個人年金保険加入の注意点

 さて、まだ年齢が40歳前にもかかわらず、この個人年金保険で、老後の準備をとお考えの方も多いのではないでしょうか。そういう方が後悔しないために、注意点をいくつか挙げてみましょう。

1:年利1.2〜1.65%の運用利率でこの先何十年も固定することになる

 一般的に、この低金利下で、30年の定期預金をする人はいません。しかし、年金保険という形に変えると、その抵抗がなくなってしまいます。

 実際に、今売られている大手生保の商品で、この商品の金融商品として運用効率を計算してみますと、30歳で加入して、60歳から10年間の年金を受け取るとして、年複利に換算すると、せいぜい0.75%前後の運用にしかなりません。税制適格による税金の軽減効果を加味して、1.2%前後というところです(図表参照)。

2:途中で解約すると確実に元本割れする

 この保険は、基本的に死亡保障はありません。もし途中で保険の対象となる被保険者が亡くなると、それまでに払い込んだ保険料が戻るだけです。災害死亡保険金などが上乗せでついているものもありますが、要はその保障分の保険料が乗っているだけです。払い込みが終了できず、途中で解約をすると、確実に元本割れしてしまいます。ある大手生保の例ですと、30歳加入、60歳支払い開始で、48歳までは元本割れです。

 若い人で、老後が心配といって年金保険に加入する人を見かけますが、保険会社に言われるままに加入するのではなく、もう少し効率の良い商品を探すべきです。具体的には、毎月一定額を、自動引き落としなどで貯金をしていき、1年たったらまとまったお金をより金利の高いものに移し替えていくなどの方法です。現在でもネット銀行などでは、1年定期、年利1%前後の商品がありますから、そうして積み立てていく、もしくはたまったお金で有価証券を買うなどしていけば、金利が上がったときにも対応できますし、緊急のお金が必要になったときにも、柔軟にお金を引き出せます。

 以上は、ここ数年の内に加入した人、もしくは加入しようとしている人へのアドバイスです。既に加入されている人は、加入が10年以上前のものであれば、今後金利情勢が大きく変わるまで、当面は続けていくのが良いでしょう。