広がるか?介護休業

 育児介護・休業法は、家族の介護の為に93日までの休業を認めているが、実際にはどのように運用されているのだろうか?母親の介護を避けて通れない私としては気になるところであります。

 日経新聞の記事によると、会社によっては介護の為の日数を1年としているところもあるようだ、日立ソフトは法の上限を超える休業制度を設けていが、このような企業は増えてきているという。

 このような制度は、最近の男性が介護の担い手になることが多くなってきたことが背景にある。そして、40代50代といった働き盛りの人が介護休業を取得するケースが増えているようだ。

 生活共同組合ひろしまで働くHさん47歳は、母親77歳が認知症が悪化し父親も脳の病気で入院が必要になった為、介護休業を取得した。Hさんは独身で近くに親戚や兄弟もいない。09年2月から7月末まで、職場の規定の上限の6ヶ月の休みを取得。

 介護保険の申請や父親の病院探しなどに走り回り、母親はグループホームに、父親は老人保健施設に入ることが出来た。復帰した今は仕事が終わると、どちらかの施設に立ち寄る毎日だ。

 取得した人に共通するのは、周囲や上司らからの理解。「そばにいてあげなさい」。東京都の会社員Tさん44歳は、上司の一言に背中押され、08年12月から3ヶ月の休みを取った。2年前に父が亡くなったとき、母のがんも見つかり、医師から余命を告げられていた。

 秋田県の実家を離れて20年、年に1・2回帰るだけだったのが、母と二人きり、今年2月に亡くなるまで一緒に過ごした。同僚達は、その間の仕事を引き継いでくれた。職場には大変感謝しているそうだ。

 ただ、育児休業に比べ、介護休業はまだ充分には広がっていない。労働政策研究・研修機構の06年調査(介護が必要な同居家族がいる30から50代の男女が対象)によると、取得率は1・5パーセント。「収入が減る」「同僚に迷惑がかかる」などと心配する人は多い。

 そうした人は、介護休業をとらずに有給休暇などを使い、仕事と介護との両立に懸命に取り組んでいる人も多い。大阪府の会社員Sさん58歳は、4年ほど前から妻の介護を続けている。

 若年性アルツハイマーの妻は要介護5で常に付き添いが必要だ。週5日のデイサービスなどを利用し、毎月5から6万円掛かっている。会社に休業制度はあるが「休めば給料がなくなり、生活が苦しくなる」

 母81歳と3人暮らしのSさんは、介護の為に勤務時間の短い部署に希望して異動し、その分給料も下がったという。今は何とかやりくりしているが母が倒れたら仕事をやめるしかないと考えている。

 男性介護者の多くは仕事との両立に悩み年数万人が離職や転職を迫られているという。人事ではない現実がそこまで迫ってきている。