間違いだらけの医療保険ここを見直そう

 「病気になると200万円!」「差額ベッド料が1日1万円!」「先進医療は健康保険が効きません!」など、不安を煽るフレーズの数々。まるで「民間医療保険に入っていないと安心して病気の治療もできないのか」という気分にさせられます。

 本当に、民間医療保険は必要な「医療」を保障してくれるものでしょうか?民間医療保険はかかった「医療費」を保障してくれるものでしょうか?答えはいずれも「No」です。民間医療保険はあなたに合った適切な医療を保障してくれるものでもなければ、かかった医療費を保障してくれるものでもありません。あくまでも「治療目的での入院1日につき何円」といった定額の現金支給です。

 すでに民間医療保険に加入している人(生命保険の医療特約も含めて)も、これから検討しようという人も、民間医療保険を曖昧なイメージとして捉えるのではなく、「ありのままの姿と限界」を理解し、民間医療保険に頼っていい領域を見極めることが大切です。

 保険は長期間にわたって保険料を払い続ける可能性の高い商品です。定率減税の廃止や社会保険料負担の増大など、年収が変わらなくても手取りが減る時代。漠然としたイメージのために、大切な収入から支出を続けていくような事は避けるべきです。

 あなたは1年間にいくらの健康保険料を払っているか知ってますか?

 殆どの方は、すでに病気やケガに備えて結構な金額を払っています。一度、給与明細の健康保険料の項目に示された数字を12倍してみてください。これが公的医療保険の1年間の保険料です。年収には限りがあります。さらに民間医療保険に加入すれば、使い道が自由なお金は確実に減ってしまいます。

 民間医療保険の広告宣伝によって、公的医療保険はあまり役に立たないかのようにイメージが作られているようですが、実は大きな間違いです。公的医療保険は大変に頼りになります。ここで公的医療保険と民間医療保険の違いを確認しておきましょう。

 民間医療保険は「治療のための入院」や「約款所定の手術」といった支払条件を満たしたときに、現金での給付を受けるものです。

 それに対して公的医療保険は、医療費の一部(3割など)を自己負担することによって、必要な治療が公定価格で受けられます。また、公的医療保険は健康状態に関わらず、日本に住むすべての人が加入でき、所得に応じた保険料を支払います。しかし、民間医療保険は原則として、顧客から申込みがあったとき、健康状態などを審査した上で、保険会社が契約を引き受けるかどうかを決めます。

 民間医療保険を検討する際には、公的医療保険でどの程度カバーされるのかを理解し、貯蓄や収入などでは賄いきれない部分を民間医療保険で補うというスタンスが大切です。

【民間医療保険と公的医療保険の違い】

民間医療保険 公的医療保険
  • あらかじめ決まった金額を定額保障
  • 加入できるかどうかは保険会社が決める
  • 保険金・給付金を支払うかどうかは診断書等を見て保険会社が決める
  • 保障内容は保険期間中変わらない
  • 必要な医療を現物給付
  • 日本に住むすべての人が加入
  • 保険証を提示すれば日本全国どこの医療機関でも公定価格で治療が受けられる
  • 医学の進歩とともに保険診療の範囲は広がる

 シンプルで割安な民間医療保険活用で貯蓄を増やす

 解決策の中には、金銭的なコストをかけることなく実行できるものもあるでしょうが、いくばくかのお金が必要なものもあるでしょう。入院するしないに関わらず、どんなときも自由に使える貯蓄は「万能の保険」です。医療保障を考える際には、「万能の保険」である貯蓄を増やすことをメインに据え、民間医療保険は割安でシンプルなものを選ぶことが賢い方法と言えます。保険料負担が重過ぎて貯蓄が増えないという、本末転倒の事態に陥ることのないように気をつけましょう。

 保険を選ぶ場合には、専門家に相談するのがお勧めです。無料で相談にのってくれる生命保険の選び方なら読売ウィークリーでも紹介された”保険マンモス”へどうぞ!