定借地権の第2ステージに期待

定期借地権とはなにか?
定期借地権は、平成4年8月に施行された「借地借家法」により誕生しました。
従来の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新がない事から、土地所有者は安心して土地を貸すことが出来、借主は、少ない負担で良質な住宅を持つ事が出来ますので、土地の賃貸借が円滑に行われる事が期待でき、「土地の保有から利用へ」という土地基本法の理念にふさわしい制度です。

定期借地権の3つのタイプ
1. 一般定期借地権
借地期間を50年以上としたもの。期間の満了に伴い,原則として借主は建物を取り壊して土地を返還する必要があります。
2. 建物譲渡特約付借地権
契約後3年以上経過した時点で土地所有者が建物を買い取る事を,あらかじめ約束しておきます。買取った時点で借地権がなくなります。
3. 事業用借地権
借地期間を10年以上20年以下とし、事業用に建物を建てて利用するための定期借地権で住宅には使えません。

どのように利用されているのか?
1.一般定期借地権は、期間50年以上という以外には制限がなく一戸建住宅や分譲マンシ  
  ョンでの利用や病院・スーパー・公共施設等幅広く使われています。   
  有名なところでは、中日ドラゴンズの本拠地の名古屋ドームも定期借地権を利用され    
  ています。
2.建物譲渡特約付借地権は、分譲マンションでも多く利用されています。
  また、土地を借りた借地人が賃貸住宅を建設し、30〜35年間管理・運営して期間終了後 
  地主が賃貸住宅を買い取るという利用の仕方もここ2年間ほどで急増しているようで 
  す。
4. 事業用借地権は、居住系では利用できない為、主にガソリンスタンド・コンビ二・ファミリーレストラン等ロードサイドビジネスの利用が中心です。

全国の定期借地権付住宅は4万戸を突破
 平成14年12月末までに全国で供給された定期借地権付住宅の供給戸数は累計で初めて4万戸の大台に乗り40,601戸となりました。(定期借地権普及促進協議会)
 内訳は、一戸建27,352戸、マンション13,249戸です。
平成14年に供給された定期借地権付住宅は、一戸建住宅3,536戸(前年比約10%増)、  マンションは1,351戸(前年比約38%減)でした。
 定借マンションの減少要因としては、企業が減損会計をにらんで保有土地の売却を一層
進めた為と考えられます。
 今年2月から販売が開始される多摩ニュータウンの大型定借マンション、アルボの丘
680戸の分譲も大変に興味深い所です。

定期借地権の地主のメリット
1. 借地期間が満了後は、土地が更地で戻ってきます。
2. 継続的な地代収入が見込めます。
3. 税金の軽減措置があります。一般的住宅地ですと一戸建なら土地の固定資産税が1/6になります。相続税評価額も40%下がります。
4. 一定条件を満たせば物納も可能とされています。

定期借地権の購入者のメリット
1. 所有権物件に比べて一回り大きな物件を購入できる。
2. 住宅ローンを少なく出来る
3. 増改築を自由に出来る。
4. 将来、土地を購入する事も可能である。 
定期借地権付一戸建住宅は、全国平均で敷地面積が平均217.3u,床面積が平均126.3uとなっている。所有権一戸建と比較すると、定期借地権付住宅の方が敷地面積で1.7倍、床面積で1.26倍となっており土地建物双方において広い住宅が供給されている。

定期借地権の契約時の預かり保証金は、姿を消すかもしれない

定期借地権設定時において、借地権者(以下「借地人」といいます)が借地権設定者(以下「地主」といいます)に敷金型の保証金を預ける事が多くあります。これは、私が担当した埼玉県大宮市(現在さいたま市)で定期借地権分譲を行なうに当たって多額の造成工事費が掛かることから、課税を受けない形での預り金として採用したものです。
当時は、住宅メーカーのトップ企業が取り扱う初めての定期借地権分譲事業として注目を集めNHK始め各メデイアが取り上げて貰えた事でご記憶されている方もいらっしゃると思います。
各メデアは、高倍率の抽選で当選された方々の職業や年収の高さに驚かれ、定期借地権付住宅の入居者のイメージが大きく変わった事を今でも強烈に覚えています。

 
定期借地権の賃料を50年分受け取っても、一定の条件を満たせば前払い賃料となります。
 
定期借地権の毎払い賃料の税務上の取り扱いが、国土交通省の紹介文書「定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における税務上の取り扱いについて」に対する、国税庁の文書回答(平成17年1月7日付)により明らかになりました。
内容はとても簡単です、従来の考えは50年分の賃料を前払いで受け取れば,一時金課税をすると言うものでした。これからは、一定の条件を満たせば、前払い賃料として取り扱う事になります。
 保証金は、地主とすると借金という認識があり、返さなければならないプレッシャーが強く受け入れがたいものです。
 底地を物納する場合でも、保証金を借地人に返還し抵当権を抹消するという事で、大変に面倒に感じている方も多い。
 地主の中には、課税を受けても、借地人への返還義務のない権利金として受け取りたいと言う思いの方も多い。
 しかし、借地人とすれば権利金より保証金の方がありがたい。
 今回、前払い賃料が課税を受けないこととなり、借地人と地主双方とも納得できる内容の借地契約が出来ると思います。
 今まで利用出来なかった、既に抵当権がついている土地や売却の出来ない行政、お寺所有地などとても楽しみです。
 
借地人に取っての不安も解消
借地人にとって定期借地権の不安の1つは、期間途中での売却でしたが、今回三井住友銀行の定借ローン(中古及び借り換えOK)の登場により解消しました。
 2つ目の不安は、期間途中でご主人が無くなった場合、家のローンは団信に加入していれば無くなりますが、地代は残りの期間払いつづけ無ければならないことです。
 残りの期間分の地代を生命保険で一括して支払う事も、地主の課税の関係で出来ませんでした。
 これからは、借地人としてが契約時に前払い賃料30年分を団信に加入してローンを組んで支払い、借地契約を設定すれば、ご主人が亡くなっても残された家族は安心です。
 大変楽しみな定期借地権です、時代に合った利用方法を提案して行きたい。
 

前払い方式の定期借地権でめざそう定年後の悠々ライフ