春は会社などの組織に新人たちが入ってくる季節。学生気分が抜けきらない言葉遣いや非常識な行動で、上司や同僚から反感を買うケースも少なくない。先輩たちに、これまで遭遇した「困った新人」を反面教師として挙げてもらい、理想の新人像を探ってみた。

 1位は「あいさつがきちんとできない」との嘆き節。「『チーッス』みたいな言葉遣いをする」(35歳男性)のは論外にしても「いつまでたっても、こちらのあいさつにうなずくだけ」(44歳女性)、「社長クラスにしかあいさつせず、こちらからしても無視」(35歳女性)とは、先輩たちも穏やかでいられない。

 新人として覚えたいのは「おはようございます」「お疲れさまです」「お先に失礼します」の3つの“お”。「ごちそうしても翌日にお礼を言わない」(45歳女性)ようではダメだし、「顧客に会わせて紹介しているのにあいさつしない」(42歳男性)では、ビジネスにも影響しかねない。

 2位の「メモを取らず、同じ事を何度も聞く」は、自分の仕事も抱えつつ面倒を見る上司からすると、見過ごせない。しかも「ミスを注意したら教えてもらっていないと言う」(39歳女性)とは、怒りを通り越したあきれ顔が目に浮かぶ。

 「敬語が使えない」が3位。「上司・同僚を問わず、最初からタメ口」(44歳女性)とは、敬語を単に知らないだけなのか、はたまた実力主義でフラットな関係を望んだ、計算ずくの行為なのか。「社外の人との電話で、社内の人をさん付けする」(44歳女性)のは代表的なマナー違反だし、「無礼講での本当に無礼な言動」(44歳男性)というのも、節度を守れなければトラブルのもとだ。

 4位は「雑用を率先してやろうとしない」。本業で大きな戦力になれないうちは、せめて雑務でも貢献をとの謙虚さも重要。「上司が掃除をしているのを見て『掃除が好きなんですね』と何もせずに言う」(31歳男性)などは問題外だ。

 「すぐそばにいるのに、頼み事をする時は必ず社内メール」(31歳女性)は非常識。「残業させると翌日、会社に母親が怒鳴り込んできた」(38歳女性)というケースもあった。

 「今の職場は、隣は何する人ぞといったマンションのような『個職化』が進んでいる。新人はぜひ、部屋の鍵を閉めず、先輩に素直に相談を」と話すのは、「不機嫌な職場」の著者の1人で経営コンサルタントの高橋克徳さん。上司に対しても「ちゃんと部下にも『おはよう』と言ってますか? 互いにコミュニケーションしやすい職場の雰囲気づくりを」と求める。

嫌われるのは一貫性のない上司

 迎える側も「困った上司」と見られないようにしたい。最も嫌われるのは、言動に一貫性のないタイプ。1位の「言うことや指示がコロコロ変わる」をはじめ「強い者には弱く、弱い者には強い」「感情的で気分屋」も同様だ。「『○○的な』『みたいなぁ』と女子高生のような指示」(37歳男性)も混乱のもとだ。

 「特許申請書類に、自分の名前も載せておくように言ってきた」(48歳男性)ような、「部下の手柄を持っていく」上司も困りもの。そんな職場にいる部下たちの自衛策について、精神科医の香山リカさんは「その人の言動に一喜一憂しないことが大事。仲間たちで酒でも飲みながら愚痴を言い合って、痛みを分かち合う一種の"カウンセリング"も大切ですよ」とアドバイスする。

あいさつがきちんとできない  519
メモを取らず、同じ事を何度も聞く  432
敬語が使えない  409
雑用を率先してやろうとしない  300
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない  297
同じ間違いを繰り返す  282
返事ができない  267
自分のミスを謝らない  257
「指示待ち」で自分から積極的に動こうとしない  220
10 プライドが高く、知ったかぶり  219
11 忙しい先輩に「手伝いますか」の言葉もなく帰るなど、協調性がない  204
12 仕事中の私語が多すぎる  189
13 注意すると「逆ギレ」する  160
14 仕事の優先順位がつけられずパニックになる  156
15 好き嫌いで物事を判断し、露骨に態度に表す  144
  上司はここに気をつけて
言うことや指示がコロコロ変わる
強い者には弱く、弱い者には強い
大事な局面で責任逃れ
感情的で気分屋
失敗を部下のせいにする
上司自身が仕事ができない
部下の手柄を持っていく
部下の指導をしない
決断力がない
10 仕事を無責任にすべて部下に丸投げする