不動産サブリース(一括借り上げ)契約の現状
アパート経営者が高齢となり、不動産会社と一括借り上げ契約を検討している方が多くなってきています。
一括借り上げ会社によって、内容に差があること(賃料不払いの場合の訴訟費用は、どちらが負担するのか?)等、借り上げ会社に万が一のことがあると損をするのはアパートオーナーになります。(入居者からの賃料は、一括借り上げ会社の債権者が差し押さえしてしまう為契約期間中は、オーナーにお金が入ってこない事がある)契約内容と会社の経営等を十分検討してください。
T契約内容の要約 (一般の不動産会社が利用している)
1 オーナーはA社に対しアパートを賃貸し、A社はこれを一括借上げし、転貸する。
2 A社はアパート一室の家賃を評価し、オーナーに毎月、一定の賃料を支払う。
3 転借人への賃貸条件はA社が任意に定め、賃料・共益費・敷金・更新料等の一切の金額はA社の収入とする。 4 オーナーはA社に対し、アパートの管理委託業務を委託する。
5 A社は善良なる管理者の注意を持って、管理業務を行わなければならない。
6 アパートの建物本体、外回り、及び付帯設備の経年、老朽化に伴なう費用はオーナーの負担とする。
7 A社と転貸し人との解約に伴なう畳の取替等の費消に伴なう費用はオーナーは負担しない。
8 次の事項がA社に発生した場合、オーナーはA社に対して何らの通知を要せずして、即時本契約を解除する事ができる。 @オーナーに対する一括借上げ賃料の支払を2ヶ月以上怠った時
A強制執行を受け、又は競売、破産、民事再生もしくは会社更正の申し立てを受けたとき。
B本契約の各条項のいずれかに違反したとき。
9 天災、地変その他オーナー及びA社の責に帰す事のできない事由により、本物件が使用できなくなった場合は、その時点にお いて本契約は解除となる。
10 オーナーの責に帰すべき事由にて本物件が使用できなくなった場合、あるいはA、Bに該当した場合即時解除できる。 11 本契約終了後、オーナーは自ら転借人との間において、本物件賃貸人としての地位を引き継ぐものとする。 @A社は本契約終了時に、本物件を現状にてオーナーに引渡すものとする。
AA社は本契約終了後、2ヶ月以内に転借人の契約書、名簿及び賃料入金記録等を示した書類をオーナーに引渡すものとする。 Bオーナー及びA社は本契約終了日の2ヶ月前までに、連名にて転借人に対し、A社が転借人の地位を離れ、オーナーが賃貸人の 地位につく旨の通知を行うものとする。
CA社は本契約修了日時点で、転借人より預かり保管中の金員がある場合、本契約終了後2ヶ月以内にオーナーへ該当金員 を移管するものとする。
DA社は本契約の転借人に対してA社が有する債券、債務を清算し、オーナーに移転・継承する。
12 A社は新規のサブリース契約に伴なう賃貸し人募集の広告料として1ヶ月分をオーナーより受取る。
13 契約より3ヶ月間に賃貸し人が入居しない時は、A社がオーナーに支払うべき賃料の3ヶ月分を免除される。 但し、入居決定時点で支払が発生する。
保険
14 オーナーは自己の費用をもって、本物件に対し、必ず時価相当額の火災保険、及び施設賠償保険に加入する。 15 A社は入居者対し、入居条件として、家財保険、及び借家人賠償責任保険の加入を義務つ‘けるものとする。
Uサブリースのメリット
☆ オーナーのメリット Vサブリースのデメリット
@毎月確実に家賃が入ってくる。 ☆ オーナーのデメリット
A入居、更新時の入居者との折衝がない。 @収入が減少する。
B入居、更新時の修理の手配がいらない。 A入居者の選別がA社任せになる。
Cアパートの維持管理業務がなくなる。 Bまわりからの苦情はオーナーに訴えてくる。
D仲介業者のノウハウを利用できる。 Cそのため苦情処理等の管理業務はなくならない。
☆ A社のメリット ☆ A社のデメリット
@収入が増える。 @入居者が3ヶ月後も決まらない場合にはA社の賃料負担になる。
A収入が毎月入ってくる。 A入居者とのトラブル時の負担が多くなる。
B物件を独占できる。 B入居者とオーナーの板ばさみになることがある。
Wサブリースの現状
アパート経営者が高年齢や諸事情により、管理ができない場合にはサブリースは有功であります。
また長期の空室による減収も防げます。
しかし、A社との契約は家賃の金額、管理面について綿密な契約確認が必要です。
今後、サブリース契約はオーナーの高齢化に伴い仲介業務のメリットを生かして、さらに増加していくと思います。

