人向け国債の特徴@変動金利

個人向け国債は、変動金利です。金利決定日の10年国債の金利水準から0.8%をマイナスした金利が個人向け国債の金利として、以後の半年間その金利が採用されます。

現在の長期金利は1.5%弱となっており、この水準は多少上昇はしているものの、諸外国と比較して非常に低い水準に収まっています。また、歴史的に見てもこの水準は超低金利といえるでしょう。
今後、景気回復に伴い金利が上昇するとするならば、この変動金利は強い力を発揮します。

そして、今後、金利が上がる理由として、「変動利付国債」を挙げてみましょう。

変動利付国債は満期15年の国債で、価格変動リスクがあります(後述しますが、個人向け国債は価格変動リスクはありません。)にもかかわらず、変動利付き国債の金利は「10年国債の金利から1%を引いた水準になっています。

個人向け国債よりも長期間持たなくてはならず、価格変動リスクがあるにもかかわらず、今変動利付き国債を購入するならば金利は0.5%程度です。つまり、個人向け国債は、非常に現在恵まれた金利水準が採用されている事になります。
おそらく、この個人向け国債を法人も購入できるようにしたならば、一瞬で蒸発するくらいの需要があるはずです。とすると、現在提供されている個人向け国債は非常に割安といえるのです。


個人向け国債の特徴A価格変動リスクがない

前述しましたが、個人向け国債には価格変動リスクがありません。現在の制度では、原則一年は売却不能ですが、一年を過ぎたら、ペナルティはありますが、個人向け国債は元本価格で国がいつでも好きな時に買い取ってくれます。
個人向け国債を途中で売却(解約)した時のペナルティは、直近一年分の利息を国に返還するというものになります(実際は解約金から差し引かれて戻ってきますので、個人向け国債を途中売却してもなんらかの手続きが必要になるわけではありません。)

※通常、個人向け国債の利息には税金(20%の源泉徴収)がかかるため、例えば100万円で利率1%の場合、年間の受取利息は100万×1%×80%=8000円となりますが、実際に国から支払われた利息は10,000円になりますので、一年きっかりで個人向け国債を解約した場合、解約時に戻ってくるお金は992,000円となり、元本を下回ります。

通常の債券は長期金利の推移により価格変動リスクがありますが、個人向け国債はこのリスクがゼロになっています。

リスク許容度の低い人(損に耐えられない人)は、だまって個人向け国債を買ってください。