変動金利の住宅ローンは借りてはいけない

 住宅金融支援構が民間金融機関と提携して取り扱う長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の利用が急増している。2010年の申込件数は約16万3000件と前年の約2.5倍に拡大。融資実行額も2.6倍の2兆2000億円だった。政府が10年2月から一定の条件を満たせば貸出金利を優遇するようにしたのが背景だ。固定金利型で競争力が急低下した民間銀行は足元の金利が低い変動型で対抗。消費者の住宅取得の際の借り入れ負担が軽くなり、住宅供給を促す循環も指摘されている。

フラット35は03年に投入された。申込件数は商品への認知が高まった05年以降、リーマン・ショックがあった08年を除いて年6万件前後で推移。政府が省エネ住宅などを対象に、当初10年間の貸出金利を1%引き下げる優遇策を実施した昨年2月以降に急増した。

 適用金利は昨年9月を底に上昇傾向だが、昨年10〜12月期の申込件数も約5万5000件と前年同期の約2.4倍に達した。申込件数の9割程度を優遇策の対象物件が占めるという。昨年10〜12月は融資額も約8500億円と前年同期の約3倍に急増。りそな銀行では10年10〜12月のフラット35の融資実行額が前年同期の2.1倍に増加。フラット35が住宅ローン実行額全体に占める割合も3割前後になったという。

 政府による金利優遇は今年末の申し込み分まで続くため、「フラット35の利用は、11年中は増勢が続く」(不動産関係者)との見方が多い。

 ただフラット35には民間の一部から批判もある。フラット35(期間21年以上)の優遇策を利用すれば、当初10年間は年1%台の金利で借りられるからだ。ある大手銀行が扱う類似商品の固定金利(年3%程度)を大幅に下回っており、「市場金利からかけ離れており、民業圧迫だ」(大手銀行)などの指摘もある。

このため、民間銀行の多くは日銀の政策金利の変更に応じて適用金利を半年ごとに見直す変動金利型を住宅ローンの主力に据えている。三菱東京UFJ銀行の場合、住宅ローン実行額の9割強を変動タイプが占める。三井住友銀行も大半の利用者が変動金利を選んでいるという。

 大手銀などでは変動金利型について年2%台を店頭表示しているが、給与振込口座の開設など条件を満たせば、フラット35を下回る1%未満の金利が適用されるケースもある。変動金利型は一定期間を過ぎると借入金利が大きく上がるなどリスクも伴うが、給与所得が伸びないなか、当面は低金利が継続すると判断して、目先の利払い負担を減らそうとする個人も多い。

 フラット35の急増などは、個人の住宅投資を下支えしている側面もある。国土交通省によると、10年の新設住宅着工戸数は約81万3000戸と2年ぶりに前年実績を上回った。金利優遇があるうちに不動産会社が物件の供給を増やす動きも指摘されている。

 変動金利型の住宅ローンは一般的にプライムレートをもとに、半年に1回見直しが行われます。一方、住宅ローンの返済額については、5年毎に見直されますので、金利が変動してもその後5年間住宅ローンの返済額自体は変わらないのですが、元本と利息の比率が変化することになります。払っても払っても、元金が減らずにかえって増えてしまうこともあるんです。

 住宅ローンの返済額が見直される際に、金利上昇があれば返済額が増加するケースがありますが、返済額の増加は1.25倍を上限としているようです。色んな角度から見ても、住宅支援機構の方がお勧めです。民間の住宅ローンは借りない方が良いと思います。