結婚生活20年以上の夫婦の離婚件数は、1年間になんと4万件超。
女性の寿命を縮める一番の要因は「夫の存在」だと、寂しいことをいう方もいます。
一方、老後の年金の平均額はというと、男性約200万円に対し女性は50万円〜80万円といったところ。
日本の場合は男女間の賃金格差が激しく、また、出産や育児で女性の方が勤続年数が短くなりがちなので、給料と加入期間の長さで金額の決まる厚生年金にはこのような差が生まれてしまうのです。
年金分割が導入されるのは、女性が離婚すると、老後の年金が少なくなる例が目立つからだ。特に、ずっとサラリーマン世帯の専業主婦(国民年金の第3号被保険者)だった女性が熟年離婚した場合、受給できるのは、自分名義の基礎年金(満額でも月約6万6000円)だけです。会社勤めをしたことがあれば自分名義の厚生年金も受け取れるが、働いた期間が短いと額はわずかです。
このため、2007年4月以降に離婚する夫婦は、夫が過去の婚姻期間中に払った保険料に相当する厚生年金を夫婦で分割できるようになります。
分割の割合は、当事者間で話し合うのが基本。結論が出なければ裁判所が決める。分割できるのは、妻がずっと第3号被保険者だった場合、最大で夫の年金の半分まで。共働きだった場合には、夫と妻の厚生年金の多いほうから少ない方に、最大で二人の取り分が同じになるまでの分割が可能だ。基礎年金は分割の対象にならず、各自が自分名義の年金を受け取ることになります。
この制度とは別の仕組みが、08年4月から始まる。妻が第3号被保険者の期間分については、離婚する場合、夫の厚生年金の半分を自動的に妻の取り分とするという内容。夫婦間の合意や裁判所の手続きは必要なく、妻が請求するだけで分割を受けられる。2分の1以外の割合での分割は認められないのです。
ただ、適用されるのは08年4月以降の婚姻期間分だけなので、すでに中高年になっている夫婦にはさほど影響がない。共働き世帯や08年3月以前の婚姻期間分については、07年4月施行の制度に従って分割のしかたを決めなければなりません。