断トツで1位になったのは「○○(具体的な場面)では△△(指導や支援の内容)していただき、とても感謝いたしております」。年代別に見ても、軒並みトップを占めた。
一見、とても単純な一文のようだが「その人だけに対するメッセージが付いている」(石井さん)、「自分と相手しか分からないことを感じ取れる」(笠さん)など、好ましい年賀状にする重要なポイントを押さえている点がミソだ。
回答者からも「具体的に書かれると、覚えていてくれたのだとうれしく思えるし、相手の役に立ててよかったと感じられる」(20代会社員)、「具体的に自分が指導したことが生かされて感謝されていると分かる」(30代会社員)といった点が評価された。
2位は「○○(会食・ゴルフなど)では大変楽しい時間を過ごさせていただき、ありがとうございました」。「楽しい時間を思い出して幸せな気分になれる」(20代会社員)との声のほか、管理職世代からは「部下や後輩らとの付き合いは『実は相手は嫌々なのでは?』との疑問があるので、その疑問が晴れる内容だから」(40代会社員)といった声も。
わずかの差で3位に入ったのは「今年も○○(仕事でのプロジェクトやゴルフなど)でご一緒させていただければ幸いです」。これには「頼りにされている感じがしてうれしい」(40代会社員)といった支持が目立った。「相手に連絡する口実がつきやすくなりそう」(30代会社員)など、旧交を温め直すきっかけとなる点から推す人も。
もっとも、好感を呼ぶポイントは年代によって異なる。それが如実に出たのが、4位の「Aさんはお忙しい毎日だと思いますから、くれぐれもご自愛ください」。40代と50代以上では「身体を気遣ってくれるのは親近感がわく」(40代会社員)、「年齢を重ねるにつれて気になるのは互いの健康のこと」(50代以上会社員)などと好まれ2位だが、30代では4位、20代だと7位に落ちた。
調査では「自分が使ってみたいもの」も挙げてもらった。結果、「今年のテーマは○○(具体的な課題や目標)です」は20代でのみトップ10に入ったが、これを「もらってうれしい」の年代別結果でみると40代、50代以上では15位以下に。決意表明もさることながら、思いやりや謝意を示された方が上の世代も好感を抱くようだ。
手書きでも慣用文では無意味
「喪中の人に出した」「名前の漢字を間違えた」「離婚した人に『奥様にもよろしく』と書いた」……。調査では失敗談も多数寄せられた。
「年賀状は自分の顔のようなもの」と中川路さん。手紙に詳しい人たちがそろって注意を促すのは「旧年中はお世話になり、ありがとうございました」といった慣用的な文章だけでは、たとえ手書きでも印象に残らず無意味だという点。やはり何か言葉を書き添えたい。あえて相手の名前を添えるのも効果的だ。
石井さんは「自分のことは全体の3割程度にとどめ、相手について7割のつもりで」と助言する。結婚や新居の完成など出し手にとっての重大事も、先方には「人ごと」にすぎない可能性があるとわきまえておこう。野原さんも「押しつけはダメ」と強調、「ビジネス関係の相手には、家族の写真入り年賀状も場違いな押しつけになるので控えたい」と説く。
「年賀状には、毎日会っている人にでも改めて感謝や決意を伝えられる良さがある」と中川路さん。川村さんは「相手がこちらに連絡したくなるひと言を書く」ことも提案。笠さんは、3年ほど出し続けても返事がなければ「先方に迷惑」と考え、やめるそうだ。
1 | 「○○(具体的な場面)では△△(指導や支援の内容)していただき、とても感謝いたしております」 430 |
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2 | 「○○(会食・ゴルフなど)では大変楽しい時間を過ごさせていただき、ありがとうございました」 336 |
3 | 「今年も○○(仕事でのプロジェクトやゴルフなど)でご一緒させていただければ幸いです」 318 |
4 | 「Aさんはお忙しい毎日だと思いますから、くれぐれもご自愛ください」 298 |
5 | 「教えていただいた○○(仕事の進め方や信念など)を今も大事に思っております」 284 |
6 | 「一段と輝かしい1年をお過ごしになられますように」 230 |
7 | 「○○(指導や支援の内容)してくださったことで今、△△(「B社と取引」「得意先回りも独り立ちして」など)できております」 224 |
8 | 「最近は○○(自分の担当業務やプロジェクトのテーマなど)に取り組んでおり、特に△△に興味を持っています」 214 |
9 | 「こちらはとりあえず元気にしております」 188 |
10 | 「Aさん、かけがえのない御身をお大切に」 146 |