定年退職後は家庭経営力が必要
家庭経営と会社経営とは目的が違ってきます。
会社は利益を追求する組織ですが、家庭の中心は消費です。
限られた収入の中でいかに家族の「消費満足」を高めるかが家庭という組織が追求すべき目的です。
定年後の人生を考える時は、夫婦で家庭の経営を考える事が必要です。
現在の「我が家株式会社」の資産の状況はどうなっているのか、毎月の収支はどうなっているのかを把握する必要があります。
会社経営の指標としては、貸借対照表と損益計算書ですが、家庭においては財産対照表と消費損益計算書が必要だと公認会計士の依田先生は、新・家庭経営をいう本の中で説明しています。
財産対照表とは、資産と負債を一覧表にして確認して正味財産を求めるものです。
この正味財産によって、これからの人生設計のベースとなります。
資産 |
金額 |
負債 |
金額 |
現金 |
2.000.000円 |
住宅ローン |
30.000.000円 |
普通預金 |
1.000.000円 |
その他の借入金 |
0 |
定期性預金 |
0 |
カード未払い金 |
0 |
その他預金 |
0 |
その他負債 |
0 |
土地 |
16.000.000円 |
負債の合計 B |
30.000.000円 |
建物 |
10.000.000円 |
A−B=正味財産 |
C |
マンション |
0 |
44.200.000円ー30.000.000円= |
14.200.000円 |
有価証券 |
5.000.000円 |
C÷A×100= |
財産率 |
保険積立金 |
9.000.000円 |
財産率が50%以上は |
安定 |
車両 |
1.200.000円 |
財産率が60%以上は |
安心 |
売却可能な高級品 |
0 |
財産率がマイナスなら |
危険なケース |
その他資産 |
0 |
この表のケースは |
|
資産の合計 A |
44.200.000円 |
14.200.000÷44.200.000×100 |
32%で不安定 |
@土地及び建物の価格は、近くの不動産会社に聞いてみるのが一番早いです。
A有価証券の価格は、株式欄で確認してください。
B保険積立金は、解約返戻金で計算してください。(保険会社が教えてくれます)
C車両の価格は、中古車情報からインターネットで確認できます。
D骨董品は、なんでも鑑定団で確認してください。
この表の家庭の場合を見ると、財産率が32%と不安定というケースになります。
負債の部分の住宅ローンが重たい状態になっている事が、原因として読み取れま
す。
また、正味財産がマイナスになっている家庭もあると思いますが、その場合でも慌てる事はありません。
企業にとっての債務超過は倒産に直結しますが、家庭経営では住宅ローンを返済できて日々の暮らしがお金が回っていれば、改善策を考える時間的な余裕はあります。
尚、この表は何度か作成する事が必要です。
時間の経過と共に、住宅ローンの負債は減っていきます。
車両の価値は、下がっていきます。
不動産価格は、変動してきます。
この表とあわせて家庭経営にとって大事なのは、消費損益対照表です。
例1の家庭を見て研究しましょう。「財産対照表」と「消費損益計算書」の関係も検討しましょう
消費損益計算書 |
円 |
|
収入 |
|
|
給料 |
350.000 |
|
消費 |
|
|
所得税 |
20.000 |
|
住民税 |
12.000 |
|
社会保険料 |
10.000 |
|
日常生活費 |
|
|
食料費 |
90.000 |
|
交通費 |
20.000 |
|
水道光熱費 |
15.000 |
|
電話代 |
12.000 |
|
教育費 |
50.000 |
|
外食費 |
5.000 |
|
特別消費 |
|
|
住宅ローン支払利息 |
50.000 |
住宅ローンは支払利息
だけ消費として考えます。 |
資産評価損 |
2.000.000 |
不動産や車両の評価損 |
当期消費損益 |
-1.934.000 |
当期の消費損益を財産
対照表に組み入れます |
財産対照表 |
|
|
|
資産 |
金額 |
負債 |
金額 |
現金 |
63.000 |
住宅ローン |
34.900.000 |
普通預金 |
363.000 |
カード未払い |
75.000 |
土地 |
28.000.000 |
正味財産 |
|
建物 |
15.000.000 |
家族財産 |
10.000.000 |
車両 |
1.500.000 |
留保財産 |
1.885.000 |
|
|
当期消費損益 |
△1.934.000 |
|
|
|
|
合計 |
44.926.000 |
合計 |
44.926.000 |
今後の老後資金についても「正味財産」がいくらあるかで最善策が自ずと決まってきます。お近くのファイナンシャルプランナーに相談してください。