「フラット35」とは、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間金融機関と提携して取り扱う「全期間固定金利タイプ」の住宅ローンです。今まで最長で35年を意味していましたが、6月4日からは、「フラット35」に加えて、最長の返済期間が50年の「フラット50」が導入されました。返済期間が36年以上50年までのものが、「フラット50」となります。

 「フラット50」が導入された背景には、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が6月4日から施行されたことが挙げられます。いわゆる200年住宅と呼ばれる、長期の居住に耐えうる質の高い住宅の普及については、国を挙げて促進しています。そこで、長期の居住に耐え得る住宅だと認められた物件に関しては、より長期の住宅ローンを利用できるようにすることで、購入しやすくするというわけです。「フラット50」を利用する場合、金利は50年間固定されます。

 「フラット50」の融資限度額は、建設費または購入価格の6割まで。ただし「フラット35」と併用して借りる場合に限り、6割を超える部分に「フラット35」を適用することで、実質100%の借り入れも可能になります。金利については、現時点ではまだ発表されていませんが、固定金利期間が長い分、「フラット35」に比べて高めの金利設定になります。

「フラット35」融資割合は100%にアップ

 「フラット35」についても改正点がいくつかあります。その中でも目玉と言えるのは、融資割合(借り入れ限度額)が、建設費または購入価格の100%以内にアップすること。今までは90%以内になっていた規定が、10%アップして100%以内になりました。さらに、建築確認や各種検査の申請費用、契約書に貼る印紙代、適合証明検査費用など、物件を取得するのに必要な諸費用も融資の対象になります。

 また今までは、保証型でないとできなかった「住宅ローンの借り換え」が、「買取型」でも可能になります。現時点では、買取型のほうが低めの金利を提示していますし、利用できる機関の数も圧倒的に多いため、「フラット35」を利用して住宅ローンの借り換えをしようと考えている方には、利用先が格段に増えたといえそうです。

「フラット35S」金利優遇期間20年タイプも登場

 最後にもうひとつ、「フラット35S」の拡充についても触れておきます。「フラット35S」とは、耐震性や耐久性、省エネなどの基準を満たす物件を取得する場合、返済当初10年間の金利を、0.3%優遇する制度。「フラット35S」の受付期間に申し込みを行い、住宅の条件をクリアしていれば、「フラット35S」を利用できます。ちなみに「フラット35S」の「S」は、スペシャルの頭文字を取ったもの。導入当時は5年間だった優遇金利の適用期間が、今年5月から10年間に延長されたばかりです。

 そして、延長されてからわずか1か月で、20年間金利が優遇される「フラット35S(20年優遇タイプ)」も登場。ただし、「フラット35S(20年優遇タイプ)」を利用できる住宅は、バリアフリー、省エネ、耐久性、耐震性などにおいて、10年間金利が優遇されるタイプよりも、さらに厳しい技術水準をクリアした住宅に限られます。

 借りることより支払うことを考えて住宅ローンを組んで下さい。ファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。