動画も撮るならこのデジカメ (何でもランキング)

 かつておまけ的な存在だったコンパクトデジタルカメラの動画機能。進歩したとはいえ、ビデオカメラにはかなわない点も多い。長所と弱点を踏まえて買うことが欠かせない。
 大きく進んだのが画質。最新式ビデオカメラ(フルハイビジョン画質=1920×1080画素)には負けるものの、高画質(ハイビジョン画質=1280×720画素)で撮れるようになり、10位中では8機種が対応。大型テレビで見ると気になる人もいそうだが、おまけとは言えない水準には十分達している。

 ビデオカメラには劣るが、動画撮影中のオートフォーカスや光学ズームができる機種も増えた。動きが速く遠い被写体はまだ苦手で、学芸会や運動会での利用は難しいが、デジカメに多い広角レンズは近距離の撮影に強い。旅先の思い出を動画として残すには手軽で頼もしい存在だ。
 
1位はパナソニック「ルミックスDMC―TZ7」。11人中7人が1位に推した。動画撮影用の機能が多彩で「背面の赤いボタンを押すだけで動画撮影が始まる」(岡田晋弥さん)、「動画撮影中でもオートフォーカスや12倍ズーム、シーン認識機能が使え、行楽の頼りになる」(清水博之さん)などの評価が集まった。10位中、この機種だけ音声をステレオで記録できる。
 中でも大きな特長が、動画の記録にビデオカメラの規格に準じた「AVCHDLite(エーブイシーエッチディー・ライト)」とと呼ぶ方式を採用した点。同じメモリー容量で、より長時間撮影でき、ハイビジョン画質では8ギガバイトのメモリーで約1〜2時間と、従来の2〜4倍長い。また、パナソニック製の薄型テレビやブルーレイレコーダーならメモリーカードを差し込むだけで、動画を見たり、保存したりできる。
 
2位のソニー「サイバーショットDSC―WX1」は新開発の撮像素子(CMOSセンサー)を搭載。「小型で高感度。屋内など暗めの場所で威力を発揮する」(山田久美夫さん)。静止画撮影を含め、カメラとしての総合的な性能の高さが広い支持を集めた。
 3位のキヤノン「イクシ・デジタル930IS」は「デザインが良く、機能が分かりやすい。発色が派手めで画質も悪くない」(小寺信良さん)。タッチパネル、3・0型のワイド液晶なども評価された。
 4位はカシオ計算機「エクシリム・ハイズームEX―H10」。動画専用ボタンに加え「電池の寿命は驚き」(斉藤寿子さん)といった声があった。5位のパナソニック「ルミックスDMC―ZX1」は新開発の手ぶれ補正の評価が高かった。
 機能別にみると、動画撮影中の光学ズームは1位のほか、2位と6位のソニー製、5位のパナソニック製、8位の富士フイルム製でも可能だ。
 薄型テレビとケーブルでつなぎ、撮った動画をハイビジョン画質で映せるのは1位のパナソニック製、2位と6位のソニー製、3位と7位のキヤノン製の5機種。パナソニック製とキヤノン製は業界共通規格の「ミニHDMI(エイチディーエムアイ)」と呼ぶ端子から出力、ソニー製は独自端子から出力する。いずれもテレビとデジカメが同じメーカー同士である必要はないので、帰省先などでの再生で重宝しそうだ。
 10月23日発売のため、ランキング対象外だが、壁に映像を投射できるニコン「クールピクスS1000pj」を推す声もあった。
 静止画向きの機種も尋ねた。2、8、10位の製品のほか、オリンパスイメージング「ミュータフ8000」、HOYA「ペンタックス・オプティオWS80」などの防水機種やリコー「GX200」が挙がった。
パソコンの性能確認を
 買う際にはパソコン性能にも注意が必要だ。ブルーレイレコーダーなどにも保存できるビデオカメラと違い、大半のデジタルカメラは撮った動画は原則、パソコンに保存する(またはメモリーカードに入れたまま保存)。ハイビジョン画質の場合、パソコンの能力によっては、なめらかに再生できなかったり、編集できなかったりする可能性がある。パソコンの型番などを店員に伝え、相談しよう。
 目的によってもふさわしい機種は変わる。ベスト・ギア編集部の神津文人さんは「パソコン画面で楽しむだけなら、動画の画素数は640×480(VGA画質)で十分」と話す。
 メモリーカードはメーカー推奨の性能のものを選ぶ。静止画と比べると電池の減りも速いので、予備の電池の購入も検討しよう。
 また、実際に動画を撮るときは、なるべくカメラは動かさず、ズームは使いすぎないのが、コツだ。
調査の方法
 大手各社が行楽向けに推薦する実勢価格5万円以下の動画機能付き24機種が対象。8人は実際に試し、家電量販店の担当者など操作経験のある3人はおすすめを挙げた。10月10日に販売中の製品をランキングした。実機テストには東芝製SDHCカード(クラス6)または純正の記録媒体を使った。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。