介護医療保険必要か?

 生命保険に加入して、生命保険料を支払っていると、生命保険料控除という制度があって、所得税と住民税が安くなる仕組みになっています。同じように、年金保険に加入していると、別枠で控除があります。 今度はこれに民間の「介護医療保険料控除」という新しい項目を設けて、生命保険料控除の組み替えを行おうとする動きがあります。

 これはひとえに、国民に「公的保険だけに頼らず民間の介護保険にも入っておいてくださいね」と自助努力を促すもので、税金が安くなると単純に喜んではいられません。

 保険会社が定める要介護状態になったときに、一時金が支払われたり、介護年金が一定期間、もしくは生涯にわたり支払われたりするというのが、その保障内容です。高齢になってこそ必要となる介護という事態を対象としていますから、保険期間は終身です。

 要介護状態になったときに、月10万円の介護年金が一生涯支払われるもので、保険料は、50歳男性で、月12240円、女性だと、19440円の終身払い、保険料を死ぬまで払い続けることになります。これは、それぞれの平均余命81歳、87歳をもとに計算すると、男性で、約455万円、女性で863万円の支払総額になります。これで介護にならなければ掛け捨てです。

 もし、75歳で介護状態になってそのまま平均余命の、81歳、87歳で亡くなれば、介護年金を、720万円、1440万円受け取ることができます。もっと若くして介護状態になり、そして長生きすれば、受け取る介護年金額はもっと多くなります。介護年金が支払われている間は保険料の支払いは免除です。

 介護保険も、医療保険などと同じように、今や公的な保険制度が確立しています。それが十分かどうかの議論はありますが、それに上乗せで、民間の介護保険に加入すべきかどうかということになると、ここは慎重に考えたいものです。

 介護保険はまだ発展途上の商品で、今後保障内容と保険料のバランスの良い商品が出てくることを期待しますが、病気、ケガ、介護など、あらゆる事態を想定して、それをすべて保険でカバーしようとするのではなく、保険加入をもっとシンプルにして、最後にはもろもろの費用が精算できるように、ある程度まとまった終身保険に入っておくというのもひとつの方法だと思います。

 「保険料で老後の生活が苦しくなる!」そういうことがないようにしたいものです。