介護付き有料老人を終の棲家(ついのすみか)にする時のお金のチェックポイント

介護付き有料老人ホームへの入居を希望する人が増えている。介護体制や設備、雰囲気などをチェックするため、希望先ホームに体験入居する人も目立つ。ただ、入居一時金や月額費用の金額・中身など、費用面の入念な点検も忘れてはならない。それを怠ったばかりにトラブルになるケースが少なくないからだ。

「契約解除で入居一時金の一部が返還されるはずなのに、戻ってこない」

 「毎月の費用が事前に説明された金額より多い」

 介護付き有料老人ホームの入居者からよく聞かれる苦情やトラブルの一例だ。

 有料老人ホームは入居する高齢者の人数を問わず、食事、介護、洗濯・掃除などの家事、健康管理のいずれかのサービスを提供する施設で、特別養護老人ホームなど老人福祉施設以外の高齢者施設を指す。介護サービスを原則提供しないタイプもあるが、2000年の介護保険制度の導入以降は「介護付き」が主流だ。


事業者は企業が多い。サービス内容や建物の規模・構造、設備、入居者の費用負担額、職員配置や医療施設との提携内容などを、都道府県に届け出る義務がある。都道府県は必要があれば、立ち入り検査や改善命令ができる。

ただ、都道府県の監督は不十分といわれ「入居者との契約に関するトラブルは絶えない状態にある」(内閣府の消費者委員会)。

 特に「費用の額・中身」など、お金を巡るものが多い。自宅を売却して入居費用を調達する人も少なくないだけに、お金のトラブルは深刻だ。

 介護付き有料老人ホームを選ぶ際に事業者に確認したいポイントをまとめた。この中には入居者に交付する「重要事項説明書」、利用料、サービスの中身・費用などを記載した「管理規程」など、事業者が十分説明しなければならないことが多い。

 介護付きに限らないが、有料老人ホームの特徴は、入居の際に利用権の対価を支払う点にある。利用権は居室のほか、食堂、浴場、一時介護室、トイレなどの共用部分・設備を利用する権利。ただ、居室購入に伴う所有権や賃借による賃借権よりも「権利性が弱い」(弁護士の上柳敏郎さん)とされる。実際、事業者が破綻すると、事業を引き継ぐ者が現れない限り、権利は消滅する。

 介護付き有料老人ホームを選ぶ際のお金のチェックポイント

 利用者の金額と支払方法 
金額はいくらか・算定基準は・月払いか、一時金方式か

 契約解除の場合の取り扱い 
入居一時金は返還されるのか・どの程度返還されるのか・居室などの原状回復の為の費用については負担するのか?具体的にどれくらいか?

 入居一時金の返還金の保全方法
きちんと保全処置を講じているか・銀行による連帯保証や全国有料老人ホーム協会の入居者基金制度の利用などの方式のうち、どの方式で保全しているか

 月額費用の中身と金額 毎月支払う費用は何か。いくら必要か。・食費、水道光熱費、人件費はそれぞれいくらか。
介護費 介護保険が適用される介護サービス、適用されないサービスは何か。それぞれ毎月どの程度かかるのか。

 月額費用に含まれない費用 事業者が提供する物品・サービスのうち、月額費用に含まれず、購入、利用のつど支払うものには何があるか

しっかり、確認した下さい。自信の無い方は専門家に依頼して、一緒に行ってもらってください。