最も注意すべきなのは「全般的に受け答えが横柄だったり、面倒くさそうに答えたりする」こと。年代別でみると30代、40代でともに1位で、役職者が多いとみられる50代以上でも3位に。「会社を代表して電話に出ているのに、そんな態度だと会社自体の信用もなくしてしまう」(20代男性)、「相手のぞんざいな態度に必要以上に悪意を感じ取ってしまう」(50代男性)など、印象が極度に悪化する点を指摘する声が相次いだ。
「相手を思った提案をする意欲がそがれる」(30代男性)という声も。さらに「ちゃんと聞いてくれているのか疑わしい」(30代女性)など、やりとり自体に不安を感じるという意見も多かった。
2位は「『お調べします』といった後、長時間待たせっぱなしにする」。本来は「まだ5分ほどかかりますので、こちらからおかけしましょうか」など提案すべきところだ。そうしないと「待たされた揚げ句に分からなかった場合、余計に時間の無駄になる」(30代男性)。「(自分は)携帯からかけているので料金が心配」(30代男性)と不満を寄せる人もいた。
3位は「肝心な社名や氏名が、早口や小さな声で聞き取りにくい」。「聞き直すのは失礼にあたる気がするが、聞き直さないわけにもいかない」(40代男性)とあって困惑する人が多い。「長い社名でボソボソしゃべって聞き取りにくく、さらにそれが携帯電話からだと最悪」(30代女性)という声も。出先から携帯で連絡する際は、特に留意したい点だ。
似たような内容ながら「不愉快というより困る」(40代男性)というのが4位の「こちらが聞くまで名乗らない」。
「名乗りもしないで『おまえは誰だ』と聞いてくる」(40代男性)といった非常識な例はまれだろうが、本人が名を告げないと「電話した相手が間違いないかどうか不安になる」(50代男性)との苦言があった。かけるときだけでなく、取り次いでもらった際も「変わりました。○○です」などと名乗るのを忘れずに。
この例や6位の電話の切り方のように、知らず知らずに先方を不愉快にしたり戸惑わせたりする場面は意外にありそうだ。研修で電話のマナーを学ぶ新入社員だけでなく、ベテラン社員も、職場での電話のやりとりで先方に不快感などを与えていないか、時には意識して振り返ってみよう。
ケータイが変える言葉遣い
「呼び出し3回以内に出る」「できるだけ丁寧に話す」「はっきりとしゃべる」「声のトーンはいつもより高めを意識」――。日ごろ職場の電話で気を付けていることを調査で尋ねたら、こんな声が多数寄せられた。電話は対面の場合と違って相手の表情や状況が見えないだけに、多くの人が自分なりに工夫している。
一方、携帯電話の普及で「あ、私……」などと会話を始められる機会が増えた影響もあり「『○○さんでいらっしゃいますか?』『あいにく○○は不在でございますが』といった言葉を使えなくなってきている」とJALアカデミーの笠井玲子さんは指摘する。
「お昼時にすみません。急用でして」など、先方を気遣うひと言も使いこなしたい。用件を簡潔に伝えるうえでは「○○の件でお電話いたしました」というように「結論から始めるのがコツ」と笠井さん。
電話の切り方も重要。スムーズに会話が進んでも、悪い印象を残すからだ。受話器を直接置くのではなく「まずは指でゆっくりと切るのが正しい」(シェリロゼの井垣利英さん)。不在の人への電話で先方が「またかけます」と言った場合でもメモは残そう。いざ本人が受けた際に「『先ほどは不在で』といった言葉から始められないと失礼」なので注意したい。
1 | 全般的に受け答えが横柄だったり、面倒くさそうに答えたりする 898 |
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2 | 「お調べします」と言った後、長時間待たせっぱなしにする 763 |
3 | 肝心な社名や氏名が、早口や小さな声で聞き取りにくい 711 |
4 | こちらが聞くまで名乗らない 697 |
5 | かけるといった時間に連絡がない 693 |
6 | 受話器をたたきつけでもしたかのような切り方をされる 642 |
7 | 声が小さかったり、もごもご話していたりして聞き取りにくい 625 |
8 | 昼食時間や営業時間外に電話してきて、気遣いのひと言もない 599 |
9 | 一方的にまくしたて口をはさませてくれない 416 |
10 | 前置きが長い 406 |
11 | 他部署などへ回すのに時間がかかる 398 |
12 | 「今、お時間よろしいでしょうか」の確認がなく用件を話し出す 393 |
13 | 営業時間内なのにベルが10回鳴って出るなど長く待たされる 384 |
14 | 「です」「ます」などを一切使わない(いわゆる「ため口」で話してくる) 376 |
15 | 当人へ取り次ぐ途中に切れてしまう 335 |