生活保護受給者の特別養護施設入居支援

厚生労働省は生活保護を受ける要介護者の支援に乗り出す。4月から介護施設の一つである特別養護老人ホームの個室に入居できるよう月額2万5000円の居住費を国と自治体、社会福祉法人で助成する。特別養護老人ホームについて、同省は居住費が必要な個室の施設整備に力点を置く方針に転換しており、低所得者対策に力を入れることにした。

 厚労省の支援策により、生活保護受給者は負担なしで個室に入居できるようになる。必要な財源は2011年度予算案で12億円を手当てした。

 特別養護老人ホームには居住費が必要な個室と負担なしで入れる相部屋があるが、相部屋はプライバシーの問題や在宅とほど遠い生活環境のため見直すべきだとの声が強かった。そこで、厚労省は06年から個室の施設整備に力点を置く方針に転換。14年度までに特別養護老人ホームの入居定員の7割を個室にする方針だ。08年で特別養護老人ホームの定員約42万人分のうち、約2割が個室に転換している。

 生活保護の受給者が施設に入る場合、負担が必要ない相部屋を選ぶケースが多かった。ただ、このまま個室の整備が進めば、居住費を払えない高齢者は施設に入所できなくなる恐れがある。このため、厚労省は支援策をとることにした。

 所得の少ない高齢者への対応は今後大きな課題になるが、支援には公平性も求められる。現行制度では、現役時代に年金保険料をきちんと払い続けてきたが、居住費を払えるだけの余力が無く、相部屋にしか住めない高齢者も想定される。こうした高齢者との公平感をどう保つかも課題になりそうだ。

終の棲家(ついのすみか)に対してセーフティーネットが拡充されたことは良いことだと思います。