株式会社特養に期待

 介護現場には、製造業のリストラなど厳しい雇用環境を背景に、介護現場に未経験者が殺到している。昨年12月に2.53倍だった介護職の有効求人倍率は4月に1.24倍に急低下した。

 訪問介護を手がけるセントケア・ホールディングは今年度、前年度の2倍に当たる1000人の未経験者を採用するという。積極採用を後押ししているのは政府の政策で、介護未経験者を雇う事業主に支払う助成金を1月に一人当たり最大100万円に拡充したのが大きい。

 資格取得に対する助成金を出す自治体も多く、事業者からすると「未経験者を雇っても負担は掛からなくなった」ということであるそうだ。政府の政策には、副作用がありインドネシアから11月に来日する介護福祉士候補者は、500人の予定が受け入れ先がないため、232人にとどまる。

 折角教育しても、景気がよくなれば、待遇のよい職場に転職してしまうというという関係者の多くの不安はぬぐえない。厳しい労働に見合う賃金を出せるように努力することが安定雇用対策になるというのは疑いの余地はないとおもう。

 そんな中で注目したいのが、北海道乙部町の特養「おとべ荘」で介護大手のジャパンケアサービスが95年に町から運営を受託した「株式会社特養」の第1号だ。町営時代はおむつや灯油などを言い値で購入していたが、「仕入れの工夫で暖房費は年100万円節約、紙おむつ費用も3割り減った」と関係者は言う。

 給与は業界平均より2割高く、安定した職場との人気も高い。事業者に欠かせないのは経営の視点で、これを取り入れ、呼び水にすれば人材は集まるはずだ。今こそ民間の知恵に託してみては如何だろうか。