仲間でグループリビング

 住み慣れた我が家で死ぬまで暮らしたいが、独りでは不安だし何かと不便とはいえ、まだ介護は必要なく管理された暮しも嫌なので、施設に入ろうとも思わないという。同じような境遇、考えの高齢者が集まり自分たちの理想の住まいを作ろうとの動きの中で、「グループリビング」が増えている。

 日経新聞に紹介されているのは、東京都心から電車で1時間強。千葉県成田市の新興住宅団地の一角に07年夏オープンした、「グループリビングももとせ」だ。

 特定非営利法人の「住まい・まち研究会」が運営する。明るい外壁の木造2階建ての建物で、中には1室約26平方メートルの個室が10室のほか、共用の食堂、台所、風呂、アトリエなどがある。

 入居の為の費用は、一時金で360万円。家賃や共益費として毎月11万円、食材費として月4万円だそうだ。今ここで高齢女性が6人暮らしている。食事はみんなでつくるほか、有償ボランティアを頼んだり、外食したりすることもある。

 入居者は自立し、それぞれの生活を大切にすることを基本とするが、時には助け合う。介護が必要になれば、介護保険の在宅サービスを利用する事になるが「どのようにその人を支援すればよいかも皆で考える」という。

 地域との交流も進めている。夏休みには近所の親子向けに演奏会などのイベントを定期開催しているほか、居住者の一人はアトリエで子供たち向けの書道教室も開いている。こうした交流のおかげで、地元の野菜を差し入れてくれる地域の支援者も増えてきたという。

 入居者の一人は、「誰かに必要とされ、帰ると待っている人がいるという生活は素晴らしい」と微笑む。勿論、すべての高齢者にグループリビングが適しているとは言えないが、シングルの方のついの棲家としての選択肢が増えていくのは望ましい。

 広く普及するには、公的助成の整備や高齢者の意識向上などが欠かせない。シングルの方は、元気なうちから高齢期にどんな生き方、暮らし方がしたいのかを考えておくことが大切だ。シングルの為の老後設計真剣に考えてみてください。